高山病は,高地における酸素利用可能量の減少により引き起こされる。急性高山病(acute mountain sickness:AMS)は最も軽度な型であり,頭痛に加え1つ以上の全身症状(例,疲労,消化管症状,持続するめまい)を伴うことを特徴とする。これは高地に赴くハイカーやスキーヤーなどに生じることがある。高地脳浮腫(high-altitude cerebral edema:HACE)は脳症の一形態であり,一方,高地肺水腫(high-altitude pulmonary edema:HAPE)は非心原性肺水腫の一形態で重度の呼吸困難と低酸素血症を引き起こす。高山病の診断は臨床的に行う。軽度のAMSの治療には,鎮痛薬とアセタゾラミドまたはデキサメタゾンを用いる。重度のAMSでは,下山および酸素補給(利用可能な場合)が必要となる。HACEおよびHAPEは共に生命を脅かす可能性があり,直ちに下山する必要がある。加えて,HACEに対してデキサメタゾンが,HAPEに対してニフェジピンまたはホスホジエステラーゼ阻害薬が有用である。あらゆる形態の高山病を予防する最善の方法は,ゆっくりと高度を上げることであり,また,AMS予防に最もよく用いられる薬剤はアセタゾラミドである。