COVID-19ワクチンは,SARS-CoV-2を原因とするウイルス感染症であるCOVID-19に対して予防効果をもたらす。ワクチン接種は依然として,SARS-CoV-2感染症患者の重症化および死亡を予防する上で最も効果的な戦略であり続けている。
現在,複数のCOVID-19ワクチンが世界中で使用されている。
COVID-19ワクチンの製剤
米国ではCOVID-19に対するSARS-CoV-2(COVID-19)mRNAワクチンが2種類使用されている。
これらのmRNAワクチンは,ウイルス抗原を含有せず,標的抗原(スパイクタンパク質)をコードするmRNAの小さな合成断片を送達する。ワクチンに含まれるmRNAは,免疫系の細胞に取り込まれ,そこでウイルス抗原を産生するように細胞を刺激した後,分解される。すると,抗原が放出されて意図する免疫応答が惹起され,その後に実際のウイルスに曝露した際,感染の重症化が予防される。
米国ではCOVID-19に対するSARS-CoV-2(COVID-19)組換えスパイクタンパク質ナノ粒子ワクチンが1種類使用されている。
スパイクタンパク質ワクチンには,SARS-CoV-2の組換えスパイクタンパク質が含まれており,これが望ましい免疫応答を誘発する。
COVID-19ワクチンの適応
mRNAワクチンは,12歳以上の個人におけるSARS-CoV-2による感染症の予防を適応とするほか,生後6カ月以上の個人に対する緊急使用が許可されている。
組換えスパイクタンパク質ナノ粒子ワクチンは,12歳以上の個人におけるSARS-CoV-2による感染症の予防を適応とする。
65歳以上の成人は,最新のCOVID-19ワクチン製剤の接種を6カ月の間隔を空けて2回受けるべきである。中等度または重度の易感染状態にある生後6カ月以上の個人も,COVID-19の重症化を予防するために2回以上の接種を受けるべきである(1, 2)。
適応に関する参考文献
1.Roper LE, Godfrey M, Link-Gelles R, et al.Use of Additional Doses of 2024–2025 COVID-19 Vaccine for Adults Aged ≥ 65 Years and Persons Aged ≥ 6 Months with Moderate or Severe Immunocompromise: Recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices — United States, 2024.MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2024;73:1118–1123.doi:10.15585/mmwr.mm7349a2
2.Centers for Disease Control and Prevention (CDC): Vaccines for Moderately to Severely Immunocompromised People.June 2025.
COVID-19ワクチンの禁忌および注意事項
COVID-19ワクチンの禁忌は以下の通りである:
何らかのワクチンの接種後に発生した重度のアレルギー反応の既往
ワクチン成分に対する重度のアレルギー反応の既往
COVID-19ワクチンに関する注意事項としては以下のものがある:
接種直後の急性アナフィラキシー反応
易感染状態(免疫抑制薬によるものを含む)
発熱の有無を問わず,中等症または重症の疾患
小児多系統炎症性症候群(MIS-C)または成人多系統炎症性症候群(MIS-A)の既往
COVID-19ワクチンの接種後3週間以内に発生した心筋炎または心膜炎の既往
即時型アレルギー反応を管理するための適切な内科的治療を,COVID-19ワクチンの接種後に急性アナフィラキシー反応が発生した場合に直ちに行えるようにしておく必要がある。COVID-19ワクチンの接種者には,即時型の有害反応が起きていないかモニタリングすべきである。
易感染状態にある個人(免疫抑制薬の投与を受けている者を含む)では,これらのワクチンに対する免疫応答が減弱する可能性がある。(CDC: Interim Clinical Considerations for Use of COVID-19 Vaccines in the United Statesも参照のこと。)
米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)は,COVID-19ワクチン接種後の心筋炎および心膜炎の報告に関して警告を発し,接種後にこれらの事象のリスクが増大する可能性があることを示唆している(1)。観察されたリスクは若い男性で最も高い。ワクチン接種者は,接種後に胸痛,呼吸困難,頻脈,または動悸を感じた場合,直ちに医療機関を受診すべきである。一部の患者では集中治療が必要とされているが,短期間の追跡研究から得られたデータからは,症状は通常,保存的管理により消失したことが示唆される。
禁忌および注意事項に関する参考文献
1.CDC.Clinical Considerations: Myocarditis and Pericarditis after Receipt of COVID-19 Vaccines Among Adolescents and Young Adults.October 2023.
COVID-19ワクチンの用量および用法
COVID-19ワクチンの有害作用
COVID-19ワクチンの有害作用は全てのワクチンで類似している。
アナフィラキシーを含めて,まれに生じる重度のアレルギー反応が報告されている。
その他の有害作用もよくみられ,具体的には以下のようなものがある:
注射部位の疼痛,腫脹,および紅斑
疲労感
頭痛
筋肉痛および関節痛
発熱および悪寒
悪心および嘔吐
倦怠感
リンパ節腫脹
有害作用は数日間持続する傾向がある。
COVID-19のワクチン接種後に反応性リンパ節腫脹が発生することがあり,マンモグラフィーで偽陽性の判定が出る可能性がある(1)。複数の研究が実施されており,COVIDワクチンの接種後にルーチンのスクリーニングマンモグラフィーを遅らせるべきではない(2, 3)。
これらのワクチンの有害作用に関する詳細については,処方情報を参照のこと。
有害作用に関する参考文献
1.Lamb LR, Mercaldo SF, Carney A, Leyva A, D'Alessandro HA, Lehman CD.Incidence, Timing, and Long-Term Outcomes of COVID-19 Vaccine-Related Lymphadenopathy on Screening Mammography. J Am Coll Radiol.2024;21(9):1477-1488.doi:10.1016/j.jacr.2024.02.032
2.Hao M, Edmonds CE, Nachiappan AC, Conant EF, Zuckerman SP.Management Strategies for Patients Presenting With Symptomatic Lymphadenopathy and Breast Edema After Recent COVID-19 Vaccination. AJR Am J Roentgenol.2022;218(6):970-976.doi:10.2214/AJR.21.27118
3.Zhang M, Ahn RW, Hayes JC, Seiler SJ, Mootz AR, Porembka JH.Axillary Lymphadenopathy in the COVID-19 Era: What the Radiologist Needs to Know. Radiographics.2022;42(7):1897-1911.doi:10.1148/rg.220045
より詳細な情報
有用となりうる英語の資料を以下に示す。ただし,本マニュアルはこれらの資料の内容について責任を負わないことに留意されたい。
Centers for Disease Control and Prevention (CDC): Interim Clinical Considerations for Use of COVID-19 Vaccines in the United States
Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP): ACIP Recommendations: COVID-19 Vaccine
ACIP: Changes in the 2025 Child and Adolescent Immunization Schedule
European Centre for Disease Prevention and Control (ECDC): Coronavirus Disease (COVID-19): Recommended vaccinations



