免疫不全症の評価 免疫不全症が疑われる患者へのアプローチ 免疫不全症は,典型的には反復性感染症として現れる。しかしながら,反復性感染症には免疫不全症以外の原因がある可能性が高い(例,不十分な治療,耐性菌,感染症の素因となる他の疾患)。診断には臨床所見と臨床検査所見の両方が必要である。 ( 免疫不全疾患の概要も参照のこと。) 免疫不全症には以下の種類がある:... さらに読む には病歴,身体診察,および免疫機能の検査が含まれる。どのような検査を行うかは以下によって決まる:
疑われる免疫不全症が原発性か続発性か
原発性免疫不全症の場合,免疫系のどの構成要素に欠陥があると考えられるか
原発性免疫不全症
これらの疾患は遺伝性である;単独で起こることもあれば症候群の一部として生じることもある。2017年,国際免疫学会連合(International Union of Immunological Societies)は,354の先天性免疫異常と344の遺伝子が原発性免疫不全症と関連付けられていると報告した(1 原発性免疫不全症に関する参考文献 免疫不全疾患では,感染症,自己免疫疾患,リンパ腫,その他のがんなど,様々な合併症がみられたり,そのような合併症が発生しやすくなったりする。原発性免疫不全症は遺伝性であり先天性となる可能性があり,続発性免疫不全症は後天性でありはるかに多くみられる。 免疫不全症の評価には病歴,身体診察,および免疫機能の検査が含まれる。どのような検査を行うかは... さらに読む )。約80%については分子的基盤が知られている。
原発性免疫不全症は,典型的には乳児期および小児期に現れ,患者は異常に高頻度(反復性)に感染症にかかったり,まれな感染症にかかったりする。約70%の患者は発症時20歳未満である;X連鎖で遺伝する場合が多いため,60%が男性である。症状がみられる症例の全発生率は約280人に1人である。
原発性免疫不全症は,以下の免疫系の主な構成要素の欠乏,欠失,または欠陥によって分類される:
より多くの分子欠損が明らかになるにつれ,対応する分子欠損による免疫不全症の分類が一層妥当なものになるであろう(2 原発性免疫不全症に関する参考文献 免疫不全疾患では,感染症,自己免疫疾患,リンパ腫,その他のがんなど,様々な合併症がみられたり,そのような合併症が発生しやすくなったりする。原発性免疫不全症は遺伝性であり先天性となる可能性があり,続発性免疫不全症は後天性でありはるかに多くみられる。 免疫不全症の評価には病歴,身体診察,および免疫機能の検査が含まれる。どのような検査を行うかは... さらに読む )。
原発性免疫不全症候群は,免疫系の異常および免疫系以外の異常を伴う遺伝性免疫不全症の総称である。非免疫系の臨床像は,免疫不全症のそれより容易に見分けられることが多い。非免疫系の臨床像として, 毛細血管拡張性運動失調症 毛細血管拡張性運動失調症 毛細血管拡張性運動失調症はDNA修復障害に起因し,高い頻度で液性免疫不全および細胞性免疫不全を引き起こす;それにより進行性小脳性運動失調,眼皮膚の毛細血管拡張,反復性の副鼻腔肺感染症が生じる。IgAおよび血清α1フェトプロテイン値を測定する。診断を確定するには遺伝子検査が必要である。治療は予防的抗菌薬投与または免疫グロブリン投与による。... さらに読む ,軟骨毛髪形成不全症, ディジョージ症候群 ディジョージ症候群 ディジョージ症候群は,胸腺および副甲状腺の低形成または形成不全であり,T細胞免疫不全症および副甲状腺機能低下症を引き起こす。ディジョージ症候群を有する乳児には,耳介低位,正中線口唇口蓋裂,小さく後退した下顎,眼間開離,短い人中,発達遅滞,および先天性心疾患がみられる。診断は臨床所見に基づき,免疫機能および副甲状腺機能の評価および染色体分析... さらに読む , 高IgE症候群 高IgE症候群 高IgE症候群は,遺伝性のB細胞およびT細胞の複合免疫不全症であり,反復性の皮膚のブドウ球菌性膿瘍,反復性の副鼻腔肺感染,および重度のそう痒性の好酸球性皮膚炎を特徴とする。血清IgE濃度の測定により診断が確定する。治療は,生涯にわたるブドウ球菌に有効な抗菌薬の予防的投与などの支持療法による。... さらに読む ,および ウィスコット-アルドリッチ症候群 ウィスコット-アルドリッチ症候群 ウィスコット-アルドリッチ症候群(Wiskott-Aldrich syndrome)は,B細胞およびT細胞両方の異常に起因し,反復性感染症,湿疹,および血小板減少症を特徴とする。 ( 免疫不全疾患の概要および 免疫不全疾患が疑われる患者へのアプローチも参照のこと。) ウィスコット-アルドリッチ症候群は,... さらに読む などがある。免疫不全症が存在しているにもかかわらず,一部の患者は 自己免疫疾患 自己免疫疾患 自己免疫疾患では,免疫系が内因性抗原(自己抗原)に対する抗体を産生する。以下の過敏反応が関与することがある: II型:抗体で覆われた細胞が抗体で覆われた異物粒子と同様に 補体系を活性化して,組織損傷を引き起こす。 III型:損傷の機序に抗原抗体複合体の沈着が関与する。 IV型:損傷がT細胞介在性である。... さらに読む を併発する。
免疫不全症は,典型的には反復性感染症として現れる。反復性感染症が始まった年齢は,免疫系のどの構成要素に異常があるかの手がかりとなる。他の特徴的な所見により,暫定的に臨床診断が示唆される(一部の原発性免疫不全症に特徴的な臨床所見 一部の原発性免疫不全症に特徴的な臨床所見 を参照)。しかしながら,免疫不全症の診断を確定するには検査が必要である(免疫不全症の初回および追加臨床検査 免疫不全症の初回および追加臨床検査 を参照)。臨床所見または初回検査で,免疫細胞または補体機能の特定の異常が示唆された場合, 追加の検査 追加検査 免疫不全症は,典型的には反復性感染症として現れる。しかしながら,反復性感染症には免疫不全症以外の原因がある可能性が高い(例,不十分な治療,耐性菌,感染症の素因となる他の疾患)。診断には臨床所見と臨床検査所見の両方が必要である。 ( 免疫不全疾患の概要も参照のこと。) 免疫不全症には以下の種類がある:... さらに読む が適応となる(免疫不全症に対する特異的で高度な臨床検査 免疫不全症*に対する特異的で高度な臨床検査 を参照)。
原発性免疫不全症の治療および 予後 予後 免疫不全症は,典型的には反復性感染症として現れる。しかしながら,反復性感染症には免疫不全症以外の原因がある可能性が高い(例,不十分な治療,耐性菌,感染症の素因となる他の疾患)。診断には臨床所見と臨床検査所見の両方が必要である。 ( 免疫不全疾患の概要も参照のこと。) 免疫不全症には以下の種類がある:... さらに読む は,個々の疾患によって異なる(3 原発性免疫不全症に関する参考文献 免疫不全疾患では,感染症,自己免疫疾患,リンパ腫,その他のがんなど,様々な合併症がみられたり,そのような合併症が発生しやすくなったりする。原発性免疫不全症は遺伝性であり先天性となる可能性があり,続発性免疫不全症は後天性でありはるかに多くみられる。 免疫不全症の評価には病歴,身体診察,および免疫機能の検査が含まれる。どのような検査を行うかは... さらに読む )。
液性免疫不全
最もよくみられるB細胞疾患は,以下のものである:
液性免疫不全の診断評価については, 免疫不全症が疑われる患者へのアプローチ 免疫不全症が疑われる患者へのアプローチ 免疫不全症は,典型的には反復性感染症として現れる。しかしながら,反復性感染症には免疫不全症以外の原因がある可能性が高い(例,不十分な治療,耐性菌,感染症の素因となる他の疾患)。診断には臨床所見と臨床検査所見の両方が必要である。 ( 免疫不全疾患の概要も参照のこと。) 免疫不全症には以下の種類がある:... さらに読む および 免疫不全症に対する特異的で高度な臨床検査 免疫不全症*に対する特異的で高度な臨床検査 の表を参照のこと。
細胞性免疫不全
細胞性免疫不全(T細胞の異常)は,原発性免疫不全症の約5~10%を占め,ウイルス, Pneumocystis jirovecii ニューモシスチス肺炎(Pneumocystis jirovecii肺炎) Pneumocystis jiroveciiは免疫抑制患者,特にヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染患者およびコルチコステロイドの全身投与を受けている患者における肺炎の一般的な起因菌である。症状としては,発熱,呼吸困難,乾性咳嗽などがある。診断には,誘発または気管支鏡によって採取した喀痰検体における起因菌の証明が必要である。治... さらに読む ,真菌,その他の日和見病原体,および多くの一般的な病原体による感染症の素因となる(細胞性免疫不全 細胞性免疫不全 の表を参照)。B細胞およびT細胞の免疫系は相互依存性のため,T細胞疾患でもIg欠損症が生じる。
最も頻度の高いT細胞疾患は以下の通りである:
原発性のナチュラルキラー細胞の異常は,非常にまれであり,ウイルス感染症および腫瘍の素因となることがある。続発性のナチュラルキラー細胞の異常は,他の様々な原発性または続発性の免疫不全症患者に発生することがある。
細胞性免疫不全の診断評価については, 免疫不全症の初回および追加臨床検査 免疫不全症の初回および追加臨床検査 ならびに 免疫不全症に対する特異的で高度な臨床検査 免疫不全症*に対する特異的で高度な臨床検査 の表を参照のこと。
液性免疫および細胞性免疫の複合免疫不全
液性免疫および細胞性免疫の複合免疫不全(B細胞およびT細胞の両方の異常)は,原発性免疫不全症の約20%を占める(液性免疫および細胞性免疫の複合免疫不全 液性免疫および細胞性免疫の複合免疫不全 の表を参照)。
最も重要な病型は以下のものである:
複合免疫不全症の一部の病型(例,プリンヌクレオシドホスホリラーゼ欠損症)では,Igレベルは正常または上昇しているが,T細胞機能が不十分なため,抗体産生が阻害される。
液性免疫および細胞性免疫の複合免疫不全の診断評価については, 免疫不全症に対する特異的で高度な臨床検査 免疫不全症*に対する特異的で高度な臨床検査 の表を参照のこと。
食細胞の異常
食細胞の異常は,原発性免疫不全症の10~15%を占める;食細胞(例,単球,マクロファージ,好中球および好酸球などの顆粒球)の病原体殺傷能が低下する(食細胞の異常 食細胞の異常 の表を参照)。皮膚のブドウ球菌およびグラム陰性菌による感染が特徴的である。
最も頻度の高い(とはいっても一般的にはまれであるが)食細胞の異常は以下のものである:
食細胞の異常の診断評価については, 免疫不全症の初回および追加臨床検査 免疫不全症の初回および追加臨床検査 ならびに 免疫不全症に対する特異的で高度な臨床検査 免疫不全症*に対する特異的で高度な臨床検査 の表を参照のこと。
補体欠損症
補体の欠損はまれである(2%以下);補体成分または補体インヒビターの単独欠損があり,遺伝性も後天性もありうる(補体欠損症 の表を参照)。遺伝性の欠損症は,常染色体優性のC1インヒビター欠損症およびX連鎖のプロパージン欠損症を除いて,常染色体劣性である。これらの欠損症により,病原体のオプソニン化,食作用,および溶解作用の欠陥,ならびに抗原抗体複合体のクリアランスの欠陥が生じる。
最も重篤な転帰は以下のものである:
反復性感染症(オプソニン化作用の欠陥による)
抗原抗体複合体のクリアランスの欠陥による自己免疫疾患(例,全身性エリテマトーデス,糸球体腎炎)
補体制御タンパク質の欠損は 遺伝性血管性浮腫 遺伝性および後天性の血管性浮腫 遺伝性および後天性の血管性浮腫(後天性C1インヒビター欠損症)は, 補体活性化の古典経路およびレクチン経路の制御,またキニン系および凝固線溶系の経路の制御にも関与するタンパク質である補体1(C1)インヒビターの欠損または機能不全によって引き起こされる。診断は補体濃度の測定による。C1インヒビターは急性発作の治療に用いる。予防は,C1インヒ... さらに読む を引き起こす。
補体欠損症は, 補体系 補体系 補体系は,感染に対する防御に役立つ酵素カスケードである。多くの補体タンパク質が不活性の酵素前駆体(酵素原)として血清中に存在する;細胞表面に存在する補体タンパク質もある。( 免疫系の概要も参照のこと。) 補体系は以下によって 自然免疫と獲得免疫の橋渡しをする: 抗体応答および免疫記憶の増強... さらに読む の古典経路および/または副経路に影響を及ぼす。副経路は,C3およびC5~C9を古典経路と共有するが,さらにD因子,B因子,プロパージン(P),ならびに制御因子のH因子およびI因子といった成分を必要とする。
補体欠損症の診断評価については, 免疫不全症の初回および追加臨床検査 免疫不全症の初回および追加臨床検査 ならびに 免疫不全症に対する特異的で高度な臨床検査 免疫不全症*に対する特異的で高度な臨床検査 の表を参照のこと。
原発性免疫不全症に関する参考文献
1.Picard C, Gaspar HB, Al-Herz W, et al: International Union of Immunological Societies: 2017 Primary Immunodeficiency Diseases Committee Report on Inborn Errors of Immunity.J Clin Immunol 38:96–128, 2018.doi: 10.1007/s10875-017-0464-9
2.Chinen J and Cowan MJ: Advances and highlights in primary immunodeficiencies in 2017.J Allergy Clin Immunol 142:1041–1051, 2018. doi: 10.1016/j.jaci.2018.08.016
3.Bonilla FA, Khan DA, Ballas ZK, et al: Practice parameter for the diagnosis and management of primary immunodeficiency.J Allergy Clin Immunol 136:1186–205, 2015.doi: 10.1016/j.jaci.2015.04.049.Epub 2015 Sep 12
続発性免疫不全症
原因(続発性免疫不全症の原因 続発性免疫不全症の原因 の表を参照)には以下のものがある:
全身性疾患(例, 糖尿病 糖尿病(DM) 糖尿病はインスリン分泌障害および様々な程度の末梢インスリン抵抗性であり,高血糖をもたらす。初期症状は高血糖に関連し,多飲,過食,多尿,および霧視などがある。晩期合併症には,血管疾患,末梢神経障害,腎症,および易感染性などがある。診断は血漿血糖測定による。治療は食事療法,運動,および血糖値を低下させる薬剤により,薬剤にはインスリン,経口血糖... さらに読む , 低栄養 低栄養の概要 低栄養は栄養障害の一種である。(栄養障害には栄養過多も含まれる。)低栄養は,栄養素の不十分な摂取,吸収不良,代謝障害,下痢による栄養素の喪失,または栄養必要量の増大(がんや感染症などで起こる)に起因する。低栄養は段階的に進行する;食欲不振による場合にゆっくりと発生することもあれば,ときにがん関連の急速に進行する悪液質による場合のように非常... さらに読む , HIV感染症 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症は,2つの類似したレトロウイルス(HIV-1およびHIV-2)のいずれかにより生じ,これらのウイルスはCD4陽性リンパ球を破壊し,細胞性免疫を障害することで,特定の感染症および悪性腫瘍のリスクを高める。初回感染時には,非特異的な熱性疾患を引き起こすことがある。その後に症候(免疫不全に関連するもの)が現れ... さらに読む )
免疫抑制療法(例,細胞傷害性薬剤による化学療法,移植前の骨髄破壊的処置,放射線療法)
長期にわたる重篤な疾病
続発性免疫不全症は,重症(critically ill)の患者,高齢の患者,または入院患者でも起こる。長期にわたる重篤な疾病があると免疫応答が減弱することがある;基礎疾患が解消すれば元に戻ることが多い。
免疫不全症は,以下の部位から血清タンパク質(特にIgGおよびアルブミン)を喪失する結果として発生することがある:
ネフローゼ症候群で腎臓から
重度熱傷または皮膚炎で皮膚から
腸炎で消化管から
腸疾患では,リンパ球の喪失につながり,リンパ球減少症が生じることもある。
治療は基礎疾患に重点を置く;例えば,中鎖脂肪酸トリグリセリドが多い食事は,消化管からの免疫グロブリン(Ig)およびリンパ球の喪失を軽減するため,非常に有益なことがある。
特定の続発性免疫不全症が臨床的に疑われる場合は,当該疾患(例,糖尿病,HIV感染症,嚢胞性線維症,原発性線毛機能不全症)に焦点を合わせた検査を行うべきである。
老年医学的重要事項
加齢に伴ってある程度の免疫低下が起こる。例えば,高齢者では,胸腺によるナイーブT細胞の産生が少ない傾向にある;そのため,新たな抗原に応答できるT細胞が少ない。T細胞の総数は減少しない(オリゴクローナルであるため)が,このような細胞は限られた数の抗原を認識できるに過ぎない。
シグナル伝達(抗原結合シグナルが細胞膜を越えて細胞内に伝達されること)が阻害され,T細胞が抗原に応答する可能性が低くなる。さらに,ヘルパーT細胞がB細胞に抗体産生を促すシグナルを伝える可能性が低くなる場合もある。
好中球の数は減少しないが,これらの細胞の食作用および殺菌作用は低下する。
高齢者でよくみられる低栄養は,免疫応答を阻害する。カルシウム,亜鉛,およびビタミンEは,免疫にとって特に重要である。加齢とともに腸管からのカルシウム吸収能力が低下するため,高齢者ではカルシウム欠乏症のリスクが高まる。さらに,高齢者では食事で十分なカルシウムを摂取しないことがある。亜鉛欠乏症は,施設環境で生活する成人および自宅から出られない患者に非常に多くみられる。
高齢者により多くみられる特定の疾患(例, 糖尿病 糖尿病(DM) 糖尿病はインスリン分泌障害および様々な程度の末梢インスリン抵抗性であり,高血糖をもたらす。初期症状は高血糖に関連し,多飲,過食,多尿,および霧視などがある。晩期合併症には,血管疾患,末梢神経障害,腎症,および易感染性などがある。診断は血漿血糖測定による。治療は食事療法,運動,および血糖値を低下させる薬剤により,薬剤にはインスリン,経口血糖... さらに読む , 慢性腎臓病 慢性腎臓病 慢性腎臓病(CKD)とは,腎機能が長期にわたり進行性に悪化する病態である。症状は緩徐に現れ,進行すると食欲不振,悪心,嘔吐,口内炎,味覚異常,夜間頻尿,倦怠感,疲労,そう痒,精神的集中力の低下,筋収縮,筋痙攣,水分貯留,低栄養,末梢神経障害,痙攣発作などがみられる。診断は腎機能検査に基づき,ときに続いて腎生検を施行する。治療は主に基礎疾患... さらに読む , 低栄養 低栄養の概要 低栄養は栄養障害の一種である。(栄養障害には栄養過多も含まれる。)低栄養は,栄養素の不十分な摂取,吸収不良,代謝障害,下痢による栄養素の喪失,または栄養必要量の増大(がんや感染症などで起こる)に起因する。低栄養は段階的に進行する;食欲不振による場合にゆっくりと発生することもあれば,ときにがん関連の急速に進行する悪液質による場合のように非常... さらに読む ),および高齢者に使用する可能性が高い特定の治療法(例,免疫抑制薬,免疫調節性の薬剤および治療)により免疫が損なわれることもある。
免疫不全疾患の要点
続発性(後天性)免疫不全症は,原発性(遺伝性)免疫不全症よりはるかに多くみられる。
原発性免疫不全症は,液性免疫(最も頻度が高い),細胞性免疫,液性免疫および細胞性免疫の両方,食細胞,または補体系に影響を及ぼすことがある。
原発性免疫不全症の患者では,免疫不全症よりも容易に見分けられる非免疫性の症状がみられることがある。
免疫機能は年齢とともに低下する傾向があり,部分的には加齢性変化が原因である;さらに高齢者では,免疫機能を損なう状態(例,特定の疾患,特定の薬物の使用)がより多く発生する。