身体所見の解釈

所見

考えられる原因

備考

肝臓の異常

肝腫大

急性肝炎

脂肪肝

アルコール性肝疾患

受動的な静脈うっ滞

(嚢胞または実質への)肝出血

転移性悪性腫瘍

胆道閉塞

触知可能な腫瘤

がん

肝臓の硬化,不整形,鈍縁,まれに個々の小結節

肝硬変

圧痛

急性肝炎

受動性うっ血

肝出血

がん

肝流出路閉塞

患者の不安のため,しばしば過剰診断される。

真の肝圧痛(深部の痛み)は,肋間の打診または圧迫により最もよく誘発できる。

ときに,重度の場合には,腹膜炎に類似する。

摩擦音または血管雑音(まれ)

腫瘍

遺伝性出血性毛細血管拡張症(Osler-Webber-Rendu症候群)

肝臓以外の異常

腹水

門脈圧亢進症

慢性または重度の場合はアルコール性肝炎

肝静脈閉塞

腹膜播種

全身性の体液貯留(例,心不全,ネフローゼ症候群,低アルブミン血症)

典型的には腹部膨隆,濁音界の移動,および波動感

腹水量が1500mL未満の場合,検出できないことがある

目視可能な腹壁静脈怒張(メズサの頭)

門脈圧亢進症

下大静脈閉塞

肝静脈閉塞

脾腫

門脈圧亢進症

非アルコール性肝硬変

脾疾患

リンパ腫

羽ばたき振戦

門脈大循環性脳症

尿毒症

重度の場合は心不全

手関節を背屈させて腕を伸ばすと,手をはばたかせるような動きが両側性,非同期性にみられる

肝性口臭

門脈大循環性脳症

甘い刺激臭

眠気および錯乱

門脈大循環性脳症

薬物

脳または全身性疾患

非特異的

腹水を伴う四肢の衰弱と腹部の膨隆(肝硬変体型)

進行した場合は肝硬変

進行した場合は腹膜転移を伴うがん

男性性腺機能低下症

アルコール性肝硬変

ヘモクロマトーシス

薬物

下垂体,遺伝性,全身性および内分泌疾患

精巣萎縮,勃起障害不妊性欲減退

男性では,女性化乳房,腋毛または胸毛の減少,女性型陰毛

肝硬変

慢性の場合はアルコール使用症

薬物

内分泌疾患

慢性腎臓病

女性化乳房は,診察により偽性女性化乳房(過体重の男性でみられる)と鑑別する

女性化乳房と精巣萎縮

肝硬変

慢性の場合はアルコール使用症

タンパク質同化ステロイドの使用

下垂体疾患または他の内分泌疾患

くも状血管腫

肝硬変

妊娠

重度の場合は低栄養

慢性の(可能性がある)場合はアルコール使用症

圧迫すると退色し,末梢(病変部の外)に向かう血流を認める

血管腫の数が増えるにつれ,重度の肝硬変および静脈瘤出血のリスクが高まる可能性がある

正常範囲内の変異としても起こりうる(通常は3カ所未満

手掌紅斑

肝硬変

女性化(男性)

甲状腺機能亢進症

妊娠

関節リウマチ

造血器腫瘍

慢性の(可能性がある)場合はアルコール使用症

しばしば母指球および小指球で最も明瞭になる

肝硬変患者のばち指

進行した門脈大循環シャントまたは胆汁性肝硬変の可能性がある

慢性の場合は肺疾患

チアノーゼ性心疾患

慢性の場合は感染症(例,感染性心内膜炎

脳卒中

炎症性腸疾患

黄疸

肝胆道系疾患,溶血,特定の薬物の使用,先天性代謝異常症などの病態による高ビリルビン血症

ビリルビン値が2~2.5mg/dL(34~43μmol/L)になると,肉眼的に認識可能になる

強膜が侵される(カロテン血症とは異なる)

くすんだ皮膚色素沈着,持続的なそう痒による表皮剥離,および眼瞼黄色腫または黄色腫(皮膚への脂質沈着)

慢性の場合は胆汁うっ滞(原発性胆汁性胆管炎を含む)

耳下腺腫大

慢性の場合は飲酒(しばしばアルコール性肝硬変を伴う)

スレートグレー(やや青みがかった濃灰色)または青銅色の皮膚

鉄およびメラニンの沈着を伴うヘモクロマトーシス

デュピュイトラン拘縮

アルコール性肝硬変

慢性の場合は飲酒

喫煙

複合性局所疼痛症候群

反復動作または振動

糖尿病

ペロニー病

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