血尿のよくみられる具体的原因

原因

示唆する所見

診断アプローチ*

感染症

尿路刺激症状(発熱を伴う場合もある)

尿検査および培養

結石

突然発症する重度の側腹部痛または腹痛で,通常は仙痛で,ときに嘔吐を伴う

腹部単純CTまたは腹部超音波検査

糸球体疾患(多様な形態)

多くの患者では高血圧,浮腫,またはその両方

尿が赤色または暗色(コーラ色)を呈することがある

ときに感染の先行,腎疾患の家族歴,または結合組織疾患

通常はタンパク尿(菲薄基底膜病および軽症のIgA腎症は除く)

尿検査

尿沈渣で赤血球円柱および変形赤血球がないか確認する

血清学的検査

腎生検

泌尿生殖器癌(膀胱腎臓前立腺尿管

主に50歳以上の患者と危険因子(喫煙,家族歴,化学薬品または薬剤[例,フェナセチン,シクロホスファミド]への曝露)を有する患者

ときに膀胱癌に伴う排尿症状

しばしば腎細胞癌の全身症状

ほかに明らかな原因がみられない患者については,全例で膀胱鏡検査と可能であれば膀胱生検を施行し,前立腺癌が疑われる場合はPSA検査と状況に応じて前立腺生検を行う

前立腺肥大症

主に50歳以上の患者

しばしば尿路閉塞症状

触知可能な前立腺の腫大

PSA

排尿後残尿量の測定

骨盤超音波検査

前立腺炎

主に50歳以上の患者

しばしば尿路の刺激症状および閉塞症状

急性感染症に伴う前立腺の疼痛および圧痛

臨床的評価

ときに経直腸的超音波検査または膀胱鏡検査

多発性嚢胞腎

慢性の側腹部痛または腹痛

高血圧

大きな腎臓

腹部の超音波検査または単純CT/MRI

腎乳頭梗塞または壊死

鎌状赤血球症または鎌状赤血球形質を有する患者(例,黒人,主に小児および若年成人,しばしば既知の疾患を有する)で多い

ときに鎮痛薬の大量使用(鎮痛薬腎症

ときに鎌状赤血球症のスクリーニング(sickle cell preparation)とヘモグロビン電気泳動

子宮内膜症

血尿が月経と同時に発生する

臨床的評価

外傷(鈍的または穿通性)

通常は血尿ではなく外傷として受診する

腹部および骨盤CT

腰部痛血尿症候群

側腹部痛

血尿

尿検査およびCT

ナッツクラッカー現象

血尿

左精巣痛

精索静脈瘤

CT血管造影

*全例で尿検査と腎機能の評価が必要であり,高齢患者には腎臓および骨盤の画像検査も必要である。

Hb = ヘモグロビン;PSA = 前立腺特異抗原。

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