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好酸球増多症

執筆者:

Jane Liesveld

, MD, James P. Wilmot Cancer Institute, University of Rochester Medical Center;


Patrick Reagan

, MD, University of Rochester Medical Center

最終査読/改訂年月 2016年 11月
本ページのリソース

好酸球の産生および機能も参照のこと。)

好酸球増多症は,末梢血中の好酸球数が500/μLを超える場合と定義される。好酸球増多症の原因および関連疾患は無数にあるが,多くの場合がアレルギー反応または寄生虫感染症である。診断には,臨床的に疑われる原因に標的を絞った検査が必要である。治療は原因に対して行う。

好酸球増多症では免疫応答の特徴がみられる:すなわち,旋毛虫(Trichinella spiralis)のような病原体では,好酸球数が比較的低値で一次応答が誘発されるものの,再び曝露されると,二次応答つまり増強された好酸球反応が生じる。肥満細胞および好塩基球が放出する数種の物質により,IgE媒介性の好酸球産生が誘導される。このような物質には,アナフィラキシーでの好酸球走化性因子,ロイコトリエンB4,補体複合体(C5-C6-C7),およびヒスタミン(濃度範囲は狭い)がある。

末梢血中の好酸球増多は,以下のように分類する:

  • 軽度:500~1500/μL

  • 中等度:1500~5000/μL

  • 重度:> 5000/μL

軽度の好酸球増多症自体は症状を引き起こさないが,好酸球数が1500/μL以上になると臓器障害を引き起こすことがある。典型的な臓器障害は,組織の炎症によるほか,炎症組織に動員された免疫細胞に加え,好酸球から放出されたサイトカインおよびケモカインに対する組織の反応により発生する。あらゆる臓器に障害が発生する可能性があるが,心臓,肺,脾臓,皮膚,および神経系の障害が一般的である(臨床像については 好酸球増多症候群の患者における異常を参照のこと)。ときに,極めて重度の好酸球増多症(例,好酸球数が100,000/μLを超える場合で,通常は好酸球性白血病の患者)では,好酸球が凝集塊を形成し微小血管が閉塞すると,組織の虚血および微小梗塞が起こり,合併症が生じることがある。典型的な症状としては,脳または肺の低酸素症(例,脳症,呼吸困難,呼吸不全)によって生じるものがある。

好酸球増多症候群は,寄生虫性,アレルギー性,またはその他の好酸球増多の原因のない患者における好酸球増多と直接関係する器官系の障害または機能不全の所見を伴う末梢血中の好酸球増多を特徴とする疾患である。

病因

好酸球増多症は次の場合に発症することがある:

米国で最も一般的な原因は,以下のものである:

  • アレルギー疾患またはアトピー性疾患(典型的に呼吸器または皮膚)

他の一般的な原因としては以下のものがある:

  • 感染症(主に寄生虫)

  • 特定の腫瘍(血液腫瘍または固形腫瘍,良性または悪性)

寄生虫の組織侵入では,ほぼ全てで好酸球増多症が惹起される可能性があるが,原虫および非侵入性の後生動物では通常惹起されない。

血液腫瘍のうち,ホジキンリンパ腫では,著しい好酸球増多症が惹起されることがあるが,非ホジキンリンパ腫慢性骨髄性白血病,および急性リンパ性白血病における好酸球増多症の頻度は低い。

好酸球肺浸潤症候群(pulmonary infiltrates with eosinophilia syndrome)には,末梢血中の好酸球増多および肺の好酸球浸潤を特徴とする一連の臨床像が含まれるが,通常は原因不明である。

薬物反応による好酸球増多症の患者では,症状がみられない場合もあれば,間質性腎炎,血清病,胆汁うっ滞性黄疸,過敏性血管炎,および免疫芽球性リンパ節症といった様々な症候群を発症する場合もある。

好酸球増多筋痛症候群はまれであり,原因は不明である。しかしながら1989年に,鎮静または向精神作用の補助としてl-トリプトファンを服用した患者で,この症候群が数百例に発生したことが報告された。この症候群の原因は,おそらくl-トリプトファンよりも,むしろ混入物質によるものであった。症状としては重度の筋肉痛,腱鞘滑膜炎,筋浮腫,および発疹などが数週間から数カ月間にわたり持続し,数例の死亡も認められた。

drug reaction with eosinophilia and systemic symptoms(DRESS)は,発熱,発疹,好酸球増多,異型リンパ球増多,リンパ節腫脹,ならびに末梢臓器(主に心臓,肺,脾臓,皮膚,神経系)障害に関連する症候を特徴とする,まれな症候群である。

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好酸球増多症に関連する重要な疾患および治療法

原因または関連疾患

アレルギー疾患またはアトピー性疾患

薬物反応(例,抗菌薬またはNSAIDに対する反応)

好酸球増多症を伴う偶発性の血管性浮腫

乳タンパクアレルギー

職業性肺疾患

結合組織疾患,脈管炎疾患,または肉芽腫性疾患(特に肺にみられるもの)

好酸球性筋膜炎

特発性の好酸球性滑膜炎

炎症性腸疾患

心筋梗塞後症候群(ドレスラー症候群)

全身性強皮症(強皮症)

SLE

内分泌疾患

副腎機能低下

免疫疾患(湿疹を伴うことが多い)

先天性免疫不全症候群(例,IgA欠損症高IgE症候群Wiskott-Aldrich症候群

骨髄増殖性疾患

急性または慢性好酸球性白血病

急性リンパ性白血病(特定の種類)

非寄生虫感染症

乳児期のクラミジア肺炎

感染性リンパ球増多症

抗酸菌症

寄生虫感染症(特に組織侵襲性の後生動物によるもの)

嚢虫症(有鉤条虫[Taenia solium]によるもの)

フィラリア症

Pneumocystis jirovecii感染症

皮膚疾患

天疱瘡

好酸球肺浸潤症候群

熱帯性肺好酸球増多症

腫瘍

全身症状および自己免疫性溶血性貧血を伴う血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(異常タンパク血症を伴う血管免疫芽球性リンパ節症,またはAILDとして知られていた)

肺,膵臓,結腸,子宮頸部,または卵巣の癌種および肉腫

その他

肝硬変

家族性好酸球増多症

腹膜透析

放射線療法

評価

可能性のある原因および関連疾患の数は膨大である。一般的な原因(例,アレルギー性,感染性,または腫瘍性疾患)を最初に考慮すべきであるが,それでも特定が困難な場合が多いため,徹底的な病歴聴取および身体診察が常に求められる。

病歴

以下に関連する問診が役立つ可能性が最も高い:

  • 旅行(寄生虫に曝露した可能性が示唆される)

  • アレルギー

  • 薬歴

  • l-トリプトファンを含むハーブ製品および栄養補助食品の使用歴

  • 全身症状(例,発熱,体重減少,筋肉痛,関節痛,発疹,リンパ節腫脹)

軽微なアレルギー性または薬剤性の原因である可能性が低いことが,全身症状から示唆される場合は,感染性疾患,腫瘍性疾患,結合組織疾患,または他の全身性疾患について詳細な評価を実施すべきである。他に病歴で重要な部分としては,血液疾患の家族歴のほか,アレルギー症状に加え,肺,心臓,消化管,および神経の機能障害などの徹底した系統的症状把握(review of systems)がある。

身体診察

全般的な身体診察では,心臓,皮膚,神経系,および肺系統を重点的に診査すべきである。特定の身体所見から原因または関連疾患が示唆されることがある。例えば,発疹(アレルギー疾患,皮膚疾患,脈管炎疾患),肺の異常所見(喘息,肺感染症,好酸球肺浸潤症候群),および全身性リンパ節腫脹または脾腫(骨髄増殖性疾患または癌)がある。

検査

好酸球増多症は,他の理由で血算を実施した際に発見される場合が一般的である。以下の検査が追加されることが多い:

  • 便中の虫卵および寄生虫の検査

  • 他に臓器障害を検出する検査または臨床所見に基づいて特異的原因を調べる検査

一般に,臨床所見に基づいて薬剤またはアレルギーが原因である疑いが消えた場合は,便検体を3回採取して寄生虫の虫卵および虫体がないか検査すべきであるが,結果が陰性でも寄生虫による原因が除外されるわけではない(例,旋毛虫症では筋生検が,また内臓幼虫移行症およびフィラリア感染では他の組織生検が必要で,さらに糞線虫属などの特定の寄生虫を除外するには十二指腸吸引が必要な場合がある)。

他の特異的な診断検査は,臨床所見(特に旅行歴)によって判断し,胸部X線,尿検査,肝および腎機能検査,寄生虫疾患および結合組織疾患についての血清学的検査などを実施してもよい。全身性リンパ節腫脹,脾腫,または全身症状が認められる患者では,血液検査を実施する。血清ビタミンB12の高値または末梢血塗抹標本上の異常により骨髄増殖性疾患が基礎疾患として存在することが示唆されるため,骨髄穿刺および骨髄生検に加えて細胞遺伝学的検査が役立つことがある。さらに,ルーチン評価で原因が明らかにならない場合は,臓器障害を検出する検査を実施する。検査では,前に言及した検査の一部に加えて,LDHおよび肝機能検査(肝傷害または可能性のある骨髄増殖性疾患を明らかにする),心エコー検査,肺機能検査などを実施してもよい。特異的原因が明らかになった時点で,さらに検査が必要になることもある。

治療

  • 場合によりコルチコステロイド

コルチコステロイドによる好酸球増多症候群の治療については, 好酸球増多症候群 : 緊急療法を参照のこと。

好酸球増多症との関連が確認されている薬剤を中止する。他の特定原因を治療する。

原因が明らかではない患者では,合併症についてフォローアップを行う。好酸球増多症が原発性というよりも,むしろ二次性(例,アレルギー,結合組織疾患,または寄生虫感染症の続発症)であれば,低用量コルチコステロイドの短期試用により,好酸球数が低下することがある。治療可能な原因が認められずに好酸球増多症が持続性かつ進行性の場合は,このような試用が適応となる。

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