末梢神経系疾患の主な原因

部位	種類	例
運動ニューロン*	遺伝性	脊髄性筋萎縮症0～4型
	後天性，急性	ポリオ，コクサッキーウイルス，その他のエンテロウイルスによる感染症（まれ），ウエストナイルウイルス感染症
	後天性，慢性	筋萎縮性側索硬化症，腫瘍随伴症候群，ポリオ後症候群，進行性球麻痺
神経根	遺伝性	神経線維腫症
神経根	後天性	椎間板ヘルニア，感染症，転移性腫瘍，椎間孔狭窄症，外傷
神経叢	後天性	急性腕神経叢炎，自己免疫疾患，糖尿病，血腫，局所腫瘍（例，神経鞘腫），転移性腫瘍，神経線維腫症（まれ），分娩時の牽引，重度外傷
末梢神経	絞扼性	手根管症候群，肘部管症候群，橈骨神経麻痺，腓骨神経麻痺，足根管症候群
	遺伝性	成人期発症の遺伝性ニューロパチー，遺伝性感覚・運動性ニューロパチー（例，シャルコー-マリー-トゥース病），遺伝性感覚・自律神経性ニューロパチー
	感染性	C型肝炎，帯状疱疹，HIV感染症，ライム病，梅毒，SARS-CoV-2 発展途上国において：ジフテリア，ハンセン病，寄生虫感染症
	炎症性	慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー，ギラン-バレー症候群およびその亜型
	虚血性	大腿神経梗塞（糖尿病性筋萎縮），多発性単神経障害（多発性単神経炎）の原因となる血管炎
	中毒・代謝性	アミロイドーシス，糖尿病，パラプロテイン血症に伴うニューロパチー，慢性過剰飲酒による低栄養（特にビタミンB欠乏症），ICUニューロパチー，白質ジストロフィー（まれ），腎機能不全，毒性物質（例，ヒ素，鉛，水銀，タリウム，化学療法薬，ピリドキシンの毒性）
神経筋接合部	様々	乳児のボツリヌス症，先天性筋無力症（非常にまれ），イートン-ランバート症候群，重症筋無力症，毒性物質または薬物による神経筋接合部の機能障害（例，殺虫剤または神経ガスへの曝露，マグネシウム異常高値，または神経筋遮断薬の使用）
筋線維	ジストロフィー	遠位筋ジストロフィー（遺伝性晩発性遠位型ミオパチー；まれ），デュシェンヌ型筋ジストロフィーおよび関連するジストロフィー，顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー，肢帯型筋ジストロフィー，眼咽頭型筋ジストロフィー（まれ）
	チャネル病（筋強直性）	家族性周期性四肢麻痺，先天性ミオトニー（Thomsen病），筋強直性ジストロフィー（Steinert病）
	先天性	セントラルコア病，中心核ミオパチー，ネマリンミオパチー（非常にまれ）
	内分泌	先端巨大症，クッシング症候群，糖尿病，甲状腺機能低下症，甲状腺中毒性ミオパチー
	炎症性	感染症（細菌性よりもウイルス性の方が多い），多発性筋炎および皮膚筋炎
	代謝性	酸性マルターゼ欠損症，アルコール依存症，カルニチン欠乏症，糖原病および脂質蓄積症（まれ），低カリウム血症，毒性物質（例，アルコール，スタチン系薬剤，コルチコステロイド，ジドブジン）
* 下位運動ニューロンの細胞体（前角細胞）は脊髄内に位置しているため，下位運動ニューロン障害（例，脊髄性筋萎縮症）は厳密には中枢神経系も侵す病態である。
CNS = 中枢神経系；ICU = 集中治療室