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無月経

執筆者:

JoAnn V. Pinkerton

, MD, University of Virginia Health System

最終査読/改訂年月 2015年 11月
本ページのリソース

無月経(月経がない状態)には原発性または続発性のものがある。

原発性無月経は次のいずれかで月経が起こらないことである:

  • 16歳までに,もしくは思春期発来から2年以上

  • 14歳頃の女児で思春期(例,成長スパート,第二次性徴の発達)の発来がない

13歳までに月経が開始せず,思春期の徴候(例,何らかのタイプの乳房の発達)がみられない場合は,原発性無月経の評価を行うべきである。

続発性無月経は,月経が開始した後に停止することである。初経から閉経期の間,90日を超える月経周期はまれであるため,通常3カ月以上もしくは典型的な3サイクル以上月経がない場合は,続発性無月経の評価を行うべきである。

病態生理

正常では,視床下部がゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)を律動的に放出する。GnRHは下垂体を刺激し,ゴナドトロピン(卵胞刺激ホルモン[FSH]および黄体形成ホルモン[LH]— 女性の生殖内分泌学 : 月経周期)を産生させ,それらが血流に放出される。ゴナドトロピンは卵巣を刺激し, エストロゲン(主に エストラジオール),アンドロゲン(主に テストステロン)およびプロゲステロンを産生させる。これらのホルモンの働きは以下の通りである:

  • FSHは発達中の卵母細胞の周囲組織を刺激し, テストステロン エストラジオールに変換する。

  • エストロゲンは子宮内膜を刺激し,増殖を起こす。

  • LHは,月経周期中にサージが起こると,主席卵胞の成熟,卵母細胞の放出,および黄体の形成を促し,プロゲステロンが産生される。

  • プロゲステロンにより子宮内膜が分泌期に入り,卵子の着床に備える(子宮内膜の脱落膜化)。

妊娠が起こらない場合には, エストロゲンおよびプロゲステロンの産生が低下し,子宮内膜が剥離し,脱落して月経となる。月経は,典型的な周期では排卵後14日で起こる。

このシステムの一部に機能障害が生じると,排卵障害が起こる;ゴナドトロピン刺激による エストロゲン産生および子宮内膜の周期的変化が阻害され,無排卵性無月経となり,月経血の排出が起こらないことがある。大部分の無月経(特に続発性無月経)は無排卵性である。

しかしながら,性器の解剖学的異常(例,先天異常による流出路閉塞,子宮腔癒着症[アッシャーマン症候群])により正常なホルモン刺激にもかかわらず正常な月経が妨げられる場合などのように,排卵が正常でも無月経が起こりうる。

病因

無月経は通常,以下に分類される:

それぞれのタイプには多くの原因があるが,全体として,無月経の最も頻度の高い原因としては以下のものがある:

  • 妊娠(妊娠可能年齢の女性では最も頻度の高い原因)

  • 体質性の思春期遅発

  • 機能性の視床下部性無排卵症(例,過度の運動,摂食障害,またはストレスによる)

  • 薬物の使用または乱用(例,経口避妊薬,プロゲステロンデポ,抗うつ薬,抗精神病薬)

  • 授乳

避妊薬は子宮内膜を菲薄化させ,ときに無月経を起こすことがあるが,通常は経口避妊薬を中止して約3カ月で月経が再開する。

抗うつ薬および抗精神病薬はプロラクチンを上昇させることがあり,乳房を刺激し乳汁が産生され無月経となることがある。

排卵性または無排卵性の無月経を起こす疾患もある。先天性の性器の解剖学的異常が原因となるのは原発性無月経のみである。続発性無月経を起こす全ての疾患は原発性無月経の原因にもなりうる。

無排卵性無月経

視床下部-下垂体-卵巣系の障害に関連するものが最も頻度の高い原因無排卵性無月経の原因)である。例として以下のものがある:

無排卵性無月経は通常続発性であるが,排卵が始まらない場合(例,遺伝性疾患による)には原発性無月経の可能性がある。排卵が始まらないと,思春期や第二次性徴の発達に異常がみられる。Y染色体を有する遺伝性疾患では,卵巣胚細胞腫瘍のリスクが上昇する。

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無排卵性無月経の原因

原因

視床下部機能障害,器質性

遺伝性疾患(例,先天性ゴナドトロピン放出ホルモン欠損,GnRH受容体遺伝子変異によるFSHおよびエストラジオール低値とLH高値,プラダー-ウィリー症候群)

視床下部の浸潤性疾患(例,ランゲルハンス細胞肉芽腫症,リンパ腫,サルコイドーシス,結核)

視床下部への放射線照射

外傷性脳損傷

視床下部の腫瘍

視床下部機能障害,機能性

悪液質

慢性疾患,特に呼吸器,消化管,血液,腎臓または肝臓の疾患(例,クローン病,嚢胞性線維症,鎌状赤血球症,サラセミアメジャー)

ダイエット

薬物乱用(例,アルコール,コカイン,マリファナ,オピオイド)

摂食障害(例,神経性やせ症,過食症)

過度の運動

HIV感染

免疫不全

精神障害(例,ストレス,抑うつ,強迫症,統合失調症)

向精神薬

低栄養

下垂体機能障害

下垂体の動脈瘤

高プロラクチン血症*

特発性低ゴナドトロピン性性腺機能低下症

下垂体の浸潤性疾患(例,ヘモクロマトーシス,ランゲルハンス細胞肉芽腫症,サルコイドーシス,結核)

ゴナドトロピン単独欠損症

カルマン症候群(嗅覚脱失を伴う低ゴナドトロピン性性腺機能低下症)

分娩後の下垂体壊死(シーハン症候群)

外傷性脳損傷

脳腫瘍(例,髄膜腫,頭蓋咽頭腫,神経膠腫)

下垂体腫瘍(例,微小腺腫)

卵巣機能障害

自己免疫疾患(例,重症筋無力症,甲状腺炎もしくは白斑において生じることがある自己免疫性卵巣炎)

化学療法(例,高用量のアルキル化薬)

染色体異常を含む遺伝子異常(例,先天性胸腺形成不全,脆弱X症候群,ターナー症候群[45,X],特発性の卵胞閉鎖の加速)

性腺形成不全(不完全な卵巣の発達,ときに遺伝性疾患に続発する)

骨盤への放射線照射

代謝性疾患(例,アジソン病,糖尿病,ガラクトース血症)

ウイルス感染症(例,流行性耳下腺炎)

他の内分泌機能障害

アンドロゲン不応症(精巣性女性化症)

先天性副腎性器症候群(先天性副腎過形成症—例,17-水酸化酵素欠損または17,20-リアーゼ欠損)もしくは成人期に発症する副腎性器症候群

クッシング症候群†,‡

薬剤性男性化(例,アンドロゲン,抗うつ薬,ダナゾール,または高用量プロゲスチンによる)

甲状腺機能亢進症

甲状腺機能低下症

肥満(性腺外での過剰な エストロゲン産生をもたらす)

多嚢胞性卵巣症候群

真性半陰陽

アンドロゲン産生腫瘍(通常卵巣もしくは副腎)

エストロゲン産生腫瘍もしくはヒト絨毛性ゴナドトロピン産生腫瘍(妊娠性絨毛性疾患)

*他の原因による高プロラクチン血症(例,甲状腺機能低下症,特定の薬物の使用)も無月経を起こすことがある。

これらの疾患を有する女性では男性化や性別が不明瞭な性器がみられることがある。

男性化は副腎腫瘍に続発するクッシング症候群で起こることがある。

排卵性無月経

最も頻度の高い原因排卵性無月経の原因)としては以下のものがある:

  • 染色体異常

  • 月経血流出路を閉塞する性器の先天性解剖学的異常

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排卵性無月経の原因

原因

先天性性器異常

子宮頸部狭窄(まれ)

処女膜閉鎖症

仮性半陰陽

腟横中隔

腟または子宮の形成不全(例,ミュラー管形成不全)

後天性子宮異常

アッシャーマン症候群

子宮内膜結核

閉塞性の筋腫やポリープ

閉塞性の異常では通常,ホルモン機能は正常である。閉塞により腟留血症(腟における月経血の貯留)が生じて腟の膨隆を起こしたり,また,子宮留血症(子宮における血液の貯留)が生じて子宮の腫大,腫瘤または子宮頸部の膨隆を起こすことがある。卵巣機能は正常であるため,外性器の発達および他の第二次性徴は正常に起こる。一部の先天性疾患(例,腟形成不全や腟中隔を伴うもの)では尿路および骨格の異常も生じる。

分娩後出血や感染に対する器具操作後の子宮腔癒着症(アッシャーマン症候群)など,一部の後天性の解剖学的異常では続発性排卵性無月経が生じる。

評価

女児が以下に該当する場合,評価を行う:

  • 13歳までに思春期の徴候(例,乳房の発達,成長スパート)がみられない場合。

  • 14歳で陰毛がない場合。

  • 16歳までに,もしくは思春期発来(第二次性徴の発達)から2年以上,初経が起こらない場合。

妊娠可能年齢の女性は1回月経が来なければ妊娠検査を行うべきである。以下の場合は無月経について評価すべきである:

  • 妊娠しておらず,3カ月もしくは通常サイクルで3サイクル以上,月経周期がみられない場合。

  • 1年に月経が9回未満の場合。

  • 月経パターンが突然変化した場合。

病歴

現病歴には以下を含める:

  • 月経がこれまでに起こったかどうか(原発性と続発性無月経の鑑別のため),起こっていれば初経時の年齢

  • 月経が規則的に生じていたことがあるか

  • 最後の正常な月経はいつであったか

  • 月経はどれくらいの期間続き,どれくらい重いか

  • 患者に周期的な乳房の圧痛や気分の変化があるか

  • thelarche(思春期の乳房発育)時の年齢を含め,特定の成長と発達のマイルストーンに達したのはいつであったか

系統的症状把握(review of systems)では,以下のような可能性のある原因を示唆する症状を対象に含めるべきである:

  • 乳汁漏出症,頭痛,視野欠損:下垂体疾患

  • 疲労,体重増加,耐寒性低下:甲状腺機能低下症

  • 動悸,神経過敏,振戦,暑さへの耐性低下:甲状腺機能亢進症

  • ざ瘡,男性型多毛症,声の低音化:アンドロゲン過剰

  • 続発性無月経の患者においてホットフラッシュ,腟の乾燥,睡眠障害,脆弱性骨折,性欲減退: エストロゲン欠乏

原発性無月経の患者では,排卵が生じたかどうか判定するために,思春期の徴候(例,乳房発育,成長スパート,腋毛および陰毛の存在)について尋ねる。

既往歴の聴取では,以下の危険因子に注意すべきである:

  • 機能性の視床下部性無排卵症(例,ストレス,慢性疾患,新規の薬剤,最近の体重変化,食事,運動の強度など)

  • 続発性無月経の患者ではアッシャーマン症候群(例,D&C,子宮内膜アブレーション,子宮内膜炎,産科的損傷,子宮手術)

薬歴には,以下のような薬剤の使用についての具体的な質問を含めるべきである:

  • ドパミンに影響を与える薬剤(例,降圧薬,抗精神病薬,オピオイド,三環系抗うつ薬)

  • 癌化学療法薬(例,ブスルファン,クロラムブシル,シクロホスファミド)

  • 男性化を起こしうる性ホルモン(例,アンドロゲン, エストロゲン,高用量プロゲスチン,一般用医薬品のタンパク同化ステロイド)

  • 避妊薬(特に最近の使用)

  • コルチコステロイドの全身投与

  • 一般用医薬品およびサプリメント(ウシホルモンを含むものや,他の薬物と相互作用するものがある)

家族歴には,家族の身長および家族内での思春期遅発や,脆弱X症候群を含む遺伝性疾患のあらゆる症例を含めるべきである。

身体診察

医師はバイタルサインおよび身長と体重を含めた身体組成と体型に注目し,BMI(body mass index)を計算すべきである。第二次性徴はタナー法を用いた乳房および陰毛の発達段階分類を用いて評価する。腋毛と陰毛が存在すれば,思春期発来(adrenarche)が起こっている。

患者を座らせ,医師は乳房のあらゆる部位に圧力をかけ(基底部から始めて乳首へ向かう),乳汁分泌の有無を確認すべきである。乳汁漏出症(出産に伴う一時的なもの以外の乳汁分泌)がみられることがあり,低倍率の顕微鏡で液体中に脂肪小球を認めることで他のタイプの乳頭分泌物と鑑別できる。

性器の解剖学的異常を検出するために内診を行う;腟留血症により処女膜が隆起することがあり,生殖器の流出路閉塞を示唆する。内診の所見は エストロゲンが欠乏しているかどうか判定するためにも有用である。思春期以降の女性で,薄く蒼白で,しわがなく,pH > 6.0の腟粘膜は エストロゲン欠乏を示す。牽糸性(糸を引き,伸びる性質)の頸管粘液は通常,十分な エストロゲンを示唆する。

一般診察では,男性型多毛症,側頭部の脱毛,ざ瘡,声の低音化,筋肉量の増加,陰核肥大(クリトリスの増大),および脱女性化(乳房の大きさの減少や腟萎縮など,それまで正常に発現していた第二次性徴の退行)など男性化の所見に焦点を置く。一部の家系によくみられる多毛症(四肢,頭部,背部の過剰な発毛)を,上唇上部,顎,乳房の間に生じる過度の体毛を特徴とする真の男性型多毛症と鑑別する。皮膚の変色(例,黄疸またはカロテン血症による黄色,黒色表皮腫による黒い斑点)に注意すべきである。

警戒すべき事項(Red Flag)

以下の所見は特に注意が必要である:

  • 思春期の遅れ

  • 男性化

  • 視野欠損

  • 嗅覚障害

所見の解釈

妊娠は病歴に基づいて除外すべきではなく,妊娠検査が必要である。

パール&ピットフォール

  • 第二次性徴のみられる女児や妊娠可能年齢の女性が無月経である場合,性交歴や月経歴にかかわらず妊娠検査を行う。

原発性無月経では,正常な第二次性徴があれば通常ホルモン機能は正常であり,無月経は通常排卵性で,典型的には性器の先天性閉塞による。異常な第二次性徴を伴う原発性無月経は,通常無排卵性である(例,遺伝性疾患による)。

続発性無月経では,臨床所見が機序を示唆することがある( 無月経の原因を示唆する所見):

  • 乳汁漏出は高プロラクチン血症(例,下垂体機能障害,特定の薬物の使用)を示唆する;視野欠損と頭痛も存在する場合は,下垂体腫瘍を考慮すべきである。

  • エストロゲン欠乏の症状と徴候(例,ホットフラッシュ,盗汗,腟の乾燥または萎縮)は原発性卵巣機能不全(早発卵巣不全)または機能性の視床下部性無排卵症(例,過度の運動,低体重,または低体脂肪による)を示唆する。

  • 男性化はアンドロゲン過剰(例,多嚢胞性卵巣症候群,アンドロゲン産生腫瘍,クッシング症候群,特定薬物の使用)を示唆する。BMI高値や黒色表皮腫,また両方を認める患者では,多嚢胞性卵巣症候群の可能性が高い。

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無月経の原因を示唆する所見

所見

他にみられることのある所見

可能性のある原因

特定の薬剤の使用

ドパミン(プロラクチン分泌の調節を助ける)に影響を与える薬剤:

  • 降圧薬(例,メチルドパ,レセルピン,ベラパミル)

  • 第2世代抗精神病薬(例,モリンドン,オランザピン,リスペリドン)

  • 従来型抗精神病薬(例,ハロペリドール,フェノチアジン系,ピモジド)

  • コカイン

  • エストロゲン

  • 胃腸薬(例,シメチジン,メトクロプラミド)

  • 幻覚剤

  • オピオイド(例,コデイン,モルヒネ)

  • 三環系抗うつ薬(例,クロミプラミン,デシプラミン)

乳汁漏出

高プロラクチン血症

エストロゲンおよびアンドロゲン作用のバランスに影響を与えるホルモンや他の特定の薬剤(例,アンドロゲン,抗うつ薬,ダナゾール,高用量プロゲスチン)

男性化

薬剤による男性化症

体型

BMI高値(例, > 30kg/m2

エストロゲン過剰

男性化

多嚢胞性卵巣症候群

BMI低値(例, < 18.5kg/m2

慢性疾患,ダイエット,摂食障害などの危険因子

機能性の視床下部性無排卵症

低体温症,徐脈,低血圧

神経性やせ症または飢餓による機能性の視床下部性無排卵症

咽頭反射の減弱,口蓋病変,結膜下出血

頻回の嘔吐を伴う過食症による機能性の視床下部性無排卵症

低身長

原発性無月経,翼状頸,乳頭間離開

ターナー症候群

皮膚の異常

温かく湿った皮膚

頻脈,振戦

甲状腺機能亢進症

粗く肥厚した皮膚,眉毛の脱落

徐脈,深部腱反射の遅延,体重増加,便秘

甲状腺機能低下症

ざ瘡

男性化

以下によるアンドロゲン過剰:

  • 多嚢胞性卵巣症候群

  • アンドロゲン産生腫瘍

  • クッシング症候群

  • 副腎性器症候群

  • 薬剤(例,アンドロゲン,抗うつ薬,ダナゾール,高用量プロゲスチン)

皮膚線条

満月様顔貌,野牛肩(buffalo hump),中心性肥満,細い四肢,男性化,高血圧

クッシング症候群

黒色表皮腫

肥満,男性化

多嚢胞性卵巣症候群

白斑または手掌の色素沈着

起立性低血圧

アジソン病

エストロゲンまたはアンドロゲン異常を示唆する一般所見

エストロゲン欠乏症状(例,ホットフラッシュ,盗汗,特に腟の乾燥または萎縮を伴う)

卵巣摘出,化学療法または骨盤への放射線照射などの危険因子

原発性卵巣機能不全

機能性の視床下部性無排卵症

下垂体腫瘍

男性化を伴う男性型多毛症

以下によるアンドロゲン過剰:

  • 多嚢胞性卵巣症候群

  • アンドロゲン産生腫瘍

  • クッシング症候群

  • 副腎性器症候群

  • 薬剤(例,アンドロゲン,抗うつ薬,ダナゾール,高用量プロゲスチン)

原発性無月経

以下によるアンドロゲン過剰:

  • 真性半陰陽

  • 仮性半陰陽

  • アンドロゲン産生腫瘍

  • 副腎性器症候群

  • 性腺形成不全

  • 遺伝性疾患

卵巣腫大

以下によるアンドロゲン過剰:

  • 17-水酸化酵素欠損

  • 多嚢胞性卵巣症候群

  • アンドロゲン産生卵巣腫瘍

乳房および性器の異常

乳汁漏出

高プロラクチン血症

夜間の頭痛,視野欠損

下垂体腫瘍

乳房(および第二次性徴)の発達欠如または不完全

正常な思春期発来(adrenarche)

卵巣不全単独による原発性無排卵性無月経

思春期発来(adrenarche)の欠如

視床下部-下垂体系機能障害による原発性無排卵性無月経

嗅覚障害を伴う思春期発来(adrenarche)の欠如

カルマン症候群

乳房および第二次性徴の発達の遅れ

初経遅延の家族歴

発育および思春期の体質性の遅延

正常な乳房発達と第二次性徴のみられる原発性無月経

周期的な腹痛,腟の膨隆,子宮の増大

生殖器の流出路閉塞

性別が不明瞭な性器

真性半陰陽

仮性半陰陽

男性化

出生時の陰唇癒合と陰核肥大

妊娠第1トリメスター中のアンドロゲン曝露,おそらく以下を示唆する:

  • 先天性副腎性器症候群

  • 真性半陰陽

  • 薬剤性男性化症

出生後の陰核肥大

男性化

アンドロゲン産生腫瘍(通常は卵巣)

副腎性器症候群

タンパク同化ステロイドの使用

正常な外性器と第二次性徴の不完全発達(ときに乳房は発達するが陰毛がごく少量しか生えない)

子宮頸部および子宮の明らかな欠損

アンドロゲン不応症

卵巣腫大(両側性)

エストロゲン欠乏症状

自己免疫性卵巣炎による原発性卵巣機能不全

男性化

17-水酸化酵素欠損

多嚢胞性卵巣症候群

病変

骨盤腫瘤(片側性)

骨盤痛

骨盤内腫瘍

検査

病歴と身体診察は検査の方向付けに役立つ。

女児に第二次性徴を認める場合,無月経の原因として妊娠および妊娠性絨毛性疾患を除外するために妊娠検査を行うべきである。妊娠可能年齢の女性は1回月経が来なければ妊娠検査を行うべきである。

原発性無月経( 原発性無月経の評価 a)へのアプローチについては続発性無月経( 続発性無月経の評価)のものとは異なるが,普遍的に受け入れられている特定の一般的なアプローチやアルゴリズムは存在しない。

原発性無月経と正常な第二次性徴のみられる患者では,検査は生殖路に先天性閉塞がないか調べる骨盤内超音波検査から始めるべきである。

原発性無月経の評価 a

原発性無月経の評価 <sup >a</sup>

a正常値

  • DHEAS:250~300ng/dL(0.7~0.8µmol/L)

  • FSH:5~20IU/L

  • LH:5~40IU/L

  • 核型(女性):46,XX

  • プロラクチン:100ng/mL

  • テストステロン:20~80ng/dL(0.7~2.8nmol/L)

bFSH値を測定する際,またはFSH値が曖昧な場合にLH値を測定する医師もいる。

c原発性無月経と正常な第二次性徴のみられる患者では,検査は生殖路に先天性閉塞がないか調べる骨盤内超音波検査から始めるべきである。

d体質的な発育や思春期の遅れの可能性がある。

e可能性のある診断として,機能性視床下部性慢性無排卵および遺伝性疾患(例,先天性ゴナドトロピン放出ホルモン欠損症,プラダー-ウィリー症候群)などがある。

f可能性のある診断として,クッシング症候群,外因性アンドロゲン,先天性副腎性器症候群,多嚢胞性卵巣症候群などがある。

g可能性のある診断として,ターナー症候群およびY染色体の存在を特徴とする疾患などがある。

h陰毛はまばらなことがある。

DHEAS = デヒドロエピアンドロステロン硫酸,FSH = 卵胞刺激ホルモン,LH = 黄体形成ホルモン,TSH = 甲状腺刺激ホルモン。

続発性無月経の評価

続発性無月経の評価

*FSH値とLH値を同時に測定する医師もいる。

医師は,Y染色体および脆弱X症候群の有無を調べるべきである。

これらは典型的な数値であるが,正常値は検査施設により異なる場合がある。

DHEAS = デヒドロエピアンドロステロン硫酸,FSH = 卵胞刺激ホルモン,LH = 黄体形成ホルモン,PCOS = 多嚢胞性卵巣症候群,TSH = 甲状腺刺激ホルモン。

症状や徴候が特定の疾患を示唆する場合には,アルゴリズムの推奨にかかわらず特異的な検査の適応となることがある。例えば,患者に腹部の皮膚線条,満月様顔貌,野牛肩(buffalo hump),中心性肥満および細い四肢がある場合,クッシング症候群の検査を行うべきである。頭痛および視野欠損,または下垂体機能障害の所見のある患者では脳MRIが必要である。

臨床的評価が慢性疾患を示唆する場合には,肝機能および腎機能の検査を行い,赤沈を測定する。

検査にはしばしばホルモン値の測定を含む;総 テストステロンまたはデヒドロエピアンドロステロン硫酸(DHEAS)の血清値は男性化徴候を認める場合にのみ測定する。特定のホルモン値は結果を確定するために再測定すべきである。例えば,血清プロラクチンが高値であれば再測定すべきである;血清FSHが高値であれば毎月の測定を少なくとも2回繰り返すべきである。高FSH値を伴う無月経(高ゴナドトロピン性性腺機能低下症)は卵巣機能障害を示唆する;低FSH値を伴う無月経(低ゴナドトロピン性性腺機能低下症)は視床下部または下垂体の機能障害を示唆する。

男性化を伴わない続発性無月経を認め,プロラクチンとFSH値が正常で甲状腺機能も正常な場合,消退出血を促すためにエストロゲンとプロゲストゲンの試験的投与を行うことができる(プロゲステロン負荷試験)。

プロゲステロン負荷試験はメドロキシプロゲステロン5~10mg,経口,1日1回,または他のプロゲスチン7~10日間投与から始める。

  • 出血が起これば,無月経はおそらく子宮内膜病変(例,アッシャーマン症候群)や流出路閉塞によるものでなく,視床下部-下垂体系の機能障害,卵巣機能不全,または エストロゲン過剰が原因である。

  • 出血が起こらなければ,エストロゲン(例,結合型ウマエストロゲン1.25mg,エストラジオール2mg)を1日1回,21日間投与し,その後メドロキシプロゲステロン10mg,経口,1日1回もしくは他のプロゲスチンを7~10日間投与する。エストロゲン投与後出血が起こらなければ,子宮内膜病変または流出路閉塞の可能性がある。しかしながら,このような異常がない患者でも出血が起こらないことがあり(例,子宮がエストロゲンに対し非感受性であるため),エストロゲンとプロゲスチンを用いた試験投与は確認のため繰り返されることがある。

しかしながら,この試験投与は数週間を要し,結果が不正確なことがあり,重篤な疾患の診断が有意に遅れる可能性がある;このため試験投与前や投与中に脳MRIを考慮すべきである。

テストステロンやDHEAS値の軽度の上昇は,多嚢胞性卵巣症候群を示唆するが,これらの値は視床下部や下垂体の機能障害がある女性で上昇することがあり,また,多毛の多嚢胞性卵巣症候群の女性では正常である場合もある。値が上昇する原因は,血清LHを測定することで明らかになる可能性がある。多嚢胞性卵巣症候群では,血中LH値が上昇していることが多く,LHのFSHに対する比率が高まっている。

治療

治療は基礎疾患に対して行い,治療により月経はときに再開する。例えば性器の流出路閉塞をもたらす異常の大部分は外科的に修復される。

Y染色体が存在する場合は,卵巣胚細胞腫瘍のリスクが上昇するため両側卵巣摘出が推奨される。

無月経に関連する問題についても,以下のような治療を要する場合がある:

  • 妊娠を望む場合は排卵誘発

  • エストロゲン欠乏による症状および長期的影響(例,骨粗鬆症)に対する治療

  • エストロゲン過剰による症状の治療および長期的影響の管理(例,遷延性出血,持続的または著明な乳房圧痛,子宮内膜増殖症および子宮内膜癌のリスク)

  • 男性型多毛症とアンドロゲン過剰の長期的影響(例,心血管疾患,高血圧)を最小限にする

要点

  • 正常な第二次性徴のみられない原発性無月経は通常無排卵性である(例,遺伝性疾患による)。

  • 常に病歴ではなく検査によって妊娠を除外する。

  • 原発性無月経は続発性無月経とは区別して評価する。

  • 原発性無月経と正常な第二次性徴のみられる患者では,検査は生殖路に先天性閉塞がないか調べる骨盤内超音波検査から始めるべきである。

  • 男性化徴候のみられる患者では,アンドロゲン過剰を引き起こす病態(例,多嚢胞性卵巣症候群,アンドロゲン産生腫瘍,クッシング症候群,特定の薬物の使用)がないか調べる。

  • エストロゲン欠乏の症候(例,ホットフラッシュ,盗汗,腟の乾燥または萎縮)のみられる患者では原発性卵巣機能不全および機能性の視床下部性無排卵症の原因になる病態について調べる。

  • 乳汁漏出を認める患者では,高プロラクチン血症をもたらす病態(例,下垂体機能障害,特定薬物の使用)がないか調べる。

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