いくつかの全身性リウマチ性疾患がぶどう膜の炎症を起こす。(ぶどう膜炎の概要も参照のこと。)
脊椎関節症
血清反応陰性脊椎関節症は,前部ぶどう膜炎の一般的な原因である。
血清反応陰性脊椎関節症の中では,眼の炎症は強直性脊椎炎でみられる頻度が最も高いが(1),反応性関節炎,炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎およびクローン病),ならびに乾癬性関節炎でも起こる。ぶどう膜炎は典型的には片眼性であるが,再発することが多く,活動性の炎症が両眼交互に起こりうる。女性よりも男性に多い。大半の患者は,性別にかかわらずHLA-B27陽性である。
コルチコステロイドの局所投与および調節麻痺・散瞳薬による治療が必要である(2)。ときに,眼周囲へのコルチコステロイド注射が必要となる。重症慢性例には,ステロイド以外の免疫抑制薬(例,メトトレキサート,ミコフェノール酸モフェチル,腫瘍壊死因子阻害薬)が必要になることがある。
若年性特発性関節炎(JIA)
JIAは,以前は若年性関節リウマチとして知られていたが,患児,特に少関節型の患児に,両眼性の慢性虹彩毛様体炎を引き起こすのが特徴である。しかしながら,他の大半の前部ぶどう膜炎の病型と異なり,JIAに伴うぶどう膜炎では疼痛,羞明,および結膜充血が現れず,霧視および縮瞳のみを認める傾向にあるため,しばしば白い虹彩炎と呼ばれる。無症状のこともある。症状が見逃される場合や無症状の場合があるため,JIA患者は定期的にスクリーニングを受けるべきである。
対照的に,関節リウマチではぶどう膜炎を単独で伴うことはないが,強膜炎を引き起こすことがあり,これにぶどう膜の炎症が続発することがある。
炎症の再燃に対する最善の治療は,コルチコステロイドの局所投与および調節麻痺・散瞳薬である(3)。疾患の慢性的性質および治療に関連して白内障および緑内障を発症するリスクを考慮すると,長期コントロールには,しばしばステロイド以外の免疫抑制薬(例,メトトレキサート,ミコフェノール酸モフェチル,腫瘍壊死因子阻害薬)が必要となる。
サルコイドーシス
サルコイドーシスはぶどう膜炎の症例の最大25%を占め(4),様々な研究により,白人のサルコイドーシス患者の10~50%がぶどう膜炎を発症することが明らかにされている(5)。サルコイドーシスによるぶどう膜炎はアフリカ系の人(5)および高齢者でより頻度が高い。
実質的に,前部,中間部,後部,または汎ぶどう膜炎のあらゆる症状と徴候が起こりうる。本疾患が示唆される所見には,結膜肉芽腫;角膜内皮上の大きな角膜後面沈着物(いわゆる肉芽腫性角膜後面沈着物または豚脂様角膜後面沈着物);虹彩,網膜,または脈絡膜の肉芽腫;および網膜血管炎などがある。本疾患を示唆する病変の生検により最も確実な診断が得られ,通常は結膜から採取される;手技に関連するリスクがあるため,眼内組織で生検を行うことはまれである。
治療には通常,コルチコステロイドの局所,眼周囲(注射),眼内,もしくは全身投与,またはこれらの組合せに調節麻痺・散瞳薬の局所投与を併用する(5)。中等度から重度の炎症または慢性疾患がある患者,または全身性病変を呈する患者では,ステロイド以外の免疫抑制薬(例,メトトレキサート,ミコフェノール酸モフェチル,腫瘍壊死因子阻害薬)が必要となりうる。
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ベーチェット病
ベーチェット病は北米ではまれであるが,地中海沿岸から東アジアにかけての国(古代シルクロードとして知られる)では,ぶどう膜炎の原因としてより頻度が高い。
典型的な所見には,前房蓄膿を伴う重症前部ぶどう膜炎,網膜炎,網膜血管炎,および視神経乳頭炎などがある。臨床経過は通常重度で,頻回の再発を伴う。
診断には,口腔内アフタ性潰瘍または陰部潰瘍,結節性紅斑を含む皮膚炎,血栓性静脈炎,または精巣上体炎などの関連する全身所見を認める必要がある。閉塞性血管炎を証明するため,口腔内アフタ性潰瘍の生検をすることもある。ベーチェット病に対する臨床検査はないが,HLA-B51と関連している。
コルチコステロイドの局所および全身投与ならびに調節麻痺・散瞳薬を用いた治療により急性増悪は軽減しうるが,炎症をコントロールし,長期コルチコステロイド療法による重篤な合併症を予防するため,最終的には大半の患者で,コルチコステロイドおよびコルチコステロイド以外の免疫抑制薬の全身投与が必要となる(6)。インターフェロンや腫瘍壊死因子阻害薬などの生物学的製剤は,他の治療に反応しない一部の患者で効果的であることが示されている。アルキル化薬(例,シクロスポリン,クロラムブシル)による寛解が得られている。
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フォークト-小柳-原田(VKH)病
フォークト-小柳-原田病は,皮膚および神経学的異常を伴うぶどう膜炎を特徴とする,まれな全身性疾患である。VKH病は,特にアジア人,インド人,アメリカンインディアン,およびヒスパニック系の子孫に好発する。ぶどう膜,皮膚,内耳,および髄膜のメラニン含有細胞に対する自己免疫反応が強く疑われているが,病因は不明である。
神経症状は初期に現れる傾向があり,耳鳴,聴力不全(聴覚失認),回転性めまい,頭痛,および髄膜症などがある。皮膚所見は後期によくみられ,白斑(特に眼瞼,腰部,および殿部に好発),白毛(限局する斑状の白髪,睫毛にみられることもある),ならびに脱毛などがあり,しばしば頭頸部にみられる。一般的な所見には,漿液性網膜剥離,視神経乳頭浮腫,および脈絡膜炎などがある。長期的な合併症には,白内障,緑内障,網膜下線維化,および脈絡膜血管新生などがある。
初期の治療法としては,コルチコステロイドの局所および全身投与や調節麻痺・散瞳薬などがある。多くの患者では,ステロイド以外の免疫抑制薬(例,メトトレキサート,ミコフェノール酸モフェチル)も必要である(7)。
尿細管間質性腎炎・ぶどう膜炎症候群(TINU)
TINUは典型的には急性かつ両側性の非肉芽腫性前部ぶどう膜炎を呈するが,視神経および黄斑の浮腫などの後部合併症を伴うことが多い。青年期の女性に最も多く発症するが,あらゆる年齢層で起こりうる。症状としては,眼痛および充血,視力低下,羞明などがある。患者にはウイルス性の前駆症状のほか,側腹部痛,多尿,夜間頻尿の既往がみられることがある。腎炎の評価には,尿中β2ミクログロブリン値の測定およびときに腎生検を含めることがある。TINUでは急性腎障害はしばしば自然治癒するが,眼疾患はしばしば慢性である(8)。
急性期には経口ステロイドによる治療が,慢性疾患にはコルチコステロイド以外の免疫抑制薬(例,ミコフェノール酸モフェチル)の使用がしばしば必要となる。
参考文献
1.Rosenbaum JT, Dick AD: The eyes have it: A rheumatologist's view of uveitis.Arthritis Rheumatol 70(10):1533-1543, 2018.doi: 10.1002/art.40568
2.Rademacher J, Poddubnyy D, Pleyer U: Uveitis in spondyloarthritis.Ther Adv Musculoskelet Dis 12:1759720X20951733, 2020.doi: 10.1177/1759720X20951733
3.Oray M, Tugal-Tutkun I: Treatment of juvenile idiopathy arthritis-associated uveitis.Turkish J Ophthalmol 46;2:77-82, 2016.doi: 10.4274/tjo.09581
4.Merrill PT, Kim J, Cox TA, et al: Uveitis in the southeastern United States.Curr Eye Res 16(9):865-874, 1997.doi: 10.1076/ceyr.16.9.865.5048
5.Giorgiutti S, Jacquot R, El Jammal T, et al: Sarcoidosis-related uveitis: A review.J Clin Med 12(9):3194, 2023.doi: 10.3390/jcm12093194
6.Joubert M, Desbois AC, Domont F, et al: Behçet's disease uveitis.J Clin Med 12(11):3648, 2023.doi: 10.3390/jcm12113648.
7.Joye A, Suhler E: Vogt-Koyanagi-Harada disease.Curr Opin Ophthalmol 32(6):574-582, 2021.doi: 10.1097/ICU.0000000000000809.
8.Koreishi AF, Zhou M, Goldstein DA: Tubulointerstitial nephritis and uveitis syndrome: Characterization of clinical features.Ocul Immunol Inflamm 17;29(7-8):1312-1317, 2021. doi: 10.1080/09273948.2020.1736311



