急性腎障害の主要な原因

原因

腎前性

細胞外液量減少

過度の利尿

消化管での喪失

出血

血管内液体の血管外腔への漏出(腹水,腹膜炎,膵炎,熱傷に起因)

皮膚および粘膜からの体液の喪失

腎臓で塩分および水分を喪失している状態

心拍出量減少

心タンポナーデ

左室収縮機能の低下を伴う心筋症

心原性ショックの発生または基礎にある心不全の増悪を伴う心筋梗塞

肺塞栓

肺高血圧症

体血管抵抗の減少

アナフィラキシーショック

降圧薬

肝不全

敗血症性ショック

輸入細動脈および糸球体細動脈の血管収縮

カルシニューリン阻害薬(例,シクロスポリン,タクロリムス)

高カルシウム血症

NSAID

輸出細動脈の緊張低下(糸球体毛細管圧の低下によるGFRの低下を,特に両側性腎動脈狭窄を呈する患者でもたらす)

ACE阻害薬

ARB

腎性

急性尿細管障害

虚血(長期または重度の腎前性の状態):

  • アムホテリシンB

  • シクロスポリン

  • 出血

  • NSAID

  • 手術

  • タクロリムス

  • 血管閉塞(動脈または静脈)

毒素:

  • アミノグリコシド系薬剤

  • アムホテリシンB

  • エチレングリコール

  • ホスカルネット

  • 重金属

  • ヘモグロビン(ヘモグロビン尿の場合)

  • イホスファミド

  • メトトレキサート

  • ミオグロビン(ミオグロビン尿の場合)

  • 放射線不透過性造影剤

  • ストレプトゾシン

急性糸球体腎炎

ANCA関連:

抗GBM糸球体腎炎(グッドパスチャー症候群)

免疫複合体:

  • クリオグロブリン血症性糸球体腎炎

  • ループス糸球体腎炎

  • 感染後糸球体腎炎

急性尿細管間質性腎炎

薬物反応(例,β-ラクタム系薬剤,NSAID,スルホンアミド系薬剤,シプロフロキサシン,サイアザイド系利尿薬,フロセミド,シメチジン,フェニトイン,アロプリノール)

乳頭壊死

腎盂腎炎

急性血管性腎症

アテローム塞栓症

悪性高血圧

全身性強皮症

血栓性微小血管症

血管炎

浸潤性疾患

白血病

リンパ腫

サルコイドーシス

腎後性

尿細管沈着

アシクロビル

シュウ酸カルシウム(エチレングリコールまたは過剰なビタミンCの摂取による)

インジナビル

メトトレキサート

骨髄腫タンパク質

ミオグロビン

スルホンアミド系薬物

トリアムテレン

尿酸(腫瘍溶解

尿管閉塞

内因性:

  • 結石

  • がん

  • 凝血塊

  • 先天異常

  • 浮腫

  • 真菌球

  • 脱落した腎組織

外因性:

  • がん

  • 後腹膜線維症

  • 手術または重大な外傷による尿管外傷

膀胱閉塞

機械的:

神経因性:

  • 抗コリン薬

  • 上位または下位運動ニューロンの病変

ACE = アンジオテンシン変換酵素;ANCA = 抗好中球細胞質抗体;ARB = アンジオテンシンII受容体拮抗薬;GBM = 糸球体基底膜;GFR = 糸球体濾過量;NSAID = 非ステロイド系抗炎症薬。

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