自動車の運転は、自由や自立の感覚、さらには多くの人にとって若い頃は当たり前であった社会とのつながりを感じさせてくれます。しかし、車を運転する特権は、安全に運転できる能力を前提としています。70歳以上のドライバーは、一定の走行距離当たりで交通違反や衝突事故を起こすリスクが最も高い集団の1つです。したがって加齢に伴う病気に起因する機能低下は、黄信号、つまり車を運転する特権を見直すべきとの警告と捉える必要があります。
加齢とともに、誰でも日常生活を営む力(機能的な能力)がある程度衰えます。また、高齢者は平均して、若い人より多くの病気や障害を抱えている傾向があります。しかし、加齢に伴う変化は単に健康面の変化だけではありません。社会的問題(生活環境または職業の種類など)は高齢者の病気のリスクと発生に影響を与えます。
高齢者のケアは複雑になりがちです。高齢者はしばしば異なる場所で複数の医療従事者にかかっています。年齢を重ねるにつれて移動や交通機関の利用が難題になります。また、メディケア(米国の高齢者医療保険制度)の処方薬プランでカバーされる薬が保険会社により異なり、頻繁に変更されます。このような複雑さに対応するには、かかりつけ医または高齢者のケアを専門とする医療従事者(老年医学専門医など)が主導する医療従事者チームの支援を受けることが、最善の方法です。しかしながら、これは理想的な解決法であり、多くの場合は実現が困難です。
重篤疾患または慢性疾患の費用の取り扱いは、病気そのものに対処することと同様に悩ましいものです。ほとんどの人にとって、医療費はしばしば個人資産を上回ります。高齢者の医療費のほとんどは、以下によって支払われます。
多くの高齢者は転倒を恐れていますが、それには十分な理由があります。転倒は高齢者によくみられます。自宅で暮らしている高齢者の約3分の1は少なくとも年に1回転倒し、介護施設に暮らす高齢者は約半数が少なくとも年に1回転倒します。米国で、転倒は事故死の主要な原因であり、65歳以上では死亡原因の第7位を占めています。転倒したことがある人は、再び転倒しやすくなります。