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リンパ球減少症

執筆者:

Mary Territo

, MD, David Geffen School of Medicine at UCLA

最終査読/改訂年月 2018年 7月
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リンパ球減少症は,総リンパ球数が成人で1000/μL未満または2歳未満の小児で3000/μL未満となった状態である。続発症として,日和見感染症,悪性疾患および自己免疫疾患のリスク増加などがある。血算でリンパ球減少症が認められた場合は,続いて免疫不全症の有無を調べる検査およびリンパ球亜群の解析を行うべきである。治療は基礎疾患に対して行う。

リンパ球数の正常値は,成人で1000~4800/μL,2歳未満の小児で3000~9500/μLである。6歳での正常下限は1500/μLである。正常値は検査室間で若干異なる場合がある。

血中T細胞の約65%はCD4陽性(ヘルパー)T細胞である。したがって,リンパ球減少症のほとんどの患者でT細胞の絶対数,特にCD4陽性T細胞数の減少が認められる。成人血液中のCD4陽性T細胞数は平均1100/μL(範囲300~1300/μL)で,T細胞のもう1つの主要なサブグループであるCD8陽性(抑制性)T細胞数は平均600/μL(範囲100~900/μL)である。

病因

リンパ球減少症では,以下の分類が可能である。

  • 後天性

  • 遺伝性

後天性リンパ球減少症

最も一般的な原因は以下のものである:

  • タンパク質-エネルギー低栄養

  • AIDSおよびその他の特定のウイルス感染症

AIDS ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症は,2つの類似したレトロウイルス(HIV-1およびHIV-2)のいずれかにより生じ,これらのウイルスはCD4陽性リンパ球を破壊し,細胞性免疫を障害することで,特定の感染症および悪性腫瘍のリスクを高める。初回感染時には,非特異的な熱性疾患を引き起こすことがある。その後に症候(免疫不全に関連するもの)が現れ... さらに読む ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 は,リンパ球減少症を引き起こす最も一般的な感染症で,HIVに感染したCD4陽性T細胞の崩壊から生じる。リンパ球減少症は,胸腺またはリンパ組織の構造破壊から生じるリンパ球産生障害を反映していることもある。HIVまたはその他のウイルスによる急性ウイルス血症では,ウイルスによる活動性感染症に起因するリンパ球の崩壊の加速,脾臓もしくはリンパ節でのリンパ球の捕捉,または気道へのリンパ球の遊走がみられる場合がある。

医原性のリンパ球減少症は,細胞傷害性薬剤による化学療法,放射線療法,または抗リンパ球グロブリン(またはその他のリンパ球抗体)の投与によってもたらされる。ソラレンと紫外線A波照射を用いた乾癬の長期治療によりT細胞が破壊される場合がある。グルココルチコイドは,リンパ球の崩壊を誘発する可能性がある。

リンパ腫 リンパ腫の概要 リンパ腫は,網内系およびリンパ系から発生する不均一な一群の腫瘍である。ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫(NHL)に大別される(Professional.see table ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の比較)。 リンパ腫はかつて,白血病とは全く異なる疾患と考えられていた。しかし現在では,細胞マーカーとそれらのマーカーを評価する... さらに読む ,自己免疫疾患(SLE 全身性エリテマトーデス(SLE) 全身性エリテマトーデス(SLE)は,自己免疫を原因とする慢性,多臓器性,炎症性の疾患であり,主に若年女性に起こる。一般的な症状としては,関節痛および関節炎,レイノー現象,頬部などの発疹,胸膜炎または心膜炎,腎障害,中枢神経系障害,血球減少などがある。診断には,臨床的および血清学的な基準が必要である。重症で進行中の活動性疾患の治療には,コルチコステロイドおよびときに免疫抑制薬を必要とする。... さらに読む 全身性エリテマトーデス(SLE) 関節リウマチ 関節リウマチ(RA) 関節リウマチ(RA)は,主に関節を侵す慢性の全身性自己免疫疾患である。RAは,サイトカイン,ケモカイン,およびメタロプロテアーゼを介した損傷を引き起こす。特徴として,末梢関節(例,手関節,中手指節関節)に対称性に炎症が生じ,結果として関節構造が進行性に破壊される(通常は全身症状を伴う)。診断は特異的な臨床所見,臨床検査結果,および画像所見に基づく。治療としては,薬物療法,理学療法,およびときに手術を行う。疾患修飾性抗リウマチ薬は症状のコ... さらに読む 関節リウマチ(RA) 重症筋無力症 重症筋無力症 重症筋無力症は,自己抗体および細胞性の機序を介したアセチルコリン受容体の破壊に起因する,反復発作性の筋力低下および易疲労性である。若年女性と高齢男性で多くみられるが,あらゆる年齢の男女に起こりうる。症状は筋の活動により悪化し,安静により軽減する。診断は,血清抗アセチルコリン受容体(AChR)抗体値,筋電図検査,およびときにエドロホニウム静注試験により行い,エドロホニウム静注試験は筋力低下を一時的に緩和する。治療法としては,抗コリンエステ... さらに読む など),およびタンパク漏出性腸症に伴ってリンパ球減少症が発生する場合がある。

遺伝性リンパ球減少症

遺伝性免疫不全疾患 免疫不全疾患の概要 免疫不全疾患では,感染症,自己免疫疾患,リンパ腫,その他のがんなど,様々な合併症がみられたり,そのような合併症が発生しやすくなったりする。原発性免疫不全症は遺伝性であり先天性となる可能性があり,続発性免疫不全症は後天性でありはるかに多くみられる。 免疫不全症の評価には病歴,身体診察,および免疫機能の検査が含まれる。どのような検査を行うかは... さらに読む およびリンパ球産生障害を伴う疾患で発生することがある。他にウィスコット-アルドリッチ症候群 ウィスコット-アルドリッチ症候群 ウィスコット-アルドリッチ症候群(Wiskott-Aldrich syndrome)は,B細胞およびT細胞両方の異常に起因し,反復性感染症,湿疹,および血小板減少症を特徴とする。 (免疫不全疾患の概要および免疫不全疾患が疑われる患者へのアプローチも参照のこと。) ウィスコット-アルドリッチ症候群は,液性免疫および細胞性免疫の複合免疫不全が関与する原発性免疫不全症である。 遺伝形式はX連鎖劣性である。ウィスコット-アルドリッチ症候群は,正... さらに読む アデノシンデアミナーゼ欠損症 アデノシンデアミナーゼ欠損症 プリンは,細胞のエネルギー系(例,ATP,NAD),信号伝達(例,GTP,cAMP,cGMP),およびピリミジンとともにRNAおよびDNA産生に重要な成分である。 プリンおよびピリミジンは,de novo合成される場合と,正常な異化からのサルベージ経路によって再利用される場合がある。 完全なプリン異化の最終産物は尿酸である。 プリンの異化障害に加えて,プリン代謝異常症には以下の疾患も含まれる(プリン代謝異常症の表も参照):... さらに読む プリンヌクレオチドホスホリラーゼ欠損症 プリンヌクレオシドホスホリラーゼ欠損症 プリンは,細胞のエネルギー系(例,ATP,NAD),信号伝達(例,GTP,cAMP,cGMP),およびピリミジンとともにRNAおよびDNA産生に重要な成分である。 プリンおよびピリミジンは,de novo合成される場合と,正常な異化からのサルベージ経路によって再利用される場合がある。 完全なプリン異化の最終産物は尿酸である。 プリンの異化障害に加えて,プリン代謝異常症には以下の疾患も含まれる(プリン代謝異常症の表も参照):... さらに読む などの遺伝性疾患がT細胞破壊の亢進に関与する場合がある。多くの疾患で,抗体産生も不十分である。

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症状と徴候

リンパ球減少症自体は一般に症状を引き起こさない。しかし,以下のような関連疾患の所見がみられることがある:

リンパ球減少症患者では,反復性感染症がみられたり,まれな微生物による感染症が発生したりする。Pneumocystis jirovecii Pneumocystis jirovecii肺炎 Pneumocystis jiroveciiは免疫抑制患者,特にヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染患者およびコルチコステロイドの全身投与を受けている患者における肺炎の一般的な起因菌である。症状としては,発熱,呼吸困難,乾性咳嗽などがある。診断には,誘発または気管支鏡によって採取した喀痰検体における起因菌の証明が必要である。治療は抗菌薬によって行い,通常トリメトプリム/スルファメトキサゾールもしくはジアフェニルスルホン/トリメトプリム,ク... さらに読む <i>Pneumocystis jirovecii</i>肺炎 サイトメガロウイルス サイトメガロウイルス(CMV)感染症 サイトメガロウイルス(CMV)は,重症度に大きな幅のある感染症を引き起こす。伝染性単核球症に類似するが重度の咽頭炎を欠いた症候群がよくみられる。HIV感染患者とまれに臓器移植レシピエントやその他の易感染性患者において,網膜炎など重度の局所疾患が生じうる。新生児および易感染性患者では,重度の全身性疾患が発生することがある。臨床検査による診断は重症例において役に立ち,培養,血清学的検査,生検,抗原または核酸の検出などを行う。ガンシクロビルお... さらに読む 麻疹 麻疹 麻疹は,小児で最も多くみられる感染性の高いウイルス感染症である。発熱,咳嗽,鼻感冒,結膜炎,口腔粘膜の粘膜疹(コプリック斑),および頭尾方向に拡大する斑状丘疹状皮疹を特徴とする。診断は通常,臨床的に行う。治療は支持療法による。予防接種が非常に効果的である。 ヒトに感染するウイルスの大半は成人と小児の両方に感染するが,それらについては本マニュアルの別の箇所で考察されている。新生児に特異的な影響を及ぼすウイルスについては,新生児における感染... さらに読む 麻疹 ,および水痘 水痘 水痘は,通常は小児期にみられる急性の全身感染症であり,水痘帯状疱疹ウイルス(ヒトヘルペスウイルス3型)によって引き起こされる。通常は軽度の全身症状から始まり,その後すぐに斑状疹,丘疹,小水疱,および痂皮を特徴とする皮膚病変が群発して現れる。重度の神経系またはその他の全身性合併症(例,肺炎)のリスクのある患者は,成人,新生児,および易感染性患者,または特定の基礎疾患を有する患者などである。診断は臨床的に行う。重症合併症のリスクのある患者は... さらに読む 水痘 肺炎は,多くの場合致死的である。リンパ球減少症は,発がんおよび自己免疫疾患の危険因子でもある。

診断

  • 臨床的に疑われる場合(反復性感染症,またはまれな感染症)

  • 血算と白血球分画

  • リンパ球亜群および免疫グロブリン濃度の測定

リンパ球減少症は,ウイルス,真菌,または寄生虫感染症を繰り返す患者で疑われるが,通常は血算で偶然発見される。P. jirovecii,サイトメガロウイルス,麻疹,または水痘肺炎でリンパ球減少症を伴う場合は,免疫不全が示唆される。リンパ球減少症患者ではリンパ球亜群を測定する。抗体産生を評価するために免疫グロブリン濃度の測定も行うべきである。反復性感染症の既往がある患者では,最初のスクリーニング検査が正常でも,免疫不全に関して徹底的な臨床検査 免疫不全症が疑われる患者へのアプローチ 免疫不全症は,典型的には反復性感染症として現れる。しかしながら,反復性感染症には免疫不全症以外の原因がある可能性が高い(例,不十分な治療,耐性菌,感染症の素因となる他の疾患)。診断には臨床所見と臨床検査所見の両方が必要である。 (免疫不全疾患の概要も参照のこと。) 免疫不全症には以下の種類がある: 原発性:遺伝性で,典型的には乳児期または小児期に現れる 続発性:後天性 さらに読む を行う。

治療

  • 合併する感染症の治療

  • 基礎疾患の治療

  • ときに静注用または皮下注用免疫グロブリン製剤

  • 場合によっては造血幹細胞移植

要点

  • リンパ球減少症は,ほとんどの場合AIDSまたは低栄養に起因するが,遺伝性のものも,様々な感染症,薬剤,または自己免疫疾患に起因するものもある。

  • ウイルス,真菌,または寄生虫による反復性感染症が生じる。

  • リンパ球亜群および免疫グロブリン濃度を測定すべきである。

  • 治療は,通常原因に対して行うが,ときに静注または皮下注用免疫グロブリン製剤のほか,先天性免疫不全症の患者では幹細胞移植が助けになることがある。

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