小児健診の目的は以下の通りである:
健康の促進
定期予防接種および啓発による疾病予防
疾病の早期発見と治療
小児の情緒的および知的発達が最適なものとなるよう親を指導すること
米国小児科学会(American Academy of Pediatric:AAP)は,健康上大きな問題のない小児や,正常に成長,発達している小児のための予防的な健診スケジュール( see table 青年期の予防的な健診に関する推奨事項[a], see table 小児期早期および中期の予防的な健診に関する推奨事項[a],および see table 青年期の予防的な健診に関する推奨事項[a])を勧告している。この基準を満たさない小児は,より頻回かつ集中的に診察を受けるべきである。小児が計画の期日より遅れた時点で初めて健診を受ける場合や,指定年齢で未受診の健診項目がある場合には,可及的速やかに予定に追い着くようにしなければならない。
発達遅滞,心理社会的問題,または慢性疾患がある小児は,予防的な健診の受診とは別にカウンセリングおよび治療のための受診をより頻回に必要とする。
高リスクの妊娠( see page ハイリスク妊娠の概要),あるいは親が初めて子どもをもつ,または親が相談を希望する場合,小児科医によるプレネイタルビジット(出生前小児保健指導)が適切である。
医療提供者は,小児の身体診察に加えて,小児の運動機能,認知機能,および社会性の発達,ならびに親子の相互作用も評価すべきである。これらの評価は以下の方法で行うことができる:
小児と両親から徹底的な病歴聴取を行う
直接的な観察を行う
ときに教師や小児のケア提供者など外部からの情報収集を行う
認知機能の発達および社会性の発達の評価に役立つ診察室用のツール(例,Modified Checklist for Autism in Toddlers [M-CHAT-R/F];1)がある。
身体診察およびスクリーニングはいずれも,乳児および幼児に対する予防的な健診において重要な要素である。体重など大部分のパラメータは全ての小児を対象とするが,1歳および2歳の鉛中毒のスクリーニングなど,選択された患児に適用されるものもある。
保健指導(anticipatory guidance)も予防的な健診に重要である。保健指導には以下の事項が含まれる
小児と親に関する情報を得る(質問票,問診,または評価から)
親と協力して健康を促進する(治療上の協力関係を築く)
その子どもの発達で何を期待すべきか,どのように発達を促すことができるか(例,健康な生活習慣を確立する),健康な生活習慣の便益は何か,について親を教育する
総論の参考文献
1.Frankenburg WK, Dodds JB: The Denver Developmental Screening Test.J Pediatr 71(2):181–191, 1967.doi: 10.1016/S0022-3476(67)80070-2.
身体診察
予防
小児健診では毎回,予防目的のカウンセリングを行うが,そこでは幅広いトピックを扱い,例えば,乳児は仰向けで寝かせるよう勧めたり,外傷予防,栄養,および運動についてアドバイスしたり,暴力,銃器,および物質乱用について話し合ったりする。