特発性側弯症は,脊柱の側方への弯曲である。診断は臨床的に行い,脊椎X線を含める。治療法は弯曲の重症度によって異なる。
特発性側弯症は脊柱側弯症で最もよくみられる病型であり,10~16歳の小児の2~4%にみられる。男児と女児が同様に侵されるが,女児では進行して治療を要する可能性が10倍高い。
遺伝的素因が本疾患発症リスクとして約3分の1で関与する。一部の症例でCHD7およびMATN1遺伝子の変異が関与している。
特発性側弯症の症状と徴候
側弯は一方の肩が他方よりも高く見える場合,または衣服がまっすぐに垂れ下がらない場合に初めて疑われることがあるが,ルーチンの身体診察で発見されることが多い。他の所見には,明らかな脚長差および胸壁の非対称などがある。
最初に患者は長時間の座位または立位の後に腰部の疲労を報告することがある。緊張する部位(例,腰仙角)における背部筋肉痛が続いて起こることがある。
特発性側弯症の診断
脊椎のX線
弯曲は,患者が前屈した際に最も顕著である。大半の弯曲は胸部において右に凸で腰部において左に凸であり,右肩が左肩より高くなる。
X線検査には脊椎の立位での前後像および側面像を含めるべきである。
コブ(Cobb)角
弯曲の大きさはX線所見に基づく角度により定量化する(コブ法)。この方法では,脊椎のX線後前像に2本の直線を引くが,一方は上方の最も傾きの大きい椎体の上縁に沿って直線を伸ばし,他方は下方の最も傾きの大きい椎体の下縁に沿って直線を伸ばす。この2本の直線の交差によってできる角度がコブ角である。
特発性側弯症の予後
弯曲が大きいほど,骨格成熟後に進行する可能性も大きい。10°を超える弯曲を有意とみなす。予後は弯曲の部位および重症度,ならびに発症年齢により異なる。10%未満の患者で重大な介入が必要である。
特発性側弯症の治療
理学療法および装具
ときに手術
進行が懸念される,または弯曲が顕著な場合は,整形外科医への速やかな紹介が必要である。進行する可能性は思春期頃が最も高い。中等度の弯曲(20~40°)では,保存的治療を行って(例,理学療法および装具)さらなる変形を防ぐ。
重度の弯曲(40°超)は,手術により改善することがある(例,ロッドの設置による脊椎固定術)。
脊柱側弯症およびその治療は,青年の自己像および自尊心に影響を与えることが多い。カウンセリングまたは精神療法が必要になることがある。