妊娠中の社会的薬物と違法薬物

執筆者:Ravindu Gunatilake, MD, Valley Perinatal Services;
Avinash S. Patil, MD, University of Arizona College of Medicine
Reviewed ByOluwatosin Goje, MD, MSCR, Cleveland Clinic, Lerner College of Medicine of Case Western Reserve University
レビュー/改訂 2023年 10月 | 修正済み 2025年 1月
v85336160_ja
意見 同じトピックページ はこちら

喫煙は,妊婦において最もよくみられる依存症である。タバコ中の一酸化炭素およびニコチンは,低酸素症ならびに血管収縮を引き起こし,以下のリスクを増大させる:

喫煙する母親から生まれた新生児にはまた,無脳症,先天性心疾患,口唇口蓋裂,乳児突然死症候群,身体発育障害および知的発達障害,および行動面の問題がもたらされる可能性が高い。禁煙または喫煙制限によってリスクは減少する。

副流煙への曝露も同様に胎児に害を及ぼす可能性がある。

アルコールは最もよく使用されている,催奇形性のある物質である。妊娠中の飲酒は自然流産のリスクを増大させる。リスクはおそらくアルコール摂取量と関連するが,リスクなしとされる量は分かっていない。日常的な飲酒により出生体重は約1~1.3kg減少する。特にビンジ飲酒は,おそらく1日当たりの純アルコール摂取量が45mL(約3ドリンクに相当)程度の少量であっても,胎児性アルコール症候群を引き起こす可能性がある。【訳注:1ドリンクはエタノール量14g】この症候群は出生1000例当たり2.2例の頻度で発生し,胎児発育不全,顔面および心血管系の異常,ならびに神経機能障害などが含まれる。また知的障害の主な原因であり,発育不良による新生児死亡を引き起こしうる。

コカインまたはメタンフェタミンなどの精神刺激薬には間接的な胎児リスク(例,妊娠中の母体の脳卒中または死亡)がある。これらの使用によりおそらく胎児の血管収縮および低酸素症も引き起こす。反復使用によって以下のリスクが増大する:

大麻の主要代謝物は胎盤を通過できるが,マリファナの娯楽的使用によって,先天性形成異常または胎児発育不全のリスクが必ず増大するとは限らないようである。妊娠中のマリファナの使用は,在胎不当過小(small-for-gestational-age),切迫早産,乳児の神経発達面および行動面の問題などの不良な妊娠転帰と関連づけられている。複数の州でマリファナが娯楽目的で入手しやすくなっていること,およびより広範な用途に使用されている傾向により,時間の経過とともにマリファナの作用への理解が向上していく可能性がある。

バスソルトは様々なアンフェタミン類似物質から作られる一群の違法な合成麻薬を指す;これらの薬物が妊娠中に使用されることが増えている。作用はあまり解明されていないが,胎児が血管収縮および低酸素症を来す可能性が高く,死産,常位胎盤早期剥離,およびおそらく先天性形成異常のリスクがある。

幻覚剤は,薬剤の種類により以下のリスクを増大させる可能性がある:

幻覚剤にはメチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA,通称エクスタシー),ロヒプノール,ケタミン,メタンフェタミン,LSD(リゼルグ酸ジエチルアミド)などがある。

オピオイド(例,ヘロイン,メサドン,モルヒネ)は容易に胎盤を通過するため,胎児のオピオイド依存を招くことがある。生後6時間~8日に,新生児に離脱症状が起こる可能性がある。ただし,オピオイドの使用により先天性形成異常が発生することはまれである。ブプレノルフィンなどのオピオイド部分作動薬による治療は,メサドンと比較して新生児離脱症状のリスク低下と関連している可能性があり,妊娠中にオピオイド依存がみられる患者に対して使用されることが増えている。

妊娠中のオピオイドの使用により,以下のような妊娠合併症のリスクが増大する:

ヘロインは在胎不当過小児(small-for-gestational-age infant)となるリスクを増加させる。

大量のカフェイン摂取が周産期リスクを増加させるかは不明である。少量のカフェイン摂取(例,1日1杯のコーヒー)では,胎児へのリスクがほとんどまたは全くないようであるが,いくつかのデータ(喫煙や飲酒摂取については説明なし)により,多量の摂取(1日7杯を超えるコーヒー)が死産,早産,低出生体重児,自然流産のリスクを増大させることが示唆されている。カフェインを除去した飲料は,理論的に胎児へのリスクをほとんどもたらさない。

アスパルテーム(ダイエット用砂糖代用品)の妊娠中の使用は,しばしば問題視されている。アスパルテームの最も一般的な代謝物であるフェニルアラニンは,胎盤の能動輸送によって胎児内で濃縮される;毒性濃度になれば知的障害を引き起こす可能性がある。しかしながら,摂取量が通常の範囲内であれば,胎児のフェニルアラニン濃度は毒性濃度よりはずっと低くなる。したがって,妊娠中のアスパルテーム摂取量が適当であれば(例,1日にダイエットソーダ1リットル以下),胎児毒性のリスクはほとんどないようである。しかしながら,フェニルケトン尿症の妊婦においては,フェニルアラニンの摂取,つまりアスパルテームの摂取も禁じられる。

quizzes_lightbulb_red
Test your KnowledgeTake a Quiz!
iOS ANDROID
iOS ANDROID
iOS ANDROID