感染に対する防御機構

執筆者:Larry M. Bush, MD, FACP, Charles E. Schmidt College of Medicine, Florida Atlantic University;
Maria T. Vazquez-Pertejo, MD, FACP, Wellington Regional Medical Center
Reviewed ByBrenda L. Tesini, MD, University of Rochester School of Medicine and Dentistry
レビュー/改訂 修正済み 2024年 7月
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人体に感染に対する防御機能がなければ、すぐに微生物に圧倒されてしまいます。これらの防御機構には、生きて正常に機能する体がなければなりません。死体は、その防御機能が働いていないため、ほとんどすぐに腐敗し始めます。

物理的バリアと免疫系から人体を守っています。(「防衛線」も参照。)

物理的バリアには、皮膚、粘膜、涙、耳あか、粘液、胃酸などがあります。また、尿も正常に流れることによって、尿路に侵入した微生物を洗い流します。

免疫システムは白血球抗体を使って、身体の物理的バリアをかいくぐってきた微生物を見つけ、除去します。

(「感染症の概要」も参照のこと。)

感染に対する物理的バリア

皮膚は普通、けが、虫刺され、やけどなどによる傷がない限り、微生物の侵入を防ぐことができます。

皮膚以外の有効な物理的バリアとしては、口、鼻、膣、まぶたの内側などを覆っている粘膜があります。粘膜は、正常な状態では、微生物と闘う分泌液で覆われています。たとえば、眼の粘膜は涙で覆われていますが、涙にはリゾチームという酵素が含まれており、細菌を攻撃し感染から眼を保護する役目を果たしています。

気道は、吸いこむ空気に含まれる微粒子を取り除きます。鼻と気道の内壁は粘液によって覆われています。空気中の微生物は粘液に付着し、せきをしたり鼻をかんだりすることで体外に排出されます。気道を覆うごく細い髪の毛のような突起物(線毛)が協調して動くことで、粘液が排出されやすくなります。線毛は粘液を肺から遠ざけ、気道上部へ送り出します。

消化管にも、胃酸膵酵素(すいこうそ)胆汁、腸分泌液など一連の有効なバリアがあります。これらの物質は細菌を死滅させたり、細菌の増殖を防ぐことができます。腸の収縮(ぜん動)によって腸の内容物が消化管を通過し、排便によって体外に排出されます。腸壁から常に細胞がはがれ落ちていることも、有害な微生物を取り除く役割を担っています。

尿路にも有効なバリアが存在します。膀胱は、尿を体の外に出す管である尿道によって守られています。男性では、尿道が十分に長くなっているため、カテーテルや手術器具によって誤って細菌が入ってしまわない限り、細菌が尿道を通って膀胱へと侵入してしまうことはまれです。女性は尿道が短いため、時に外部の細菌が膀胱まで入ってしまうことがあります。男女とも、膀胱から排尿すると、膀胱に到達した細菌が洗い流されます。

は通常酸性です。膣は酸性の環境を保つことで有害な細菌から保護されており、防御を助ける細菌の数を一定に保っています。

血液

人体が感染を防ぐ方法の1つに、侵入した微生物を飲みこんで破壊する能力をもった白血球(好中球単球)を増やすというやり方があります。主として白血球はそれが作られる骨髄(こつずい)から放出され、数時間以内に増えます。最初は好中球が増加します。それでもしつこく感染が残る場合には、今度は単球が増えます。血液は白血球を感染部位へと運びます。

白血球の一種である好酸球は、アレルギー反応や多くの寄生虫感染症では増えますが、細菌感染症では通常は増えません。

腸チフスのような免疫系を圧倒する一部の感染症(ウイルスと細菌によるもの)では、逆に白血球数に減少がみられることがあります。

炎症

体が病原微生物の侵入などによって損傷を受けると、その部位に炎症が起こります。複雑な反応である炎症は、さまざまな状況の結果として起こります。損傷を受けた組織からさまざまな物質を放出することで、炎症は体の防御機能が下記のように働くよう仕向けます。

  • 患部を遮断する

  • 侵入した微生物を攻撃して死滅させる

  • 壊死した組織や、損傷を受けた組織を処理する

  • 修復プロセスを始める

しかし微生物の数が多いと、炎症によって打ち勝つことができない場合もあります。

炎症時には、血液の供給量が増加してより多くの免疫細胞が損傷した部位に送られます。血液の供給量が増えるため、感染部位付近の体表面が赤くなり、熱をもってきます。血管壁に穴が増えて、体液や白血球が患部に届きやすくなります。体液が増えることによって、炎症を起こしている組織が腫れてきます。白血球は侵入してきた微生物を攻撃し、炎症の進行を持続させる物質を放出します。

また、別の物質も放出され、炎症部位のごく細い血管(毛細血管)内の血液を固めて、感染中の微生物や微生物から出る毒素が周辺へ広がらないようにします。

炎症に伴って作られる物質の多くは神経を刺激するため、痛みが起こります。感染に伴うことの多い悪寒、発熱、筋肉痛なども、炎症に伴い放出される物質に対する反応です。

免疫反応

感染が生じると、免疫系も反応して、侵入してきた微生物を特定して攻撃する能力をもつ物質や因子を作りだします(「獲得免疫」を参照)。以下はその例です。

  • 侵入してきた微生物を特定して死滅させるキラーT細胞(白血球の一種)

  • 侵入した特定の微生物を攻撃する抗体

抗体は微生物に結合して微生物を動けなくします。さらに、微生物を完全に死滅させるか、好中球が標的を絞って死滅させるのを助けます。

免疫系が各々の微生物から十分に体を守れるかどうかは、一部にはその人の遺伝子構成によって決まります。

発熱

体温の上昇(発熱)は、感染症や外傷から体を守る反応です。体温が上がる(発熱)と、体の防御機構は高まりますが、一方で不快な症状ももたらします。

体温は、視床下部という脳の一部が調節しています。発熱は事実上、視床下部の体温調節機能をリセットすることで発症します。体は、血液を皮膚表面から体の内部へと移動(迂回)させ、熱が失われるのを防ぐことで体温を上げます。ふるえ(悪寒)を起こして筋肉を収縮させ、熱産生を増やすこともあります。新たに設定された高い温度の血液が視床下部に達するまで、体は発熱を続け、熱を失わないようにします。その後は高くなった新たな体温が維持されます。後に体温調節機能が平常値に戻ると、体は発汗したり、血液を皮膚の方へ移動させたりすることで余分な熱を取り除きます。

特定の人(非常に高齢、非常に若い人、アルコール使用障害のある人など)では発熱する能力が低下します。このような人は、重症の感染症に反応して体温が低下することがあります。

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