胎便栓症候群

(small left colon syndrome)

執筆者:William J. Cochran, MD, Geisinger Clinic
レビュー/改訂 2020年 3月
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胎便栓症候群は粘稠度の高い胎便による結腸閉塞である。診断はX線造影剤の注腸のほか,ときにヒルシュスプルング病の検査に基づく。治療はX線造影剤による注腸であるが,まれに外科的減圧が必要になる。

胎便栓症候群は通常,その他の点では健康な乳児に発生する。一般に,結腸機能の未熟性とみなされ,その結果として最初の排便が起こらない。

病因

胎便栓症候群は以下の集団でより多くみられる:

ある研究では,胎便栓症候群症例の16%でマグネシウムによる子宮収縮抑制が関係しており,ヒルシュスプルング病が関係していたものは3%に過ぎなかったと報告されているが,その他の報告では胎便栓症候群の乳児の10~40%でヒルシュスプルング病が指摘されている。胎便栓症候群には嚢胞性線維症との関連もみられる。

症状と徴候

生後数日以内に腹部膨隆,嘔吐がみられ,排便はみられない。粘稠度が高く濃縮された弾性のある胎便が結腸の形の栓を形成し,完全閉塞を引き起こす。

診断

  • X線造影剤による注腸

  • ときにヒルシュスプルング病の検査

胎便栓症候群の診断は除外診断であり,最初にヒルシュスプルング病と鑑別すべきである。

腹部単純X線は非特異的であり,下部腸閉塞の徴候を示すことがある。一方,下部消化管造影では,特徴的な所見である結腸壁に対する濃縮された胎便のアウトラインが示され,二重造影のように見える。胎便性イレウスと異なり,胎便栓症候群ではX線上のmicrocolonの所見は典型的にはみられない。

治療

  • X線造影剤による注腸

水溶性造影剤の注腸により,腸壁から胎便栓を分離し排出させることで,治療できる場合がある。ときに,注腸を繰り返す必要がある。

まれに外科的減圧が必要となる。以降はほとんどの患児が健康になるが,ヒルシュスプルング病または嚢胞性線維症を除外するために診断検査が必要になる場合がある。

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