小児の発熱の一般的な原因

種類

急性

ウイルス感染症

< 1カ月:TORCH感染症(トキソプラズマ症,その他の病原体[水痘帯状疱疹パルボウイルスB19],風疹サイトメガロウイルス[CMV],単純ヘルペスウイルス[HSV]),コクサッキーウイルスエンテロウイルスCOVID-19他のコロナウイルスHIV

≥ 1カ月:エンテロウイルスおよび呼吸器系ウイルス(例,RSウイルスパラインフルエンザアデノウイルスインフルエンザライノウイルスメタニューモウイルスCOVID-19他のコロナウイルス),CMVエプスタイン-バーウイルス(EBV),HSVヒトヘルペスウイルス6型

細菌感染症(最も頻度の高い病原菌は年齢により異なる)

< 1カ月:B群レンサ球菌大腸菌および他の腸内病原菌,Listeria monocytogenes(これら微生物は菌血症,肺炎,腎盂腎炎,髄膜炎,および/または敗血症を起こしうる;またSalmonella属および黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)[例,保育所でのアウトブレイク]は菌血症および敗血症に加え,軟部組織,骨,および関節感染を起こしうる),梅毒

1~3カ月:肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae),B群レンサ球菌,髄膜炎菌(Neisseria meningitidis),L. monocytogenes(これら微生物は菌血症,肺炎,髄膜炎,および/または敗血症を起こしうる;他のよくみられる感染症としては中耳炎[肺炎球菌(S. pneumoniae),インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae),Moraxella catarrhalis],尿路感染症[大腸菌(E. coli)および他の腸内病原菌],腸炎[Salmonella属,赤痢菌(Shigella)他],皮膚・軟部組織感染症[黄色ブドウ球菌(S. aureus),A群およびB群レンサ球菌],骨および関節感染症[黄色ブドウ球菌(S. aureus),Salmonella属]などがある)

3~24カ月:肺炎球菌(S. pneumoniae),髄膜炎菌(N. meningitidis)(これら微生物は菌血症,髄膜炎,および/または敗血症を起こしうる;他のよくみられる感染症としては中耳炎および肺炎[肺炎球菌(S. pneumoniae),インフルエンザ菌(H. influenzae),M. catarrhalis],尿路感染症[大腸菌(E. coli)および他の腸内病原菌],腸炎[Salmonella属,赤痢菌(Shigella)他],皮膚・軟部組織感染症[黄色ブドウ球菌(S. aureus),A群レンサ球菌],骨および関節感染症[黄色ブドウ球菌(S. aureus),Salmonella 属,Kingella kingae]などがある)

> 24カ月:肺炎球菌(S. pneumoniae),髄膜炎菌(N. meningitidis)(これら微生物は菌血症,髄膜炎,および/または敗血症を起こしうる;他のよくみられる感染症としては中耳炎,副鼻腔炎および肺炎[肺炎球菌(S. pneumoniae),インフルエンザ菌(H. influenzae),M. catarrhalis,マイコプラズマ],咽頭炎または猩紅熱[A群レンサ球菌],尿路感染症[大腸菌(E. coli)および他の腸内病原菌],腸炎[Salmonella属,赤痢菌(Shigella)他],皮膚・軟部組織感染症[黄色ブドウ球菌(S. aureus),A群レンサ球菌],骨および関節感染症[黄色ブドウ球菌(S. aureus),Salmonella属,K. kingae]などがある)

曝露された集団またはリスクのある集団では結核菌

該当する地域では,リケッチア感染症

他のベクター媒介性感染症(例,ライム病

非感染性

川崎病

急性リウマチ熱

熱中症

体温調節障害(例,自律神経失調症,尿崩症無汗症

毒物摂取(例,抗コリン薬)

ワクチン

薬剤

真菌感染症

新生児または易感染性宿主:Candida属が最も頻度が高い(尿路感染症,髄膜炎および/または敗血症)

急性反復性/周期性

ウイルス感染症

幼児での頻回または連続する軽微なウイルス感染症

周期熱症候群

周期性好中球減少

アフタ性口内炎,咽頭炎,リンパ節炎を伴う周期熱(PFAPA症候群)

家族性地中海熱(FMF)

TNF受容体関連周期性症候群(TRAPS)

高IgD症候群(HIDS)

慢性(不明熱)

感染性*

ウイルス感染症(例,エプスタイン-バー[EB]ウイルスサイトメガロウイルス肝炎ウイルスアルボウイルス

副鼻腔炎

肺炎

腸管感染症(例,Salmonella

膿瘍(腹腔内膿瘍,肝膿瘍,腎膿瘍)

骨および関節感染症(例,骨髄炎化膿性関節炎

心内膜炎

HIV感染症(まれ)

結核(まれ)

寄生虫感染症(例,マラリア―まれ)

ネコひっかき病

ライム病(慢性発熱を起こすことはまれ)

非感染性

炎症性腸疾患

結合組織疾患(例,若年性特発性関節炎全身性エリテマトーデス,急性リウマチ熱

がん(リンパ腫または白血病などのリンパ細網系悪性腫瘍が最も多いが,神経芽腫または肉腫もみられる)

薬剤

体温調節障害(例,自律神経失調症,尿崩症無汗症

偽の不明熱

詐熱(例,他者に負わせる作為症

*慢性発熱には多くの感染性の原因がある。この表は全てを網羅しているものではない。

関連するトピック