中耳炎(急性)

執筆者:Taha A. Jan, MD, Vanderbilt University Medical Center
Reviewed ByLawrence R. Lustig, MD, Columbia University Medical Center and New York Presbyterian Hospital
レビュー/改訂 2024年 1月 | 修正済み 2024年 7月
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急性中耳炎は,中耳の細菌感染症またはウイルス感染症であり,通常は上気道感染に併発する。症状としては耳痛があり,しばしば全身症状(例,発熱,悪心,嘔吐,下痢)を伴い,特に非常に若年の患者でその傾向が強い。診断は耳鏡検査に基づく。治療は鎮痛薬により行い,ときに抗菌薬も用いる。

急性中耳炎はどの年齢層でも生じるが,3カ月から3歳の間で最も多い。この年齢層では,耳管が構造的にも機能的にも未熟であり,耳管の角度が比較的水平で,口蓋帆張筋と耳管軟骨の角度のために,開放機構が効率的に機能しない。

急性中耳炎の病因は,ウイルス性または細菌性である。ウイルス感染はしばしば,二次的な細菌感染を併発する。新生児ではグラム陰性腸内桿菌,特に大腸菌(Escherichia coli)および黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)が急性中耳炎の原因となる。年長の乳児および小児(14歳未満)では,最も一般的な起因菌は肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae),Moraxella (Branhamella) catarrhalis,および無莢膜型インフルエンザ菌(nontypeable Haemophilus influenzae)であり,A群β溶血性レンサ球菌と黄色ブドウ球菌(S. aureus)は起因菌としてそれほど一般的ではない。14歳以上の患者では,肺炎球菌(S. pneumoniae),A群β溶血性レンサ球菌,および黄色ブドウ球菌(S. aureus)が最も一般的であり,インフルエンザ菌(H. influenzae)が続く。

危険因子

家庭内喫煙は,急性中耳炎の有意な危険因子である。その他の危険因子としては,中耳炎の濃厚な家族歴,医療などの資源が少ない地域や大気汚染が高度の地域での生活,哺乳瓶による哺育(母乳哺育ではない),託児所の利用などがある。

合併症

急性中耳炎の合併症はまれである。まれに,中耳の細菌感染が局所的に拡がり,急性乳様突起炎,錐体尖炎,または内耳炎を引き起こす。頭蓋内への波及は極めてまれであるが,波及した場合は通常,髄膜炎を引き起こす。脳膿瘍硬膜下膿瘍硬膜外膿瘍,横静脈洞血栓症,または耳性水頭症が生じることもある。抗菌薬療法を行っても,特に易感染性患者においては,頭蓋内合併症の回復は遅い。

急性中耳炎の症状と徴候

通常の初発症状は耳痛であり,しばしば難聴を伴う。乳児では,単にむずかったり,睡眠障害がみられるだけの場合もある。幼児では,発熱,悪心,嘔吐,および下痢がしばしば起こる。耳鏡検査では,膨隆および発赤した鼓膜(不明瞭なツチ骨柄などのランドマークおよび光錐の位置変化を伴う)がみられることがある。送気による検査(air insufflation)(気密耳鏡検査)では,鼓膜の可動性の低下が認められる。鼓膜の自然穿孔は,漿液血性または膿性の耳漏を引き起こし,典型的には急速に疼痛を緩和する。

感染の頭蓋内への波及とともに,重度の頭痛,錯乱,または局所性の神経学的徴候が生じることがある。顔面神経麻痺または回転性めまいは,顔面神経管または迷路部への局所的な拡大を示唆する。

急性中耳炎の診断

  • 臨床的評価

急性中耳炎の診断は通常は臨床的に行い,急性(48時間以内)の疼痛発症,鼓膜の膨隆,および特に小児では,気密耳鏡検査で検出された中耳滲出液の徴候がみられることに基づく。鼓膜切開術の際に滲出液が採取された場合を除き,培養は通常行わない。

急性中耳炎の治療

  • 鎮痛薬

  • ときに抗菌薬

  • まれに鼓膜切開術

痛みによる行動障害(例,耳を引っ張るまたはこする,過度の啼泣,むずかり)がある言語習得前の小児に対してなど,必要な場合は鎮痛を得るべきである。アセトアミノフェンまたはイブプロフェンなどの経口鎮痛薬が通常は効果的である;小児に対しては体重ベースの用量を用いる。処方薬およびOTC医薬品として様々な外用薬が利用できる。十分に研究されていないものの,一部の外用薬によって一過性の軽快が得られる可能性があるが,おそらく20~30分を超えるものではない。鼓膜穿孔がある場合は外用薬を使用すべきでない。

大半(80%)の症例が自然回復に至るが,米国では抗菌薬がしばしば投与される(1)(中耳炎に用いる抗菌薬の表を参照)。抗菌薬は症状の軽減を早め(ただし,1~2週間後の転帰は同様である),難聴の残遺や内耳内または頭蓋内続発症の可能性を低下させる可能性がある。しかしながら,最近になって耐性菌が出現したことを受け,小児科関連の諸学会は最初からの抗菌薬投与の対象を以下のような特定の小児に限定することを強く推奨している:

その他の患者は,フォローアップが良好であれば48~72時間の観察で問題なく,改善がみられない場合にのみ抗菌薬を投与できる;電話によるフォローアップを計画している場合は,時間と費用の節約のため,初診時に処方箋を交付してもよい。観察とすべきかどうかの決定については,養育者と話し合うべきである。

表&コラム
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全例で鎮痛薬(例,アセトアミノフェン,イブプロフェン)を投与する。

成人では,フェニレフリンやオキシメタゾリンなどの血管収縮薬の点鼻により,耳管機能が改善することがあるが,これらの製剤の効力は明確には示されていない。リバウンドによる鼻閉を避けるため,これらの製剤は3日間を超えて使用してはならない。全身に作用する鼻閉改善薬(例,必要に応じてプソイドエフェドリン30~60mg,経口,6時間毎)が鼻副鼻腔の閉塞や圧迫の緩和に役立つ可能性がある。アレルギーのある患者では抗ヒスタミン薬(例,クロルフェニラミン4mg,経口,4~6時間毎,7~10日間)により耳管機能が改善することもあるが,真にアレルギーのある患者にのみ使用すべきである。

小児に対しては,血管収縮薬も抗ヒスタミン薬も有益ではない。

鼓膜の膨隆に対しては,特に重度または持続的な痛み,発熱,嘔吐,または下痢がみられる場合,専門医が鼓膜切開術を行うことがある。ティンパノメトリーで鼓膜の動きをモニタリングし,患者の聴力と鼓膜の外観および可動性が正常に戻るまでモニタリングする。急性中耳炎患者に顔面神経麻痺または筋力低下が生じた場合は,鼓膜切開術および鼓膜チューブの留置の可能性を考慮して,緊急で専門医に紹介する必要がある。

治療に関する参考文献

  1. 1.Lieberthal AS, Carroll AE, Chonmaitree T, et al: The diagnosis and management of acute otitis media.Pediatrics e964–99, 2013.

急性中耳炎の予防

小児期に肺炎球菌(肺炎球菌結合型ワクチンによる),インフルエンザ菌(H. influenzae)b型,およびインフルエンザに対する予防接種をルーチンに行うことにより,急性中耳炎の発生率は低下する。乳児が哺乳瓶を口に入れたまま寝ないようにすべきであり,また家庭での喫煙を止めることにより,発生率が低下する可能性がある。急性中耳炎を繰り返す患児に対し,抗菌薬の予防投与は推奨されない。

反復性中耳炎および再発性滲出性中耳炎は,鼓膜チューブの留置により予防できる可能性がある。

要点

  • 全例で鎮痛薬を投与する。

  • 抗菌薬は,患者の年齢,疾患の重症度,およびフォローアップの実施可能性に基づいて,選択的に使用する。

  • 抗ヒスタミン薬および鼻閉改善薬は小児に推奨されない;成人には鼻閉改善薬の経口投与または点鼻が有用な場合があるが,抗ヒスタミン薬はアレルギー性の病因を有する成人にのみ投与する。

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