切迫早産

執筆者:Antonette T. Dulay, MD, Main Line Health System
Reviewed ByOluwatosin Goje, MD, MSCR, Cleveland Clinic, Lerner College of Medicine of Case Western Reserve University
レビュー/改訂 2024年 3月 | 修正済み 2024年 7月
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妊娠37週前に始まる陣痛(頸管の変化を起こす規則的な子宮収縮)は切迫早産とされる。危険因子には,前期破水,子宮異常,感染,早産既往,多胎妊娠,および胎児または胎盤の異常などがある。診断は臨床的に行う。原因を同定し,可能であれば治療を行う。管理は典型的には,床上安静,子宮収縮抑制薬(陣痛が持続する場合),コルチコステロイド(例,妊娠期間が34週未満の場合—下記を参照),および場合により硫酸マグネシウム(妊娠期間が32週未満の場合)がある。B群レンサ球菌を調べるための腟および肛門周辺の培養検査結果が陰性になるまで,レンサ球菌に有効な抗菌薬を投与する。

切迫早産は以下によって誘発されることがある:

  • 前期破水

  • 羊膜内感染(絨毛膜羊膜炎)

  • その他の上行性子宮感染(一般的にB群レンサ球菌によるもの)

  • 多胎妊娠

  • 胎児または胎盤の異常

  • 子宮異常

  • 腎盂腎炎

  • 一部の性感染症(STI)

原因が明白でない場合がある。

早産の既往および子宮頸管無力症は早産のリスクを上昇させる。

切迫早産は新生児の脳室内出血のリスクを上昇させうる;脳室内出血は神経発達障害(例,脳性麻痺)を引き起こす可能性がある。

切迫早産の診断

  • 病歴聴取および身体診察

切迫早産の診断は分娩の徴候および妊娠期間の長さに基づく。

B群レンサ球菌を調べるために腟および肛門周辺の培養検査を行い,抗菌薬の予防投与を開始する(その後,培養検査結果が陰性であれば中止する)。尿検査および尿培養を施行し,膀胱炎および腎盂腎炎を調べる。危険因子から性感染症が示唆され,かつ患者がしばらく検査を受けていない場合は,性感染症について調べるため頸管培養を行う。

早期子宮収縮を認めるものの陣痛が始まらないケースも多く,切迫早産と診断された場合でも,分娩に進行しないことがある。

切迫早産の治療

  • B群レンサ球菌に対する抗菌薬

  • ときに子宮収縮抑制薬

  • コルチコステロイド(例,23~34週の間)

  • 神経保護のための硫酸マグネシウム

切迫早産の管理には,抗菌薬(感染症が診断されるか疑われる場合),子宮収縮抑制薬,およびコルチコステロイドが含まれる(1)。

抗菌薬

B群レンサ球菌に対して効果的な抗菌薬を腟および肛門周辺の培養検査結果が陰性になるまで投与する(2)。抗菌薬の選択肢としては以下のものがある:

  • ペニシリンアレルギーのない女性:ベンジルペニシリン500万単位静注,その後4時間毎に250万単位,またはアンピシリン2g静注,その後4時間毎に1g

  • ペニシリンアレルギーがあるが,アナフィラキシーのリスクが低い女性(例,以前の使用時に斑状丘疹状皮疹):セファゾリン2g静注,その後8時間毎に1g

  • ペニシリンアレルギーがあり,アナフィラキシーのリスクが高い女性(例,以前の使用時,特に曝露から30分以内に気管支攣縮,血管神経性浮腫,または低血圧):腟および肛門周辺の培養検査で感受性が示される場合,クリンダマイシン900mg,静注,8時間毎;培養結果で耐性が示される場合や結果が得られない場合は,バンコマイシン20mg/kg,静注,8時間毎(最大用量2g)

尿路感染症およびSTIと診断した場合には,それらの治療を行う。

子宮収縮抑制薬

子宮口が開大する場合,子宮収縮抑制薬(子宮収縮を止める薬剤)により通常は少なくとも48時間は陣痛の開始を延期させることができ,胎児のリスク軽減のためにコルチコステロイドの投与が可能となる。子宮収縮抑制薬としては以下のものがある:

  • カルシウム拮抗薬

  • プロスタグランジン阻害薬

第1選択では子宮収縮抑制薬は使用しない;有害作用を最小限にするために選択は個別化すべきである。

プロスタグランジン阻害薬は,48時間以上連続して使用すると,一過性の羊水過少および胎児に腎障害を引き起こすことがある。動脈管の早期狭小化または閉鎖を起こす可能性があるため,妊娠32週以降は禁忌である。

硫酸マグネシウム

妊娠32週未満では,神経保護を目的として硫酸マグネシウム静注を考慮すべきである。この薬物の子宮内曝露により,新生児における脳性麻痺を含む重度の神経機能障害(例,脳室内出血による)のリスクが低下するとみられている。

コルチコステロイド

胎児が24~34週の場合,分娩が差し迫っていない限り,女性にコルチコステロイドを投与する。以下の全てを満たす場合には,コルチコステロイドの再投与を考慮できる:

  • 妊娠34週未満である。

  • 最後の投与コースが7日以上前である(3, 4)。

コルチコステロイドは以下の状況においても考慮すべきである:

  • 妊娠34週0日~36週6日で,7日以内に分娩となるリスクがあり,それまでにコルチコステロイドを投与されていない場合(2, 3)

  • 7日以内の早産のリスクがある場合は,妊娠23週0日から開始(2, 3)

  • 妊娠22週0日~22週6日で,新生児の蘇生が計画され,かつ親への適切なカウンセリングが行われた後(4)

以下のいずれかのコルチコステロイドを使用する:

  • ベタメタゾン(12mg,筋注,24時間毎,2回)

  • デキサメタゾン(6mg,筋注,12時間毎,4回)

これらのコルチコステロイドは,胎児の肺の成熟を促進し,新生児呼吸窮迫症候群,頭蓋内出血および死亡のリスクを低下させる。

プロゲスチン

早産の既往がある女性における,再発リスクを軽減するための注射用のプロゲスチンはもはや推奨されていない。以前は推奨されていたが,支持するエビデンスは否定されており,米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)は2023年4月にこの適応に対する17α-ヒドロキシプロゲステロンカプロン酸エステル(17-OHPC)の承認を取り消した(5)。

Society for Maternal Fetal Medicine(SMFM)もまた,調剤薬局を通じた処方を含め,17-OHPCの継続的な処方を推奨していない(6)。しかしながら,SMFMは,早産の既往があり,妊娠24週前に頸管長が短い(25mm未満)と診断された患者に対し,頸管縫縮術または腟内プロゲステロンのいずれかを勧めることが妥当であると助言している。頸管長が25mm以上の場合(特に以前の妊娠で早産の予防のためにプロゲステロン製剤による治療を受けた場合)には,SMFMは,早産の再発に対する一次予防としての腟内プロゲステロンの投与に関して共有意思決定(shared decision-making)を行うことを奨励している。さらに,SMFMは頸管縫縮術の適応の変更も活動制限を推奨しないとする見解の変更も支持していない。

治療に関する参考文献

  1. 1.American College of Obstetricians and Gynecologists’ Committee on Practice Bulletins—Obstetrics: Practice Bulletin No. 171: Management of Preterm Labor.Obstet Gynecol 128(4):e155-64.doi: 10.1097/AOG.0000000000001711

  2. 2.American College of Obstetricians and Gynecologists (ACOG): ACOG Committee Opinion, Number 797: Prevention of group B streptococcal early-onset disease in newborns.Obstet Gynecol 135 (2):e51–e72, 2020.Reaffirmed 2022.

  3. 3.American College of Obstetricians and Gynecologists (ACOG): ACOG Committee Opinion No. 713 Summary: Antenatal corticosteroid therapy for fetal maturation.Obstet Gynecol 130(2):493–494, 2017.doi: 10.1097/AOG.0000000000002231.Reaffirmed 2024.

  4. 4.American College of Obstetricians and Gynecologists (ACOG): ACOG Practice Advisory: Use of Antenatal Corticosteroids at 22 Weeks of Gestation, September 2021.Reaffirmed October 2022.

  5. 5.Conde-Agudelo A, Romero R: Does vaginal progesterone prevent recurrent preterm birth in women with a singleton gestation and a history of spontaneous preterm birth?Evidence from a systematic review and meta-analysis. Am J Obstet Gynecol 227(3):440-461.e2, 2022.doi:10.1016/j.ajog.2022.04.023

  6. 6.Society for Maternal-Fetal Medicine (SMFM): Electronic address: pubs@smfm.org; SMFM Publications Committee.Society for Maternal-Fetal Medicine Statement: Response to the Food and Drug Administration's withdrawal of 17-alpha hydroxyprogesterone caproate. Am J Obstet Gynecol 229(1):B2-B6, 2023.doi:10.1016/j.ajog.2023.04.012

要点

  • B群レンサ球菌を調べるために腟および肛門周辺の培養検査を行い,切迫早産の契機となった可能性のある,臨床的に疑われるあらゆる感染(例,腎盂腎炎,性感染症)を調べるために培養を行う。

  • 培養結果が出るまで,B群レンサ球菌に効果的な抗菌薬で治療を行う。

  • 子宮口が開大する場合は,カルシウム拮抗薬,または胎児が32週以前の場合はプロスタグランジン阻害薬による子宮収縮抑制を考慮する。

  • 胎児が24週以上34週未満の場合(場合によっては37週未満),コルチコステロイドを投与する。

  • 7日以内の早産のリスクがある場合は,妊娠23週からコルチコステロイドの投与開始を考慮する。

  • 胎児が32週未満の場合は硫酸マグネシウムを考慮する。

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