Msd マニュアル

Please confirm that you are a health care professional

honeypot link

栄養の概要

執筆者:

Adrienne Youdim

, MD, David Geffen School of Medicine at UCLA

最終査読/改訂年月 2019年 5月
患者さん向けの 同じトピックページ はこちら
本ページのリソース

栄養学とは,食物および食物と健康との関係に関する科学である。栄養素は身体が成長,維持,およびエネルギーに利用する食物中の化学物質である。

体内で合成できず,そのため食事から摂る必要がある栄養素は,必須栄養素とされる。具体的には以下のものがある:

食事からも得られるが,体内で他の化合物から合成できる栄養素は,非必須栄養素とみなされる。

多量栄養素は身体に比較的大量に必要であり,微量栄養素はごく少量必要となる。

栄養素が欠乏すると低栄養 低栄養の概要 低栄養は栄養障害の一種である。(栄養障害には栄養過多も含まれる。)低栄養は,栄養素の不十分な摂取,吸収不良,代謝障害,下痢による栄養素の喪失,または栄養必要量の増大(がんや感染症などで起こる)に起因する。低栄養は段階的に進行する;食欲不振による場合にゆっくりと発生することもあれば,ときにがん関連の急速に進行する悪液質による場合のように非常... さらに読む になり,結果,欠乏症候群(例,クワシオルコル 以前はタンパク質-エネルギー栄養障害と呼ばれたタンパク質-エネルギー低栄養(PEU)は,全ての多量栄養素の欠乏によるエネルギー欠乏である。一般的に多くの微量栄養素の欠乏もみられる。PEUには,突然かつ完全なもの(飢餓),または徐々に進行するものがある。重症度は,治療を必要としない欠乏から明らかな消耗(浮腫,脱毛,および皮膚萎縮を伴う),さ... さらに読む ペラグラ ナイアシン欠乏症 食事によるナイアシン欠乏症(ペラグラを引き起こす)は,先進国ではまれである。臨床症状には3つのDが含まれる:すなわち,色素沈着を伴う限局性の発疹(皮膚炎 = dermatitis),胃腸炎(下痢 = diarrhea),および認知機能低下(認知症 = dementia)を含む広範囲の神経脱落症状である。診断は通常,臨床的に行い,食事による... さらに読む ナイアシン欠乏症 )を来すことがある。 多量栄養素の過剰摂取は肥満 肥満 肥満は体重の過剰であり,BMI(body mass index)が30kg/m2以上であることと定義される。合併症として,心血管疾患(特に過剰な腹部脂肪のある人),糖尿病,特定のがん,胆石症,脂肪肝,肝硬変,変形性関節症,男女の生殖障害,精神障害,およびBMIが35以上の人での若年死などがある。診断はBMIに基づく。治療法としては,生活習... さらに読む およびその関連疾患につながることがあり,微量栄養素の過剰摂取は有毒である可能性がある。不飽和および飽和脂肪酸をどの程度摂取するかなど,様々な種類の栄養素のバランスも,疾患の発生に影響を及ぼす可能性がある。

多量栄養素

多量栄養素は食事の大部分を占め,エネルギーおよび多くの必須栄養素を供給する。炭水化物,タンパク質(必須アミノ酸を含む),脂肪(必須脂肪酸を含む),多量ミネラル,および水は多量栄養素である。炭水化物,脂肪,およびタンパク質はエネルギー源として互換性がある;脂肪は9kcal/g(37.8kJ/g),タンパク質および炭水化物は4kcal/g(16.8kJ/g)を産生する。

炭水化物

食物性の炭水化物は,ブドウ糖およびその他の単糖類に分解される。炭水化物は血糖値を上昇させ,エネルギーを供給する。

単純炭水化物は急速に血糖値を上昇させる低分子(一般的に単糖類または二糖類)から成る。

複合炭水化物は単糖類に分解される大分子から成る。単純炭水化物に比べ,複合炭水化物は血糖値をより緩やかにではあるが,長時間にわたって上げる。

ブドウ糖およびショ糖は単純炭水化物,デンプンおよび食物繊維は複合炭水化物である。

グリセミック指数とは,炭水化物の摂取によりどの程度迅速に血漿血糖値が上昇するかを示すものである。数値の範囲は1(上昇が最も遅い)から100(上昇が最も速く,純粋なブドウ糖と等しい―食品のグリセミック指数 食品のグリセミック指数 栄養学とは,食物および食物と健康との関係に関する科学である。栄養素は身体が成長,維持,およびエネルギーに利用する食物中の化学物質である。 体内で合成できず,そのため食事から摂る必要がある栄養素は,必須栄養素とされる。具体的には以下のものがある: ビタミン ミネラル 一部のアミノ酸 さらに読む の表を参照)である。しかし,実際の上昇速度は炭水化物と一緒に摂取される食物が何かによっても異なる。

icon

グリセミック指数の高い炭水化物は,血漿血糖を急速に高値に上昇させうる。結果として,インスリン濃度が上昇して低血糖および空腹感(カロリーの過剰摂取および体重増加につながる傾向がある)を誘発するという仮説が立てられている。グリセミック指数の低い炭水化物は緩やかに血漿血糖値を上昇させ,結果として食後のインスリン値が低く空腹感が少なく,そのためおそらく過剰なカロリーを摂取する可能性が低くなる。これらの作用は,より好ましい脂質プロファイルならびに肥満 肥満 肥満は体重の過剰であり,BMI(body mass index)が30kg/m2以上であることと定義される。合併症として,心血管疾患(特に過剰な腹部脂肪のある人),糖尿病,特定のがん,胆石症,脂肪肝,肝硬変,変形性関節症,男女の生殖障害,精神障害,およびBMIが35以上の人での若年死などがある。診断はBMIに基づく。治療法としては,生活習... さらに読む 糖尿病 糖尿病(DM) 糖尿病(DM)はインスリン分泌障害および様々な程度の末梢インスリン抵抗性であり,高血糖をもたらす。初期症状は高血糖に関連し,多飲,過食,多尿,および霧視などがある。晩期合併症には,血管疾患,末梢神経障害,腎症,および易感染性などがある。診断は血漿血糖測定による。治療は食事療法,運動,および血糖値を低下させる薬剤により,薬剤にはインスリンお... さらに読む ,および糖尿病の合併症 糖尿病の合併症 糖尿病患者における長年にわたるコントロール不良の高血糖は,複数の合併症をもたらすが,主なものは血管性の合併症であり,小径血管(微小血管性),大径血管(大血管性),またはその両方が侵される。 血管障害の発生機序としては,以下のものがある: 血清タンパク質および組織タンパク質の糖付加(終末糖化産物の形成を伴う)... さらに読む 糖尿病の合併症 のリスク減少をもたらすと予想される。

タンパク質

食物性タンパク質はペプチドおよびアミノ酸に分解される。タンパク質は組織の維持,入替え,機能,および成長に必要である。しかし,身体が食物由来の供給源または組織貯蔵(特に脂肪)からカロリーを十分に得ていない場合は,タンパク質がエネルギーのために利用されることがある。

身体が組織をつくりだすために食物性タンパク質を利用すると,正味のタンパク質量が増大する(正の窒素バランス)。異化状態(例,飢餓,感染症,熱傷)の間には,吸収されるタンパク質よりも多くのタンパク質が消費されることがあり(身体組織が分解されるため),正味のタンパク質量が減少する(負の窒素バランス)。窒素バランスは,摂取した窒素量から尿および便に排出される窒素量を引いて求めるのが最もよい。

20のアミノ酸のうち,9つは必須アミノ酸(EAA)である;これらは体内では合成できず,食事から摂る必要がある。ヒトでは年齢を問わず8つのEAAが必要であるほか,乳児ではヒスチジンも必要である。

体重当たりの食物性タンパク質の必要量は成長速度と相関しており,乳児期から成人期まで減少する。1日当たりの食物性タンパク質の必要量は,生後3カ月の乳児における2.2g/kgから,5歳児における1.2g/kg,成人における0.8g/kgへと減少する。タンパク質の必要量はEAAの必要量に対応している(必須アミノ酸の必要量 体重1kg当たりの必須アミノ酸の必要量(mg) 栄養学とは,食物および食物と健康との関係に関する科学である。栄養素は身体が成長,維持,およびエネルギーに利用する食物中の化学物質である。 体内で合成できず,そのため食事から摂る必要がある栄養素は,必須栄養素とされる。具体的には以下のものがある: ビタミン ミネラル 一部のアミノ酸 さらに読む の表を参照)。筋肉量の増加を試みる成人でも,表に示した必要量を超える余分なタンパク質摂取はほとんど必要ない。

タンパク質のアミノ酸組成は非常に様々である。生物価(BV)は,タンパク質のアミノ酸組成における動物組織のアミノ酸組成に対する類似度を反映する;したがって,BVは食物性タンパク質の何%が身体にEAAを供給するかを示す:

  • 完全に一致するのが卵のタンパク質であり,値は100である。

  • 牛乳および食肉の動物性タンパク質はBVが高い(~90)。

  • 穀類および野菜のタンパク質はBVが低い(~40)。

  • 一部の誘導タンパク質はBVが0(例,ゼラチン)である。

複数の食物性タンパク質が,それぞれで不足しているアミノ酸をどの程度補い合うか(相補性)によって,その食事の総合的なBV値が決まる。タンパク質の1日当たりの推奨量(RDA)は,平均的な混合食のBVを70と想定している。

icon

脂肪

脂肪は脂肪酸とグリセロールに分解される。脂肪は組織の増殖およびホルモンの産生に必要である。飽和脂肪酸(動物性脂肪に多い)は,室温では固形であることが多い。パーム油およびココナツ油を除いて,植物由来の脂肪は室温で液体であることが多い;このような脂肪は一価不飽和脂肪酸または多価不飽和脂肪酸(PUFA)を多く含有している。

不飽和脂肪酸の部分水素化(食品製造過程で生じる)によりトランス脂肪酸が産生されるが,これは室温で固体または半固体である。米国では,トランス脂肪酸の主な食物由来の供給源は,特定の食品(例,クッキー,クラッカー,チップス)の製造過程で保存期間を伸ばすために用いられる部分水素化した植物油である。トランス脂肪酸は,LDLコレステロールを上昇させHDLコレステロールを低下させる可能性があり,また,単独で冠動脈疾患のリスクを高める可能性がある。

  • ω-6(n-6)脂肪酸であるリノール酸

  • ω-3(n-3)脂肪酸であるリノレン酸

他のω-6脂肪酸(例,アラキドン酸)および他のω-3脂肪酸(例,エイコサペンタエン酸,ドコサヘキサエン酸)も身体に必要であるが,EFAから合成できる。

EFAは,プロスタグランジン,トロンボキサン,プロスタサイクリン,ロイコトリエンなど多様なエイコサノイド(生理活性脂質)の生成に必要である。 ω-3脂肪酸の摂取により冠動脈疾患のリスクが減少する可能性がある。

EFAの必要量は年齢により異なる。成人には,総エネルギー所要量の少なくとも2%に相当するリノール酸,および少なくとも0.5%に相当するリノレン酸が必要である。リノール酸およびリノレン酸は植物油から得られる。紅花,ヒマワリ,トウモロコシ,大豆,サクラソウ,カボチャ,および小麦胚芽を原料とする油脂からは,多量のリノール酸が得られる。魚油および亜麻仁,カボチャ,大豆,キャノーラを原料とする油脂からは,多量のリノレン酸が得られる。 さらに魚油からは他の一部のω-3脂肪酸も多量に得られる。

多量ミネラル

ナトリウム,クロール,カリウム,カルシウム,リン,およびマグネシウムは1日当たりの必要量が比較的多い(多量ミネラル 多量ミネラル 栄養学とは,食物および食物と健康との関係に関する科学である。栄養素は身体が成長,維持,およびエネルギーに利用する食物中の化学物質である。 体内で合成できず,そのため食事から摂る必要がある栄養素は,必須栄養素とされる。具体的には以下のものがある: ビタミン ミネラル 一部のアミノ酸 さらに読む 推奨される食事摂取基準 推奨される多量栄養素の食事摂取基準*,米国アカデミー,医学研究所,食品栄養委員会(Food and Nutrition Board, Institute of Medicine of the National Academies) 栄養学とは,食物および食物と健康との関係に関する科学である。栄養素は身体が成長,維持,およびエネルギーに利用する食物中の化学物質である。 体内で合成できず,そのため食事から摂る必要がある栄養素は,必須栄養素とされる。具体的には以下のものがある: ビタミン ミネラル 一部のアミノ酸 さらに読む ,および1日当たり摂取量のガイドライン 微量ミネラルの1日当たり摂取量のガイドライン ヒトには6種類の多量ミネラル(マクロミネラル)がグラム単位で必要である。 4種類の陽イオン:ナトリウム,カリウム,カルシウム,およびマグネシウム 付随する2種類の陰イオン:塩化物イオンとリン 1日当たりの必要量は0.3~2.0gである。骨,筋肉,心臓,および脳の機能が,これらの多量ミネラルに依存している。... さらに読む の表を参照)。

icon
icon

水は消費エネルギー1kcal当たり1mL(0.24mL/kJ)が必要であり,約2500mL/日を要するため,多量栄養素と考えられている。必要量は,体温,身体活動,ならびに気候および湿度の変化に伴い変化する。

微量栄養素

水溶性ビタミンは,ビタミンC(アスコルビン酸)およびビタミンB複合体の8つ:ビオチン ビオチンおよびパントテン酸 ビオチンは,脂肪および炭水化物の代謝に必須であるカルボキシル化反応の際の補酵素として作用する。成人の目安量は30μg/日である。 パントテン酸は食品に幅広く含まれているビタミンであり,補酵素Aの必須成分である。成人にはおそらく約5mg/日が必要である。脂質代謝,関節リウマチ(RA),または運動能力におけるパントテン酸補給の有益な役割は証明... さらに読む 葉酸 葉酸欠乏症 葉酸欠乏症はよくみられる。不十分な摂取,吸収不良,または様々な薬物の使用の結果生じることがある。欠乏症は巨赤芽球性貧血(ビタミンB12欠乏症によるものと鑑別できない)を引き起こす。母体に葉酸欠乏症があると,神経管の先天異常のリスクが高まる。確定診断には臨床検査が必要である。好中球の過分葉の測定は,高感度であり容易に利用できる。通常は葉酸の... さらに読む ナイアシンパントテン酸 ビオチンおよびパントテン酸 ビオチンは,脂肪および炭水化物の代謝に必須であるカルボキシル化反応の際の補酵素として作用する。成人の目安量は30μg/日である。 パントテン酸は食品に幅広く含まれているビタミンであり,補酵素Aの必須成分である。成人にはおそらく約5mg/日が必要である。脂質代謝,関節リウマチ(RA),または運動能力におけるパントテン酸補給の有益な役割は証明... さらに読む リボフラビン リボフラビン欠乏症 リボフラビン欠乏症は通常,他のビタミンB群の欠乏症とともに起こる。症状と徴候には,咽頭痛,口唇および口腔粘膜の病変,舌炎,結膜炎,脂漏性皮膚炎,正色素性正球性貧血などがある。診断は通常,臨床的に行う。治療はリボフラビンの経口投与,または必要であれば筋肉内投与による。 リボフラビンは,炭水化物およびタンパク質の代謝に関わる多くの酸化還元反応... さらに読む (ビタミンB2),チアミン チアミン欠乏症 チアミン欠乏症(脚気を引き起こす)は,白米または高度に精製された炭水化物を常食としている発展途上国の人,およびアルコール依存症患者で最もよくみられる。症状としては,びまん性の多発神経障害,高拍出性心不全,ウェルニッケ-コルサコフ症候群などがある。欠乏症の診断および治療を補助するために,チアミンが投与される。... さらに読む (ビタミンB1),ビタミンB6 ビタミンB6欠乏症および依存症 ビタミンB6はほとんどの食物に含まれているため,食事による欠乏症はまれである。二次性欠乏症が,様々な病態に起因して生じることがある。症状としては,末梢神経障害,ペラグラ様症候群,貧血,痙攣発作などがあり,痙攣発作(特に乳児の場合)は抗てんかん薬で治療しても消失しないことがある。代謝障害(依存症)はまれである;代謝障害により痙攣発作,知的障... さらに読む (ピリドキシン),およびビタミンB12 ビタミンB12欠乏症 食事によるビタミンB12欠乏症は通常,不十分な吸収に起因するが,ビタミンサプリメントを摂らない完全菜食主義者に欠乏症が生じることがある。欠乏症により,巨赤芽球性貧血,脊髄および脳の白質への障害,ならびに末梢神経障害が起こる。診断は通常,血清ビタミンB12値の測定によって行う。シリング試験が病因の特定に役立つ。治療はビタミンB12の経口また... さらに読む (コバラミン)である。

脂溶性ビタミンは,ビタミンA ビタミンA欠乏症 ビタミンA欠乏症は,不十分な摂取,脂肪吸収不良,または肝疾患によって起こることがある。欠乏症により免疫および造血が障害され,発疹および典型的な眼への影響(例,眼球乾燥症,夜盲症)が生じる。診断は,典型的な眼所見およびビタミンA低値に基づく。治療はビタミンAの経口投与によるが,症状が重度であるか吸収不良が原因である場合は,静注で投与する。... さらに読む ビタミンA欠乏症 (レチノール),D ビタミンD欠乏症および依存症 日光への曝露が不十分であると,ビタミンD欠乏症が起こりやすくなる。欠乏症により,骨石灰化が障害され,小児ではくる病,成人では骨軟化症が引き起こされ,また骨粗鬆症の一因となる可能性がある。診断では,血清25(OH)D(D2およびD3)の測定を行う。治療としては通常,ビタミンDを経口投与し,必要に応じてカルシウムおよびリンを補給する。しばしば... さらに読む (コレカルシフェロールおよびエルゴカルシフェロール),E ビタミンE欠乏症 食事によるビタミンE欠乏症は発展途上国でよくみられる;先進国の成人ではまれであり,通常は脂肪の吸収不良による。主な症状は,溶血性貧血および神経脱落症状である。診断は血漿総脂質に対する血漿α-トコフェロールの比率の測定に基づき,比率が低ければビタミンE欠乏症が示唆される。治療はビタミンEの経口投与から成り,神経脱落症状があるか,または欠乏症... さらに読む (α-トコフェロール),およびK ビタミンK欠乏症 ビタミンK欠乏症は,極めて不十分な摂取,脂肪の吸収不良,またはクマリン系抗凝固薬の使用によって起こる。欠乏症は母乳栄養の乳児に特によくみられる。欠乏すると,血液凝固が障害される。診断は,ルーチンの凝固検査所見に基づいて疑い,ビタミンK投与に対する反応によって確定する。治療は,ビタミンKの経口投与か,脂肪の吸収不良が原因である場合,または出... さらに読む (フィロキノンおよびメナキノン)である。

ビタミンA,E,およびB12のみが,ある程度体内に蓄積される;他のビタミンは組織の健康を保持するために定期的に摂取する必要がある。

必須微量ミネラルとしては,クロム クロム 生物学的活性のある3価クロム(Cr)のうち1~3%のみが吸収される。正常の血漿中濃度は0.05~0.50μg/L(1.0~9.6nmol/L)である。 クロムはインスリン活性を高めるが,ピコリン酸クロムの補給が糖尿病に有益かどうかは分かっていない。糖尿病専門医に使用を管理してもらわない限り,糖尿病患者はクロムのサプリメントを摂取すべきでな... さらに読む 銅は体内の多数のタンパク質の構成要素であり,体内の銅のほとんどは銅タンパク質と結合している。結合していない(遊離)銅イオンには毒性がある。遺伝的機序により,銅のアポタンパク質への組み込みおよび体内への有毒な銅蓄積を防ぐプロセスが制御される。代謝必要量を超えて吸収された銅は,胆汁を介して排泄される。... さらに読む ヨウ素 ヨウ素 体内では,ヨウ素(I)は2種類の甲状腺ホルモン,サイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)の合成に主に関与する。 ヨウ素は環境中および食物中に,主にヨウ化物として存在する。成人では,吸収されたヨウ化物の約80%が甲状腺に取り込まれる。環境中のヨウ素のほとんどはヨウ化物として海水中に存在し,少量が大気中に入り,雨を介して海の近くの地... さらに読む 鉄(Fe)はヘモグロビン,ミオグロビン,および体内の多数の酵素の成分である。主に動物性食品に含まれるヘム鉄は,平均的な食事中の鉄分の85%超を占める非ヘム鉄(例,植物および穀物に含まれる)よりもはるかに吸収がよい。しかし,非ヘム鉄は,動物性タンパク質およびビタミンCと一緒に摂取すると吸収が増大する。... さらに読む マンガン マンガン 健全な骨構造に不可欠であるマンガン(Mn)は,マンガン特異的であるグリコシルトランスフェラーゼおよびホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼなど,いくつかの酵素系の成分である。摂取量の中央値は1.6~2.3mg/日であり,吸収率は5~10%である。 マンガン欠乏症についてはまだ文献でも確証的ではないが,ボランティア1名での試験例で,一過... さらに読む モリブデン モリブデン モリブデン(Mo)は,キサンチンオキシダーゼ,亜硫酸酸化酵素,およびアルデヒドオキシダーゼの活性に必要な補酵素の成分である。 モリブデンの遺伝性の欠乏症および摂取不足による欠乏症が報告されているが,いずれもまれである。小児の遺伝性の亜硫酸オキシダーゼ欠損症が1967年に報告された。これは,モリブデンが十分存在しているにもかかわらず,モリブ... さらに読む セレン セレン セレン(Se)は,多価不飽和脂肪酸から生成されるヒドロペルオキシドを代謝する酵素であるグルタチオンペルオキシダーゼの一部である。セレンはまた,甲状腺ホルモンを脱ヨウ素化する酵素の一部でもある。一般に,セレンはビタミンEとともに機能する抗酸化物質として作用する。 一部の疫学研究は,セレン濃度の低値をがんと関連付けている。しかしながら最近の研... さらに読む 亜鉛 亜鉛 亜鉛(Zn)は主に骨,歯,毛髪,皮膚,肝臓,筋肉,白血球,および精巣に含まれる。亜鉛は,多数のニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)デヒドロゲナーゼ,RNAポリメラーゼおよびDNAポリメラーゼ,ならびにDNA転写因子のほか,アルカリホスファターゼ,スーパーオキシドジスムターゼ,および炭酸脱水酵素など,数百の酵素の成分である。... さらに読む 亜鉛 などがある。クロム以外はそれぞれ,代謝に必要な酵素またはホルモンに組み込まれる。先進国においては,鉄と亜鉛を除く微量ミネラルの欠乏症はまれである。

他のミネラル(例,アルミニウム,ヒ素,ホウ素,コバルト,フッ化物,ニッケル,ケイ素,バナジウム)は,ヒトにとって必須であることは立証されていない。フッ化物 フッ素 体内のフッ素(F)のほとんどは骨と歯に含まれる。フッ化物(フッ素のイオン型)は自然界に広く分布する。フッ化物の主な摂取源はフッ化物濃度調整飲料水である。 (ミネラル欠乏症および中毒の概要も参照のこと。) フッ素欠乏症は齲歯および場合によっては骨粗鬆症につながることがある。1ppm未満(理想濃度)を含む水のフッ化物濃度調整により齲歯の発生率... さらに読む は,必須ではないが,カルシウムとの化合物(フッ化カルシウム[CaF2])(歯のミネラル基質を安定させる)を生成することによって齲蝕の予防に役立つ。

いずれの微量ミネラルも高濃度では有毒であり,一部(ヒ素,ニッケル,およびクロム)はがんを引き起こす可能性がある。

その他の食物中の物質

日常のヒトの食事には通常10万種類もの化学物質(例,コーヒーには1000種類)が含まれている。これらのうち300種類のみが栄養素であり,その中の一部のみが必須栄養素である。しかし,食物中の非栄養素の多くは有用である。例えば,食品添加物(例,保存剤,乳化剤,酸化防止剤,安定化剤)は食品の製造および安定性を改善する。微量成分(例,香辛料,調味料,香料,着色料,フィトケミカル,その他多くの天然物)は食品の外観および味を向上させる。

食物繊維

食物繊維は多様な形態で存在する(例,セルロース,ヘミセルロース,ペクチン,ゴム)。食物繊維は消化管の運動を増大させ,便秘 便秘 便秘は,排便が困難,排便回数が少ない,便が硬い,残便感がある状態である。(小児の便秘も参照のこと。) 排便ほど変化に富み,外部の影響を受けやすい身体機能はない。排便習慣は人によって大幅に異なり,年齢,生理機能,食事,社会的および文化的影響を受ける。何の根拠もなく排便習慣のことばかり考えている人もいる。欧米では,正常な排便回数は2~3回/日... さらに読む を予防し,憩室性疾患 憩室性疾患の定義 憩室とは,管腔臓器から突出した袋状の粘膜構造である。 消化管の真性憩室は消化管壁の全層を備えている。食道憩室およびメッケル憩室は真性憩室である。 仮性憩室または偽憩室は,粘膜および粘膜下層が腸壁の筋層を越えて突出したものである。大腸憩室は仮性憩室である。 英語では,単一の憩室はdiverticulum,複数の憩室はdiverticulaと... さらに読む のコントロールに役立つ。食物繊維は,大腸で細菌によって産生される発がん物質の排除を促進すると考えられている。疫学的エビデンスは,結腸癌 大腸癌 大腸癌は極めてよくみられる。症状としては血便や排便習慣の変化などがある。いくつかある方法のうち1つを用いたスクリーニングを,適切な集団に対して行うことが推奨される。診断は大腸内視鏡検査による。治療は外科的切除とリンパ節転移に対する化学療法である。 米国では,大腸癌の年間症例数は推定140... さらに読む 大腸癌 と食物繊維の少ない摂取との関連,および機能性腸疾患,クローン病 クローン病 クローン病は,全層性炎症性腸疾患を引き起こす慢性疾患であり,通常は遠位回腸と結腸を侵すが,消化管のいかなる部位にも発生しうる。症状としては下痢や腹痛などがある。膿瘍,内瘻孔,外瘻孔,および腸閉塞が発生することがある。腸管外合併症が発生することがあり,特に関節炎がよくみられる。診断は大腸内視鏡検査および画像検査による。治療はメサラジン,コル... さらに読む クローン病 肥満 肥満 肥満は体重の過剰であり,BMI(body mass index)が30kg/m2以上であることと定義される。合併症として,心血管疾患(特に過剰な腹部脂肪のある人),糖尿病,特定のがん,胆石症,脂肪肝,肝硬変,変形性関節症,男女の生殖障害,精神障害,およびBMIが35以上の人での若年死などがある。診断はBMIに基づく。治療法としては,生活習... さらに読む ,または痔核 痔核 痔核は,肛門管において直腸静脈叢の血管が拡張したものである。症状としては刺激感や出血などがある。血栓性痔核は通常,疼痛を伴う。診断は視診または肛門鏡検査による。治療は対症療法,またはゴム輪結紮術,硬化剤注入療法,赤外線光凝固術,あるいはときに手術による。 (肛門直腸疾患の評価も参照のこと。)... さらに読む 痔核 の患者における食物繊維の有益な効果を示唆している。水溶性食物繊維(果物,野菜,オーツ麦,大麦,および豆類に含まれる)は,食後の血糖値およびインスリンの上昇を抑え,コレステロール値を低下させる。

典型的な欧米式の食事は,高度に精製された小麦粉の摂取量が多く,果物や野菜の摂取量が少ないため,食物繊維が少ない(約12g/日)。野菜,果物,および食物繊維に富むシリアルや穀類をより多く摂ることによって,食物繊維の摂取量を約30g/日まで増加させることが一般的に推奨される。しかし,食物繊維をあまりに多く摂取すると特定のミネラルの吸収が減少することがある。

より詳細な情報

患者さん向けの 同じトピックページ はこちら
家庭版で同じトピック をみる
よく一緒に読まれているトピック
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS

おすすめコンテンツ

医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
TOP