内診

執筆者:Shubhangi Kesavan, MD, Cleveland Clinic Learner College of Medicine, Case Western Reserve University
Reviewed ByOluwatosin Goje, MD, MSCR, Cleveland Clinic, Lerner College of Medicine of Case Western Reserve University
レビュー/改訂 修正済み 2024年 3月
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患者の病歴または症状に基づき適応がある場合には,内診を行うべきである。内診が必要かどうかは,患者と婦人科診察を行う医師が話し合って共同で判断すべきである。内診を拒否する患者については,患者が25歳未満であれば,淋菌感染症およびクラミジア感染症を検査するために自己採取する腟スワブ検体の検査について話し合うべきである。

内診は,骨盤痛異常性器出血帯下,または外陰や腟の症状(例,そう痒)などの特定の問題を評価するために行われるか,予防ケアの一環として行われるか,または婦人科的手技の一環として行われる場合がある。

医師は,診察の各段階の前に,何を行おうとしているかについて説明すべきである。American College of Obstetricians and Gynecologists(ACOG)は,乳房,性器,および直腸の全ての診察において付き添い人が立ち会うことを推奨している(1)。

参考文献

  1. 1.American College of Obstetricians and Gynecologists  (ACOG): ACOG Committee Opinion, Number 796: Sexual Misconduct.Obstet Gynecol.2020;135(1):e43-e50.doi:10.1097/AOG.0000000000003608

内診の手技

診察者は十分な照明を確保し,腟鏡およびその他の器具または医療用品をすぐに使用できるようにしておくべきである。

女性の内診では,患者に診察台の上で仰臥位をとらせ,足を支持台にのせて(砕石位),通常は布をかける。

内診には以下のものが含まれる:

  • 恥丘および外陰の診察

  • 腟鏡診

  • 双合診

  • 腟直腸診(ときに)

内診は以下の場合に適応となる:

内診を始める前に,排尿して膀胱を空にするように患者に指示すべきである。膀胱容量が増加すると子宮腟脱が軽減される可能性があるため,膀胱を空にしておくことは子宮腟脱を正確に評価するために重要である。また,膀胱が充満していると,患者によっては内診の不快感がさらに増すことがある。診察に先立ち,多くの医師が尿検査,培養,または性感染症(STI)検査のために必要に応じて尿検体を採取する。

内診が卵巣がんに対する効果的なスクリーニング検査であることは認められていない(ACOG Committee Opinion No. 754: The Utility of and Indications for Routine Pelvic Examinationを参照)。

外陰の診察

外陰の診察は,恥骨部,鼠径部,および外性器を評価するための視診および触診で構成される。

恥丘および大陰唇の被毛部を視診して,症状(例,毛包炎,シラミ)に基づく病変またはその他の所見がないか確認する。紅斑,異常な色素沈着,および皮膚病変(例,疣贅,表皮剥離,びらん,潰瘍,裂傷,膿疱,結節,腫瘍)がないかを,鼠径部および会陰部の皮膚を視診して確認する。

徹底した外陰の診察には,陰核から肛門下部までの外陰全体の診察が含まれ,皮膚の構造的変化を確認する。医師は外陰の正常解剖および解剖学的変異に精通しておくべきである。陰核包皮は可動性があり,容易に翻転させることができるはずである。外尿道口を視診して,病変(例,尿道よう)がないか確認する。小陰唇および大陰唇を診察する。外陰の皮膚疾患は,外陰の解剖学的な色,質感,および構造に変化を引き起こす可能性がある。以前の処置(例,会陰切開,女性性器切除)による構造的異常に注意する。

外陰の解剖

この図の中央には平滑筋から成る管である腟が示されている。その真上にある小さな開口部が尿道であり,膀胱から続いている。腟の下に示されているのが肛門である。尿道の上方には陰核があり,陰核は陰茎と相同の勃起組織である。腟は小陰唇に囲まれており,小陰唇は大陰唇に囲まれている。一番上に示されているのは恥骨である。紫色で示されている組織は陰核の延長部分(陰核脚)である。前庭球(青色で示されている)も勃起組織から成る。前庭球の下にはバルトリン腺があり,この腺は腟を滑らかにする粘液を分泌する。

BO VEISLAND/SCIENCE PHOTO LIBRARY

性行為または日常活動中の外陰腟痛の症状を訴える患者では,外陰痛,前庭炎,膀胱圧痛,または腟痙(骨盤底筋の攣縮)などの状態を評価すべきである。外陰の数カ所に綿棒を愛護的に当てることで,疼痛の部位と重症度を同定できる。腟痙の症例では,筋肉の攣縮を評価するために綿棒による検査を行う。湿らせた綿棒を用いて,鼠径部から前庭部にかけて外側から内側に向かって時計回りに軽く押さえる。外陰前庭に軽く触れるだけで局所の疼痛が生じる場合,それは外陰痛の特徴である。

患者に肛門失禁または骨盤底の他の神経学的問題がある場合,肛門反射(肛門括約筋反射[anal wink sign])を誘発することによって陰部神経の感覚機能を検査できる。これは綿棒を用いて肛門周囲の皮膚をなでることによって行われるもので,それにより外肛門括約筋の収縮が起こるはずである。

次に,腟口を視診する。患者にバルトリン腺嚢胞/膿瘍の症状または既往がある場合は,この腺を母指と示指で触診する。

患者にいきんでもらうことにより,骨盤臓器脱を評価する。診察者は腟口をみて骨盤臓器脱の徴候がないかを確認する:腹側の膨隆があれば膀胱瘤,後方の膨隆があれば直腸瘤,頸部が腟口側に移動している場合は子宮脱が示唆される。

腟鏡診

腟鏡は,腟壁を押し広げるために用いられる金属またはプラスチックの器具で,腟および子宮頸部の診察を可能にする。腟鏡には大きく分けてGraves(曲型の弁)とPederson(直型の弁)の2種類がある。どちらにも様々なサイズがあり,Pedersonには細いものと小児用サイズのものがある。患者の解剖学的構造や不快感がある場合など,必要に応じて,より小さい腟鏡を使用すべきである。

腟鏡診を行う前には,患者に下肢と股関節を弛緩させるよう指示する。ときに,検査前に腟鏡を温め,挿入前に水性潤滑剤を塗布することがある。子宮頸部細胞診のための検体を採取する場合は,潤滑剤の使用を控える。水性潤滑剤を使用できない場合は,挿入前に腟鏡を温水で洗浄してもよい。

最初に手袋をはめた指を腟に挿入し,頸部の位置を調べる場合がある。腟鏡を弁がほぼ垂直(およそ1時と7時方向)になるように挿入する。

腟鏡を頸部の方向に完全に挿入した後,ハンドルが下にくるように回転させ,愛護的に開く;頸部を観察するのに必要な場合は引き戻す。頸部が見えたら後方の弁が頸部よりも深くなるように(後腟円蓋に)腟鏡を位置し,前方の弁を愛護的に持ち上げ頸部前方(前腟円蓋)におく。診察者は,不必要な不快感を引き起こさないように,腟鏡の開閉をゆっくりと愛護的に行うよう注意すべきである。

子宮頸部の観察が困難な場合は,砕石位で両側の股関節を過屈曲させて両側の大腿部を腹壁に接近させると,診察の助けとなることがある。病的肥満患者の診察では,この姿勢とより長いまたは幅の広い腟鏡が有用な場合がある。

子宮頸部を視診して,発赤,病変,または子宮口からの分泌物もしくは出血がないか確認する。トリコモナス腟炎の場合には,子宮頸部の外側に赤点斑や点状出血がみられることがある。子宮頸部パンチ生検用の鉗子またはアリス鉗子を用いて,ポリープ,潰瘍,キノコ状の腫瘤,疣贅など,あらゆる子宮頸部病変の生検が可能である。

腟鏡を挿入または抜去する際に,医師は腟の紅斑,びらん,潰瘍,癒着,または分泌物がないか確認すべきである。正常な腟分泌物は一般的に白色または透明で無臭であり,その量はわずかである。異常な腟分泌物は魚のような臭いがして,水っぽい灰色,泡状で黄緑色,またはチーズの凝乳に似ている粘稠な白色である場合がある。異常な腟分泌物に対しては,pH検査,臭気テスト,顕微鏡検査,真菌培養,淋菌感染症/クラミジア感染症のPCR検査,または腟炎に関する市販のスワブ検体の検査などの追加検査を行ってもよい。

子宮頸管および頸部外側から,ブラシおよびプラスチック製のへら,または子宮頸管および移行帯から同時に細胞を採取できる頸部サンプラーを用いて,パパニコロウ(Pap)検査用の検体を採取する。その検体を液状培地に入れて,細胞診およびヒトパピローマウイルスの検査のほか,ときに淋菌感染症クラミジア感染症トリコモナス症の検査に用いる細胞懸濁液を調製する。月経血もしくは他の出血,分泌物,または他の物質(例,腟剤)が子宮頸部を覆っている場合は,Pap検査用の検体を採取する前に,長い綿棒を用いて全て拭き取ることができる。

双合診

双合診とは,腟に2本の指を入れ,もう一方の手を下腹部に置いて,腟,子宮頸部,子宮,および卵巣を触診することである。卵管は,卵管腫瘤がある場合にのみ触知できる。

利き手の人指し指と中指を腟内の頸部直下に挿入する。もう片方の手を恥骨結合の真上に置き愛護的に押して,子宮および可能であれば卵巣の大きさ,位置,硬さ,可動性を確認する。正常な子宮はおよそ7cm x 5cm x 3cmの大きさで前方へ傾いている(前傾)が,様々な度合いで後方に傾いている(後傾)こともある。また子宮は一定の角度で前方(前屈)または後方(後屈)に屈曲していることもある。

子宮は正常な場合,可動性があり,硬く,表面平滑な臓器であるが,不整な場合には子宮筋腫(平滑筋腫)を示唆する。子宮が固定されている場合は,子宮内膜症,過去の手術,または感染による癒着が示唆されることがある。後方のダグラス窩または仙骨子宮靱帯に沿って触知できる結節がある場合は,子宮内膜症が示唆されることがある。

正常では,卵巣は若年女性で約2cm x 3cmの大きさであり,閉経後女性では触知できない。卵巣の腫大または付属器腫瘤であれば触知できることがある。付属器の圧痛は,出血性卵巣嚢胞の破裂,異所性妊娠卵巣または付属器の捻転,卵管卵巣膿瘍,急性または慢性の骨盤内炎症性疾患でみられるほか,まれではあるが,盲腸後虫垂に虫垂炎を来した患者では右側に圧痛がみられることがある。卵巣嚢胞,卵巣腫瘍,または有茎性筋腫は,出血性の変化がある場合,圧痛を伴うことがある。

頸部を左右に愛護的に動かしたときに著明な痛み(頸部移動痛)を認める場合は,骨盤内炎症が考えられ,この痛みは骨盤内炎症性疾患の診断基準の1つである。

腟直腸診

双合診の後,適応がある場合は,診察者は腟に人指し指,直腸に中指を挿入して,直腸腟中隔を触診する。腟直腸診で卵巣腫瘤が発見されることがある。

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