受胎前または出生前キャリア検査

執筆者:Jeffrey S. Dungan, MD, Northwestern University, Feinberg School of Medicine
Reviewed ByOluwatosin Goje, MD, MSCR, Cleveland Clinic, Lerner College of Medicine of Case Western Reserve University
レビュー/改訂 修正済み 2024年 1月
v1069087_ja
意見 同じトピックページ はこちら

キャリア検査はルーチンの出生前ケアの一部であり,理想的には受胎前に行うものである。キャリア検査の詳細度は,女性とそのパートナーが以下のような要因をどの程度重視するかに依存する:

  • 危険因子および過去の検査結果に基づく胎児異常の発生確率

  • 侵襲的な胎児検査による合併症の発生確率

  • 結果を知ることの重要性(例,何らかの異常が診断されたら中絶ことを希望する,不安となるような結果は知りたくない)

これらの理由から,意思決定は個人的なものであり,たとえリスクが同様であるとしても,全ての女性に一般化した推奨は提示できない場合が多い。

スクリーニング歴は評価の一部である。スクリーニング歴は家系図として要約される(家系図作成のための記号の図を参照)。情報には,両親,第1度近親者(両親,同胞,子)および第2度近親者(おば,おじ,祖父母)に関する,健康状態および遺伝性疾患の存在やキャリア状態,さらに民族的,人種的背景および近親結婚も含めるべきである。以前の妊娠の転帰に注意する。遺伝性疾患が疑われる場合,関連する医療記録を再検討すべきである。

親になる可能性のある人が子に影響を及ぼしうる遺伝学的キャリア状態の検査を受けるタイミングは受胎前が最善であるが,多くの人は受胎後になってからキャリアスクリーニングを受ける。従来から,特定のよくみられるメンデル遺伝病の無症候性キャリアであるリスクがある親に対してスクリーニング検査が勧められている(カップルの受胎前または出生前遺伝学的スクリーニングの表を参照)。両親の民族は複雑で明確に定義できない場合が多く,また出生前遺伝学的検査が以前よりはるかに安価かつ迅速になってきているため,民族に関係なく挙児希望(および妊娠中)の全てのカップルに対してスクリーニングを行っている医師もいる(universal carrier screeningと呼ばれる)。したがって,キャリアスクリーニングに対する現在のアプローチには,評価すべき多数の病態を全ての患者に共通のリストとして提示することが含まれる。しばしば数十の遺伝子および疾患(ほかよりも表現型に及ぼす影響がより深刻なものもある)が含められる(1)。検査と評価の量が増えることで検査前のカウンセリングの複雑性が増すことが予想される。American College of Medical Genetics and Genomicsは,キャリア頻度に基づく階層化されたキャリアスクリーニングシステムを推奨し,キャリアスクリーニングパネルに含めるべき疾患の一覧表を提示している(2)。

出生前遺伝カウンセリングも参照のこと。)

総論の参考文献

  1. 1.American College of Obstetricians and Gynecologists/Committee on Genetics: Committee opinion no. 690: Carrier Screening in the age of genomic medicine.Obstet Gynecol 129 (3):e35–e40, 2017.doi: 10.1097/AOG.0000000000001951

  2. 2.Gregg AR, Aarabi M, Klugman S, et al: Screening for autosomal recessive and X-linked conditions during pregnancy and preconception: A practice resource of the American College of Medical Genetics and Genomics (ACMG).[published correction appears in Genet Med 2021 Aug 27]. Genet Med 23(10):1793-1806, 2021.doi:10.1038/s41436-021-01203-z

胎児の遺伝子異常を検出するための出生前検査

受胎後,妊婦には胎児の染色体異常に対する非侵襲的スクリーニング検査を勧めるべきであり,この検査はいくつかある方法のうちの1つを用いて行う(例,血清中のセルフリーDNA検査,analyte screening)(1)。このスクリーニング検査で陽性と判定された場合は,胎児の遺伝学的診断検査(胎児細胞の検体を用いて行う侵襲的な検査)によるフォローアップを行うことがある(胎児の遺伝学的診断検査の適応の表を参照)。このような診断検査によって,遺伝子異常の確定診断が可能となる。また,片方の親のスクリーニング(受胎前または受胎後に行う)で遺伝子異常が検出された場合は,最初の非侵襲的な胎児スクリーニング検査(例,cfDNAスクリーニングまたは血清スクリーニング)を行わずに,胎児の遺伝学的診断検査(例,絨毛採取または羊水穿刺)を行うことを妊婦が選択する場合がある。

胎児の染色体異常のスクリーニング検査には,胎児のダウン症候群18トリソミー,および13トリソミーのスクリーニングとして,母体血漿中のセルフリーDNA(cfDNA)分析を用いる検査があり,これは妊娠10週という早い段階で実施できる。analyte screeningと呼ばれる別のスクリーニング方法では,神経管閉鎖不全ダウン症候群(およびその他の染色体異常),およびその他の先天異常を検出するために,複数の母体血清マーカー(α-フェトプロテイン,β-ヒト絨毛性ゴナドトロピン[β-hCG],エストリオール,インヒビンA)を用いる。analyte screeningは妊娠15~20週の間に行う。

胎児の遺伝学的診断検査は通常,胎児の染色体異常のリスクが高い場合に推奨される(胎児の遺伝学的診断検査の適応の表を参照)。胎児の遺伝学的診断検査は,スクリーニング検査とは異なり,通常は侵襲的で胎児のリスクを伴う。したがって以前は,危険因子があるか,またはカップルのいずれかに既知の遺伝子異常がある場合を除き,このような検査は女性に対してルーチンに推奨されていなかった。しかし今日では,胎児の遺伝学的診断検査が広く普及し安全性が向上しているため,リスクにかかわらず全ての妊婦に胎児の遺伝学的検査を勧めることが推奨されている。

胎児の遺伝学的診断検査として,絨毛採取羊水穿刺,または,まれではあるが,経皮的臍帯血採取が行われる。さらに,生殖補助医療(例,体外受精)による妊娠の場合は,着床前遺伝学的診断検査が1つの選択肢となる。

胎児の遺伝学的診断検査により,全てのトリソミー,他の多くの染色体異常,および数百のメンデル遺伝病が検出できる。顕微鏡で観察できない染色体異常は,従来の核型検査では見逃され,アレイCGHや一塩基多型(SNP)アレイのようなマイクロアレイ技術によってのみ同定できる。出生前検査におけるアレイCGHは構造的異常のある胎児の評価に最も頻用されている。アレイ検査では,染色体数の異常(例,トリソミー)のほか,微小欠失など染色体の不均衡型構造異常も検出できる。構造異常を有する胎児では,従来の核型分析では見逃されていたであろうアレイ異常の発生率が約6%であることが研究により報告されている。

体外受精を用いるカップルに対しては着床前遺伝学的診断が利用可能な場合がある。

表&コラム
表&コラム
表&コラム
表&コラム

検査に関する参考文献

  1. 1.American College of Obstetricians and Gynecologists’ Committee on Practice Bulletins—Obstetrics; Committee on Genetics; Society for Maternal-Fetal Medicine: Screening for fetal chromosomal abnormalities: ACOG Practice Bulletin, Number 226. Obstet Gynecol.2020;136(4):e48-e69.doi:10.1097/AOG.0000000000004084

quizzes_lightbulb_red
Test your KnowledgeTake a Quiz!
iOS ANDROID
iOS ANDROID
iOS ANDROID