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ターナー症候群

(Xモノソミー;性腺形成不全)

執筆者:

Nina N. Powell-Hamilton

, MD, Sidney Kimmel Medical College at Thomas Jefferson University

最終査読/改訂年月 2016年 3月
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ターナー症候群の女児は,2つのX染色体のうち1つが部分的または完全に欠失した状態で出生する。診断は臨床所見に基づき,核型分析で確定する。治療法は臨床像に応じて異なり,心奇形に対して手術を行うこともあれば,しばしば低身長に対する成長ホルモン療法と思春期発来異常に対するエストロゲン補充を行うこともある。

ターナー症候群は世界中で出生女児の約1/2500に発生する。しかしながら,45,Xの受胎は99%が自然流産となる。

患児の約50%が45,Xの核型を有し,そのうちの約80%が父親由来のX染色体が欠損したものである。残りの50%の大半はモザイク型である(例,45,X/46,XXまたは45,X/47,XXX)。モザイク型の女児では,典型的なターナー症候群から正常のものまで,表現型は多彩である。ときに,正常なX染色体1つと環状のX染色体1つを有する女児もいる。また,正常なX染色体と長腕同腕染色体(X染色体2つの短腕欠失とその結果生じたX染色体長腕2つの結合によって形成される)を1つずつ有する女児も存在する。このような女児は,ターナー症候群の表現型特性の多くを有している傾向があり,このことから,X染色体短腕の欠失がこの表現型の発生に重要な役割を果たしていると考えられる。

病態生理

よくみられる心奇形として,大動脈縮窄症や大動脈二尖弁などがある。しばしば加齢とともに高血圧を生じるようになるが,これは大動脈縮窄がない場合も同様である。腎奇形および血管腫も高率にみられる。ときに消化管で毛細血管拡張が発生し,それにより消化管出血やタンパク喪失を来す。難聴が起こり,斜視および遠視がよくみられ,弱視のリスクが高い。一般集団と比べて,甲状腺炎,糖尿病,およびセリアック病の頻度が高い。

乳児期には発育性股関節形成不全のリスクが高い。青年期には,10%の頻度で脊柱側弯症がみられる。ターナー症候群の女性では,骨粗鬆症と骨折がかなり多くみられる。性腺形成不全(両側の卵巣が筋状の線維性間質で置換され,卵子の発育はみられない)が90%の頻度で発生する。ターナー症候群の青年の15~40%では思春期が発来するが,初経が発来するのは2~10%のみである。

知的障害はまれであるが,多くの女児で非言語性学習障害,注意欠如・多動症,またはその両方が認められ,その結果,たとえ知能検査の言語性課題では平均以上の成績を残したとしても,動作性検査と数学では成績は不良となる。

症状と徴候

新生児では多くの場合,症状はごく軽度であるが,手背および足背の著明なリンパ浮腫や,頸部背面にリンパ浮腫や弛緩した皮膚の襞がみられる場合もある。この他に頻度の高い奇形としては,翼状頸,乳頭間離開と陥没乳頭を伴う幅の広い胸郭などがある。患児は家族と比して低身長となる。

比較的頻度の低い所見としては,頸部背面の毛髪線低位,眼瞼下垂,多発性の色素性母斑,第4中手骨および中足骨の短縮,指腹に渦状紋を伴う指尖部の隆起,爪の低形成などがある。肘外反角の増大も認められる。

心奇形の症状は重症度に依存する。大動脈縮窄症では,上肢の高血圧,大腿動脈拍動の減弱,および下肢の血圧低下または測定不能が起こりうる。性腺形成不全により思春期が発来せず,乳腺の発達や月経の開始がみられない。ターナー症候群に関連するその他の医学的問題は,成長とともに発生し,スクリーニングを行わなければ明らかにならない場合もある。

診断

  • 臨床的な外観

  • 核型分析,蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH),および/または染色体マイクロアレイ解析による細胞遺伝学的検査

  • 合併症の検査

新生児では,リンパ浮腫または翼状頸の存在からターナー症候群が疑われることがある。これらの所見がみられない場合は,低身長,思春期発達の欠如,および無月経に基づいて後から診断されることがある。

細胞遺伝学的検査(核型分析,蛍光in situハイブリダイゼーション[FISH],および染色体マイクロアレイ解析[CMA])により診断を確定する。

心奇形を検出するため,心エコー検査またはMRIが適応となる。

Y染色体を有する細胞系列とのモザイク(例,45,X/46,XY)を除外するため,性腺形成不全の患者には全例で細胞遺伝学的検査とY染色体特異的プローブによる検査を施行する。このような個人の表現型は通常女性であり,様々な程度でターナー症候群の特徴が認められる。性腺悪性腫瘍,特に性腺芽腫の発生リスクが高く,議論の分かれるところであるが,しばしば予防的な性腺摘除術が推奨される。

併発症

ターナー症候群に合併する異常を同定する上では,特定のルーチン評価が役立つ:

  • 専門医による心血管系の評価;大動脈縮窄症および大動脈二尖弁を除外するための診断時と大動脈基部径を評価するために3~5年毎に施行するMRIおよび心エコー検査

  • 診断時の腎超音波検査,泌尿器系奇形がある患者では年1回の尿検査,BUN,クレアチニン

  • 3~5年毎に言語聴覚士による聴覚評価および聴力検査

  • 小児期および青年期の年1回の脊柱側弯症/後弯症の評価

  • 股関節脱臼の評価

  • 小児眼科医による眼科診察

  • 診断時とその後1~2カ月毎の甲状腺機能検査

  • セリアック病のスクリーニング(例,抗筋内膜抗体価)

  • ブドウ糖負荷試験で異常を示すことがあり,成人期は年1回の空腹時血糖および脂質プロファイル(適応があればより早期から開始する)

治療

  • 併発症の管理

  • ときに心臓の異常の外科的修復

基礎にある遺伝学的病態に対する特異的な治療法は存在せず,各症例の所見に基づいて管理する。

大動脈縮窄症は通常,外科的に修復される。その他の心奇形はモニタリングの対象とし,必要に応じて修復する。

リンパ浮腫は通常,サポート靴下とその他の方法(マッサージなど)でコントロールできる。

成長ホルモン療法で成長を刺激することができる。通常は思春期を発来させるためにエストロゲン補充療法が必要であり,典型的には12~13歳時に行う。その後,第二次性徴を維持するためにプロゲスチンを含有する経口避妊薬を投与する。骨端線が閉鎖するまでは, エストロゲン補充とともに成長ホルモンを投与することができるが,骨端線閉鎖時に成長ホルモンは中止する。 エストロゲン補充を継続することが,至適な骨密度および骨格発達を達成する助けとなる。

要点

  • 女児において,2つのX染色体のうち一方の全体または一部が欠失している。

  • 臨床像は多彩であるが,低身長,翼状頸,幅の広い胸郭,性腺形成不全,および心奇形(大動脈縮窄症と大動脈二尖弁が多い)がよくみられ,知的障害はまれである。

  • 性腺悪性腫瘍のリスクが増大しており,しばしば予防的な性腺摘除術が推奨されるが,これに関しては議論が分かれる。

  • 合併症(例,心奇形および腎奇形)を検出するために年齢に応じたスクリーニングを行う。

  • 思春期発来のためにエストロゲン投与した後,第二次性徴を維持するためにプロゲスチンを含有する経口避妊薬を使用する。

  • 個々の臨床像に応じた治療を行うとともに,社会的支援,教育支援,および遺伝カウンセリングを提供する。

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