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成人の尿失禁

執筆者:

Patrick J. Shenot

, MD, Thomas Jefferson University Hospital

最終査読/改訂年月 2018年 7月
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尿失禁とは,意図せずに尿が流出することであるが,患者がそれを問題視することを必須の条件とする専門家もいる。尿失禁は,大幅に過少認識および過少報告されている。多くの患者は医師にこの問題を報告せず,多くの医師は尿失禁を具体的には尋ねない。尿失禁は,どの年齢でも起こりうるが,高齢者と女性に多く,女性高齢者の約30%および男性高齢者の15%で発生している。

尿失禁は,困惑,非難,隔離,抑うつなどにつながり,生活の質を著しく低下させる。尿失禁は介護者にとって負担であるため,多くの高齢患者が施設に収容される。寝たきりの患者においては,尿は皮膚を刺激してふやけさせるため,仙骨部分の褥瘡形成の一因である。尿意切迫を呈する高齢者は転倒および骨折のリスクが高い。

病型

尿失禁は,ほぼ常に持続する尿漏れとして生じる場合もあれば,尿意の有無を問わず間欠的な排尿としてみられる場合もある。一部の患者では,ほとんどまたは全く予期せぬ極度の尿意切迫(抑制できない尿意)を示し,トイレに到着するまで排尿を抑制できないことがある。尿失禁は,腹圧を高める操作によって出現または悪化する可能性がある。排尿後尿滴下は極めて頻度が高く,おそらく男性では正常な変異である。臨床パターンの同定は,ときには有用であるが,原因はしばしば重複し,治療の多くは同じである。

切迫性尿失禁では,抑制できない切迫した尿意が発生した直後に制御不能の尿漏出(中等量から多量)が生じる。夜間頻尿および夜間の尿失禁がよくみられる。切迫性尿失禁は高齢者において最も多い型の尿失禁であるが,若年者にも発生しうる。利尿薬の使用によりしばしば誘発され,トイレへ迅速に到達できないことで増悪する。女性では,加齢とともによくみられる萎縮性腟炎が,尿道の菲薄化および刺激ならびに尿意切迫に寄与する。

腹圧性尿失禁は,腹圧の急激な上昇(例,咳,くしゃみ,笑う,体を曲げる,物を持ち上げるなどに伴うもの)が原因で起こる尿漏である。漏出量は,通常少量から中等量である。女性では2番目に多い型の尿失禁で,主に出産の合併症および萎縮性尿道炎の発生が原因である。男性では前立腺全摘除術などの措置後に腹圧性尿失禁が発生する可能性がある。腹圧性尿失禁は典型的には肥満の人々においてより重症であり,これは膀胱の上にある腹腔内容物の圧力がかかるためである。

溢流性尿失禁は,膀胱に過度に充満した尿が徐々に漏れる現象である。通常は少量であるが,持続的な漏出がみられることがあり,その場合は総漏出量は多量となる。溢流性尿失禁は,男性では2番目に多い型の尿失禁である。

機能性尿失禁は,認知的もしくは身体的機能障害(例, 認知症 認知症 認知症とは,慢性的かつ全般的で,通常は不可逆的な認知機能の低下である。診断は臨床的に行い,治療可能な原因の同定には通常,臨床検査および画像検査を利用する。治療は支持療法による。コリンエステラーゼ阻害薬はときに認知機能を一時的に改善する。 (せん妄および認知症の概要も参照のこと。) 認知症はいかなる年齢にも起こりうるが,主として高齢者を侵す。介護施設入居者の半数以上にみられる。... さらに読む または 脳卒中 脳卒中の概要 脳卒中とは,神経脱落症状を引き起こす突然の局所的な脳血流遮断が生じる多様な疾患群である。脳卒中には以下の種類がある: 虚血性(80%):典型的には血栓または塞栓によって生じる 出血性(20%):血管の破裂によって生じる(例,くも膜下出血,脳内出血) 明らかな急性脳梗塞の所見(MRIの拡散強調画像に基づく)を伴わない一過性(典型的には1時間... さらに読む 脳卒中の概要 に起因するもの)または排尿の制御を妨げる環境的な障壁を原因とする尿漏れである。例えば,患者が尿意を認識していない可能性,トイレの場所を知らない可能性,遠く離れた場所のトイレに歩いていけない可能性などがある。尿禁制を維持する神経経路および尿路機構は正常な場合がある。

混合型尿失禁は,上記の型のいずれかが混合したものである。最も多い組合せは,切迫性尿失禁と腹圧性尿失禁の併発および切迫性尿失禁または腹圧性尿失禁と機能性尿失禁の併発である。

病因

本疾患は,年齢層により異なる傾向がある。加齢とともに膀胱容量および排尿を抑制する能力が低下し,不随意性の膀胱収縮(排尿筋過活動)がより頻繁に生じ,膀胱の収縮性が損なわれる。したがって,排尿をこらえることがより困難となり,また不完全化する傾向がある。排尿後残尿量がおそらく100mL以下程度に増加する(正常では50mL未満)。内骨盤筋膜は衰弱する。

閉経後女性では,エストロゲン濃度の低下により萎縮性尿道炎および萎縮性腟炎が引き起こされ,尿道の抵抗,長さ,および最大閉鎖圧が小さくなる。

男性では,前立腺が腫大して部分的に尿道を閉塞し,その結果として膀胱からの排出が不完全になり,排尿筋に負担がかかるようになる。これらの変化は,正常な尿禁制を維持している多くの高齢者にも生じ,尿失禁を促進する可能性はあるが,直接の原因とはならない。

若年の患者では,しばしば尿失禁が突然始まり,少量の尿漏れがみられることがあるが,通常はほとんど治療を行わずに速やかに回復する。尿失禁の原因は,若年患者では多くの場合単独であるが,高齢者では複数存在する。

概念的には,原因が可逆的な(一過性の)ものか,または恒常性のものかという分類が有用であると考えられる。しかしながら,原因と機序はしばしば重複し,併発する。

一過性尿失禁

一過性尿失禁にはいくつかの原因がある(一過性尿失禁の原因 一過性尿失禁の原因 一過性尿失禁の原因 の表を参照)。数多くある一過性の原因を覚える上で有用な語呂合わせは,DIAPPERS(diapersよりもPが1つ多い)であり,それぞれDelirium(せん妄),Infection(感染:一般的には症候性 UTI 尿路感染症 (UTI) に関する序論 尿路感染症(UTI)は,腎臓(腎盂腎炎)が侵される上部尿路感染症と,膀胱(膀胱炎),尿道(尿道炎),および前立腺(前立腺炎)が侵される下部尿路感染症に分類される。しかしながら,実際には(特に小児では)感染部位の鑑別が困難または不可能な場合もある。さらに,感染はしばしば1つの領域から別の領域へと拡大する。尿道炎と前立腺炎も尿路が侵される感染... さらに読む ),Atrophic urethritis and vaginitis(萎縮性尿道炎および腟炎),Pharmaceuticals(薬剤:例えばαアドレナリン作動性,コリン作動性,抗コリン作用を有する薬剤;利尿薬;鎮静薬),Psychiatric disorders(精神障害:特にうつ病),Excess urine output(尿量過多:多尿),Restricted mobility(移動の制限),およびStool impaction(宿便)の頭文字である。

持続的な尿失禁

持続的な尿失禁は,神経または筋肉に影響する持続的な問題に起因する。通常,これらの問題を説明するために用いられる機序は,膀胱出口部の機能不全または閉塞,排尿筋の過活動または低活動,排尿筋括約筋の協調不全,あるいはこれらの組合せである(持続的な尿失禁の原因 持続的な尿失禁の原因 持続的な尿失禁の原因 の表を参照)。しかしながら,これらの機序はいくつかの一過性の原因にも関与する。

膀胱出口部の機能不全は,腹圧性尿失禁でよくみられる原因である。女性では,通常は骨盤底筋または内骨盤筋膜の筋力低下が原因である。このような筋力低下は一般的に,複数回の経腟分娩,骨盤内手術(子宮摘出を含む),加齢に伴う変化(萎縮性尿道炎を含む),またはこれらの組合せに起因する。その結果,膀胱尿道移行部が下降して,膀胱頸部および尿道の可動性が亢進し,尿道内圧が膀胱内圧より低くなる。男性に多い原因は,前立腺全摘除術後の括約筋または膀胱頸部および後部尿道の損傷である。

下部尿路閉塞は,男性の尿失禁でよくみられる原因であるが,閉塞を有する男性の大半で失禁はみられない。男性の閉塞の一般的な原因は, 前立腺肥大症 前立腺肥大症(BPH) 前立腺肥大症(benign prostatic hyperplasia:BPH)は,前立腺尿道周囲部が良性腺腫として増大した状態である。症状は下部尿路閉塞の症状である(尿勢低下,排尿遅延,頻尿,尿意切迫,夜間頻尿,残尿,終末時滴下,溢流性または切迫性尿失禁,完全尿閉)。診断は主に直腸指診と症状に基づき,膀胱鏡検査,経直腸的超音波検査,尿流... さらに読む 前立腺癌 前立腺癌 前立腺癌は通常腺癌である。典型的には,腫瘍の増殖によって血尿や疼痛を伴う閉塞が引き起こされるまで,症状はみられない。診断は直腸指診または前立腺特異抗原測定によって示唆され,経直腸的超音波生検によって確定される。スクリーニングについては議論があり,意思決定の共有が行われるべきである。大部分の前立腺癌患者の予後は,特に癌が限局または局在する場合(通常は症状の発生前),非常に良好であり,前立腺癌で死亡する患者と比較してそれ以外の原因で死亡する... さらに読む ,および 尿道狭窄 尿道狭窄 尿道狭窄は,瘢痕形成により前部尿道の内腔が閉塞する病態である。 尿道狭窄は以下の場合がある: 先天性 後天性 尿道上皮または尿道海綿体が損傷する病態はいずれも,後天性狭窄を引き起こす可能性がある(1)。 さらに読む である。男女とも,宿便が閉塞の原因になる可能性がある。女性の下部尿路閉塞は,尿失禁に対する過去の手術の結果として,または 膀胱瘤 腟前壁脱および腟後壁脱 腟前壁脱および腟後壁脱では,臓器が腟管へ突出する。腟前壁脱は一般的に,膀胱瘤または尿道瘤(膀胱または尿道が突出する場合)と呼ばれる。腟後壁脱は一般的に,小腸瘤(小腸と腹膜が突出する場合)および直腸瘤(直腸が突出する場合)と呼ばれる。症状は骨盤内または腟の充満感や圧迫感などである。診断は臨床的に行う。治療法としては,経過観察による保存的管理,ペッサリー,骨盤底筋体操,およびときに手術などがある。... さらに読む により排尿のいきみ時に尿道がねじれる場合に発生することがある。

閉塞により慢性の膀胱拡張状態が生じ,これにより膀胱の収縮能が失われ,膀胱が完全に空にならないために溢流が生じる。閉塞は排尿筋過活動および切迫性尿失禁につながることがある。排尿筋が収縮力を失った場合,溢流性尿失禁が発生する可能性がある。下部尿路閉塞の一部の原因(例,大きな膀胱憩室,膀胱瘤,膀胱感染症,膀胱結石,膀胱腫瘍)は可逆的である。

排尿筋過活動は,高齢者および若年の患者における切迫性尿失禁の一般的な原因である。排尿筋が明白な理由なしに間欠的に収縮し,通常は膀胱が部分的またはほぼ完全に満たされたときに発生する。排尿筋過活動は,特発性の場合と,前頭葉の排尿中枢の機能障害(一般的には加齢変化,認知症,または脳卒中に起因する)または下部尿路閉塞に起因する場合がある。収縮力障害を伴う排尿筋過活動(活動過多)は切迫性尿失禁の異型で,特徴は尿意切迫,頻尿,尿勢低下,尿閉,膀胱肉柱形成,排尿後残尿量50mL超である。この異型は,男性の前立腺症または女性の腹圧性尿失禁と類似することがある。

排尿筋低活動は,尿失禁患者の約5%で尿閉および溢流性尿失禁の原因となる。排尿筋低活動は, 脊髄損傷 脊椎・脊髄外傷 脊椎・脊髄の外傷では,脊髄,脊椎,またはその両方に損傷が生じる。ときに脊髄神経も影響を受ける。脊柱の解剖学的構造については,別の章に記載されている。 脊髄損傷は以下の場合がある: 完全 不全 (外傷患者へのアプローチも参照のこと。) さらに読む 脊椎・脊髄外傷 または膀胱に通じる神経根の損傷(例,椎間板圧迫,腫瘍,手術に起因するもの),末梢神経または自律神経性ニューロパチー,その他の神経疾患に起因する可能性がある(持続的な尿失禁の原因 持続的な尿失禁の原因 持続的な尿失禁の原因 の表を参照)。抗コリン薬およびオピオイドは,排尿筋収縮性を大きく減少させ,一過性の原因として一般的である。慢性下部尿路閉塞がある男性では,排尿筋が線維および結合組織に置換されるために活動性が低下することがあり,閉塞が解除されても膀胱の完全な排尿が妨げられる。女性では通常,排尿筋低活動は特発性である。重症度のより低い排尿筋の筋力低下は,高齢者女性でよくみられる。このような筋力低下は失禁にはつながらないが,尿失禁の原因が他に存在すると治療が複雑化する。

排尿筋括約筋協調不全(膀胱収縮と外尿道括約筋弛緩の協調の消失)は下部尿路閉塞の原因となることがあり,その結果として溢流性尿失禁が生じる。協調不全は,括約筋弛緩と膀胱収縮を調整する脳橋排尿中枢への経路が脊髄病変により妨害されるためにしばしば起こる。膀胱の収縮時に弛緩すべき括約筋が収縮する結果,膀胱出口部が閉塞する。協調不全は,重度の肉柱形成,憩室,シンチグラフィーで観察される膀胱の「クリスマスツリー」変形,水腎症,および腎不全の原因となる。

機能的障害(例,認知障害,移動性の低下,手の器用さの低下,合併症,意欲の欠如)は,特に高齢者において持続的な尿失禁に寄与することはあるが,直接の原因となることはまれである。

評価

大部分の患者は尿失禁に言及することへの羞恥心から,関連症状(例,頻尿,夜間頻尿,排尿遅延)には言及する可能性はあるが,尿失禁に関する情報を自発的には報告しない。したがって,全ての成人に対して「これまでに尿漏れを経験したことはありますか?」などの質問により,スクリーニングを行うべきである。

パール&ピットフォール

  • ほとんどの患者は尿失禁に言及することに羞恥心があることから,全ての成人で尿失禁について尋ねること。

病歴

病歴聴取では,排尿の持続時間とパターン,腸管機能,薬剤使用,ならびに産科および骨盤内の手術歴に重点を置く。排尿日誌の使用により,原因の手がかりが得られる可能性がある。48~72時間にわたり,患者または介護者に毎回の排尿および失禁の尿量および時刻を,関連する活動(特に摂食,飲料,薬剤使用)および睡眠との関連を含めて記録させる。尿漏の量は,数滴,少量,中等量,びしょ濡れなどの表現で,またはパッド検査(生理用ナプキンまたは尿漏れパッドを使用し,24時間に吸収された尿の重量を測定する)によって推定できる。

ほとんどの夜間排尿での尿量が膀胱の機能的容量(排尿日誌に記録された最大1回排尿量と定義)よりもはるかに少ない場合は,睡眠関連障害(いずれにしても覚醒しているために排尿する)または膀胱異常が原因である(膀胱障害と睡眠関連障害がどちらもない患者は,膀胱が満杯になった場合にのみ排尿のため覚醒する)。

閉塞症状(排尿遅延,尿勢低下,排尿中断,残尿感)を有する男性の約3分の1は,閉塞を伴わない排尿筋過活動を呈している。

尿意切迫または警告もしくは先行する腹圧の上昇を伴わずに起こる尿の突然の噴出(しばしば反射的または無意識的尿失禁と呼ばれる)は,典型的には排尿筋過活動を示唆する。過活動膀胱という用語は,頻尿および夜間頻尿をしばしば伴う尿意切迫(尿失禁の有無にかかわらず)を記載するために,ときに使用される。

身体診察

神経学的診察,内診,および直腸診に焦点を置く。

神経学的診察では,精神状態,歩行運動,および下肢機能を評価し, 起立性低血圧 起立性低血圧 起立性(体位性)低血圧は,立位をとった際に生じる過度の血圧低下である。コンセンサスに基づく定義は,20mmHgを上回る収縮期血圧の低下,10mmHgを上回る拡張期血圧の低下,またはその両方である。症状としては意識の遠のき,ふらつき,めまい,錯乱,霧視などが,起立後数秒から数分以内に起こり,臥位により速やかに消失する。患者によっては,転倒,失神,さらには全身痙攣を起こす場合もある。運動または大食が症状を増悪させることもある。その他に併発す... さらに読む などの末梢神経または自律神経性ニューロパチーの徴候を調べる。頸部および上肢を診察して,頸椎症または頸椎狭窄症の徴候がないか確認すべきである。脊柱を診察して,過去の手術の証拠がないか,また神経管閉鎖不全を示唆する変形,へこみ,体毛の房がないか確認すべきである。

外尿道括約筋の神経支配は肛門括約筋と同一の仙椎神経根を共有しており,以下の評価により検査が可能である:

  • 会陰部の感覚

  • 随意性肛門括約筋収縮(S2~S4)

  • 肛門括約筋反射(S4~S5,会陰部皮膚を軽くこすることで誘発される肛門括約筋収縮)

  • 球海綿体反射(S2~S4,亀頭または陰核の圧迫により誘発される肛門括約筋収縮)

しかしながら,これらの反射の欠如が必ずしも病的であるというわけではない。

女性の内診では,萎縮性腟炎および 尿道炎 尿道炎 細菌性UTIは,尿道,前立腺,膀胱,または腎臓で発生する。症状は認められない場合もあれば,頻尿,尿意切迫,排尿困難,下腹部痛,および側腹部痛がみられる場合もある。腎臓の感染では,全身症状や敗血症が発生する場合もある。診断は尿の分析および培養に基づく。治療は抗菌薬投与と尿路カテーテルの抜去および閉塞の解除による。 (Professional.See also page 尿路感染症... さらに読む ,尿道の過可動性,骨盤底弛緩の単独または骨盤臓器脱との併発を同定することが可能である。腟の粘膜が蒼白で薄く,皺の喪失を伴う場合は,萎縮性腟炎を示唆する。尿道の過可動性は,後腟壁を腟鏡で固定して咳をさせた際に観察することができる。膀胱瘤,小腸瘤,直腸瘤,または子宮脱は, 骨盤底弛緩 骨盤臓器脱(POP)の概要 骨盤臓器脱は,骨盤内臓器を支えている靱帯,筋膜,および筋肉の弛緩(ヘルニアに類似)により生じる(骨盤底― 骨盤臓器脱の図を参照)。骨盤臓器脱の有病率は確認が難しく,治療は症状に基づいて行う。 一般的な寄与因子として以下のものがある: 出産(特に経腟分娩) 肥満 加齢 さらに読む 骨盤臓器脱(POP)の概要 を示唆する。対側の腟壁を腟鏡で固定した際,前壁の膨隆が認められれば膀胱瘤が示唆され,後壁の膨隆が認められれば直腸瘤または小腸瘤が示唆される。骨盤底弛緩は,大きな膀胱瘤が存在する場合を除き,特定の原因を示唆しない。

直腸診では,宿便,直腸腫瘤,男性では前立腺の小結節または腫瘤を同定しうる。前立腺の大きさに注意を払うべきであるが,下部尿路閉塞とは良好に相関しない。膀胱拡張を検出するための恥骨上部の触診および打診は,極度に急性の尿閉症例以外では通常はあまり有用でない。

腹圧性尿失禁が疑われる場合は,診察台の上でストレステストを行うことが可能であり,その感度および特異度は90%を超える。膀胱を充満させた状態で行う必要があり,可能な限り背筋を伸ばして脚を広げて座らせ,会陰部を弛緩させて,1回強く咳をさせる。

  • 咳とともに即座に尿漏がはじまり,すぐに止まるようであれば,腹圧性尿失禁と確定診断できる。

  • 尿漏の遅延または持続が認められる場合は,咳によって誘発される排尿筋過活動が示唆される。

咳で尿失禁が誘発される場合は,腟内に指を1本または2本挿入して尿道を挙上し,同じテストを再度行うことが可能であり(Marshall-Bonney検査),この操作により尿失禁が是正されれば,手術が奏効する可能性がある。

  • 検査の間に患者が突然の尿意切迫を覚えた場合は,偽陽性となる可能性がある。

  • 患者が緊張している場合,膀胱が充満していない場合,咳が弱い場合,または大きな膀胱瘤が存在する場合(女性)には,偽陰性となる可能性がある。大きな膀胱瘤がある女性では,可能であれば患者に仰臥位をとらせ,膀胱瘤が還納された状態で検査を繰り返すべきである。

検査

  • 尿検査および尿培養

  • 血清BUN,クレアチニン

  • 排尿後残尿量

  • ときに尿流動態検査

尿検査,尿培養,ならびにBUNおよび血清クレアチニン値の測定が必要である。その他の検査には,排尿日誌から 多尿 多尿 多尿とは尿量が3L/日を超える場合であり,頻尿(日中または夜間に頻回の排尿を必要とするが,尿量は正常であるか,正常より減少する)と鑑別する必要がある。どちらの問題にも夜間頻尿が含まれる可能性がある。 水分量の恒常性は,水分摂取(これ自体も複雑な調節の対象である),腎血流,溶質の糸球体濾過および尿細管再吸収,ならびに腎集合管での水再吸収の複雑なバランスによって制御されている。 水分摂取量が増加すると,血液量が増加して血液の浸透圧が低下し,... さらに読む が示唆される場合は血清血糖値および血清中カルシウム(無タンパク質カルシウム濃度推定のためアルブミンとともに),患者が錯乱している場合は電解質,臨床所見で神経障害が示唆される場合はビタミンB12濃度などがある。

排尿後残尿量は,カテーテル法または超音波検査(望ましい)で測定すべきである。排尿後残尿量に排尿量を加えて総膀胱容量を算定し,膀胱の固有受容感覚の評価の手がかりとする。50mL未満は正常,100mL未満は65歳以上の患者では通常許容できるが若年患者では異常であり,100mL超は排尿筋低活動または下部尿路閉塞を示唆している可能性がある。

臨床的評価と適切な検査の組合せで診断できない場合,または手術の前に異常を正確に特徴づけなければならない場合は,尿流動態検査が適応となる。

膀胱内圧測定法は切迫性尿失禁の診断に役立つ場合があるが,感度および特異度は不明である。50mL注射器および12~14Frの尿道カテーテルを使用して滅菌水を50mLずつ膀胱に注入し,尿意切迫または膀胱収縮が出現(注射器内の液体レベルによって検出)するまで行う。300mL未満で尿意切迫または収縮が生じる場合は,排尿筋過活動および切迫性尿失禁の可能性が高い。

流量計による最大尿流率の測定は,男性の下部尿路閉塞を確定または除外するために行う。結果は当初の膀胱容量によって異なるが,最大尿流率が12mL/秒未満で尿量200mL以上かつ排尿が長引く場合は,下部尿路閉塞または排尿筋低活動が示唆される。最大尿流率が12mL/秒以上の場合は閉塞が除外され,排尿筋過活動が示唆されると考えられる。検査中は患者に腹部に手を当てるよう指示し,排尿時のいきみがないか確認し,特に腹圧性尿失禁が推測され手術が考慮されている場合には確認する。いきみは排尿筋の筋力低下を示唆し,これは患者が術後尿閉を呈する素因である可能性がある。

膀胱内圧測定法では,膀胱を滅菌水で満たしながら圧-容積曲線と膀胱感覚を記録し,膀胱収縮を刺激するため誘発試験(ベタネコールまたは氷水による)が用いられる。

会陰筋の筋電図検査により,括約筋の神経支配および機能を評価する。尿道,腹部,直腸の内圧を測定する場合がある。

ビデオ尿流動態検査は,通常は 排尿時膀胱尿道造影 膀胱尿道造影 膀胱尿道造影 とともに施行され,膀胱収縮,膀胱頸部能力,および排尿筋括約筋協調を相関させることが可能であるが,使用機器があまり普及していない。

治療

  • 膀胱訓練

  • ケーゲル体操

  • 薬剤

特異的な原因を治療し,尿失禁を惹起または悪化させる薬剤を中止するか,投薬計画を変更する(例,利尿薬の投与時刻を定め,作用が現れるときに患者がトイレの近くにいるようにする)。その他の治療は,尿失禁の型に基づく。型と原因にかかわらず,いくつかの一般的な方法が,通常役立つ。

一般的な方法

患者には特定の時間帯(例,外出前,就寝時刻の3~4時間前)は水分摂取を控え,膀胱を刺激する飲料(例,カフェイン含有飲料)は避け,1日に1500~2000mLの水分を摂取(濃い尿は膀胱を刺激するため)するように指示する。

一部の患者,特に移動性が限られた患者または認知障害の患者においては移動式の室内便器が有益である。他の患者は,吸収性パッドまたは専用のパッドつき下着を使用する。これらの製品は患者と介護者の生活の質を大きく改善しうる。しかしながら,それらを尿失禁を制御または排除しうる手段の代替としてはならず,皮膚刺激および UTI 尿路感染症 (UTI) に関する序論 尿路感染症(UTI)は,腎臓(腎盂腎炎)が侵される上部尿路感染症と,膀胱(膀胱炎),尿道(尿道炎),および前立腺(前立腺炎)が侵される下部尿路感染症に分類される。しかしながら,実際には(特に小児では)感染部位の鑑別が困難または不可能な場合もある。さらに,感染はしばしば1つの領域から別の領域へと拡大する。尿道炎と前立腺炎も尿路が侵される感染... さらに読む の発生を避けるため,こまめに交換しなければならない。

膀胱訓練

膀胱訓練(排尿習慣を変えるため)および水分摂取の変更が有益な場合がある。膀胱訓練では,通常,覚醒中に時間を決めて(2~3時間毎に)排尿させる。時間をかけ,この間隔を覚醒時の3~4時間毎に延長することが可能である。認知障害のある患者には排尿自覚刺激行動療法を用い,目覚めている間は2時間毎に尿意の有無や失禁の有無を尋ねる。排尿日誌は排尿の回数および時刻や,患者が膀胱の充満を感知できるかどうかを確認する上で役立つ。

ケーゲル体操

骨盤底筋体操(例,ケーゲル体操)は,しばしば効果的であり,特に腹圧性尿失禁に効果的である。患者は大腿筋,腹筋,殿部筋ではなく,骨盤底筋(恥骨尾骨筋および腟の左右両側)を収縮しなければならない。筋肉を10秒間収縮させた後に10秒間弛緩させる動作を1セット10~15回で1日3セット行う。再指導がしばしば必要であり,バイオフィードバックはしばしば有用である。75歳未満の女性の治癒率は10~25%であり,加えて40~50%では改善が得られ,特に患者が意欲的である場合,指示通りに訓練を行う場合,または書面による指示を受けるか,励ましのためのフォローアップ来院で受診する場合に改善がみられやすい。

骨盤底筋電気刺激療法は,ケーゲル体操を自動化したものであり,電流により排尿筋過活動を抑制し,骨盤底筋を収縮させる。利点は治療コンプライアンスの改善と正しい骨盤底筋の収縮であるが,行動変容のみによる治療を上回る有益性があるかどうかは不明である。

薬剤

しばしば薬剤が有用である(尿失禁の治療薬 尿失禁の治療薬 尿失禁の治療薬 の表を参照)。このような薬剤には,排尿筋を弛緩させる抗コリン薬および抗ムスカリン薬や括約筋の緊張を高めるα作動薬などがある。強力な抗コリン作用を有する薬剤は,高齢者に対しては慎重に使用すべきである。α拮抗薬および5α還元酵素阻害薬は,切迫性または溢流性尿失禁を呈する男性の下部尿路閉塞の治療に用いられることがある。

切迫性尿失禁

膀胱訓練は,患者が排尿筋の収縮に耐え,最終的には抑制するのに役立つ。定期的な排尿間隔を徐々に延ばし(例,排尿の制御が維持できれば3日間毎に30分延ばす),排尿筋収縮への許容度を改善する。リラクゼーション法は,尿意切迫に対する感情的および身体的な反応を改善しうる。リラックスして適所に立つか座り(トイレに急行するのではなく),骨盤底筋を引き締めることが尿意切迫の抑制に役立つ可能性がある。

薬剤尿失禁の治療薬 尿失禁の治療薬 尿失禁の治療薬 の表を参照)は行動変容を補完する手段であって,行動変容の代替としてはならない。最も頻用されている薬剤はオキシブチニンとトルテロジンであり,どちらも抗コリン性および抗ムスカリン性であり,1日1回の経口投与が可能な徐放性製剤が利用可能である。オキシブチニンは皮膚貼付剤(週2回交換)ならびに外用ゲル(皮膚に毎日適用)が利用可能である。

抗コリン作用および抗ムスカリン作用の特性を有するより新しい薬剤として,ソリフェナシンおよびダリフェナシン(経口,1日1回)やトロスピウム(1日1回~1日2回)などがある。収縮性障害を伴う排尿筋過活動(活動性亢進)に起因する尿意切迫症状を抑制するためには,薬剤が必要になる場合がある。作用が迅速に発現する薬剤(例,即放性オキシブチニン)は,尿失禁の発生時刻が予測可能な場合に予防的に使用しうる。薬剤の併用は効力と有害作用のいずれも高める可能性があり,おそらく高齢者に対してはこのアプローチは制限される。A型ボツリヌス毒素は,神経因性(例, 多発性硬化症 多発性硬化症(MS) 多発性硬化症(MS)は,脳および脊髄における散在性の脱髄斑を特徴とする。一般的な症状としては,視覚および眼球運動異常,錯感覚,筋力低下,痙縮,排尿機能障害,軽度の認知症の症状などがある。典型的には複数の神経脱落症状がみられ,寛解と増悪を繰り返しながら,次第に能力障害を来す。診断には,時間的・空間的に独立した複数の特徴的な神経病変(部位は中枢神経系)を示す臨床所見またはMRI所見を必要とする。治療法としては,急性増悪に対するコルチコステロ... さらに読む 多発性硬化症(MS) 脊髄機能障害 脊椎・脊髄外傷 脊椎・脊髄の外傷では,脊髄,脊椎,またはその両方に損傷が生じる。ときに脊髄神経も影響を受ける。脊柱の解剖学的構造については,別の章に記載されている。 脊髄損傷は以下の場合がある: 完全 不全 (外傷患者へのアプローチも参照のこと。) さらに読む 脊椎・脊髄外傷 )の切迫性尿失禁を呈し,他の治療では難治性の患者の治療に有用であり,膀胱鏡を用いた注射により排尿筋に投与される。

仙骨神経刺激療法は,他の治療に反応しない重度の切迫性尿失禁患者で適応となる。膀胱の求心性感覚神経を中枢で抑制することにより作用すると考えられる。初めにS3神経根の経皮的神経刺激を3日間以上行い,反応が得られた場合には神経刺激装置を殿部の皮下に恒久的に埋め込む。後脛骨神経刺激療法(PTNS)は排尿障害の治療を目的とした同様の電気的ニューロモジュレーションであり,従来の仙椎神経刺激に代わるより侵襲性の低い療法として開発された。内果上部の後脛骨神経近傍に針を挿入した後,低電圧刺激を30分セッション週1回,10~12週間にわたって適用する。後脛骨神経刺激の耐久性は不明である。

まれに,切迫性尿失禁が脊髄損傷またはその他の中枢神経系疾患に起因する場合には,カプサイシンまたはレシニフェラトキシン(カプサイシンアナログ)の膀胱内注入療法が用いられる。この実験的な治療では,膀胱の排尿反射をもたらす求心性C線維の感受性を弱める。

手術は最後の手段であり,通常は他の治療に反応しない重度の切迫性尿失禁がある若年患者にのみ行われる。腸管の一部を膀胱に縫い付けて膀胱容量を増加させる膀胱拡張術が最もよく用いられる。膀胱拡張術により膀胱収縮力が低下した場合,または腹圧(バルサルバ法)と括約筋弛緩の協調が不良の場合には,間欠的自己導尿が必要になる場合がある。膀胱の望ましくない収縮を減少させるため,排尿筋切開術を施行することがある。最終的手段として,尿が膀胱に流入しないように尿路変向を作成することも可能である。方法の選択肢は,その他の障害の存在,身体的制限,患者の希望に基づく。

腹圧性尿失禁

治療法としては,膀胱訓練やケーゲル体操などがある。薬剤,手術 (1) 治療に関する参考文献 尿失禁とは,意図せずに尿が流出することであるが,患者がそれを問題視することを必須の条件とする専門家もいる。尿失禁は,大幅に過少認識および過少報告されている。多くの患者は医師にこの問題を報告せず,多くの医師は尿失禁を具体的には尋ねない。尿失禁は,どの年齢でも起こりうるが,高齢者と女性に多く,女性高齢者の約30%および男性高齢者の15%で発生している。 尿失禁は,困惑,非難,隔離,抑うつなどにつながり,生活の質を著しく低下させる。尿失禁は介... さらに読む ,その他の方法,または女性においては閉塞器具も通常必要である。治療は一般に膀胱出口部の機能不全に向けられるが,排尿筋過活動が存在する場合は切迫性尿失禁の治療を含む。尿失禁を引き起こす身体的ストレスの回避が助けになる可能性がある。肥満患者においては減量が尿失禁の軽減に役立つ場合がある。

薬剤尿失禁の治療薬 尿失禁の治療薬 尿失禁の治療薬 の表を参照)としては,プソイドエフェドリン(膀胱出口部の機能不全を呈する女性に有用な場合がある),イミプラミン(腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の混合型またはどちらか一方に対して使用可能),デュロキセチンなどがある。腹圧性尿失禁の原因が萎縮性尿道炎の場合は,外用エストロゲン(抱合型0.3mg,またはエストラジオール0.5mg,1日1回,3週間,その後は週2回)がしばしば効果的である。

非侵襲的な治療で効果が認められない場合は,手術とその他の処置が最も治癒の可能性が高くなる。尿道の過可動性の是正には膀胱頸部挙上術が用いられる。尿道下スリング法,尿道周囲への膨張剤の注入,人工括約筋の外科的挿入が,括約筋欠損の治療に用いられる。選択肢は,手術に対する患者の耐容性およびその他の手術の必要性(例,子宮摘出,膀胱瘤修復術)ならびに医療施設の経験に基づく (1) 治療に関する参考文献 尿失禁とは,意図せずに尿が流出することであるが,患者がそれを問題視することを必須の条件とする専門家もいる。尿失禁は,大幅に過少認識および過少報告されている。多くの患者は医師にこの問題を報告せず,多くの医師は尿失禁を具体的には尋ねない。尿失禁は,どの年齢でも起こりうるが,高齢者と女性に多く,女性高齢者の約30%および男性高齢者の15%で発生している。 尿失禁は,困惑,非難,隔離,抑うつなどにつながり,生活の質を著しく低下させる。尿失禁は介... さらに読む

膀胱瘤または 子宮脱 子宮脱および腟断端脱 子宮脱は,子宮が腟口の方に,あるいは腟口を越えて下垂した状態である。腟断端脱は,子宮摘出後の腟円蓋または腟断端が下垂した状態である。症状として,腟の圧迫感と充満感などがある。診断は臨床的に行う。治療法としては,整復,ペッサリー,および手術がある。 これらの疾患の重症度は,脱出の程度に基づいたBaden-Walker法により以下のように分類できる: 0度:脱出なし Grade 1:処女膜までの長さの中程まで脱出... さらに読む 子宮脱および腟断端脱 の有無にかかわらず,高齢女性で手術のリスクが高い場合,または腹圧性尿失禁に対する過去の手術が無効であった場合には,閉塞器具が用いられることがある。様々なメッシュスリングが使用可能である。ペッサリーが効果的な場合もあり,ペッサリーは膀胱頸部を上昇させ,膀胱尿道移行部を挙上し,尿道を恥骨結合に対して押しつけることによって尿道の抵抗を高める。より新しく,おそらく受け入れやすい選択肢は外尿道口上のシリコン吸引キャップ,アプリケーターで挿入する尿道内の閉塞器具および膀胱頸部を支える人工物の腟内挿入などがある。着脱式の尿道内プラグについては研究中である。

腟内コーンを使用する運動療法は,腟内にコーンを挿入して骨盤底筋を収縮させ15分間保持する運動を1日2回行い,コーンを徐々に重くするというものであり,これも研究中である。

溢流性尿失禁

治療法は,原因が下部尿路閉塞,排尿筋低活動,またはこの両方のいずれかによって異なる。

前立腺肥大症 治療 前立腺肥大症(benign prostatic hyperplasia:BPH)は,前立腺尿道周囲部が良性腺腫として増大した状態である。症状は下部尿路閉塞の症状である(尿勢低下,排尿遅延,頻尿,尿意切迫,夜間頻尿,残尿,終末時滴下,溢流性または切迫性尿失禁,完全尿閉)。診断は主に直腸指診と症状に基づき,膀胱鏡検査,経直腸的超音波検査,尿流... さらに読む または 前立腺癌 治療 前立腺癌は通常腺癌である。典型的には,腫瘍の増殖によって血尿や疼痛を伴う閉塞が引き起こされるまで,症状はみられない。診断は直腸指診または前立腺特異抗原測定によって示唆され,経直腸的超音波生検によって確定される。スクリーニングについては議論があり,意思決定の共有が行われるべきである。大部分の前立腺癌患者の予後は,特に癌が限局または局在する場合(通常は症状の発生前),非常に良好であり,前立腺癌で死亡する患者と比較してそれ以外の原因で死亡する... さらに読む に起因する下部尿路閉塞の治療は薬剤または手術により, 尿道狭窄 尿道狭窄 尿道狭窄は,瘢痕形成により前部尿道の内腔が閉塞する病態である。 尿道狭窄は以下の場合がある: 先天性 後天性 尿道上皮または尿道海綿体が損傷する病態はいずれも,後天性狭窄を引き起こす可能性がある(1)。 さらに読む に起因する場合は拡張またはステント留置による。女性の 膀胱瘤 治療 腟前壁脱および腟後壁脱では,臓器が腟管へ突出する。腟前壁脱は一般的に,膀胱瘤または尿道瘤(膀胱または尿道が突出する場合)と呼ばれる。腟後壁脱は一般的に,小腸瘤(小腸と腹膜が突出する場合)および直腸瘤(直腸が突出する場合)と呼ばれる。症状は骨盤内または腟の充満感や圧迫感などである。診断は臨床的に行う。治療法としては,経過観察による保存的管理,ペッサリー,骨盤底筋体操,およびときに手術などがある。... さらに読む は,手術またはペッサリーによる治療で還納できる可能性があり,膀胱瘤が手術に起因する場合は一側性の抜糸術または尿道癒着剥離術が効果的なことがある。尿道の過可動性が併存する場合,膀胱頸部挙上術を施行すべきである。

排尿筋低活動では,間欠的自己導尿か,まれに一時的な留置カテーテルの使用による膀胱減圧法(残尿量の減少)が必要となる( Professional.see heading on page 膀胱カテーテル挿入 膀胱カテーテル挿入 膀胱カテーテル挿入は以下を目的として行われる: 尿検体の採取 残尿量の測定 尿閉または尿失禁に対する対応 放射線不透過性造影剤または薬剤の膀胱内への直接送達 さらに読む )。膀胱機能の復元には減圧法を数週間続ける必要があることもある。膀胱機能が十分に回復しない場合は,排尿を促進する方法が用いられる。具体例として以下のものがある:

  • Double voiding(トイレから出る前に再度膀胱を空にすることを試みる)

  • バルサルバ法

  • 排尿中の恥骨上部への加圧[Credé法]の適用

排尿筋が全く収縮しない場合は,間欠的自己導尿または留置カテーテルの使用が必要である。間欠的自己導尿が必要な患者に対する 尿路感染症 尿路感染症 (UTI) に関する序論 尿路感染症(UTI)は,腎臓(腎盂腎炎)が侵される上部尿路感染症と,膀胱(膀胱炎),尿道(尿道炎),および前立腺(前立腺炎)が侵される下部尿路感染症に分類される。しかしながら,実際には(特に小児では)感染部位の鑑別が困難または不可能な場合もある。さらに,感染はしばしば1つの領域から別の領域へと拡大する。尿道炎と前立腺炎も尿路が侵される感染... さらに読む 予防のための抗菌薬またはマンデル酸メテナミンの使用については議論があるが,症候性尿路感染症を頻回に繰り返している患者と人工弁または整形外科の器具が留置されている患者は,おそらく適応となるであろう。このような予防法は留置カテーテルには役に立たない。

膀胱収縮を誘発し排尿を促進する追加的な治療法としては,電気的な刺激およびコリン作動薬ベタネコールがある。しかしながら,ベタネコールは通常効果がなく,有害作用を有する(尿失禁の治療薬 尿失禁の治療薬 尿失禁の治療薬 の表を参照)。

難治性尿失禁

吸収性パッド,特殊な下着,および間欠的 自己導尿 膀胱カテーテル挿入 膀胱カテーテル挿入は以下を目的として行われる: 尿検体の採取 残尿量の測定 尿閉または尿失禁に対する対応 放射線不透過性造影剤または薬剤の膀胱内への直接送達 さらに読む が必要になる場合がある。尿道カテーテルは,トイレに歩いて行くことができない患者,または 尿閉 治療 尿閉とは,膀胱を完全に空にすることができないか排尿が途中で停止する状態であり,以下の場合がある: 急性 慢性 原因としては,膀胱収縮性の障害,下部尿路閉塞,排尿筋括約筋協調不全(膀胱収縮と括約筋弛緩の調整の欠如),これらの組合せなどがある。(排尿の概要も参照のこと。) 尿閉は男性で多くみられるが,男性では前立腺異常または尿道狭窄により下部尿路閉塞が生じる。男女いずれにおいても,尿閉の原因は薬物(特に抗コリン作用を有する薬で,多くの一般用... さらに読む を呈し自己導尿できない患者の選択肢であるが,切迫性尿失禁では排尿筋収縮を増悪させる可能性があるので推奨されない。カテーテルが必要な場合,(例,難治性排尿筋過活動患者の褥瘡を治癒するため),カテーテルによる刺激は尿の強制排出をもたらす可能性があり,カテーテル周囲から漏出する場合もあることから,刺激を最小化するため,小型バルーンが付属した細いカテーテルを使用すべきである。

治療コンプライアンスが良好な男性には, 尿路感染症 尿路感染症 (UTI) に関する序論 尿路感染症(UTI)は,腎臓(腎盂腎炎)が侵される上部尿路感染症と,膀胱(膀胱炎),尿道(尿道炎),および前立腺(前立腺炎)が侵される下部尿路感染症に分類される。しかしながら,実際には(特に小児では)感染部位の鑑別が困難または不可能な場合もある。さらに,感染はしばしば1つの領域から別の領域へと拡大する。尿道炎と前立腺炎も尿路が侵される感染... さらに読む のリスクが低下することから,コンドームカテーテルが好ましい場合があるが,その使用により皮膚が破綻したり,尿禁制を達成する意欲がそがれたりすることがある。新型の外部採尿器具は女性で効果的な場合がある。不随意性の膀胱収縮が持続する場合,オキシブチニンまたはトルテロジンを使用することができる。移動性が制限される場合,尿による皮膚刺激および崩壊を防ぐ措置が必須である( Professional.see page 予防 予防 褥瘡(pressure ulcer)とは,骨突出部と体外の硬い表面の間で軟部組織が圧迫された領域に生じる壊死および潰瘍である。持続的な機械的圧迫に摩擦,ずれ力,湿潤が組み合わさって生じる。危険因子としては,年齢65歳以上,循環および組織灌流の障害,体動不能,低栄養,感覚低下,失禁などがある。重症度としては,圧迫しても消退しない皮膚の紅斑か... さらに読む  予防 )。

治療に関する参考文献

要点

  • 患者はしばしば尿失禁を呈していることを自発的に申告しないため,尿失禁について具体的に質問する。

  • 尿失禁は加齢の正常な結果ではなく,常に調査すべきである。

  • 尿失禁には,切迫性,腹圧性,溢流性,機能性の4つの病型がある。

  • 長期にわたる尿失禁の原因もいくつかは可逆性である。

  • 尿失禁を呈する全例で少なくも尿検査,尿培養,血清BUNおよびクレアチニン,排尿後の残尿量の測定を行う。

  • 膀胱訓練およびケーゲル体操を考慮する。

  • 薬物治療は膀胱機能障害の機序を是正することを目的とする。

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