貧血の病因

執筆者:Evan M. Braunstein, MD, PhD, Johns Hopkins University School of Medicine
レビュー/改訂 2020年 9月
意見 同じトピックページ はこちら

    貧血では,赤血球数が減少し,その結果ヘマトクリットおよびヘモグロビン量が減少する。(赤血球産生も参照のこと。)

    赤血球量は,赤血球の産生と崩壊または喪失とのバランスで決まる。そのため,以下の3つの基本的機序のうち,1つ以上に該当すると貧血になる可能性がある(貧血の原因別分類の表を参照):

    表&コラム

    失血は,急性の場合も,慢性の場合もある。急性の失血では,間質液が血管内腔に拡散し,残っている赤血球量が希釈される数時間後まで貧血が発生することはない。ただし,最初の数時間で顆粒球数および血小板数が増加する場合があり,重度の出血では,幼若白血球および赤芽球が出現する場合がある。慢性の失血では,失血のペースが補充より速いと貧血に至るが,赤血球産生の亢進により体内の貯蔵鉄が枯渇して貧血となる場合の方が多い(鉄欠乏性貧血を参照)。

    赤血球産生低下の原因は無数にある。赤血球産生が完全に停止すると,赤血球が週当たり約7~10%(1日当たり1%)減少する。赤血球産生異常では,赤血球数がそれほど減少しなくとも,赤血球の大きさおよび形状に異常を認めることが多い。

    溶血亢進は,赤血球の内因性異常,または赤血球表面上に存在する抗体や補体などの外因子によりもたらされることがあり,赤血球の早期崩壊につながる。腫大した脾臓は,正常な場合よりも急速に赤血球を捕捉し破壊する。溶血では,いくつかの原因により赤血球が変形し,破壊される。鉄または他の必須栄養素が枯渇している場合またはエリスロポエチン欠乏症がある場合を除いて,通常は溶血により網状赤血球が増加する。

    quizzes_lightbulb_red
    Test your KnowledgeTake a Quiz!
    医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら!ANDROID iOS
    医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら!ANDROID iOS
    医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら!ANDROID iOS