混合性結合組織病(MCTD)

執筆者:Kinanah Yaseen, MD, Cleveland Clinic
Reviewed ByKaren McKoy, MD, MPH, Harvard Medical School
レビュー/改訂 修正済み 2024年 11月
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混合性結合組織病は,全身性エリテマトーデス,全身性強皮症,および多発性筋炎の臨床的特徴がオーバーラップし,リボ核タンパク質抗原に対する血中抗核抗体価が大きく上昇することを特徴とする,特異的な定義のある,まれな症候群である。手の腫脹,レイノー症候群,多発性関節痛,炎症性ミオパチー,食道運動の減弱,および間質性肺疾患がよくみられる。診断は,臨床的特徴,リボ核タンパク質に対する抗体,および他の全身性リウマチ性疾患に特異的な抗体がみられないことの組合せによる。治療法は疾患の重症度と臓器病変により異なるが,通常はコルチコステロイドと追加の免疫抑制薬を使用する。

混合性結合組織病(MCTD)は世界中の全ての人種に発生しており,青年期で最も発生率が高い。男性より女性で多く報告される(1)。

MCTDの原因は不明である。多くの患者では,本疾患が古典的な全身性強皮症または全身性エリテマトーデス(SLE)へと徐々に進行する。そのため,一部の専門家の間では,MCTDをこれらと別の疾患とみなすことについてコンセンサスが得られていない。

総論の参考文献

  1. 1.Gunnarsson R, Molberg O, Gilboe IM, Gran JT; PAHNOR1 Study Group.The prevalence and incidence of mixed connective tissue disease: a national multicentre survey of Norwegian patients. Ann Rheum Dis.2011;70(6):1047-1051.doi:10.1136/ard.2010.143792

MCTDの症状と徴候

レイノー症候群(レイノー現象)は,他の症状出現より何年も先に起こることがある。初発症状はしばしば,早期のSLE全身性強皮症多発性筋炎,または関節リウマチにすら類似している。多くの患者では分類不能な結合組織疾患があるように最初は思われる。症状は進行して広範囲に及ぶことがあり,臨床パターンは時間の経過とともに変化する(1)。

初期において,手の広汎性の腫脹は典型的であるが常に存在するわけではない。皮膚所見としては,凍瘡,円板状病変,SLEのそれと類似した頬部紅斑などがある。広汎型の全身性強皮症に類似した皮膚の変化や,指先の虚血性壊死または潰瘍が生じることがある。

ほぼ全ての患者に多発性関節痛がみられ,75%に明らかな関節炎がみられる。関節炎は変形を生じないことが多いが,関節リウマチの場合と類似した侵食性の変化および変形(例,ボタン穴変形およびスワンネック変形)が存在することがある。

近位筋の筋力低下がよくみられ,典型的には筋酵素(例,クレアチンキナーゼ)高値を伴う。

全身性強皮症と同様に,MCTDでも消化管運動障害が報告される。

腎障害(膜性腎症が最も一般的)は約25%の患者に発生し,一般的に軽度である;病的状態または死亡を伴う重度の障害はMCTDでは非典型的である。

MCTD患者の最大75%で肺が侵される。肺の臨床像としては胸水および間質性肺疾患が最も多く,肺高血圧症が主な死因の1つとなっており,13%以上の症例で報告される(2)。

心膜炎は一般的な特徴である。心不全に至る重度の心筋炎はまれであるが起こりうる。

シェーグレン症候群が発生することがある。

症状と徴候に関する参考文献

  1. 1.Ortega-Hernandez OD, Shoenfeld Y.Mixed connective tissue disease: an overview of clinical manifestations, diagnosis and treatment. Best Pract Res Clin Rheumatol.2012;26(1):61-72.doi:10.1016/j.berh.2012.01.009

  2. 2.Wigley FM, Lima JA, Mayes M, McLain D, Chapin JL, Ward-Able C.The prevalence of undiagnosed pulmonary arterial hypertension in subjects with connective tissue disease at the secondary health care level of community-based rheumatologists (the UNCOVER study). Arthritis Rheum.2005;52(7):2125-2132.doi:10.1002/art.21131

MCTDの診断

  • 抗核抗体(ANA)および抗ENA抗体(U1リボ核タンパク質に対する抗体,Smith抗体,および抗二本鎖DNA抗体を含む)の検査

  • 臨床像から判断する臓器障害

MCTDの臨床像は多様であるが,全身性エリテマトーデス(SLE),全身性強皮症,または多発性筋炎が疑われる患者でオーバーラップの特徴がみられる場合には,MCTDを疑うべきである。少数ではあるが有意な数の患者が,最初にMCTDと診断されてから数年後に,全身性強皮症やSLE,炎症性ミオパチーなど,より明確に定義された疾患に進行する(1)。

抗核抗体(ANA)およびU1リボ核タンパク質(RNP)抗原に対する抗体の検査を最初に行う。ほぼ全ての患者で間接蛍光抗体法によるANAの抗体価が高値となり,ANA染色で斑紋型を呈する。U1-RNPに対する抗体がみられ,通常は非常に抗体価が高い。可溶性核抗原のSmith(Sm)成分(リボヌクレアーゼに抵抗性を有する)に対する抗体(抗Sm抗体)および二本鎖DNAに対する抗体(定義ではMCTDでは陰性)を測定し,SLEを除外する。MCTDの診断を下すには,抗RNP抗体の存在では不十分であり,典型的な臨床所見も必要である。

リウマトイド因子がみられることが多く,抗体価が高いことがある。赤血球沈降速度の亢進およびC反応性タンパク(CRP)値の上昇がしばしばみられる。

肺高血圧症については,全身性強皮症の患者と同様に,肺機能検査および心エコー検査により評価すべきである。さらなる評価は症状と徴候(筋炎,腎障害,または肺障害の症状など)に応じて行う。

クレアチンキナーゼ,MRI,筋電図検査,または筋生検が,MCTDの一部としての筋炎の存在を確認するのに役立つことがある。

診断に関する参考文献

  1. 1.Reiseter S, Gunnarsson R, Corander J, et al.Disease evolution in mixed connective tissue disease: results from a long-term nationwide prospective cohort study. Arthritis Res Ther.2017;19(1):284.Published 2017 Dec 21.doi:10.1186/s13075-017-1494-7

MCTDの治療

  • 軽症例には非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)または抗マラリア薬(例,ヒドロキシクロロキン,クロロキン)

  • 中等症例および重症例にはコルチコステロイドとその他の免疫抑制薬(例,メトトレキサート,アザチオプリン,ミコフェノール酸モフェチル)

  • レイノー症候群にはカルシウム拮抗薬(例,ニフェジピン)およびときにホスホジエステラーゼ阻害薬(例,タダラフィル)

全般的な管理および初回の薬物療法は,他の全身性リウマチ性疾患に用いられるアプローチから外挿し,主要な臨床表現型を参考にする(すなわち,SLE,全身性強皮症,または筋炎に対するものと同様とする)(1)。

軽症患者の症状は多くの場合,NSAIDまたは抗マラリア薬(例,ヒドロキシクロロキン,クロロキン)のほか,ときに低用量のコルチコステロイドで管理される。

中等症または重症の患者の大半は,コルチコステロイドに反応するが(特に早期に治療した場合),全身性強皮症の所見が顕著な場合は,強皮症腎クリーゼを回避するため,コルチコステロイドの使用は最小限に抑えるべきである。中等症または重症の患者の大半は,その他の免疫抑制薬(例,メトトレキサート,アザチオプリン,ミコフェノール酸モフェチル)にも反応する。

主要臓器の重度の障害は通常,より高用量のコルチコステロイド(例,プレドニゾン1mg/kgの1日1回経口投与)および追加の免疫抑制薬を必要とする。筋炎または全身性強皮症の主要な特徴がみられる場合は,治療はその疾患に準じる。

レイノー症候群を有する患者は,症状に基づいて,血圧が耐えられる範囲でカルシウム拮抗薬(例,ニフェジピン)およびホスホジエステラーゼ阻害薬(例,タダラフィル)により治療すべきである。

全ての患者について動脈硬化がないか注意深くモニタリングすべきである。長期のコルチコステロイド療法を受けている患者には骨粗鬆症の予防を行うべきである。免疫抑制療法を併用する場合は,Pneumocystis jiroveciiなどの日和見感染症に対する予防措置(ニューモシスチス肺炎の予防を参照)を講じるとともに,一般的な感染症(例,レンサ球菌性肺炎インフルエンザCOVID-19)に対するワクチンを接種しておくべきである。

一部の専門家は,症状に応じた1~2年毎の肺機能検査および/または心エコー検査による定期的な肺高血圧症のスクリーニングを推奨している。

治療に関する参考文献

  1. 1.Gunnarsson R, Hetlevik SO, Lilleby V, Molberg Ø.Mixed connective tissue disease. Best Pract Res Clin Rheumatol.2016;30(1):95-111.doi:10.1016/j.berh.2016.03.002

MCTDの予後

10年全生存率は約96%であるが(1),予後はどの症状が優勢であるかに大きく依存する。全身性強皮症および多発性筋炎の特徴を認める患者は予後が悪い。患者は動脈硬化のリスクが高い。

死因としては,肺高血圧症,腎不全,心筋梗塞,大腸穿孔,播種性感染症,脳出血などがある。

無治療で長年にわたり寛解を維持している患者もいる。

予後に関する参考文献

  1. 1.Hajas A, Szodoray P, Nakken B, et al.Clinical course, prognosis, and causes of death in mixed connective tissue disease. J Rheumatol.2013;40(7):1134-1142.doi:10.3899/jrheum.121272

要点

  • MCTDでは,SLE,全身性強皮症,および/または多発性筋炎の特徴がみられる。

  • ANAおよびU1-RNPに対する抗体がみられ,抗Sm抗体および抗DNA抗体はみられないが,診断を下すには抗RNP抗体の存在のみでは不十分である。

  • 肺高血圧症を予測すること。

  • 軽症例はNSAIDまたは抗マラリア薬により治療し,より重症の症例はコルチコステロイドおよび,他の免疫抑制薬により治療する。

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