子宮内膜がん

(子宮体がん)

執筆者:Pedro T. Ramirez, MD, Houston Methodist Hospital;
Gloria Salvo, MD, MD Anderson Cancer Center
Reviewed ByOluwatosin Goje, MD, MSCR, Cleveland Clinic, Lerner College of Medicine of Case Western Reserve University
レビュー/改訂 修正済み 2023年 9月
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子宮内膜がん(子宮体がん)は通常,類内膜腺癌である。典型的には閉経後の子宮出血として顕在化する。診断は生検による。進行期診断は外科的に行う。治療には,子宮摘出術,両側卵管卵巣摘出術が必要であり,高リスクの組織型では通常,骨盤および傍大動脈リンパ節郭清術を必要とする。進行例には通常,放射線療法,内分泌療法,または化学療法が適応となる。

子宮内膜がんは,医療などの資源が豊富で,肥満率の高い国でより多くみられる。米国では,これは女性で4番目に多いがんである。American Cancer Societyは,2023年に約66,200例が新たに子宮内膜がんと診断され,そのうち約13,030例がこのがんで死亡すると推計している(1)。新規症例のうち,約80%は早期で予後良好であり,残りの20%は高悪性度または進行した病期と予想される(2)。

米国では,子宮内膜がんの発生率は黒人,アメリカンインディアン,およびアラスカ先住民の女性で平均より高い(10万人当たりで,ヒスパニック系は26.1例,非ヒスパニック系アメリカンインディアンまたはアラスカ先住民は28.8例,非ヒスパニック系アジア人または太平洋諸島系は22.7例,非ヒスパニック系黒人は29.4例,非ヒスパニック系白人は27.6例)(3)。死亡率は黒人女性で最も高い(10万人当たりで,ヒスパニック系は4.3例,非ヒスパニック系アメリカンインディアンまたはアラスカ先住民は4.5例,非ヒスパニック系アジア人または太平洋諸島系は3.5例,非ヒスパニック系黒人は9.1例,非ヒスパニック系白人は4.6例)(3)。

子宮内膜がんは主に閉経後女性に生じる。診断時の年齢の中央値は63歳である(3)。大半の症例は55歳から64歳の女性において診断される。

総論の参考文献

  1. 1.American Cancer Society: Key Statistics for Endometrial Cancer.Accessed July 14, 2023.

  2. 2.American Cancer Society: Cancer Facts & Figures 2023.Atlanta: American Cancer Society; 2023.Accessed July 14, 2023.

  3. 3.National Cancer Institute's Surveillance, Epidemiology, and End Results (SEER) Program: Cancer Stat Facts: Uterine Cancer.Accessed July 14, 2023

子宮内膜がんの病因

子宮内膜がんの危険因子は以下の通りである:

  • 黄体ホルモン拮抗のないエストロゲン曝露(unopposed estrogen)(血清中のエストロゲン濃度が高く,プロゲステロン濃度がゼロまたは低値の状態)

  • 年齢45歳以上

  • 肥満

  • 2年を超えるタモキシフェン使用

  • リンチ症候群

  • 骨盤放射線療法の既往

外因性または内因性のエストロゲン曝露の増加は以下と関連している可能性がある:

大半の子宮内膜がんの原因は,散発性の遺伝子変異である。しかしながら,約5%の患者では遺伝性の変異が子宮内膜がんの原因になっており,遺伝性変異による子宮内膜がんは若年で発生する傾向があり,散発性のがんよりもしばしば10~20年早く診断される。遺伝が関与する症例の約半数はリンチ症候群(遺伝性非ポリポーシス大腸癌[HNPCC])の家系で発生している。リンチ症候群の患者では,他のがん(例,大腸癌卵巣がん)を発症するリスクが高い。

子宮内膜がんの病理

子宮内膜がんでは通常,子宮内膜増殖症が先行する。子宮内膜癌は一般的に2種類に分類される。

I型(non-aggressive)の腫瘍はより頻度が高く,通常はエストロゲンに反応し,肥満女性において比較的若年で診断される(閉経期または閉経初期)。子宮内膜増殖症が先行する。この種の腫瘍は通常,悪性度が低く,予後良好である。最も頻度の高い組織型は類内膜腺癌(グレード1および2)である。この腫瘍はマイクロサテライト不安定性を示す場合があり,PTENPIK3CAKRAS,およびCTNNB1に変異を有することがある。

II型(aggressive)の腫瘍は通常,悪性度が高く,グレード3の類内膜癌と類内膜癌以外の組織型(例,漿液性癌,明細胞癌,混合癌,未分化癌,混合型,中腎様,胃腸の粘液性型,癌肉腫)が含まれる。これらは高齢女性に発生する傾向にある。約10~30%にp53変異がみられる(1)。最大10%の子宮内膜癌がII型である(2)。予後は不良である。

類内膜腺癌は子宮内膜がんの約75~80%を占める(3)。

類内膜癌には4つの異なる分子サブタイプがある(4):

  • POLE ultramutated(POLEmut):DNAポリメラーゼ-εのエキソヌクレアーゼドメインにおける病的変異を特徴とし,腫瘍遺伝子変異量が極めて高く,予後が良好である。

  • Mismatch repair-deficient(MMRd):ミスマッチ修復に関わるタンパク質が欠損しており,マイクロサテライト不安定性を示し,予後は中間である。

  • No specific molecular profile(NSMP):特定の分子遺伝学的特徴がなく,腫瘍の病期および悪性度に依存した転帰となり,予後は中間である。

  • p53-mutant:腫瘍遺伝子変異量が低く,体細胞コピー数変化が多く,予後は不良である。

可能であれば分子サブタイプを特定することにより,有用な情報が標準的な臨床病理学的危険因子に加わり,子宮内膜がん患者のリスク群分類,予後の予測,および治療の推奨に役立つ。

子宮体部漿液性癌(10%),明細胞癌(< 5%),および癌肉腫(< 5%)はより悪性度が高く,高リスクの組織型と考えられており,初診時に子宮外病変がみられる頻度が高い。癌肉腫は,かつては肉腫に分類されていたが,現在は悪性度の高い上皮性腫瘍(癌腫)とみなされ,そのように治療されている。

粘液性癌は典型的には悪性度が低く,予後は良好である。この腫瘍ではKRAS変異がよくみられる。

その他の組織病理型の子宮内膜癌は,神経内分泌癌,未分化癌,および混合癌(複数の組織型で構成され,それぞれの型が10%以上を占める)である。

子宮内膜がんは以下のように進展する:

  • 子宮腔の表面から子宮頸管へ

  • 子宮筋層を通って漿膜および腹腔内へ

  • 卵管内腔を経由して卵巣,子宮広間膜,および腹膜表面へ

  • 血流を経由して遠隔転移

  • リンパ管を経由して

腫瘍の異型度が高いほど(より未分化であるほど),より深い筋層浸潤,骨盤または傍大動脈リンパ節転移,および子宮外進展の可能性が高くなる。

病理に関する参考文献

  1. 1.Cancer Genome Atlas Research Network, Kandoth C, Schultz N, et al: Integrated genomic characterization of endometrial carcinoma [published correction appears in Nature 2013 Aug 8;500(7461):242]. Nature 497(7447):67-73, 2013.doi:10.1038/nature12113

  2. 2.Faber MT, Frederiksen K, Jensen A, et al: Time trends in the incidence of hysterectomy-corrected overall, type 1 and type 2 endometrial cancer in Denmark 1978-2014. Gynecol Oncol 146(2):359-367, 2017.doi:10.1016/j.ygyno.2017.05.015

  3. 3.Lu KH, Broaddus RR: Endometrial cancer. N Engl J Med 383(21):2053-2064, 2020.doi:10.1056/NEJMra1514010

  4. 4.WHO Classification of Tumours Editorial Board: 2020 WHO Classification of Tumours, 5th Edition, Volume 4: Female Genital Tumors. 

子宮内膜がんの症状と徴候

子宮内膜がんの大半の患者(> 90%)に異常子宮出血がみられる(例,閉経後出血,閉経前の月経間期出血,排卵障害)。年齢と危険因子により,閉経後出血がある女性の6~19%が子宮内膜がんである(1)。

症状と徴候に関する参考文献

  1. 1.Clarke MA, Long BJ, Del Mar Morillo A, et al: Association of endometrial cancer risk with postmenopausal bleeding in women: a systematic review and meta-analysis. JAMA Intern Med 178(9):1210-1222, 2018.doi:10.1001/jamainternmed.2018.2820

子宮内膜がんの診断

  • 子宮内膜生検

以下の所見は子宮内膜がんを示唆する:

  • 閉経後の出血

  • 閉経前女性,特に45歳以上の女性における異常出血(月経間期出血,排卵障害)

  • ルーチンのパパニコロウ(Pap)検査で閉経後女性に子宮内膜細胞を認める

  • ルーチンのPap検査で異型子宮内膜細胞を認める全ての女性

子宮内膜がんが疑われる場合には,外来で子宮内膜生検を施行する;感度は90%を超える。平均的リスクの閉経後女性における代替法として経腟超音波検査があるが,子宮内膜厚が4mmを超え,結果が確定的でない場合には生検が必要である(1)。

生検結果が確定的でない場合や,前がん状態(例,異型を伴う複雑型子宮内膜増殖症)またはがんが示唆される場合には,しばしば子宮鏡検査と併せて頸管拡張・内膜掻爬(D&C)が行われる。

子宮内膜がんと診断したら,治療前評価として血算およびその他の血液検査(血清電解質測定,腎臓,および肝臓)を行う。胸部X線を施行する。胸部X線で異常がみられる場合は,CTを施行すべきである。以下を考慮すべきである:

  • 腫瘍の原発部位(子宮頸部または子宮体部)と局所進展の範囲を明らかにするための骨盤MRI

  • 異型度が高い場合は胸部,腹部,および骨盤CT

  • 身体診察または血液検査の結果に基づき遠隔転移が疑われる場合はPET-CT

子宮内膜がんはときに遺伝性変異に起因することがあるため,患者が50歳未満であるか,子宮内膜がん,卵巣がん,または大腸癌もしくは既知のリンチ症候群(HNPCC)の有意な家族歴を有する場合,遺伝カウンセリングおよび/または遺伝子検査を考慮すべきである。

進行期診断

子宮内膜がんの進行期診断は,組織型(non-aggresiveかaggressiveか);進展範囲(浸潤深度,周囲の構造への進展,および子宮外またはリンパ節転移など);脈管侵襲;ならびに分子分類に基づく(子宮体がんおよび癌肉腫のFIGO進行期分類の表を参照)。

進行期診断は外科的に行い,腹部および骨盤内の検索,疑わしい子宮外病変の生検や切除,腹式子宮全摘出術を含み,高リスクの特徴(グレード1または2かつ筋層浸潤の深いがん,グレード3のがん,高リスクの組織型のがん全て)を有する患者では,骨盤および傍大動脈リンパ節郭清術を含む。進行期診断は開腹手術,腹腔鏡手術,またはロボット支援手術で行うことができる。がんが子宮に限局しているとみられる場合は,センチネルリンパ節マッピングが骨盤リンパ節および傍大動脈リンパ節郭清術の代替となる。

表&コラム
表&コラム

分子分類が既知の場合:

  • FIGO進行期分類のI期およびII期は,外科的/解剖学的所見および組織学的所見に基づく。POLEmutまたはp53abnでは,FIGO進行期分類が早期の場合,進行期が修正される。これはFIGO進行期分類に分子分類の「m」を追加することで示され,POLEmutまたはp53abnが下付き文字で追加される。MMRdまたはNSMPではFIGO進行期分類が早期でも進行期が修正されることはないが,データ収集のため,これらの分子分類を記録すべきである。分子分類の結果がMMRdまたはNSMPと判明した場合は,ImまたはImおよびIImまたはIImとして記録すること。

  • FIGO進行期分類のIII期およびIV期は,外科的/解剖学的所見に基づく。これらの進行期分類は分子分類によって修正されるものではないが,分子分類が判明している場合は,データ収集のため,適切な下付き文字を加えてIIImまたはIVmとして記録すべきである。例えば,分子分類の結果がp53abnと判明した場合は,IIImまたはIVmとして記録する。

子宮内膜がんに対するセンチネルリンパ節マッピング

センチネルリンパ節(SLN)マッピングは,子宮に限局しているとみられるがん(I期)の外科的進行期診断の方法として考慮することができる(2)。SLNマッピングは現在,多くの施設においてリスクの高い組織型(すなわち漿液性癌,明細胞癌,および癌肉腫)に対する標準となっている(3)。

子宮内膜がんに対するSLNマッピングの役割が,複数の研究において評価されている。FIRES試験では,臨床進行期I期の子宮内膜がん患者において,インドシアニングリーン(ICG)を用いたSLNマッピングが子宮内膜がん転移の診断に極めて正確であることが示され,完全なリンパ節郭清の代替として推奨された(4)。SLNマッピングは,子宮頸癌と同様に,同じトレーサー(青色色素,テクネチウム99[99Tc],ICG)を用いて行われる。センチネルリンパ節マッピングは,開腹手術または低侵襲手術(ロボット支援手術や腹腔鏡手術など)で実施可能である(5)。

子宮内膜癌の患者においてトレーサーを注射する部位については議論がある。エビデンスから,子宮内膜がんではICGの子宮頸部への注入は子宮鏡下での注入よりも検出率が高く,解剖学的なリンパ節の分布も同様に得られることが示唆されている(6)。色素は通常,子宮頸部の表層(1~3mm)および深層(1~2cm)に,3時と9時方向に注射する。この手技では,色素は子宮のリンパ本幹(子宮傍組織で合流する)に浸透し,骨盤およびときに傍大動脈領域のSLNへとつながる子宮広間膜に現れる。

センチネルリンパ節が両側に同定された場合,腫瘍の特徴にかかわらずリンパ節郭清は適応とならない。片側(または両側)でセンチネルリンパ節が同定されない場合,その側の完全なリンパ節郭清が必要である。傍大動脈リンパ節の切除が必要かどうかは,外科医の裁量に委ねられる。

骨盤SLNの最も一般的な位置は以下の通りである:

  • 外腸骨動静脈の内側

  • 内腸骨動静脈の腹側

  • 閉鎖領域の中の頭側

あまり一般的でない位置は,総腸骨領域および/または仙骨前方部である。

以下のいずれかの状況では,完全な骨盤リンパ節郭清を行うべきである:

  • 高リスク腫瘍がある患者においてマッピングによりSLNが全く検出されない

  • 片側骨盤内にマッピングを認めない

  • マッピングの結果にかかわらず,疑わしいまたは著しく腫大したリンパ節がある

進行中の第III相ランダム化試験(ENDO-3)では,臨床病期I期のFIGOグレード1~3類内膜癌,明細胞癌,漿液性癌,または癌肉腫を対象として,SLN生検を行う場合(後腹膜リンパ節郭清はなし)とリンパ節郭清を行わない場合と比較する評価が行われている(7)。

診断に関する参考文献

  1. 1.ACOG (American College of Obstetricians and Gynecologists) Committee Opinion No. 734: The role of transvaginal ultrasonography in evaluating the endometrium of women with postmenopausal bleeding.Obstet Gynecol 131 (5):e124-e129, 2018.doi: 10.1097/AOG.0000000000002631

  2. 2.Cusimano MC, Vicus D, Pulman K, et al: Assessment of sentinel lymph node Biopsy vs lymphadenectomy for intermediate- and high-grade endometrial cancer staging.JAMA Surg 156 (2):157–164, 2021.doi: 10.1001/jamasurg.2020.5060

  3. 3.Schlappe BA, Weaver AL, McGree ME, et al: Multicenter study comparing oncologic outcomes after lymph node assessment via a sentinel lymph node algorithm versus comprehensive pelvic and paraaortic lymphadenectomy in patients with serous and clear cell endometrial carcinoma.Gynecol Oncol 156 (1):62–69, 2020.doi: 10.1016/j.ygyno.2019.11.002

  4. 4.Rossi EC, Kowalski LD, Scalici J, et al: A comparison of sentinel lymph node biopsy to lymphadenectomy for endometrial cancer staging (FIRES trial): A multicentre, prospective, cohort study.Lancet Oncol 18 (3):384–392, 2017.doi: 10.1016/S1470-2045(17)30068-2

  5. 5.Segarra-Vidal B, Dinoi G, Zorrilla-Vaca A, et al: Minimally invasive compared with open hysterectomy in high-risk endometrial cancer.Obstet Gynecol 138 (6):828–837, 2021.doi: 10.1097/AOG.0000000000004606

  6. 6.Rossi EC, Jackson A, Ivanova A, Boggess JF: Detection of sentinel nodes for endometrial cancer with robotic assisted fluorescence imaging: cervical versus hysteroscopic injection.Int J Gynecol Cancer 23 (9):1704–1711, 2013.doi: 10.1097/IGC.0b013e3182a616f6

  7. 7.Obermair A, Nicklin J, Gebski V, et al: A phase III randomized clinical trial comparing sentinel node biopsy with no retroperitoneal node dissection in apparent early-stage endometrial cancer - ENDO-3: ANZGOG trial 1911/2020. Int J Gynecol Cancer 31(12):1595-1601, 2021.doi:10.1136/ijgc-2021-003029

子宮内膜がんの治療

  • 子宮全摘出術および両側卵管卵巣摘出術

  • グレード1または2で筋層浸潤の深い(> 50%)もの,全てのグレード3のがん,および全ての高リスクの組織型のがんでは,骨盤および傍大動脈リンパ節郭清術

  • II期またはIII期には骨盤放射線療法と場合により化学療法

  • IV期には通常,集学的治療が勧められる

National Comprehensive Cancer Network (NCCN): NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology: Uterine Neoplasmsも参照のこと。)

子宮内膜がんは一塊に切除すべきであり,通常は子宮全摘出術および両側卵管卵巣摘出術の施行による。腹腔内での腫瘍の断片化やモルセレーションは避けなければならない。

手術はあらゆる経路(経腟,開腹,ロボット支援下,腹腔鏡下)で行える。腫瘍が子宮に限局している患者では,周術期および術後の合併症発生率が低く,入院期間が短く(1),費用が安く,腫瘍学的な成績が同等(2)であることから,低侵襲手術が望ましいアプローチである。

エビデンスは総じて,腹腔鏡手術と開腹術で腫瘍学的成績が同等であることを支持している。Gynecologic Oncology GroupのLAP2 Studyでは,臨床進行期がI期からIIA期の子宮体がんの女性が2:1の比で腹腔鏡手術群または開腹術群にランダムに割り付けられた。この研究では,腹腔鏡下アプローチの統計学的な非劣性が実証されなかった。しかしながら,追跡期間中央値59カ月後の生存率は両アプローチとも同程度であり,5年全生存率は両群ともに90%であった。推定された5年再発率も同程度であった(14% vs 12%[3])。Laparoscopic Approach to Cancer of the Endoplasmic(LACE)試験は,I期の類内膜癌患者760人を対象とした国際ランダム化試験であった。患者は腹腔鏡下子宮摘出術または開腹子宮摘出術にランダムに割り付けられた。4.5年時点での無病生存率(82% vs 81%)および全生存率(死亡率:7.4% vs 6.8%)は同程度であった(4)。

グレード1または2の子宮内膜がん患者で浸潤が50%未満の患者では,リンパ節転移がある確率は2%未満である(5)。これらの患者では,治療は通常,開腹,腹腔鏡,またはロボット支援手術による子宮全摘出術および両側卵管卵巣摘出術である。しかし,IA期またはIB期の類内膜腺癌の若年女性では,卵巣温存は通常安全であり,卵巣機能を温存するために推奨される。

患者に以下のいずれかがみられる場合には,骨盤および傍大動脈リンパ節郭清術も行う(SLNマッピングで両側にSLNが同定された場合を除く):

  • 深い(50%を超える)筋層浸潤を伴うグレード1または2のがん

  • グレード3の全てのがん

  • 高リスクの組織型の全てのがん(漿液性癌,明細胞癌,癌肉腫)

  • マッピングの結果にかかわらず,疑わしいまたは著しく腫大したリンパ節がある

SLNが両側に同定された場合,腫瘍の特徴にかかわらずリンパ節郭清は適応とならない。片側でセンチネルリンパ節が同定されない場合,その側の完全なリンパ節郭清が必要である。

II期またはIII期の子宮内膜がんには,化学療法を併用または併用しない骨盤放射線療法が必要である。III期の治療は個別に検討しなければならないが,手術が1つの選択肢となる;一般に,手術と放射線療法を併用した患者では予後が良好である。大きな子宮傍組織病変のある患者を除き,腹式子宮全摘出術および両側卵管卵巣摘出術を実施すべきである。

IV期の子宮内膜がんの治療は様々で患者によって異なるが,典型的には手術,放射線療法,および化学療法を併用する。場合によっては,内分泌療法も考慮すべきである。

IV期の子宮内膜がんの治療は様々で患者によって異なるが,典型的には手術,放射線療法,および化学療法を併用する。場合によっては,内分泌療法も考慮すべきである(6)。

数種の細胞傷害性薬剤(特にカルボプラチンとパクリタキセルの併用)が効果的である。これらは主に転移例または再発例の女性に投与される。他の選択肢としてドキソルビシンがある。

進行例に対しては,カルボプラチンおよびパクリタキセルによる化学療法が標準となっている。しかしながら,最近のデータでは,VEGF(血管内皮増殖因子)受容体を阻害するマルチキナーゼ阻害薬であるレンバチニブとPD-1(programmed cell death 1)活性を阻害するモノクローナル抗体であるペムブロリズマブの使用が支持されている。最近の第II相試験では,この併用療法を受けた患者における39.6%の客観的奏効率が示された(7)。

進行例または再発例

いくつかの研究により,再発がんに対しては,標準化学療法(通常カルボプラチンとパクリタキセル)の代替として,より標的を絞った治療の便益が示されている。再発子宮内膜がん患者を対象とした第II相試験では,エベロリムス(mTOR阻害薬)とレトロゾール(アロマターゼ阻害薬)の併用で,40%の臨床的有用率と32%の客観的奏効率が示された(8)。

再発子宮体部漿液性癌の患者では,カルボプラチンとパクリタキセルによる標準化学療法がルーチンの推奨とされてきた。しかしながら,最近得られた第II相試験の前向きデータでは,トラスツズマブの追加でさらなる便益がもたらされる可能性が示唆されている。この試験では,検査でHER2(human epidermal growth factor receptor 2)/neu陽性と判定された子宮体部漿液性癌の患者が,6サイクルのカルボプラチン + パクリタキセル(対照群)またはカルボプラチン + パクリタキセル + トラスツズマブ静注(実験群)のいずれかにランダムに割り付けられた。トラスツズマブの追加により,無増悪生存期間が8カ月から12.6カ月に延長した(9)。

子宮内膜がんの治療において,化学療法と免疫療法の併用が相乗効果を示している。第III相国際共同ランダム化二重盲検プラセボ対照試験では,進行(III期もしくはIV期)または再発した子宮内膜がん患者において,ドスタルリマブ + カルボプラチン + パクリタキセルの併用により,プラセボ + カルボプラチン + パクリタキセルと比較して無増悪生存期間(PFS)の有意な延長が認められた(24カ月時点でのPFSはドスタルリマブ群で36.1%であったのに対し,プラセボ群では18.1%であった;ハザード比0.64)(10)。24カ月時点での全生存率(OS)はドスタルリマブ群で71.3%,プラセボ群で56.0%であった(死亡に対するハザード比0.64)。サブグループ解析では,高頻度マイクロサテライト不安定性/ミスマッチ修復欠損を有する腫瘍がある患者で実質的な便益が示された(24カ月時点でのPFSはドスタルリマブ群で61.4%であったのに対し,プラセボ群では15.7%であった;進行または死亡に対するハザード比0.28)。

進行または再発した子宮内膜がん患者では,化学療法にペムブロリズマブを追加することで,PFSに関して付加的な便益が得られるようである。第III相ランダム化二重盲検プラセボ対照試験では,ミスマッチ修復欠損を有するIII~IVB期の子宮内膜がんの患者を対象に,ペムブロリズマブ併用化学療法(パクリタキセル + カルボプラチン)とプラセボ併用化学療法を比較したところ,ペムブロリズマブ群でPFSの延長が認められた(PFS 74% vs 38%;13.1カ月 vs 8.7カ月;ハザード比0.54)(11)。

子宮内膜増殖症および初期の子宮内膜がんにおける妊孕性温存

複雑型子宮内膜異型増殖症の患者において子宮内膜がんが併存するリスクは最大50%である。子宮内膜増殖症の治療は,病変の複雑度および患者の妊孕性温存の希望に応じて,プロゲスチンまたは根治手術により行う。

グレード1の腫瘍で筋層浸潤がなく(MRIで確認),妊孕性温存を望む若年患者では,プロゲスチン単独での治療も選択肢の1つである。治療開始から3カ月以内に約46~80%の患者で完全奏効が得られる。3カ月後,子宮内膜生検よりも頸管拡張・内膜掻爬(D&C)により評価を行うべきである。

代わりに,複雑型異型増殖症またはグレード1の子宮内膜がん患者の治療に,レボノルゲストレル放出子宮内避妊器具(IUD)が使用されることが多くなってきている。単群臨床試験での前向き評価では,12カ月時点の病理学的奏効率が複雑型異型増殖症で90.6%,グレード1の類内膜癌で66.7%であった。有害事象は軽度であり,治療が生活の質に悪影響を及ぼすことはなかった(12)。

保存的治療が効果的でない場合(6~9カ月間の治療後に子宮内膜がんが依然として存在する)や,挙児希望がない場合には手術が推奨される。高異型度類内膜腺癌,漿液性癌,明細胞癌,および癌肉腫の患者では妊孕性温存治療は禁忌である。

若年女性のIA期またはIB期の類内膜腺癌では,卵巣温存は安全であり,勧められる。

高リスクの組織型

漿液性癌,明細胞癌,または癌肉腫は悪性度の高い組織型で,高リスクのがんであると考えられているため,初診時にすでに子宮外進展している可能性が高い。

これらの悪性度の高い組織型の子宮内膜腫瘍では,一般に集学的治療が勧められる。初回治療には,腹式子宮摘出術,骨盤および傍大動脈リンパ節郭清術を併用した両側卵管卵巣摘出術,ならびに大網および腹膜生検が含まれる。

肉眼的子宮外病変のある患者では,腫瘍の量を減らし,肉眼的残存病変をなくすための腫瘍減量手術を行うべきである。

漿液性癌および明細胞癌に対するアジュバント療法は進行期に依存する:

  • IA期で子宮摘出標本で筋層浸潤を認めず,残存病変がみられない:経過観察および綿密なフォローアップ(許容可能なアプローチ)

  • その他のIA期およびIB期またはII期:通常は腟内密封小線源治療に続いてカルボプラチンとパクリタキセルによる全身化学療法

  • より進行した例:カルボプラチンおよびパクリタキセルによる標準化学療法

癌肉腫に対するアジュバント療法も進行期による:

  • IA期で子宮摘出標本で筋層浸潤を認めず,残存病変がみられない:経過観察および綿密なフォローアップ(許容可能なアプローチ)

  • その他全ての進行期:通常,イホスファミド + パクリタキセルによる全身化学療法

治療に関する参考文献

  1. 1.Walker JL, Piedmonte MR, Spirtos NM, et al: Laparoscopy compared with laparotomy for comprehensive surgical staging of uterine cancer: Gynecologic Oncology Group Study LAP2. Clin Oncol 27 (32):5331-5336, 2009.doi: 10.1200/JCO.2009.22.3248

  2. 2.Galaal K, Donkers H, Bryant A, Lopes AD: Laparoscopy versus laparotomy for the management of early stage endometrial cancer.Cochrane Database Syst Rev 10 (10):CD006655, 2018.doi: 10.1002/14651858.CD006655.pub3

  3. 3.Walker JL, Piedmonte MR, Spirtos NM, et al: Recurrence and survival after random assignment to laparoscopy versus laparotomy for comprehensive surgical staging of uterine cancer: Gynecologic Oncology Group LAP2 Study.J Clin Oncol 30 (7):695–700, 2012.doi: 10.1200/JCO.2011.38.8645

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  7. 7.Makker V, Rasco D, Vogelzang NJ, et al: Lenvatinib plus pembrolizumab in patients with advanced endometrial cancer: An interim analysis of a multicentre, open-label, single-arm, phase 2 trial.Lancet Oncol 20 (5):711–718, 2019.doi: 10.1016/S1470-2045(19)30020-8

  8. 8.Slomovitz BM, Jiang Y, Yates MS, et al: Phase II study of everolimus and letrozole in patients with recurrent endometrial carcinoma.J Clin Oncol 33 (8):930–936, 2015.doi: 10.1200/JCO.2014.58.3401

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  10. 10.Mirza MR, Chase DM, Slomovitz BM, et al: Dostarlimab for Primary Advanced or Recurrent Endometrial Cancer. N Engl J Med 388(23):2145-2158, 2023.doi:10.1056/NEJMoa2216334

  11. 11.Eskander RN, Sill MW, Beffa L, et al: Pembrolizumab plus Chemotherapy in Advanced Endometrial Cancer. N Engl J Med 388(23):2159-2170, 2023.doi:10.1056/NEJMoa2302312

  12. 12.Westin SN, Fellman B, Sun CC, et al: Prospective phase II trial of levonorgestrel intrauterine device: Nonsurgical approach for complex atypical hyperplasia and early-stage endometrial cancer.Am J Obstet Gynecol 224 (2):191.e1-191.e15, 2021.doi: 10.1016/j.ajog.2020.08.032

子宮内膜がんの予後

予後は,腫瘍のグレードが高いほど,進展が広範なほど,および患者の年齢が高くなるほど不良となる。

子宮内膜がん患者の平均5年生存率は以下の通りである(1):

  • I 期またはII期:70~95%

  • III期またはIV期:10~60%

全体では,63%の患者が治療後5年以上にわたり,がんがみられない状態となる。

予後に関する参考文献

  1. 1.National Cancer Institute's Surveillance, Epidemiology, and End Results (SEER) Program: Cancer Stat Facts: Uterine Cancer.Accessed August 31, 2023

要点

  • 子宮内膜がんは女性において最も頻度の高いがんの1つである。

  • グレード1または2の類内膜腺癌であるI型腫瘍の方が予後良好であり,これらはエストロゲンに反応し,より若年で診断される傾向がある。

  • 異常子宮出血がみられる女性,特に45歳以上の女性には子宮内膜採取を推奨する;平均的リスクの閉経後女性では,超音波検査による子宮内膜厚の評価が代替法となる。

  • 開腹,腹腔鏡手術,またはロボット支援手術により外科的に子宮内膜がんの進行期診断を行う。

  • 治療は通常,子宮全摘出術,両側卵管卵巣摘出術,およびリンパ節郭清術ならびにときに放射線療法および/または化学療法を行う。

  • 子宮に限局しているとみられる場合はセンチネルリンパ節マッピングを考慮する。

  • グレード1の類内膜腺癌または複雑型異型増殖症の患者において,妊孕性を温存する治療を考慮する。

  • 50歳未満の患者ならびに子宮内膜がん,卵巣がん,および/または大腸癌(リンチ症候群[遺伝性非ポリポーシス大腸癌])の顕著な家族歴を有する患者において,遺伝カウンセリングおよび遺伝子検査を考慮する。

より詳細な情報

有用となりうる英語の資料を以下に示す。ただし,本マニュアルはこの資料の内容について責任を負わないことに留意されたい。

  1. National Cancer Institute: Endometrial Cancer Treatment: This web site provides information about endometrial cancer, its classification, staging, and treatment by stage.

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