ニーマン-ピック病

執筆者:Matt Demczko, MD, Mitochondrial Medicine, Children's Hospital of Philadelphia
レビュー/改訂 2020年 4月
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ニーマン-ピック病は,スフィンゴミエリナーゼ活性の欠乏によって生じるスフィンゴリピドーシス(遺伝性代謝疾患の1つ)であり,網内系細胞へのスフィンゴミエリン(セラミドホスホリルコリン)の蓄積を引き起こす。診断はDNA解析および/または白血球の酵素分析による。骨髄移植,造血幹細胞移植,および酵素補充療法が治療の選択肢となる可能性がある。

詳細については,主なスフィンゴリピドーシスおよびその他のリピドーシスの表を参照のこと。

遺伝性代謝疾患が疑われる患者へのアプローチも参照のこと。

ニーマン-ピック病の遺伝形式は常染色体劣性で,アシュケナージ系ユダヤ人で最も頻度が高く,A型とB型が存在する。C型のニーマン-ピック病は,これらと無関係な酵素欠損症であり,コレステロールの異常蓄積を引き起こす。

A型の患児では,スフィンゴミエリナーゼ活性が正常値の5%未満である。この疾患は,肝脾腫,発育不良,急速進行性の神経変性を特徴とする。2歳または3歳までに死亡する。

B型の患者では,スフィンゴミエリナーゼ活性が正常値の5~10%である。B型はA型よりも臨床的に多様である。肝脾腫およびリンパ節腫脹がみられることもある。汎血球減少がよくみられる。B型のほとんどの患者では,神経障害がわずかにみられるか,全くみられず,成人期まで生存するため,ゴーシェ病I型と臨床的に鑑別できない場合がある。B型の重症例では,進行性の肺浸潤によって重大な合併症が引き起こされる。

診断

  • 出生前スクリーニング

  • 白血球スフィンゴミエリナーゼ定量

両病型とも通常は病歴および診察(肝脾腫が最も顕著)から疑われる。ニーマン-ピック病の診断は,DNA解析および/または白血球でのスフィンゴミエリナーゼ定量により確定でき,羊水穿刺または絨毛採取によって出生前診断が可能である。保因者の診断にはDNA解析が行われることもある。(遺伝性代謝疾患が疑われる場合の検査も参照のこと。)

治療

  • 可能性として骨髄移植,造血幹細胞移植,および酵素補充療法

骨髄移植,造血幹細胞移植,および酵素補充療法が研究段階にあり,将来治療の選択肢となる可能性がある。

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