好酸球性食道炎は,食道に好酸球優位の炎症を引き起こす慢性の免疫性食道疾患であり,逆流症状,嚥下困難,および食物のつかえを引き起こす可能性がある。診断は内視鏡検査と生検による。治療法としては,プロトンポンプ阻害薬,局所コルチコステロイド,生物学的製剤,食習慣の変更などのほか,ときに食道拡張術も用いられる。
(食道疾患および嚥下障害の概要も参照のこと。)
好酸球性食道炎は現在注目が集まっている疾患で,乳児期から若年成人期までいずれの時期でも発生する可能性があり,ときに高齢者にみられる。男性でより多くみられる。
好酸球性食道炎の原因は,遺伝的感受性を有する患者の食物抗原に対する免疫応答である可能性が高く,環境アレルゲンが関わっている可能性もある。食道の慢性炎症を無治療で放置すると,最終的に食道の狭小化および狭窄へと至る可能性がある。
好酸球性食道炎の症状
好酸球性食道炎の診断
内視鏡検査と生検
ときに食道造影
好酸球性食道炎の典型的な患者には,固形物の嚥下困難とアトピーの病歴がある。好酸球性食道炎の診断は,逆流症状が胃酸分泌抑制薬による治療に反応しない場合にも考慮される。食道での食物のつかえで受診した成人と非心臓性胸痛がある成人でも,本症を考慮すべきである。
診断には,内視鏡検査による生検で好酸球浸潤(強拡大像で好酸球が15個以上)を認めることが必要である。内視鏡検査では視認可能な異常(例,線状のしわ,狭窄,積み重なった円状の輪,血管影の消失,白色の滲出物)が明らかとなる場合もあるが,外観は正常となる可能性もあるため,生検が不可欠である。GERDでも好酸球浸潤が生じることがあるため,逆流症状が主体の患者では生検を施行すべきである;上部および中部食道から採取した検体は,下部食道から採取した検体とは別にして処理すべきである。
Image provided by Kristle Lynch, MD.
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食道造影では,積み重なった円状の輪,縦走溝,narrow-caliber esophagus,または狭窄を認めることがある。
有意な症状がみられる患者では,軽微な狭窄を検索する評価を目的として,ときにimpedance planimetryが用いられる。
誘因物質を同定するために食物アレルギー検査がしばしば行われるが,好酸球性食道炎はIgE介在性とは考えられていないため,その有益性は極めて小さい。
好酸球性食道炎の治療
プロトンポンプ阻害薬
局所コルチコステロイド
デュピルマブ
アレルゲン除去食
ときに食道拡張術
(American Gastroenterological Association[AGA]およびJoint Task Force on Allergy-Immunology Practice Parameters[JTF]による2020年の好酸球性食道炎の管理に関する診療ガイドラインも参照のこと。)
成人では,内科的治療としてプロトンポンプ阻害薬(PPI),局所コルチコステロイド,生物学的製剤のデュピルマブなどの選択肢がある。
小児では,典型的には食習慣の変更が無効な場合にPPIが用いられる。PPIはeotaxin-3経路を介して作用すると考えられている。
PPIによる治療が不成功に終わった場合,好酸球性食道炎の治療にしばしばコルチコステロイドが局所投与される。複数回使用が可能なフルチカゾンの吸入器を使用してもよく,その場合は肺に吸入しないように口腔内に薬剤を噴出させてから,嚥下させる。あるいは,ブデソニド1~2mgの経口粘性懸濁液を朝食の30分後と夕食の30分後に服用させてもよい。フルチカゾンまたはブデソニドは,少なくとも8週間は投与して効果を判定する。これらいずれかの治療により寛解が得られた場合は,しばしば無期限に継続する。これらの薬剤の維持量は十分に確立されていない。
デュピルマブは,体重15kg以上かつ1歳以上の患者に皮下注射で投与される生物学的製剤である。インターロイキン4(IL-4)受容体α鎖を阻害するヒトモノクローナル抗体であり,IL-4およびIL-13シグナルを阻害する。ある第3相臨床試験では,デュピルマブが週1回の注射で投与された好酸球性食道炎患者において,組織学的な改善と症状の改善が得られたことが示された(1)。
好酸球性食道炎の管理としては,一部の患者において除去食が効果的となる場合がある(2)。成分栄養食は成人と小児ともに効果が得られる可能性があるが,成人では現実的でないことが多い。
有意な狭窄を認める患者では,バルーンまたはブジーを用いた慎重な食道拡張術が必要になることがあり,食道穿孔の予防を目的として複数回の拡張を慎重かつ段階的に行っていく。
好酸球性食道炎を対象として,体内の好酸球経路を標的とする注射および輸注療法が研究されている。
治療に関する参考文献
1.Dellon ES, Rothenberg ME, Collins MH, et al: Dupilumab in Adults and Adolescents with Eosinophilic Esophagitis.N Engl J Med 387(25):2317-2330, 2022.doi: 10.1056/NEJMoa2205982
2.Mayerhofer C, Kavallar AM, Aldrian D, et al: Efficacy of Elimination Diets in Eosinophilic Esophagitis: A Systematic Review and Meta-analysis. Clin Gastroenterol Hepatol 21(9):2197-2210.e3, 2023.doi: 10.1016/j.cgh.2023.01.019
より詳細な情報
有用となりうる英語の資料を以下に示す。ただし,本マニュアルはこれらの資料の内容について責任を負わないことに留意されたい。
American College of Gastroenterology: Evidenced Based Approach to the Diagnosis and Management of Esophageal Eosinophilia and Eosinophilic Esophagitis (EoE) (2013)
American Gastroenterological Association and the Joint Task Force on Allergy-Immunology Practice Parameters: Clinical guidelines for the management of eosinophilic esophagitis (2020)



