不整脈 不整脈の概要 正常な心臓は規則正しく協調的に拍動するが,これは固有の電気的特性を有する筋細胞によって電気パルスが生成・伝達され,それにより一連の組織化された心筋収縮が誘発されることによって生じる。不整脈と伝導障害は,そうした電気パルスの生成,伝導,またはその両方の異常により引き起こされる。 先天的な構造異常(例,房室副伝導路)や機能異常(例,遺伝性のイ... さらに読む 治療のニーズは,不整脈の症状および重篤度に依存する。治療は原因に対して行う。必要に応じて, 抗不整脈薬 不整脈に対する薬剤 不整脈治療のニーズは,不整脈の症状および重篤度に依存する。治療は原因に対して行う。必要に応じて,抗不整脈薬, カルディオバージョン/電気的除細動, 植込み型除細動器(ICD), ペースメーカー(および特殊なペーシング, 心臓再同期療法), カテーテルアブレーション, 手術,またはこれらの併用などによる直接的な抗不整脈療法が用いられる。 ほとんどの抗不整脈薬は,主要な細胞電気生理学的作用に基づき,大きく4つの群(Vaughan... さらに読む , カルディオバージョン/電気的除細動 カルディオバージョン/電気的除細動 不整脈治療のニーズは,不整脈の症状および重篤度に依存する。治療は原因に対して行う。必要に応じて, 抗不整脈薬,カルディオバージョン/電気的除細動, 植込み型除細動器(ICD), ペースメーカー(および特殊なペーシング, 心臓再同期療法), カテーテルアブレーション, 手術,またはこれらの併用などによる直接的な抗不整脈療法が用いられる。 胸壁を介して十分な強さのDCショックを加えると,... さらに読む ,植込み型除細動器(ICD), ペースメーカー 心臓ペースメーカー 不整脈治療のニーズは,不整脈の症状および重篤度に依存する。治療は原因に対して行う。必要に応じて, 抗不整脈薬, カルディオバージョン/電気的除細動, 植込み型除細動器(ICD),ペースメーカー(および特殊なペーシング, 心臓再同期療法), カテーテルアブレーション, 手術,またはこれらの併用などによる直接的な抗不整脈療法が用いられる。 ペースメーカーは電気的イベントを感知し,必要な場合には反応して心臓に電気刺激を与える。恒久型ペースメー... さらに読む (および特殊なペーシング, 心臓再同期療法 心臓再同期療法(CRT) 不整脈治療のニーズは,不整脈の症状および重篤度に依存する。治療は原因に対して行う。必要に応じて, 抗不整脈薬, カルディオバージョン/電気的除細動, 植込み型除細動器(ICD), ペースメーカー(および特殊なペーシング,心臓再同期療法), カテーテルアブレーション, 手術,またはこれらの併用などによる直接的な抗不整脈療法が用いられる。 一部の患者では,心腔が収縮を繰り返す間の整然とした正常な順序関係が崩壊している(同期不全を呈している)... さらに読む ), カテーテルアブレーション 不整脈に対するアブレーション 不整脈治療のニーズは,不整脈の症状および重篤度に依存する。治療は原因に対して行う。必要に応じて, 抗不整脈薬, カルディオバージョン/電気的除細動, 植込み型除細動器(ICD), ペースメーカー(および特殊なペーシング, 心臓再同期療法),カテーテルアブレーション, 手術,またはこれらの併用などによる直接的な抗不整脈療法が用いられる。 頻拍性不整脈が特定の伝導路ないし異所性自動能に依存している場合には,治療のために問題の部位を意図的に破... さらに読む , 手術 不整脈の手術 正常な心臓は規則正しく協調的に拍動するが,これは固有の電気的特性を有する筋細胞によって電気パルスが生成・伝達され,それにより一連の組織化された心筋収縮が誘発されることによって生じる。不整脈と伝導障害は,そうした電気パルスの生成,伝導,またはその両方の異常により引き起こされる。 先天的な構造異常(例,房室副伝導路)や機能異常(例,遺伝性のイ... さらに読む ,またはこれらの併用などによる直接的な抗不整脈療法が用いられる。
ICDは 心室頻拍 心室頻拍(VT) 心室頻拍は,連続で3拍以上にわたり心拍数が120/分以上となる状態である。症状は持続時間に依存し,無症状から動悸,血行動態の破綻,さらには死に至ることもある。診断は心電図検査による。短時間の発作に収まらない場合の治療には,症状に応じてカルディオバージョンまたは抗不整脈薬を用いる。必要な場合は,植込み型除細動器による長期治療を行う。 ( 不整脈の概要も参照のこと。) 心室頻拍(VT)のカットオフ値としては,心拍数100/分以上を採用してい... さらに読む (VT)または 心室細動 心室細動(VF) 心室細動では,心室が非協調的に震動し,有効な収縮は発生しない。直ちに失神を来し,数分以内に死亡する。治療は,即時の除細動を含めた心肺蘇生による。 ( 不整脈の概要も参照のこと。) 心室細動(VF)は複数の微小な興奮波によるリエントリー性の電気活動を原因とし,心電図上では超高速の基線の動揺として出現し,動揺のタイミングと形態は不規則である。 VFは 心停止状態にある患者の約70%でみられる調律であり,したがって多くの疾患における最終的な事... さらに読む (VF)に反応してカルディオバージョンまたは除細動を行う。最新のICDでは,抗徐脈ペーシングおよび抗頻拍ペーシング(反応性の心房頻拍または心室頻拍を停止させる)も可能であるほか,心内電位図を記録できる。
ICDは皮下または胸筋下に植え込まれ,電極は経静脈的に右室に挿入されるほか,ときに右房にも挿入される。両室ICDは左室心外膜リードも有しており,冠静脈洞を介して,または開胸下に設置され, 心臓再同期療法 心臓再同期療法(CRT) 不整脈治療のニーズは,不整脈の症状および重篤度に依存する。治療は原因に対して行う。必要に応じて, 抗不整脈薬, カルディオバージョン/電気的除細動, 植込み型除細動器(ICD), ペースメーカー(および特殊なペーシング,心臓再同期療法), カテーテルアブレーション, 手術,またはこれらの併用などによる直接的な抗不整脈療法が用いられる。 一部の患者では,心腔が収縮を繰り返す間の整然とした正常な順序関係が崩壊している(同期不全を呈している)... さらに読む ができるようになっている(CRT-D)。ICD本体には,血管内コンポーネントがなく皮下に完全に埋め込むことができるICD(S-ICD)や,着脱可能なベストに似た短期間用の除細動器もある。
ICDのパルスジェネレーターの耐用年数は典型的には約5~7年である。
ICDの適応
以下の状態にある患者にはICDによる治療が望ましい:
VFまたは血行動態的に有意なVTの既往を有し,その原因が可逆的または一過性の病態(例,電解質障害,抗不整脈薬の催不整脈作用,急性心筋梗塞)ではない患者
ICDはまた,心臓電気生理検査でVTまたはVFが誘発されうる患者と,左室駆出率が35%未満でVTまたはVFのリスクが高い特発性または虚血性 心筋症 心筋症の概要 心筋症は心筋の原発性疾患である。冠動脈疾患や弁膜症,先天性心疾患といった構造的心疾患とは明確に異なる疾患概念である。心筋症は病理学的特徴に基づき,以下に示す3つの主な病型に分類される( 心筋症の病型の図を参照): 拡張型 肥大型 拘束型 虚血性心筋症という用語は,重症 冠動脈疾患の患者で(梗塞領域の有無にかかわらず)発生することがある,心... さらに読む 患者も適応となりうる。その他の適応はあまり明確でない(植込み型除細動器の適応 心室頻拍および心室細動における植込み型除細動器の適応 の表を参照)。
ICDはVTまたはVFの予防というよりは治療であるため,これらの不整脈を起こしやすい患者では,発生回数と不快なショックの必要性を減らすためにICDと 抗不整脈薬 不整脈に対する薬剤 不整脈治療のニーズは,不整脈の症状および重篤度に依存する。治療は原因に対して行う。必要に応じて,抗不整脈薬, カルディオバージョン/電気的除細動, 植込み型除細動器(ICD), ペースメーカー(および特殊なペーシング, 心臓再同期療法), カテーテルアブレーション, 手術,またはこれらの併用などによる直接的な抗不整脈療法が用いられる。 ほとんどの抗不整脈薬は,主要な細胞電気生理学的作用に基づき,大きく4つの群(Vaughan... さらに読む の両方が必要になる場合があり,このアプローチによりICDの寿命が延長する。
ICDの誤作動
ICDは以下の誤作動を起こすことがある:
不適切なペーシングまたはショックを与える
必要なときにペーシングまたはショックを与えない
ICDは,洞調律,上室頻拍,心房細動,心房粗動,または非生理学的に発生した興奮(例,リードの破損に起因するもの)に反応して,不適切なペーシングまたはショックをもたらすことがある。
ICDは,必要なときに適切なペーシングまたはショックをもたらさないこともあり,因子としては,リードまたはパルスジェネレーターの移動,アンダーセンシング,過去のショック部位の線維化によるペーシング閾値の上昇,電池消耗などがある。
ICDが放電した場合
ICDの放電があったが,それに関連して失神,呼吸困難,胸痛,持続性動悸の症状がみられなかったと患者が報告した場合は,1週間以内にICDクリニックおよび/または電気生理学専門医によるフォローアップを行うのが適切である。それからICDを電子的に調べることで,放電の理由を同定することができる。これらの関連症状がみられた場合,または複数回のショックが発生した場合は,治療可能な原因(例,冠動脈虚血,電解質異常)やデバイスの誤作動を検索するための救急部門への紹介が適応となる。