心室細動では,心室が非協調的に震動し,有効な収縮は発生しない。直ちに失神を来し,数分以内に死亡する。治療は,即時の除細動を含めた心肺蘇生による。
(不整脈の概要も参照のこと。)
心室細動(VF)は複数の微小な興奮波によるリエントリー性の電気活動を原因とし,心電図上では超高速の基線の動揺として出現し,動揺のタイミングと形態は不規則である。
以前の報告では,VFは心停止を来した患者の約75%で最初に認められる調律とされていたが(1),心停止のうちVFが原因であるものの割合は減少している。より最近では,心停止のうち最初にVFが認められる例の割合は約40%と報告されている(2)。それでも,VFは時間が経過すると心静止に移行するため,この割合は過小に推定されている。そのため,VFは依然として多くの疾患における最終的な事象である。全体で見ると,VFがみられる患者の大半は基礎心疾患を有している(典型的には虚血性心筋症であるが,肥大型心筋症や拡張型心筋症,その他の不整脈源性の心血管疾患であることもある)。基礎疾患が検出されない患者は特発性VFがあるとみなされる。いずれの疾患でもVFのリスクは,電解質異常,アシドーシス,低酸素血症,虚血により上昇する。
乳児および小児では,心室細動はかなりまれであり,心停止の形態としては心静止の方がより多くみられる。
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特発性心室細動
VFによる心停止から蘇生した患者では,心疾患,特に冠動脈疾患,心筋症,およびチャネル病を検索する評価が行われる(3)。包括的な心電図検査,画像検査,および誘発試験でそのような原因疾患が同定されない場合,その患者には特発性心室細動があるとみなされる。それらの患者の一部は未診断ないし未知の遺伝性疾患を有している可能性が高いと考えられている。その疾患は家族性である可能性があるため,家族に対して心イベント(例,失神,動悸)を検索する綿密なサーベイランスを実施し,何らかの心イベントが発生した場合には,心電図検査,運動負荷試験,心エコー検査などの検査を行うことが推奨される。非虚血性心筋症を有するかチャネル病が疑われる患者の一部では,生存者の遺伝子検査と家族のカスケード検査を行う(3)(不整脈疾患も参照)。治療は植込み型除細動器による(3)。
総論の参考文献
1. Weaver WD, Cobb LA, Hallstrom AP, et al: Considerations for improving survival from out-of-hospital cardiac arrest.Ann Emerg Med 15:1181–1186, 1986.doi: 10.1016/s0196-0644(86)80862-9
2.Cobb LA, Fahrenbruch CE, Olsufka M, et al: Changing incidence of out-of-hospital ventricular fibrillation, 1980-2000.JAMA 288(23):3008–3013, 2002.doi: 10.1001/jama.288.23.3008
3.Al-Khatib SM, Stevenson WG, Ackerman MJ, et al: 2017 AHA/ACC/HRS guideline for management of patients with ventricular arrhythmias and the prevention of sudden cardiac death: a report of the American College of Cardiology Foundation/American Heart Association Task Force on Clinical Practice Guidelines and the Heart Rhythm Society.J Am Coll Cardiol 72:e91–e220, 2018.doi: 10.1016/j.jacc.2017.10.054
心室細動の治療
除細動
植込み型除細動器
心室細動の治療は除細動を含めた心肺蘇生術により行い,最初は二相性の120~200J(または単相性の360J)から開始する。即時の除細動(植込み型除細動器で達成可能な数秒以内)の成功率は,当初から極めて圧倒的なポンプ不全がなければ,約99%である。時間が経過するにつれ,ショックによる初回除細動の成功率は1分につき約10%のペースで低下していく(1)。
可逆的または一過性の原因がみられないVF患者では,将来VFや突然死を起こすリスクが高い。このような患者の大半には植込み型除細動器が必要であり,その多くには,その後の心室頻拍およびVFの発生頻度を低下させるための抗不整脈薬の併用が必要である(2)。
治療に関する参考文献
1.van Alem AP, Chapman FW, Lank P, et al: A prospective, randomised and blinded comparison of first shock success of monophasic and biphasic waveforms in out-of-hospital cardiac arrest.Resuscitation 58(1):17–24, 2023.doi: 10.1016/s0300-9572(03)00106-0
2.Al-Khatib SM, Stevenson WG, Ackerman MJ, et al: 2017 AHA/ACC/HRS guideline for management of patients with ventricular arrhythmias and the prevention of sudden cardiac death: a report of the American College of Cardiology Foundation/American Heart Association Task Force on Clinical Practice Guidelines and the Heart Rhythm Society.J Am Coll Cardiol 72:e91–e220, 2018.doi: 10.1016/j.jacc.2017.10.054



