分娩後の感染症(分娩後感染)は通常、子宮から始まります。
分娩直後に子宮や子宮周囲に細菌感染が生じることがあります。
こうした感染症が起こると、たいてい下腹部痛、発熱、悪臭を伴う分泌物がみられます。
診断は通常、症状と身体診察の結果に基づいて下されます。
感染症は通常、抗菌薬で治癒します。
羊膜腔(胎児を包む膜)に感染があると(絨毛膜羊膜炎)、分娩後に子宮の感染が生じることがあります。
子宮の感染症としては以下のものがあります。
子宮内膜の感染(子宮内膜炎)
子宮の筋肉の感染(子宮筋層炎)
子宮周囲の感染(子宮傍結合組織炎)
分娩後の子宮の感染症の原因
分娩後の子宮の感染症の症状
子宮感染症の一般的な症状としては、下腹部痛、骨盤痛、発熱(分娩後1~3日以内に起こる場合がほとんど)、蒼白、悪寒、全身のけん怠感や不快感などのほか、しばしば頭痛や食欲減退もみられます。心拍数がしばしば上昇します。子宮は腫れて圧痛があり、軟らかくなります。たいてい腟から悪臭のあるおりものがみられますが、量は様々です。おりものには血液が混じることも、そうでないこともあります。しかし、症状が微熱だけの場合もあります。
子宮周辺の組織は感染が起こると腫れて、著しい不快感が生じます。激しい痛みと高熱を伴う場合がほとんどです。
重度の合併症が生じる場合もありますが、それほど多くありません。具体的には以下のものがあります。
腹腔の内側を覆う膜の炎症(腹膜炎)
骨盤内の静脈の血栓(骨盤内血栓性静脈炎)
肺に移動した血栓による肺動脈の閉塞(肺塞栓症)
感染の原因細菌が分泌する有害物質(毒素)の血中濃度が上昇し、敗血症(全身の感染症)や敗血症性ショックに至る
骨盤内に膿がたまる(膿瘍)
敗血症や敗血症性ショックになると、血圧が急激に低下し、心拍数が非常に速くなります。重度の腎障害に陥ったり、死亡することもあります。
骨盤内の膿瘍は、触知可能なしこりのように感じられたり、発熱や腹痛を引き起こしたりすることがあります。
このような合併症はまれで、特に産後の発熱に対し迅速な診断と治療が行われていれば、めったに起こりません。
分娩後の子宮の感染症の診断
医師による評価
ときに画像検査(超音波検査やCT検査など)
子宮感染症の診断は、主に身体診察の結果に基づいて下されます。分娩後24時間に発熱がみられ、ほかに原因が特定されなければ、感染症と診断されることがあります。
検査が必要になることはまれですが、子宮内膜から採取した組織サンプルの培養検査や、画像検査(超音波検査または腹部のCT検査)が行われることがあります。
分娩後の子宮の感染症の治療
抗菌薬の静脈内投与
子宮の感染症には、通常、平熱の状態が48時間以上続くようになるまで、抗菌薬が静脈内投与されます。その後は抗菌薬を内服しなくてよい場合がほとんどです。
帝王切開の前には、手術の直前に妊婦に抗菌薬を投与することがあります。この治療は、子宮とその周辺の感染症予防に役立ちます。



