超音波ガイド下尺骨神経ブロック

執筆者:Richard Pescatore, DO, Delaware Division of Public Health
Reviewed ByDiane M. Birnbaumer, MD, David Geffen School of Medicine at UCLA
レビュー/改訂 2024年 10月 | 修正済み 2025年 2月
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超音波ガイド下神経ブロックは,末梢神経ブロックが成功する可能性を高め,合併症のリスクを減らすが,特別な器具と訓練を受けた人員を要する。

末梢神経ブロックにポイントオブケア超音波検査の手法を用いることにより,かつては解剖学的ランドマークのみに依存していた手技の成功率と安全性が向上している(1)。リアルタイムの可視化により,医師が標的神経と隣接構造を正確に同定できるようになったことで,解剖学的ランドマークに依存した従来の盲目的手法と比べて,より安全で,よりコントロールされた,より効果的な局所麻酔薬の注入が可能となった。

超音波ガイド下では,意図しない針の刺入,神経損傷,その他の合併症(例,血腫形成,血管穿刺)のリスクを最小限に抑えながら,ブロックの効果と麻酔域の範囲を最適化することができる。超音波ガイド下神経ブロックは,様々な外科的手技のために区域麻酔を行う様々な臨床状況で用いられており,急性外傷の疼痛コントロールにも用いられている(2)。超音波ガイド下神経ブロックは,胸壁痛に対する肋間神経から,下肢の処置または損傷に対する大腿および坐骨神経まで,末梢神経系の全体にわたる多くの部位で用いることができる。

超音波ガイド下神経ブロックの適応

  • 外科的手技のための区域麻酔

  • 急性疼痛の管理

超音波ガイド下神経ブロックの禁忌

絶対的禁忌

  • 麻酔薬に対するアレルギーの既往

相対的禁忌

  • 注射針の刺入経路の感染:処置時鎮静または他の麻酔法を用いる。

  • 凝固障害*:可能であれば,処置前に是正するか,または別の麻酔方法を用いる。

*抗凝固薬(例,心房細動に対するもの)は神経ブロックに伴う出血のリスクを高めるが,このリスクと抗凝固作用を解除した場合の血栓形成(例,脳卒中)のリスク増大との間でバランスをとる必要がある。解除する場合は,まず患者の抗凝固療法を管理している医師と話し合い,その後に患者と話し合う。

超音波ガイド下神経ブロックの合併症

  • 麻酔薬に対する有害反応(例,麻酔薬[まれ]またはメチルパラベン[防腐剤]に対するアレルギー反応)(裂創治療のための局所麻酔薬を参照)

  • 麻酔薬の過量投与による中毒(例,痙攣発作,不整脈)またはアドレナリンの交感神経刺激作用(アドレナリン含有麻酔薬を使用した場合)

  • 麻酔薬またはアドレナリンの血管内注入

  • 血腫

  • 神経炎

  • 感染部位に注射針を刺入することによる感染の拡大

超音波ガイド下神経ブロックで使用する器具

  • 手袋(滅菌手袋は不要)

  • 必要に応じた個人防護具(例,マスク,保護眼鏡またはフェイスシールド,帽子およびガウン)

  • 消毒液(例,クロルヘキシジン,ポビドンヨード,アルコール)

  • 注射用の局所麻酔薬*(2%リドカイン + 1:100,000アドレナリン†,またはより長時間の麻酔では0.5%ブピバカイン + 1:200,000アドレナリン†など)

  • 麻酔薬注入用のシリンジ(例,10mL)および針(例,25または27G,長さ3.5cm)

  • 高周波(例,7.5MHz以上)リニア型プローブ(トランスデューサー)を備えた超音波装置,プローブカバー(例,透明な滅菌ドレッシング,使い捨てプローブカバー),使い捨ての滅菌水性潤滑剤(複数回使用できるゼリーボトルよりも望ましい)

* 局所麻酔薬については,裂創治療のための局所麻酔薬で考察されている。

† 局所麻酔薬の最大用量は,アドレナリンを含有しないリドカインでは5mg/kg,アドレナリンを含有するリドカインでは7mg/kg,ブピバカインでは1.5mg/kgである。注:1%溶液は(いずれの物質であれ)10mg/mL(1g/100mL)に相当する。アドレナリンは血管収縮を引き起こし,麻酔作用を延長させる。心疾患のある患者には,アドレナリンは限られた量のみ投与すべきである(1:100,000に希釈されたアドレナリンを含む溶液を最大3.5mL);あるいは,アドレナリンを含まない局所麻酔薬を使用する。

超音波ガイド下神経ブロックのステップ-バイ-ステップの手順

  • 超音波装置を2DモードまたはBモードに設定する。正確な左右の向きを得るために,必要に応じて画面の設定とプローブの位置を調整する。これはほとんどの場合,プローブ先端のサイドマークを術者から見て左側に向けることを意味する(超音波装置の画面左の丸い点/記号に対応する)。

  • 手袋を装着し,適切な個人防護具を着用する。

  • 標的神経に対する注射部位を同定する。

  • 消毒液で注射部位の皮膚を消毒する。

  • 麻酔薬で膨疹を作る場合は,注射部位に浅く皮内注射する。

  • プローブの先端にゼリーを塗布し,プローブ先端を滅菌の透明ドレッシングでぴったりと覆う(下にある気泡を除去するため)。カバーで覆った先端に滅菌潤滑剤を塗布する。

  • 対象部位にプローブの先端を当てて,横断面で神経を同定する。

  • 端末上でゲインを調整して,血管が低エコー(超音波画面上で黒く見える)に,周囲組織が灰色に描出されるようにする。神経はエコー源性(白色)の蜂巣状の三角形の領域として現れ,しばしば動脈に隣接している。

  • 画面の中央に神経が描出されるように,深度を調節する。

  • プローブを神経に沿ってスライドさせ,その進路を同定する。

  • 針を刺入して,プローブをわずかに傾けたり回旋させたりして,超音波画面上に針を(平面内に長軸像として)描出させる。

  • 針の長軸像全体が画面に描出された状態を維持して,先端が神経の近くに達するまで針を進めていく。

  • 少量の麻酔薬(約0.25mL)を試しに注射して,神経の周囲に広がるかどうかを確認する。広がらない場合は,針を神経にさらに近づけ,もう一度試験注射を行う。

  • 針の先端を正しい位置に置いたら,麻酔薬を1~2mL注入し,さらに神経を取り囲むようにする。必要であれば,針先の位置を変えてさらに少量を注射する;ただし,ドーナツサイン(神経が麻酔薬で完全に囲まれた状態)が認められる必要はない。

超音波ガイド下神経ブロックの注意点とよくあるエラー

  • 超音波では非常に細い神経や深部の神経を可視化できない可能性があり,その場合は神経,周辺組織,または血管を偶発的に穿刺するリスクが高まる。

  • 針によるアーチファクトやその他の画像上の複雑要因(例,音響陰影)が,神経を同定する過程での混乱やエラーにつながる可能性がある。

超音波ガイド下神経ブロックのアドバイスとこつ

  • 無菌操作と超音波画像の良好な可視化を維持するため,術者と患者の双方にとって適正な人間工学的状態を確保すること。

  • 縦断像(「in-plane像」)や横断像(「out-of-plane像」)などのアプローチで針を描出することにより,手技の全体を通して針先端の位置を確認していく。

  • 針先を小さく前後方向に動かすことで,針先の描出が容易になる。

  • 神経穿刺の結果である可能性があるため,重度の疼痛や錯感覚など,不快感の徴候が生じていないか注意する。

参考文献

  1. 1.Bhoi S, Chandra A, Galwankar S: Ultrasound-guided nerve blocks in the emergency department.J Emerg Trauma Shock 3(1):82-88, 2010.doi: 10.4103/0974-2700.58655

  2. 2.Brown JR, Goldsmith AJ, Lapietra A, et al: Ultrasound-guided nerve blocks: Suggested procedural guidelines for emergency physicians.POCUS J 7(2):253-261, 2022.doi: 10.24908/pocus.v7i2.15233

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