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無症候性血尿

執筆者:

Geetha Maddukuri

, MD, Saint Louis University

レビュー/改訂 2021年 1月
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血尿とは尿中に赤血球が認められる状態のことであり,具体的には,尿沈渣で強拡大の1視野当たり赤血球が3個以上認められる場合とされる。尿は赤色,血性,またはコーラ色(膀胱内に貯留した血液が酸化した肉眼的血尿)を呈する場合もあれば,肉眼的には無色に見える場合(顕微鏡的血尿)もある。無症候性血尿(isolated hematuria)とは,尿中に赤血球が認められるが,それ以外の尿異常(例, タンパク尿 タンパク尿 タンパク尿とは,尿中にタンパク質(通常はアルブミン)が認められることである。タンパク質濃度が高くなると,尿は泡沫状を呈する。多くの腎疾患では,タンパク尿は他の尿異常(例, 血尿)を伴って発生する。無症候性タンパク尿(isolated proteinuria)とは,他に症状および尿異常を伴わないタンパク尿である。 糸球体基底膜は,比較的大きな分子(例,ほとんどの血漿タンパク質,主にアルブミン)に対して非常に効果的な障壁として機能するが,少... さらに読む ,尿円柱)は認められない状態である。

赤色尿は常に赤血球によるものとは限らない。赤色または赤褐色への変色の原因としては以下のものがある:

無症候性血尿の病態生理

赤血球は,尿路に沿ったいずれの部位(腎臓,集尿系,尿管,前立腺,膀胱,尿道)でも尿中に侵入する可能性がある。女性では,正常または異常な子宮出血が血尿として誤診される可能性がある。

無症候性血尿の病因

ほとんどの症例は一過性の顕微鏡的血尿であり,特発性で自然に治癒する。一過性の顕微鏡的血尿は特に小児でよくみられ,小児の尿検体の最大5%で認められる。具体的な原因は数多く存在する(血尿の具体的原因 血尿のよくみられる具体的原因 血尿のよくみられる具体的原因 の表を参照)。

具体的な原因で最も頻度が高いものは,ある程度年齢に依存するものの,全体として最も頻度が高いものは以下の通りである:

激しい運動によって一過性の血尿が生じる場合もある。がんおよび前立腺疾患は主に50歳以上の患者で懸念されるが,がんは危険因子を有する若年患者にも発生する可能性がある。

糸球体疾患は全年齢で原因となりうる。 糸球体疾患 糸球体疾患の概要 糸球体疾患の重要な特徴は タンパク尿であり,ネフローゼレベル(3g/日以上)となることも多い。 糸球体疾患は,以下のような所見を主に伴って現れるような尿の変化に基づいて分類される: ネフローゼレベルのタンパク尿,およびネフローゼ型の尿沈渣所見(nephrotic urine sediment;脂肪円柱,卵円形脂肪体を認めるが,細胞と細胞円... さらに読む は,原発性腎疾患(後天性または遺伝性)の場合もあれば,二次性の場合もあり,後者の原因疾患は感染症(例,A群β溶血性レンサ球菌感染症),結合組織疾患および 血管炎 血管炎の概要 血管炎は血管の炎症であり,しばしば虚血,壊死,および臓器の炎症を伴う。血管炎は,あらゆる血管,すなわち動脈,細動脈,静脈,細静脈,または毛細血管を侵すことがある。具体的な血管炎疾患の臨床像は多彩であり,侵された血管の太さおよび部位,臓器病変の範囲,ならびに血管外の炎症の程度およびパターンによって異なる。... さらに読む 血管炎の概要 (例,全年齢の 全身性エリテマトーデス 全身性エリテマトーデス(SLE) 全身性エリテマトーデスは,自己免疫を原因とする慢性,多臓器性,炎症性の疾患であり,主に若年女性に起こる。一般的な症状としては,関節痛および関節炎,レイノー症候群,頬部などの発疹,胸膜炎または心膜炎,腎障害,中枢神経系障害,血球減少などがある。診断には,臨床的および血清学的な基準が必要である。重症で進行中の活動性疾患の治療には,コルチコステロイドおよび免疫抑制薬を必要とする。 全症例のうち,70~90%が女性(通常妊娠可能年齢)に起こる。... さらに読む 全身性エリテマトーデス(SLE) [SLE],小児の IgA血管炎 IgA血管炎(IgAV) IgA血管炎(以前はヘノッホ-シェーンライン紫斑病と呼ばれた)は主に小型の血管を侵す血管炎である。小児に最も多く生じる。一般的な症状としては,触知可能な紫斑,関節痛,消化管の症候,糸球体腎炎などがある。小児では診断を臨床的に行うが,成人では通常は生検が必要である。通常,小児では自然治癒し,成人では慢性化する。コルチコステロイドで関節痛および消化管症状を低減できるが,疾患の経過が変わることはない。進行性糸球体腎炎は,高用量コルチコステロイ... さらに読む IgA血管炎(IgAV) [ヘノッホ-シェーンライン紫斑病]),血液疾患(例,混合型クリオグロブリン血症,血清病)など多岐にわたる。世界的に見て, IgA腎症 免疫グロブリンA腎症 免疫グロブリンA(IgA)腎症は,糸球体にIgA免疫複合体が沈着する病態であり,臨床的には緩徐に進行する血尿およびタンパク尿のほか,しばしば腎機能不全を生じる。診断は尿検査と腎生検に基づく。予後は一般に良好である。治療選択肢としては,アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬,アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB),コルチコステロイド,免疫抑制薬,ω-3多価不飽和脂肪酸(魚油)などがある。... さらに読む 免疫グロブリンA腎症 が糸球体腎炎で最もよくみられる病型である。菲薄基底膜病および軽度のIgA腎症は無症候性血尿を引き起こすことがあるが,血尿を引き起こすその他の糸球体性の原因のほとんどはタンパク尿を伴う。

無症候性血尿の評価

病歴

現病歴には,血尿の持続期間および過去の全てのエピソードを含める。尿路閉塞症状(例,残尿,夜間頻尿,排尿の開始または中止が困難)および刺激症状(例,刺激感,尿意切迫,頻尿,排尿困難)に注意すべきである。疼痛の有無とその部位および重症度,ならびに激しい運動をしたかどうかを患者に尋ねるべきである。

既往歴の聴取には,最近の感染(特にA群β溶血性レンサ球菌感染症を示唆する咽頭痛)に関する質問を含めるべきである。尿路出血を来すことが知られている病態(特に 腎結石 尿路結石 尿路結石とは,泌尿器系内に存在する固形の粒子のことである。結石は疼痛,悪心,嘔吐,および血尿を引き起こすことがあるほか,続発性の感染から悪寒および発熱がみられることもある。診断は尿検査および放射線学的検査のほか,通常は単純ヘリカルCTに基づく。治療は鎮痛薬,感染に対する抗菌薬療法,および薬剤による排石促進療法のほか,ときに衝撃波砕石術また... さらに読む 鎌状赤血球症 鎌状赤血球症 鎌状赤血球症( 異常ヘモグロビン症)は,ほぼ黒人だけに生じる慢性溶血性貧血である。ヘモグロビンS遺伝子がホモ接合性に遺伝することによって生じる。鎌状の赤血球は血管の閉塞を引き起こし,溶血を起こしやすいことから,重度の疼痛発作,臓器虚血,および他の全身性合併症につながる。急性増悪(クリーゼ)が頻繁に起こることがある。感染症,骨髄無形成,または肺病変(急性胸部症候群)を急性発症し,死に至ることがある。貧血がみられ,通常は末梢血塗抹標本で鎌状... さらに読む 鎌状赤血球症 または鎌状赤血球形質, 糸球体疾患 糸球体疾患の概要 糸球体疾患の重要な特徴は タンパク尿であり,ネフローゼレベル(3g/日以上)となることも多い。 糸球体疾患は,以下のような所見を主に伴って現れるような尿の変化に基づいて分類される: ネフローゼレベルのタンパク尿,およびネフローゼ型の尿沈渣所見(nephrotic urine sediment;脂肪円柱,卵円形脂肪体を認めるが,細胞と細胞円... さらに読む )がないか検討すべきである。また,糸球体疾患の素因となる病態,例えば結合組織疾患(特に 全身性エリテマトーデス 全身性エリテマトーデス(SLE) 全身性エリテマトーデスは,自己免疫を原因とする慢性,多臓器性,炎症性の疾患であり,主に若年女性に起こる。一般的な症状としては,関節痛および関節炎,レイノー症候群,頬部などの発疹,胸膜炎または心膜炎,腎障害,中枢神経系障害,血球減少などがある。診断には,臨床的および血清学的な基準が必要である。重症で進行中の活動性疾患の治療には,コルチコステロイドおよび免疫抑制薬を必要とする。 全症例のうち,70~90%が女性(通常妊娠可能年齢)に起こる。... さらに読む 全身性エリテマトーデス(SLE) [SLE]および 関節リウマチ 関節リウマチ(RA) 関節リウマチ(RA)は,主に関節を侵す慢性の全身性自己免疫疾患である。RAは,サイトカイン,ケモカイン,およびメタロプロテアーゼを介した損傷を引き起こす。特徴として,末梢関節(例,手関節,中手指節関節)に対称性に炎症が生じ,結果として関節構造が進行性に破壊される(通常は全身症状を伴う)。診断は特異的な臨床所見,臨床検査結果,および画像所見に基づく。治療としては,薬物療法,理学療法,およびときに手術を行う。疾患修飾性抗リウマチ薬は症状のコ... さらに読む 関節リウマチ(RA) ), 心内膜炎 感染性心内膜炎 感染性心内膜炎は,心内膜の感染症であり,通常は細菌(一般的にはレンサ球菌またはブドウ球菌)または真菌による。発熱,心雑音,点状出血,貧血,塞栓現象,および心内膜の疣贅を引き起こすことがある。疣贅の発生は,弁の閉鎖不全または閉塞,心筋膿瘍,感染性動脈瘤につながる可能性がある。診断には血液中の微生物の証明と通常は心エコー検査が必要である。治療... さらに読む 感染性心内膜炎 ,シャント感染症,および 腹腔内膿瘍 腹腔内膿瘍 膿瘍は腹腔および後腹膜のいずれの部位でも生じる可能性がある。主に手術後,外傷後,または腹腔内の感染および炎症が関与する病態に続いて発生し,特に腹膜炎または穿孔が起きた場合に生じやすい。症状は倦怠感,発熱,および腹痛である。診断はCTによる。治療は外科的ドレナージまたは経皮的ドレナージのいずれかである。抗菌薬は補助的に使用する。 ( 急性腹痛も参照のこと。) 腹腔内膿瘍(intra-abdominal... さらに読む 腹腔内膿瘍 も同定すべきである。泌尿生殖器癌の危険因子も同定すべきであり,具体的には喫煙(最も重大),薬剤(例,シクロホスファミド,フェナセチン),および工業用化学薬品(例,硝酸,ニトリロ三酢酸,亜硝酸,トリクロロエチレン)への曝露などが挙げられる。

家族歴の聴取では, 多発性嚢胞腎 常染色体優性多発性嚢胞腎 (ADPKD) 多発性嚢胞腎(PKD)は腎嚢胞を形成する遺伝性疾患で,両腎の段階的な腫大をもたらし,ときには腎不全に進行する。ほぼ全種類が家族性の遺伝子変異に起因する。症状と徴候は,側腹部痛,腹痛,血尿,高血圧などである。診断はCTまたは超音波検査による。治療は,腎不全に至る前は対症療法,腎不全発生後は透析または移植である。 ( 嚢胞性腎疾患の概要も参照のこと。) 多発性嚢胞腎(PKD)の遺伝形式は以下の通りである:... さらに読む 常染色体優性多発性嚢胞腎 (ADPKD) 糸球体疾患 糸球体疾患の概要 糸球体疾患の重要な特徴は タンパク尿であり,ネフローゼレベル(3g/日以上)となることも多い。 糸球体疾患は,以下のような所見を主に伴って現れるような尿の変化に基づいて分類される: ネフローゼレベルのタンパク尿,およびネフローゼ型の尿沈渣所見(nephrotic urine sediment;脂肪円柱,卵円形脂肪体を認めるが,細胞と細胞円... さらに読む ,および泌尿生殖器癌の罹患が判明している近親者を同定すべきである。 住血吸虫症 住血吸虫症 住血吸虫症は,血管寄生吸虫である住血吸虫属(Schistosoma属)による感染症であり,汚染された淡水中での遊泳または歩行により経皮的に感染する。住血吸虫は消化管または泌尿生殖器系の脈管に寄生する。急性症状は皮膚炎で,その数週間後に発熱,悪寒,悪心,腹痛,下痢,倦怠感,および筋肉痛が起こる。慢性症状は種により異なるが,血性下痢(例,マンソン住血吸虫[S.... さらに読む の流行地域への旅行歴について患者に質問すべきであり,また結核の危険因子について評価すべきである。薬歴の聴取では,抗凝固薬,抗血小板薬の使用(ただし,コントロールされた抗凝固療法自体は血尿の原因とならない),および鎮痛薬の大量使用に注意すべきである。

身体診察

腹部を触診して,腫瘤がないか確認すべきであり,側腹部を打診して,腎臓部分に圧痛がないか確認すべきである。男性では直腸指診を行い,前立腺の腫大,結節,および圧痛がないか確認すべきである。

顔面および四肢を視診して,浮腫(糸球体疾患を示唆する)がないか確認すべきであり,皮膚を視診して,発疹(血管炎 血管炎の概要 血管炎は血管の炎症であり,しばしば虚血,壊死,および臓器の炎症を伴う。血管炎は,あらゆる血管,すなわち動脈,細動脈,静脈,細静脈,または毛細血管を侵すことがある。具体的な血管炎疾患の臨床像は多彩であり,侵された血管の太さおよび部位,臓器病変の範囲,ならびに血管外の炎症の程度およびパターンによって異なる。... さらに読む 血管炎の概要 SLE 全身性エリテマトーデス(SLE) 全身性エリテマトーデスは,自己免疫を原因とする慢性,多臓器性,炎症性の疾患であり,主に若年女性に起こる。一般的な症状としては,関節痛および関節炎,レイノー症候群,頬部などの発疹,胸膜炎または心膜炎,腎障害,中枢神経系障害,血球減少などがある。診断には,臨床的および血清学的な基準が必要である。重症で進行中の活動性疾患の治療には,コルチコステロイドおよび免疫抑制薬を必要とする。 全症例のうち,70~90%が女性(通常妊娠可能年齢)に起こる。... さらに読む 全身性エリテマトーデス(SLE) ,または IgA血管炎 IgA血管炎(IgAV) IgA血管炎(以前はヘノッホ-シェーンライン紫斑病と呼ばれた)は主に小型の血管を侵す血管炎である。小児に最も多く生じる。一般的な症状としては,触知可能な紫斑,関節痛,消化管の症候,糸球体腎炎などがある。小児では診断を臨床的に行うが,成人では通常は生検が必要である。通常,小児では自然治癒し,成人では慢性化する。コルチコステロイドで関節痛および消化管症状を低減できるが,疾患の経過が変わることはない。進行性糸球体腎炎は,高用量コルチコステロイ... さらに読む IgA血管炎(IgAV) を示唆する)がないか確認すべきである。

警戒すべき事項(Red Flag)

所見の解釈

様々な原因間で臨床像の有意な重複があるため,尿検査のほか,しばしば血液検査が必要となる。その結果に応じて,引き続き画像検査が必要になる場合もある。一方で,役立つ手がかりとなる臨床所見もある(血尿のよくみられる具体的原因 血尿のよくみられる具体的原因 血尿のよくみられる具体的原因 の表を参照)。

一方,一部のよくみられる所見(例,前立腺腫大,過剰な抗凝固療法)は血尿の潜在的な原因ではあるものの,さらなる評価を行わずにこれらを原因と仮定してはならない。

検査

検査を進める前に,尿検査により真の血尿を赤色尿と鑑別すべきである。性器出血のある女性では,尿路以外に由来する血液の混入を防ぐため,尿道カテーテルで検体を採取すべきである。赤血球が含まれていない赤色尿は,ミオグロビン尿,ヘモグロビン尿, ポルフィリン症 ポルフィリン症の概要 ポルフィリン症は,ヘム生合成経路における遺伝的または後天的な酵素欠損によりヘモグロビンの代謝に異常が生じるまれな疾患である。これらの欠損によりヘム前駆体が蓄積し,毒性が生じる。ポルフィリン症はどの酵素が欠損しているかによって定義される。主な臨床像は,内臓神経異常(急性ポルフィリン症)と皮膚光線過敏症(皮膚ポルフィリン症)の2つである。... さらに読む ,または特定の薬剤もしくは食品の摂取を示唆する。一般に,血尿の有無は2本目の検体を検査して確認すべきである。

円柱,タンパク質,または変形赤血球(スパイク状,折り畳み状,コブ状の形態)は 糸球体疾患 糸球体疾患の概要 糸球体疾患の重要な特徴は タンパク尿であり,ネフローゼレベル(3g/日以上)となることも多い。 糸球体疾患は,以下のような所見を主に伴って現れるような尿の変化に基づいて分類される: ネフローゼレベルのタンパク尿,およびネフローゼ型の尿沈渣所見(nephrotic urine sediment;脂肪円柱,卵円形脂肪体を認めるが,細胞と細胞円... さらに読む を示唆する。白血球または細菌は感染性の病因を示唆する。しかしながら,一部の 膀胱炎 膀胱炎 細菌性尿路感染症(UTI)は,尿道,前立腺,膀胱,または腎臓で発生する。症状は認められない場合もあれば,頻尿,尿意切迫,排尿困難,下腹部痛,および側腹部痛がみられる場合もある。腎臓の感染では,全身症状や敗血症が発生する場合もある。診断は尿の分析および培養に基づく。治療は抗菌薬投与と尿路カテーテルの抜去および閉塞の解除による。 ( 尿路感染症に関する序論; グラム陰性桿菌; 前立腺炎;および... さらに読む 患者では尿検査で主に赤血球が認められることから,尿培養が通常行われる。培養の結果が陽性の場合は,抗菌薬による治療が必要である。治療後に血尿が消失し,他の症状が存在しない場合は,50歳未満の患者(特に女性)にはそれ以上の評価は不要である。

患者が35歳未満(小児を含む)で,顕微鏡的血尿のみを呈し,糸球体疾患を示唆する尿検査所見,何らかの原因を示唆する臨床症状,がんの危険因子がいずれも認められず,かつ良性の原因(例,感染症,軽度の外傷)が同定されている場合には,6~12カ月毎に尿検査を繰り返す経過観察とすることができる。良性の原因が明らかでない場合や血尿が持続する場合は,検査の適応であり(1 総論の参考文献 血尿とは尿中に赤血球が認められる状態のことであり,具体的には,尿沈渣で強拡大の1視野当たり赤血球が3個以上認められる場合とされる。尿は赤色,血性,またはコーラ色(膀胱内に貯留した血液が酸化した肉眼的血尿)を呈する場合もあれば,肉眼的には無色に見える場合(顕微鏡的血尿)もある。無症候性血尿(isolated hematuria)とは,尿中に赤血球が認められるが,それ以外の尿異常(例,... さらに読む ),超音波検査または造影CTから開始し,その後はときに膀胱鏡検査を施行する。

肉眼的血尿または原因不明の全身症状を有する50歳未満の患者には,腹部および骨盤の超音波検査またはCTが必要である。

35歳以上の全例と35歳未満で危険因子(がんの家族歴や全身症状など)を有する患者には, 膀胱鏡検査 膀胱鏡検査 膀胱鏡検査は,光ファイバー製の硬性または軟性内視鏡を膀胱に挿入する検査である。 適応としては以下のものがある: 泌尿器疾患の診断の補助(例, 膀胱腫瘍, 膀胱内の結石, 前立腺肥大症) 尿道狭窄の治療 尿管X線撮影またはJJ(ダブルJ)ステント(腎盂および膀胱に留置する遠位端がコイル状になったステント)留置のための膀胱へのアクセス さらに読む 膀胱鏡検査 が必要である(1 総論の参考文献 血尿とは尿中に赤血球が認められる状態のことであり,具体的には,尿沈渣で強拡大の1視野当たり赤血球が3個以上認められる場合とされる。尿は赤色,血性,またはコーラ色(膀胱内に貯留した血液が酸化した肉眼的血尿)を呈する場合もあれば,肉眼的には無色に見える場合(顕微鏡的血尿)もある。無症候性血尿(isolated hematuria)とは,尿中に赤血球が認められるが,それ以外の尿異常(例,... さらに読む )。50歳以上の男性患者は,共同での意思決定を通じて 前立腺特異抗原 前立腺特異抗原(PSA)値 前立腺肥大症(benign prostatic hyperplasia:BPH)は,前立腺尿道周囲部が良性腺腫として増大した状態である。症状は下部尿路閉塞の症状である(尿勢低下,排尿遅延,頻尿,尿意切迫,夜間頻尿,残尿,終末時滴下,溢流性または切迫性尿失禁,完全尿閉)。診断は主に直腸指診と症状に基づき,膀胱鏡検査,経直腸的超音波検査,尿流... さらに読む 検査について話し合う必要があり,その値が高い患者には前立腺癌に対するさらなる評価が必要である。

総論の参考文献

無症候性血尿の治療

治療は原因に対して行う。

無症候性血尿の要点

  • 赤色尿と真の血尿(尿中に赤血球が混入した状態)を鑑別すべきである。

  • 尿検査および尿沈渣は,糸球体に由来する原因と糸球体以外に由来する原因を鑑別する上で参考になる。

  • 重篤な疾患のリスクは,加齢ならびに血尿の持続期間および程度とともに増大する。

  • 35歳以上の患者と35歳未満で全身症状またはがんの危険因子を有する患者には,膀胱鏡検査と画像検査が通常必要になる。

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