全身性疾患の足の臨床像

足の症状または徴候

考えられる原因

安静時(足を上げた状態)の疼痛,足を下にすることにより軽減

末期の末梢動脈疾患

冷たい,発赤がある,またはチアノーゼの足

進行した動脈虚血

間欠的に生じる発赤,熱感,強い疼痛,足の灼熱感

肢端紅痛症―特発性(最も一般的)または種々の疾患に続発(例,まれな,骨髄増殖性疾患)

数秒以内または場合により数分以内に重症化する足の疼痛(特に心房細動がある場合);足はしばしば冷たく蒼白になり,部分的に変色する

塞栓性の動脈閉塞症

単一の足趾のチアノーゼ(blue toe syndrome)

大動脈-腸骨動脈の狭窄,不整脈,またはコレステロール塞栓症(冠動脈バイパス術後またはカテーテル挿入後)による血栓塞栓性疾患

ワルファリン療法

両側性または片側性の間欠的な指の不快感,蒼白,およびチアノーゼのほか,ときに圧痛を伴う赤紫色の丘疹が長期間持続することもある(「凍瘡」)

レイノー症候群

無痛の両側性チアノーゼ

肢端チアノーゼ,薬剤性の変色(例,ミノサイクリン)

両側性の浮腫

腎機能障害,肝機能障害,心機能障害,または腹腔内の静脈閉塞

薬剤(例,カルシウム拮抗薬)

片側性の浮腫

深部静脈血栓症

リンパ管閉塞

足および下肢の硬い非圧痕性浮腫

リンパ浮腫

全身性強皮症

果より上の,結節性の外観を有する硬い非圧痕性浮腫

脛骨前粘液水腫

ヘモジデリン沈着および茶色がかった変色を伴う浮腫

静脈不全

繰り返すまたは過去の小型血管の血管炎

慢性浮腫の患者でより多くみられる足関節および踵のしびれおよび疼痛(足根管症候群)

甲状腺機能低下症

再発する対称性の血清反応陰性の滑膜炎(まれ)

弛緩性水疱を伴う背側の赤く黒ずんだ斑点(壊死性肢端性紅斑[necrolytic acral erythema])

C型肝炎

血管炎

塞栓

疼痛を伴う単独の足趾の腫脹および変形(趾炎,ソーセージ状の足趾)

乾癬性関節炎

反応性関節炎

その他の脊椎関節症

結晶誘発性関節炎

感染症

錯感覚を伴う足の疼痛

末梢神経障害(局所性または全身性―例,糖尿病性神経障害

虚血

下肢および足の疼痛または錯感覚;下肢を伸ばしたときの足および背部の疼痛,膝関節を屈曲させると軽減

坐骨神経痛

熱感および発赤を伴う足趾,足,または足関節の疼痛

蜂窩織炎,痛風ピロリン酸カルシウム関節炎感染性関節炎

骨粗鬆症または繰り返す外傷に関連した脆弱性骨折を含む疲労骨折

ほとんどまたは全く疼痛を伴わない,足の腫脹,発赤,および熱感

神経病性関節症(シャルコー関節;疼痛は通常ない)

歩行時における靴のヒールカウンター(月形芯)最上部より下の踵後方の疼痛

腱付着部における腱の圧痛(診断に役立つ)

他動的な足関節の背屈による腱の疼痛の増悪

脊椎関節症に関連したアキレス腱付着部症(例,強直性脊椎炎乾癬性関節炎),果後部の滑液包炎