乾癬性関節炎

執筆者:Kinanah Yaseen, MD, Cleveland Clinic
Reviewed ByBrian F. Mandell, MD, PhD, Cleveland Clinic Lerner College of Medicine at Case Western Reserve University
レビュー/改訂 修正済み 2024年 4月
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乾癬性関節炎は血清反応陰性脊椎関節症の1つであり,皮膚または爪に乾癬のある人に生じる慢性の炎症性関節疾患である。乾癬性関節炎は非対称性であることが多く,病態によっては遠位指節間関節が侵される。皮膚障害と関節障害で重症度に差があることが多い。診断は臨床的に行う。治療は疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)による。

乾癬性関節炎は乾癬患者の約20%に発生する(1)。HIV感染患者では有病率が高い。ヒト白血球抗原B27(HLA-B27)アレルを有するか,家族が他の特異的な一部のアレル(HLA-Cw6,HLA-B38,HLA-B39,HLA-DR)を有する患者でリスクが高い(2)。乾癬性関節炎の病因および病態生理は不明である。

総論の参考文献

  1. 1.Alinaghi F, Calov M, Kristensen LE, et al: Prevalence of psoriatic arthritis in patients with psoriasis: a systematic review and meta-analysis of observational and clinical studies. J Am Acad Dermatol 80(1):251-265.e19, 2019.doi:10.1016/j.jaad.2018.06.027

  2. 2.Gladman DD, Anhorn KA, Schachter RK, Mervart H: HLA antigens in psoriatic arthritis. J Rheumatol.1986;13(3):586-592.

乾癬性関節炎の症状と徴候

関節障害の前または後に皮膚または爪の乾癬が生じることがある。関節疾患と皮膚疾患の重症度が一致しないことも多い。皮膚病変が頭皮,耳,殿裂,または臍に隠れ,患者が気づかないこともある。

末梢の乾癬性関節炎は,小関節,中関節,および大関節を侵すことがあり,手指および足趾の遠位指節間関節を侵す傾向が強い。非対称性の少関節炎,対称性の多関節炎(関節リウマチと混同されることがある),および指の短縮を伴う急速な破壊性関節炎を特徴とするムチランス型関節炎など,様々なパターンで発症することがある。

関節と皮膚の症状が,同時に軽減または悪化することがある。手指,足趾,またはその両方の屈筋腱の炎症によってソーセージ状の変形(指炎)が生じることがあり,これは関節リウマチの患者ではみられない。リウマチ結節はみられない。関節炎の寛解は,関節リウマチと比べて高頻度,急速,かつ完全である傾向があるが,慢性関節炎および身体障害への進行が起こることがある。

腱付着部症(腱の骨への付着部における炎症;例,アキレス腱炎,膝蓋腱炎,肘関節の上顆,椎骨の棘突起)が生じて,疼痛および腫脹を引き起こすことがある。

体軸関節の病変がみられることがあり(特にHLA-B27陽性の男性患者),通常は仙腸関節の非対称性の病変として現れる。

乾癬性関節炎
遠位指節間関節の腫脹
遠位指節間関節の腫脹

この画像には,乾癬性関節炎患者にみられる右第4指の遠位指節間関節の腫脹が写っている。

この画像には,乾癬性関節炎患者にみられる右第4指の遠位指節間関節の腫脹が写っている。

Image courtesy of Kinanah Yaseen, MD.

乾癬(指炎)
乾癬(指炎)

この写真には,乾癬性関節炎患者の手指にみられたソーセージ状の変形(指炎)が写っている。爪の陥凹および皮膚のサーモンパッチも明らかである。

この写真には,乾癬性関節炎患者の手指にみられたソーセージ状の変形(指炎)が写っている。爪の陥凹および皮膚のサーモンパッチも明らかである。

© Springer Science+Business Media

乾癬(頭皮)
乾癬(頭皮)

この写真には,乾癬患者の頭皮にみられた鱗屑を伴う赤い肥厚した皮膚が写っている。

この写真には,乾癬患者の頭皮にみられた鱗屑を伴う赤い肥厚した皮膚が写っている。

DR P. MARAZZI/SCIENCE PHOTO LIBRARY

乾癬(肘)
乾癬(肘)

この写真には,肘関節伸側面に生じた,銀白色の鱗屑で覆われた紅色局面が写っている。これは尋常性乾癬の典型的な外観である。

この写真には,肘関節伸側面に生じた,銀白色の鱗屑で覆われた紅色局面が写っている。これは尋常性乾癬の典型的な外観である。

SCIENCE PHOTO LIBRARY

乾癬性関節炎の診断

  • 臨床的評価

  • リウマトイド因子(RF)

乾癬と関節炎の両方がみられる患者では乾癬性関節炎を疑うべきである。乾癬は見落とされたり潜伏していたりする場合や,関節炎が起こって初めて発生する場合があるため,血清反応陰性の炎症性関節疾患患者(特に遠位指節間関節の病変がある場合,非対称性である場合もしくは下部脊椎が侵されている場合,または付着部炎および/もしくは指炎がみられる場合)では常に乾癬性関節炎を考慮すべきであり,そのような患者では診察して乾癬および爪の点状陥凹がないか確認し,乾癬の家族歴について質問すべきである。乾癬性関節炎を疑う患者では,リウマトイド因子の検査を行うべきである。ときに,リウマトイド因子の検査で陽性となることがある。しかし,抗環状シトルリン化ペプチド(抗CCP)抗体は関節リウマチに非常に特異的であり,乾癬性関節炎ではまれにしかみられない。

乾癬性関節炎の診断は臨床的に行い,同様の症候を引き起こすことがある他の疾患を除外することにより診断する。乾癬性関節炎でよくみられるX線所見としては,遠位指節間関節の病変,末節骨の骨吸収像および基節骨の杯状変形(cupping),ムチランス型関節炎,広範囲にわたる破壊,増殖性の骨反応,ソーセージ様の指趾,大小関節の脱臼などがある。関節リウマチとの鑑別に有用な主な特徴としては,乾癬の存在に加えて,指炎,関節の非対称性,遠位指節間関節および仙腸関節の病変,より顕著な付着部炎などの所見がある。

乾癬性関節炎の治療

  • 末梢関節炎に対して,生物学的製剤以外による様々な治療法,生物学的DMARD(例,腫瘍壊死因子[TNF]阻害薬,セクキヌマブ,イキセキズマブ,ウステキヌマブ,グセルクマブ,アバタセプト),または標的型合成DMARD

  • 体軸関節の病変に対して,TNF阻害薬,IL-17阻害薬,およびJAK(ヤヌスキナーゼ)阻害薬

乾癬性関節炎の治療では皮膚病変のコントロールと関節炎症の軽減に照準を合わせる。治療選択のアプローチは,個々の領域における疾患の影響(例,末梢関節炎,体軸性関節炎,指炎,付着部炎,皮膚疾患)を指針として決定する。(2018 American College of Rheumatology/National Psoriasis Foundation Guideline for the Treatment of Psoriatic ArthritisEULAR recommendations for the management of psoriatic arthritis with pharmacological therapies: 2019 update,およびGroup for Research and Assessment of Psoriasis and Psoriatic Arthritis (GRAPPA): updated treatment recommendations for psoriatic arthritis 2021を参照のこと。)

完全寛解または最小疾患活動性の達成を目的としたtreat-to-targetアプローチが提唱されており,DAPSA(disease activity index for psoriatic arthritis)またはMDA(minimal disease activity)スコアを用いて受診のたびに評価することができる(1,2)。

末梢関節炎は,メトトレキサートやサラゾスルファピリジン,レフルノミドなど,生物学的製剤以外の治療法に反応する可能性がある。ヒドロキシクロロキンは,必ずしも有益とはならず,剥脱性皮膚炎を引き起こしたり,基礎にある乾癬を悪化させたりする可能性があるため,使用を避けるのが通常である。末梢関節炎に効果的なその他の薬剤としては,アプレミラスト,TNF阻害薬,IL-17阻害薬(例,セクキヌマブ,イキセキズマブ),IL-12/23阻害薬(例,ウステキヌマブ,グセルクマブ),IL-23阻害薬(グセルクマブ),JAK阻害薬(例,トファシチニブ),CTLA-4(cytotoxic T lymphocyte-associated antigen 4)免疫グロブリン融合タンパク質(アバタセプト)などがある。TNF阻害薬は,関節疾患と皮膚疾患の両方に対して特に効果的である。

体軸関節の病変に対する治療選択肢としては,TNF阻害薬,IL-17阻害薬,JAK阻害薬などがある。

メトトレキサートは,低用量(例,10~15mg,経口,週1回を葉酸[典型的には1mg,経口,1日1回]とともに)で投与する。患者が耐えることができるが効果が十分でなければ,メトトレキサートの用量を,3~5週間の間隔を空けてから最高25mgの週1回経口投与または注射まで増量する(単回で15mgを超える場合は経口での生物学的利用能が低下する)。一部の患者では,関節より皮膚の方がメトトレキサートによく反応する。乾癬患者では代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)の有病率が高いため,トランスアミナーゼ値と飲酒量を注意深くモニタリングすべきである。

サラゾスルファピリジンは通常は腸溶錠として投与する。効果は3カ月以内に現れるはずである。腸溶性コーティングまたは用量の減量により,忍容性が高まることがある。早期に好中球減少が起こることがあるため,1~2週後およびその後の治療中約12週毎に血算を測定すべきである。アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)およびアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)を約6カ月毎に,また増量時にも常に測定すべきである。反応は一貫していない。

アプレミラストは,乾癬および乾癬性関節炎に対して効果的なホスホジエステラーゼ4阻害薬である。有害作用としては,下痢,悪心,頭痛,抑うつ,体重減少などがある。この薬剤に対しては,関節よりも皮膚の方がよく反応することが多い。

腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬(例,アダリムマブ,エタネルセプト,ゴリムマブ,セルトリズマブ ペゴル,インフリキシマブ,およびそれらのバイオ後続品)は,関節損傷の進行を軽減する(3)。TNF阻害薬は,ときに逆説的に,局面,掌蹠膿疱症,滴状乾癬などの乾癬様の反応を引き起こす。

セクキヌマブはIL-17阻害薬である。セクキヌマブは,単剤での使用とメトトレキサートとの併用が可能である。有害作用としては,蕁麻疹,上気道感染症,Candida属による真菌感染症,下痢,帯状疱疹,炎症性腸疾患の増悪などがある。

イキセキズマブは,IL-17A阻害薬である。中等症から重症の尋常性乾癬の成人患者で全身療法または光線療法の適応がある場合と,活動性の乾癬性関節炎の成人患者が適応である。単剤で投与することもあれば,従来のDMARD(例,メトトレキサート)と併用することもある。イキセキズマブは上気道感染症および真菌感染症のリスクを高め,炎症性腸疾患の症状悪化との関連も報告されている。

ウステキヌマブは,インターロイキン12(IL-12)およびIL-23阻害薬である。有害作用としては,感染リスクや非感染性の肺炎などがある。

グセルクマブは,抗IL-23特異的モノクローナル抗体であり,中等度から重度の乾癬の治療に効果的であり,乾癬性関節炎の治療にも効果的であることが示されている。

トファシチニブは,経口用のJAK阻害薬である。活動性の乾癬性関節炎の成人患者で,メトトレキサートまたはその他のDMARDに対して十分な反応が得られないか,これらに耐えられない場合に使用可能となる。有害作用としては,感染症のリスク(特に水痘帯状疱疹ウイルスの再活性化),クレアチニン値上昇,好中球減少症,静脈血栓塞栓症,高脂血症などの可能性がある。JAK阻害薬に伴う主要心血管イベントおよび悪性腫瘍の詳細については,関節リウマチ:治療を参照のこと(4)。

アバタセプトは,CTLA-4(cytotoxic T lymphocyte-associated antigen 4)と免疫グロブリンを融合させた可溶性タンパク質である。活動性乾癬性関節炎の成人患者に使用可能であり,単剤または従来型合成DMARD(例,メトトレキサート,サラゾスルファピリジン,レフルノミド)との併用で使用できる。アバタセプトは点滴静注または皮下注射で投与できる。有害作用としては,肺毒性,易感染状態,頭痛,上気道感染症,咽頭痛,悪心などがある。

治療に関する参考文献

  1. 1.Schoels MM, Aletaha D, Smolen JS: Defining remission and treatment success using the DAPSA score: response to letter by Helliwell and Coates. Ann Rheum Dis 74(12):e67, 2015.doi:10.1136/annrheumdis-2015-208521

  2. 2.Coates LC, Helliwell PS: Validation of minimal disease activity criteria for psoriatic arthritis using interventional trial data. Arthritis Care Res (Hoboken) 62(7):965-969, 2010.doi:10.1002/acr.20155

  3. 3.Goulabchand R, Mouterde G, Barnetche T, et al: Effect of tumour necrosis factor blockers on radiographic progression of psoriatic arthritis: a systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials. Ann Rheum Dis.2014;73(2):414-419.doi:10.1136/annrheumdis-2012-202641

  4. 4.Ytterberg SR, Bhatt DL, Mikuls TR, et al: Cardiovascular and cancer risk with tofacitinib in rheumatoid arthritis. N Engl J Med 386(4):316-326, 2022.doi:10.1056/NEJMoa2109927

要点

  • 乾癬性関節炎は乾癬患者に生じる慢性炎症性の脊椎関節症であるが,乾癬は軽度であるもしくは見落とされる場合もあれば,まだ発生していない場合もある。

  • 関節炎は一般的に非対称性であり,大小の関節(体軸関節を含む)を侵し,典型的には他の関節よりも手指および足趾の遠位指節間(DIP)関節を侵す。

  • 臨床所見に基づいて診断する。

  • 主に侵されている領域(例,末梢関節炎および/または体軸性関節炎)に応じて,疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)で治療する。

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