COVID-19は,コロナウイルスの一種であるSARS-CoV-2によって引き起こされる呼吸器疾患である。無症状のこともあれば,軽度の上気道症状から急性呼吸不全や死亡まで,様々な程度の症状を呈することもある。COVID-19は複数の器官系(例,心臓,腎臓,神経,血液凝固)に影響を及ぼすことがある。予防はワクチン接種と感染制御対策(例,マスク,手洗い,ソーシャルディスタンシング[対人距離の確保],感染者の隔離)による。診断は上気道または下気道分泌物の抗原またはPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査による。治療は支持療法,抗ウイルス薬,またはコルチコステロイドによる。
COVID-19は2019年後半に中国の武漢で最初に報告され,2020年3月に世界保健機関(World Health Organization:WHO)によってパンデミックが宣言された。2019年に発見されたコロナウイルスであるSARS-CoV-2によって引き起こされる。SARS-CoV-2の感染は,無症状から急性呼吸不全や死亡に至るまで重症度に幅のある疾患を引き起こす。重症化の危険因子として,高齢,易感染状態,併存症(例,糖尿病,慢性腎臓病),妊娠などがある。ワクチンは伝播の予防にある程度効果的で,重症化および死亡の予防には非常に効果的であることが示されている。
感染者数および死亡者数に関する最新の情報については,Centers for Disease Control and Prevention (CDC): COVID Data TrackerおよびWHO Coronavirus (COVID-19) Dashboardを参照のこと。
COVID-19の伝播
SARS-CoV-2は主に,感染者が咳嗽やくしゃみをしたり,歌ったり,運動や会話をしたりしたときに生じる呼吸器飛沫を介して,ヒト同士の濃厚接触により伝播する。その伝播は,近距離しか移動できずに粘膜表面に直接落ちる大きな呼吸器飛沫を介して,または,空気中に数時間とどまり,人に吸引されるまで長距離(約6フィート[2m]以上)を移動できる小さな呼吸器粒子(エアロゾル)を介して発生する。このウイルスの伝播は,気道分泌物で汚染された表面(媒介物)との接触を介して発生する可能性もあり,これは人が汚染された表面に触れた後に顔面(眼,鼻,口)の粘膜に触れた場合に起こる。
SARS-CoV-2はヒトからヒトへ容易に伝播する。伝播のリスクには,ウイルスに曝露した量が直接関連する。一般に,感染者とのやり取りしたときの距離が近いほど,またその時間が長いほど,ウイルス伝播のリスクが高くなる。無症状の感染者と症状がみられる患者の両方がウイルスを伝播する可能性があり,この性質が感染拡大の制御を困難にしている。症状がある患者からの感染力は発症前後の数日間が最も高く,この時期には気道分泌物中のウイルス量が最も多くなっている。
感染者からの距離,室内にいる感染者の数,感染者と過ごした時間,空間の大きさ,エアロゾルを発生させる活動(例,歌う,大声をあげる,運動をする),場所の換気,ならびに気流の方向および速度などの因子がこのリスクに寄与する可能性がある。
その進化につれて,SARS-CoV-2の遺伝子変異体が出現する。感染力の上昇,症状の重症化,診断での検出失敗,または利用可能な治療/ワクチンに対する反応性の低下につながる可能性がある変異株は,懸念される変異株(Variant of Concern)として追跡されており,一般的にはWHOが指定したギリシャ文字のラベルまたはPango系統番号で呼称されている。適応度の優位性,すなわち感染力の増大をもたらす遺伝子変異は,それまで流行していた変異株を急速に置き換える可能性がある。これまでに米国および世界の多くの地域で発生してきた優勢変異株として,アルファ株,ベータ株,デルタ株,およびオミクロン株がある。オミクロン株は2022年3月以来,世界的に優勢となっているが,当初のオミクロン株は,より感染力の高い新規のオミクロン株に置き換わっている。CDC: Variants & Genomic Surveillanceも参照のこと。
感染リスクが高い状況としては,集団生活施設(例,高齢者介護施設などの長期療養施設,寄宿学校,刑務所,船舶)のほか,屋内での礼拝,スポーツジム,バー,ナイトクラブ,屋内のレストラン,食肉加工施設など,換気が不十分で混み合った環境が挙げられる。このような状況では,人の密集度が高く,対人距離の維持や換気対策が困難である。高齢者介護施設の入居者は,年齢が高く,基礎疾患があるという理由でも重症化のリスクが高い。大規模な屋内イベントと会議や結婚式などの個人的な集まりにも,高い感染率との関連が認められている。これらはいわゆるスーパースプレッダーイベントであり,おそらく生物学的因子,環境因子,および行動因子が複合的に寄与していると考えられる。
健康の社会的決定因子(人々が生まれ,住み,学び,働き,遊ぶ場所の条件)が,SARS-CoV-2の感染曝露,重症化,死亡のほか,検査,ワクチン接種,治療へのアクセスなど,健康に関する様々なリスクやアウトカムに影響を及ぼしている。米国では,黒人,ヒスパニックまたはラテン系,アメリカンインディアン,アラスカ先住民など,一部の人種および民族の少数集団においてCOVID-19の症例発生,入院,および死亡の頻度が高かったが,2024年4月以降は全ての民族および少数集団で同程度となっている(CDC: COVID Data Tracker)。
COVID-19の感染者には,SARS-CoV-2の感染拡大を制限するための措置として隔離および予防策が推奨される。(CDC: Preventing Spread of Respiratory Viruses When You’re Sickも参照のこと。)COVID-19に曝露した人には,ウイルス伝播のリスクを低減するための予防策が推奨される。(CDC: Preventing Respiratory Virusesも参照のこと。)
COVID-19の症状と徴候
COVID-19患者では,重症度や現れる症状が一様でない。症状がほとんどない場合や,全くない場合もあれば,重症化して死亡する患者もいある。症状としては以下がみられる:
発熱
咳嗽
咽頭痛
鼻閉または鼻汁
息切れまたは呼吸困難
悪寒または繰り返す悪寒戦慄
嗅覚または味覚障害の出現
疲労感
筋肉痛
頭痛
悪心または嘔吐
下痢
潜伏期間(曝露から発症までの期間)は2~10日であり,オミクロン株では中央値でわずか2~4日と推定されている(1)。感染者の多くは無症状または軽症となるが,その可能性はSARS-CoV-2の変異株の種類とワクチン接種状況を含めた個人の重症化リスクに応じて異なる。
重症例は呼吸困難,低酸素症,画像上での広範囲の肺浸潤影を特徴とする。進行して,機械的人工換気を要する呼吸不全,ショック,多臓器不全に陥り,死に至る可能性がある。
重症化の危険因子
COVID-19感染者における重篤化および死亡のリスクは,65歳以上の高齢者,現喫煙者または元喫煙者,および以下のような重篤な疾患を有する人々で上昇する:
がん
心臓,腎臓,肺,または肝臓の慢性疾患
嚢胞性線維症
糖尿病
脳卒中または脳血管疾患
易感染状態
HIV感染症
結核
鎌状赤血球症
サラセミア
認知症
肥満
妊娠(妊娠終了後42日まで)
一部の種類の身体障害
物質使用症
運動不足
うつ病や統合失調症などの一部の精神疾患
(CDC: COVID-19: People with Certain Medical Conditionsも参照のこと。)
ワクチン接種は,全ての年齢層で重症化のリスクを劇的に低下させるが,若年層でのワクチン接種率が低いことから,入院患者の年齢層がシフトしている(CDC: COVID Data Trackerを参照)。COVID-19に対するワクチン接種を受けたことがある人では,感染しても無症状となるか,接種を受けていない人と比べて症状が少なく,重症度も低く,はるかに速いペースで症状が消失する可能性がある。
合併症
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に進行して死に至る可能性のある呼吸器疾患のほかにも,重篤な合併症として以下のものがある:
血栓塞栓症および肺塞栓,播種性血管内凝固症候群(DIC),出血,動脈血栓形成などの凝固障害
ギラン-バレー症候群(まれ)
SARS-CoV-2感染症のまれな合併症として,感染後に生じる炎症症候群が報告されており,小児多系統炎症性症候群(multisystem inflammatory syndrome in children:MIS-C)と呼ばれている。川崎病や毒素性ショック症候群に類似する特徴がみられる。MIS-Cの小児では,一般には軽症または無症状のSARS-CoV-2感染後の2~6カ月時点で,発熱,頻脈,全身性炎症の徴候,そして多臓器の障害(例,心臓,消化管,腎臓)を呈することが最も多い。以下の基準を満たす症例は,米国ではMIS-Cの疑い例として地域,州,または準州の保健局に報告すべきである:21歳未満の患者で24時間以上続く発熱がある,炎症の臨床検査所見がある,入院を要する重度の多臓器障害(臓器2つ以上)の徴候がある,かつ臨床検査所見または疫学的知見から最近のSARS-CoV-2感染との関連が示唆される(2)。ワクチン接種はMIS-Cの発生に対して高い予防効果をもたらすようである(2)。パンデミックの発生以降,MIS-Cは頻度が減ってきており,この変化はワクチン接種や過去のSARS-CoV-2感染後に獲得された免疫によるものである可能性が高い。若年および中年成人でも同様の症候群が発生しており,成人多系統炎症性症候群(multisystem inflammatory syndrome in adults:MIS-A)として報告されている(3)。
症状の消失
症状は大半の患者で約1週間以内に消失する。しかしながら,軽度の症状で発症した患者でも,1週間ほど経過してから臨床状態が悪化し,ARDSを始めとする重度の病態に進行することがある。重症化した患者では病態が遷延する頻度が高いが,軽症患者であっても,呼吸困難,咳嗽,倦怠感などの症状が消失せず,数週間から数カ月にわたって持続することがある。PCR法によるウイルス検査では,症状にかかわらず,3カ月以上にわたり陽性が続く可能性がある。しかしながら,たとえ症状が持続している患者であっても,発症後10日目の上気道検体からウイルスが培養できることはまれであるため,一般にそのような患者に感染性はないと考えられている。
またCOVID-19では,急性期症状に続いて長期の後遺症がみられることもあり(4),COVID-19後の病態に起因する症状は数カ月持続することがある。これは,long COVID,long-haul COVID,post-acute COVID-19 syndrome,post-acute COVID-19 conditionなど,様々な名称で呼ばれており,米国の一部の調査では全患者の25~50%に影響を及ぼしていると推定されている。疲労感,筋力低下,疼痛,筋肉痛,呼吸困難,および認知機能障害が最も多く報告されており,これらが生活の質の低下と関連している可能性がある(5)。長期後遺症の危険因子として,高い重症度,高齢,女性,肺疾患の既往などがある。この病態の診断とさらなる検討に役立てるべく,国際的な症例定義が確立されている(6)。
症状と徴候に関する参考文献
1.Jansen L, Tegomoh B, Lange K, et al: Investigation of a SARS-CoV-2 B.1.1.529 (Omicron) variant cluster - Nebraska, November-December 2021.MMWR Morb Mortal Wkly Rep 70(5152):1782-2784, 2021.doi: 10.15585/mmwr.mm705152e3
2.Centers for Disease Control and Prevention: Case Definitions and Reporting, MIS-C Case Definition.Accessed June 2024.
3.Morris SB, Schwartz NG, Patel P, et al: Case series of multisystem inflammatory syndrome in adults associated with SARS-CoV-2 infection — United Kingdom and United States, March–August 2020.MMWR 69:1450–1456, 2020.doi: 10.15585/mmwr.mm6940e1
4.Nalbandian A, Sehgal K, Gupta A, et al: Post-acute COVID-19 syndrome.Nat Med 27(4):601-615, 2021.doi: 10.1038/s41591-021-01283-z
5.Han JH, Womack KN, Tenforde MW, et al: Associations between persistent symptoms after mild COVID-19 and long-term health status, quality of life, and psychological distress. Influenza Other Respir Viruses 16(4):680-689, 2022.doi:10.1111/irv.12980
6.Soriano JB, Murthy S, Marshall JC, et al: A clinical case definition of post-COVID-19 condition by a Delphi consensus.Lancet Infect Dis 22(4):e102-e107, 2022.doi: 10.1016/S1473-3099(21)00703-9
COVID-19の診断
上気道および下気道分泌物のRT-PCR(リアルタイム逆転写酵素PCR)検査またはその他の核酸増幅検査
上気道分泌物の抗原検査
COVID-19の診断検査は,民間検査機関と公的検査施設で行えるほか,自宅での実施も可能である。COVID-19の主な診断検査には,RT-PCR(リアルタイム逆転写酵素PCR)検査(またはその他の核酸増幅検査[NAAT])と抗原検査の2種類がある。診断検査の選択と解釈は,その集団におけるSARS-CoV-2の有病率とCOVID-19の症状,徴候,および既知のCOVID-19患者との濃厚接触の有無に基づいて見積もった,その患者がCOVID-19に感染している可能性を考慮に入れるべきである(CDC: COVID-19: Overview of Testing for SARS-CoV-2, the virus that causes COVID-19を参照)。
RT-PCR検査は分析上の感度および特異度が最も高く,COVID-19に対する診断検査のゴールドスタンダードとなっている。核酸増幅法による他の検査プラットフォームは,RT-PCRと比べて,総じてわずかに感度が低く,特異度は同等である(CDC: COVID-19: Nucleic Acid Amplification Testsを参照)。しかしながら,ウイルスPCR検査で陽性となっても,必ずしも活動性感染を示しているとは限らない。この方法では死んだウイルスの核酸断片を検出する可能性があり,症状にかかわらず,初回診断後3カ月以上にわたり陽性が続く可能性がある。
ポイントオブケア検査または在宅検査としての抗原検査では,迅速に結果を得ることができる(CDC: COVID-19: Considerations for SARS-CoV-2 Antigen Testing for Healthcare Providers Testing Individuals in the Communityを参照)。これは無症状の症例を同定し,SARS-CoV-2の感染拡大を阻止するための重要な手段となりうる。ポイントオブケア検査または在宅での抗原検出検査は,核酸増幅検査より感度が低く,特にウイルス量が少ない可能性がある感染直後の時点ではその傾向が強くなる。PCR検査と比較したときのこれらの検査の感度は,製造業者および感染後の時間経過によって異なり,40~90%と報告されている(1-4)。したがって,一部の抗原検査では,結果(例,有症状者での陰性判定)の確定にRT-PCR検査やその他の核酸増幅検査が必要になることがある。多くの抗原検査キットでは,感染を検出する可能性を高めるために,数日にわたって連続して検査を繰り返すことも推奨されている(FDA: At-Home COVID-19 Antigen Tests-Take Steps to Reduce Your Risk of False Negative Resultsも参照)。一部の検査では,オミクロン株やその他の新規変異株を検出できない場合がある(FDA: SARS-CoV-2 Viral Mutations: Impact on COVID-19 Testsを参照)。抗原検査は,単純に増加したウイルスを検出するものであるため,感染終息後も陽性が続く可能性が比較的低い。しかしながら,ウイルス量以外の因子も感染性に影響を及ぼす可能性があるため,抗原検査の結果は必ずしも感染性と相関しない。
COVID-19の診断検査で許容される検体としては,上咽頭,中咽頭,鼻腔中部,前鼻孔,唾液検体などがある。全ての検査プラットフォームおよび検査施設が全ての種類の検体を検査できるわけではないため,検体を受領する検査施設の検体採取指示か,検査キットの添付文書の指示を参照すること。これらの検体は医療従事者が採取する場合と自己採取の場合があるが,上咽頭検体は例外であり,これは資格を取得して適切な訓練を受けた医療従事者のみが採取すべきである。
上咽頭および中咽頭検体については,シャフトがプラスチック製またはワイヤー製の合成繊維スワブのみを使用すること。アルギン酸カルシウム製のスワブとシャフトが木製のスワブは,一部のウイルスを不活化してPCR検査を困難にする物質が含まれている可能性があるため,使用してはならない。採取後のスワブは付属の輸送用チューブに直ちに格納すべきである。検体を採取する際は,適切な感染制御策を維持すること。
バイオセーフティ上の理由から,地域の医療機関および検査施設等は,細胞培養によるウイルス分離を試みてはならない。
抗体が検出可能になるのは発症後1~3週目以降である場合が最も多いため,急性期のCOVID-19を診断する目的で血清学的検査(すなわち抗体検査)を用いてはならない。SARS-CoV-2のヌクレオカプシド抗原,スパイク抗原,およびスパイク抗原の受容体結合ドメインを標的とする抗体検査が利用可能である。ヌクレオカプシドタンパク質に対する抗体を検出する検査は,その抗原がワクチンに含まれていないことから,ワクチン接種者における過去の感染の証拠を評価する方法として推奨されている。定量的および半定量的な抗体検査が利用可能であるが,現在のところ免疫との相関が認められておらず,ワクチン接種または感染に対する免疫応答を判定するための検査は推奨されない(Infectious Disease Society of America (IDSA): Guidelines on the Diagnosis of COVID-19: Serologic Testing, Executive Summaryを参照)。
症状がみられる患者の評価
重症度の高い患者で決まってみられる臨床検査所見としては,リンパ球減少のほか,やや特異度の低い所見として,アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT,AST)高値,乳酸脱水素酵素(LDH)高値,Dダイマー,フェリチン,炎症マーカー(C反応性タンパク[CRP]など)高値などがある。
呼吸困難,在宅でのオキシメトリーで判明した低酸素症,または他の懸念される症状がみられる患者には,酸素飽和度の測定を含めた対面での医学的評価を受けさせ,臨床的増悪の徴候に対するフォローアップが行われるべきである。
胸部の画像所見は,軽症例では正常となる可能性もあるが,重症度が高まるにつれて増加してくる。典型的な所見はウイルス性肺炎と一致し,具体的には胸部X線または胸部CTでのすりガラス陰影や浸潤影(consolidation)などがある。胸部画像検査は,COVID-19に対するルーチンのスクリーニング検査としては推奨されない。
診断に関する参考文献
1.Drain PK: Rapid diagnostic testing for SARS-CoV-2.N Engl J Med 386(3):264-272, 2022. doi: 10.1056/NEJMcp2117115
2.Ford L, Lee C, Pray IW, et al: Epidemiologic characteristics associated with severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 (SARS-CoV-2) antigen-based test results, real-time reverse transcription polymerase chain reaction (rRT-PCR) cycle threshold values, subgenomic RNA, and viral culture results from university testing.Clin Infect Dis 73(6):e1348-e1355, 2021.doi: 10.1093/cid/ciab303
3.Wu S, Archuleta S, Lim SM, et al: Serial antigen rapid testing in staff of a large acute hospital.Lancet Infect Dis 22(1):14-15, 2022.doi: 10.1016/S1473-3099(21)00723-4
4.Dinnes J, Sharma P, Berhane S: Rapid, point-of-care antigen tests for diagnosis of SARS-CoV-2 infection.Cochrane Database Sys Rev July 22, 2022.doi: 10.1002/14651858.CD013705.pub3/full
COVID-19の治療
支持療法
ときに,軽症から中等症の患者で重症化のリスクが高い場合は,ニルマトレルビル/リトナビルの併用,レムデシビル(短期),モルヌピラビル
重症例には,レムデシビル,デキサメタゾン,免疫調節薬
COVID-19の治療法は,重症度と患者毎の重症化リスクに依存する。新たなデータの出現に伴い,治療ガイドラインが進化してきている(Infectious Diseases Society of America (IDSA) Guidelines on the Treatment and Management of Patients with COVID-19およびWorld Health Organization (WHO): COVID-19 Treatmentsを参照)。
治療対象となる重症度のIDSAによる定義は以下の通りである:
軽症から中等症のCOVID-19(室内気でSpO2が94%を超え,酸素投与を必要としない)で重症化,入院,または死亡の危険因子がみられる
重症のCOVID-19(室内気でSpO2が94%未満であるか,低流量酸素投与を必要としている)
最重症のCOVID-19で高流量酸素投与または非侵襲的換気を必要としている
最重症のCOVID-19で機械的人工換気または体外式膜型人工肺(ECMO)を必要としている
治療法を決定する際には,その地域で流行している変異株に対する,特定の抗ウイルス薬およびモノクローナル抗体の有効性を考慮する(Open Data Portal: Database of in vitro therapeutic activity against SARS-CoV-2 variantsを参照)。治療選択肢は,現時点で入手可能なデータと流行しているSARS-CoV-2変異株に基づいて,優先度順に記載している。治療法は,各薬剤の入手可能性,各薬剤を投与するためのインフラ,ならびに症状の持続期間,薬物相互作用の可能性,肝障害や腎障害などの患者固有の因子に基づいて選択すべきである。利用可能な治療法との併用についてはデータがなく,したがって,抗SARS-CoV-2薬は単剤で投与すべきである。
重症化リスクが高い軽症から中等症のCOVID-19患者に対する早期治療
これらの治療は,高リスク患者における重症化の予防を目的としたものである。外来治療を受けている(またはCOVID-19以外の理由で入院している)軽症から中等症COVID-19の発症後数日以内の患者を対象とするものであり,COVID-19のために入院している患者における治療選択肢(レムデシビル以外)としては検討されていない。
ニルマトレルビルは,リトナビルとの併用で投与される経口抗ウイルス薬であり,成人における軽症から中等症のCOVID-19に対する治療薬として,2023年5月に米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)から承認を受けているほか,SARS-CoV-2の直接検査で陽性と判定された重症化リスクの高いCOVID-19の青年(12歳以上,体重40kg以上)には依然として緊急使用許可(EUA)の下で使用されている。ニルマトレルビル/リトナビルの併用は,COVID-19と診断されてから可及的速やかに,かつ発症後5日以内に開始すべきである。用法・用量としては,ニルマトレルビル150mg錠2錠とリトナビル100mg錠1錠を同時に,5日間にわたり1日2回服用させる。この治療法については,連続5日間を超える使用は許可されていない。(FDA EUA Factsheetも参照のこと。)
ニルマトレルビルは,あるSARS-CoV-2タンパク質を切断することでウイルスの複製を阻害するプロテアーゼ阻害薬である。リトナビルは,ブースト剤として作用する強力なチトクロムP450(CYP)3A4阻害薬であり,ニルマトレルビルの代謝を遅らせることで,ニルマトレルビルが高濃度で長期間にわたり体内にとどまるようにする。
ニルマトレルビル/リトナビルの併用は,事前に規定された重症化の危険因子を有する18歳以上または事前に規定された慢性疾患の有無を問わない60歳以上の入院していない有症状の成人患者2246例を対象としたランダム化比較試験で検討された。被験者は全員がCOVID-19ワクチンの接種を受けておらず,COVID-19の感染歴もなく,検査によりSARS-CoV-2感染の確定診断が下されていた。発症後5日以内のニルマトレルビル/リトナビルの併用投与により,28日目までにCOVID-19に関連した入院または死因を問わない死亡に至った被験者の割合がプラセボ群と比較して88%減少した(0.8% vs 6.3%)(1)。
コントロール不良または未診断のHIV-1感染症患者にニルマトレルビル/リトナビルを併用すると,HIV-1の薬剤耐性につながる可能性がある。ニルマトレルビル/リトナビルの併用は肝傷害を引き起こすことがあるため,既存の肝疾患,肝酵素異常,または肝炎がある患者では注意が必要である。重度の肝疾患を有する患者には,この薬剤は推奨されない。
中等度の腎障害(クレアチニンクリアランスの推定値が30~60mL/min)を有する患者では,用量をニルマトレルビル150mg(150mg錠1錠)/リトナビル100mg(100mg錠1錠)に減量して,両錠剤を1日2回,5日間,同時に服用させる。ニルマトレルビル/リトナビルの併用は,重度の腎障害(eGFR < 30mL/min)を有する患者には推奨されない。
一部の患者でニルマトレルビル/リトナビル使用後の症状再発が報告されており,SARS-CoV-2に対するPCRおよび抗原検査が無症状のままの患者でも再び陽性になる可能性がある。追加治療は現在のところ推奨されていないが,症状または陽性判定が再度みられた場合は再隔離するよう患者に助言すべきである。(CDC: COVID-19 Rebound After Paxlovid Treatmentも参照のこと。)
ニルマトレルビル/リトナビルの合剤には,様々な重篤な薬物相互作用が知られていることから,治療を開始する前に,それらの薬物相互作用について併用薬をスクリーニングする必要がある。薬物相互作用の一覧については,FDA EUA Fact Sheetを参照のこと。
レムデシビルは,SARS-CoV-2の直接検査で陽性と判定され,重症化リスクが高い成人および青年(12歳以上かつ体重40kg以上)の軽症から中等症COVID-19に対する治療に使用されている,静注の抗ウイルス薬である。可及的速やかに,かつ発症後7日以内に開始すべきである。レムデシビルは3日間投与するが,重症化した患者には5日間まで延長することができる。
レムデシビルは,重症化のリスクが高く,COVID-19ワクチンを接種したことがないCOVID-19症状のある12歳以上の非入院患者562例を対象としたランダム化比較試験において,この適応について検討された。レムデシビルの3日間の投与を症状出現から7日以内に開始したところ,28日目までの入院または死亡率がプラセボと比較して87%低下した(0.7% vs 5.3%)(2)。
モルヌピラビルは,SARS-CoV-2のウイルスゲノムにウイルス複製を阻害するエラーを生じさせることで効果を発揮するヌクレオシドアナログの経口抗ウイルス薬である。18歳以上の成人で,SARS-CoV-2の直接検査で陽性と判定され,重症化(入院と死亡を含む)のリスクが高く,かつFDAが承認したCOVID-19の代替治療が利用できないか臨床的に適切でない,非入院患者における軽症から中等症のCOVID-19の治療を適応として,FDAのEUAを受けている。モルヌピラビルは,COVID-19の診断後可及的速やかに,かつ発症から5日以内に開始すべきである。モルヌピラビルは200mgカプセルを4錠,12時間毎に5日間経口投与する。連続5日間を超える使用は許可されていない。(FDA EUA Fact Sheet for Molnupiravirも参照のこと。)
理論的な懸念に基づくと,モルヌピラビルはSARS-CoV-2の新たな変異株の出現に影響を及ぼす可能性があるが,入手可能な遺伝毒性データと5日間という限定的な治療期間に基づくと,そのリスクは低いと考えられている。モルヌピラビルは骨および軟骨の成長に影響を及ぼす可能性があるため,18歳未満の患者への使用は許可されていない。動物を用いた生殖試験から,モルヌピラビルを妊娠中の患者に投与すると胎児に害を及ぼす可能性が示唆されたことから,妊娠中のモルヌピラビルの使用は推奨されない。妊娠の可能性がある女性には,モルヌピラビルによる治療中と最終投与後4日間にわたり,信頼性の高い避妊法を一貫して正しく用いることが推奨される。生殖能を有する男性が妊娠可能な女性を相手として性的に活動的である場合には,モルヌピラビルによる治療中および最終投与後少なくとも3カ月間にわたり,信頼性の高い避妊法を一貫して正しく用いることが推奨される。
モルヌピラビルは,軽症から中等症のCOVID-19で,重症化または入院のリスクが高く,COVID-19ワクチンを接種したことがない18歳以上の非入院患者1433例を対象としたランダム化プラセボ対照試験において検討された。モルヌピラビルの5日間の投与を症状出現から5日以内に開始したところ,29日目までの入院または死亡率がプラセボと比較して30%低下した(6.8% vs 9.7%)(3)。
バムラニビマブ(bamlanivimab)/エテセビマブ(etesevimab),カシリビマブ/イムデビマブ,ソトロビマブ,およびベブテロビマブ(bebtelovimab)は,抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体(mAb)による中和療法である。FDAは現在,オミクロン株の優勢な亜型がこれらの中和活性に対して耐性を示していることから,COVID-19の治療にこれらを使用しないよう勧告している。
重症のCOVID-19患者に対する治療
重症例に推奨されている治療選択肢としては,抗ウイルス薬のレムデシビル,コルチコステロイドのデキサメタゾン,バリシチニブ,トシリズマブ,サリルマブなどの他の免疫調節薬がある。これらは併用してもよく,治療法の決定には,しばしば低酸素症および呼吸補助の程度で規定される患者の病期を考慮に入れるべきである。
疾患が活発なウイルス複製の結果である状況では,抗ウイルス薬が疾患経過のより早い段階で有益となる可能性が高いが,経過の後期に宿主の炎症反応や免疫調節異常が病態を進行させている状況では,抗炎症薬と免疫調節薬がより適している。(IDSA Guidelines on the Treatment and Management of Patients with COVID-19も参照のこと。)
酸素投与を必要とするが追加の呼吸補助は必要としない患者に対する治療選択肢としては,以下のものがある:
レムデシビル単剤
デキサメタゾン単剤
レムデシビルとデキサメタゾンの併用
抗ウイルス薬のレムデシビルは,COVID-19のために入院を必要とする成人患者および生後28日以上かつ体重3kg以上の小児患者の治療に使用されている。推奨される治療期間は5日間であるが,侵襲的な機械的人工換気または体外式膜型人工肺(ECMO)を必要としている患者に対しては,最長10間の使用が承認されている。ただし,この集団における抗ウイルス治療のベネフィットについては結論が出ていない。
大規模ランダム化臨床試験(ACTT-1)では,酸素投与を必要とするが,機械的人工換気やその他のより高いレベルの補助を必要としない患者において,レムデシビルに臨床的改善の早期化との関連が認められた(4)。この回復までの期間の改善は,外来患者を対象としたランダム化比較試験(PINETREE)でも観察された(2)。しかしながら,2つの非盲検試験(Solidarity[5]およびDiscovery[6])ではベネフィットが認められなかった。世界保健機関(World Health Organization:WHO)は,レムデシビルがCOVID-19の効果的な治療薬であることを示唆するエビデンスはないとして,入院患者へのレムデシビルの使用に反対する条件付き勧告を公表した(WHO: COVID-19 Treatmentsを参照)。
全体として,レムデシビルの研究では,活発なウイルス複製が病態に寄与している可能性が高い感染早期(7~10日目より前)での使用が支持されている。酸素投与を必要としていない入院患者でもレムデシビルを考慮できるが,この集団でのデータは不足している。eGFRが30mL/min未満の患者には,レムデシビルは推奨されない。レムデシビルによる治療の開始前および施行中は腎機能をモニタリングすべきである。
酸素投与を必要とするCOVID-19患者には,コルチコステロイドのデキサメタゾンが一般に推奨されているが,酸素投与を必要としない患者への使用は推奨されていない。デキサメタゾンは,RECOVERY試験の酸素投与または機械的人工換気を必要とする患者において,延命効果を示した(7)。その効果は,病態が感染による炎症反応に起因する患者で最も大きくなる可能性が高い。デキサメタゾンが使用できない場合は,他のコルチコステロイド(例,プレドニゾン,メチルプレドニゾロン,ヒドロコルチゾン)を使用してもよい。
レムデシビルとデキサメタゾンの併用は,発症から10日以内に酸素投与を必要とする入院患者で,ウイルスの複製と宿主側の炎症の両方が臨床症状に寄与している可能性がある場合に一般的に使用される。
非侵襲的換気(高流量酸素供給システムを含む)を必要とする患者に対しては以下の通りである:
デキサメタゾンは全ての患者に推奨される。
発症から7~10日以内の患者には,特に考慮した上でレムデシビルを追加してもよい。
追加の免疫調節薬を考慮すべきであり,急速な悪化や全身性炎症の徴候がみられる患者では特に考慮すべきである。
その他の免疫調節薬としては,JAK阻害薬のバリシチニブ(使用できない場合はトファシチニブ)や,IL-6阻害薬のトシリズマブ(使用できない場合はサリルマブ)などがある。これらの推奨は,数多くのランダム化臨床試験(COV-BARRIER[8],ACTT-2[9])および非盲検臨床試験(REMAP-CAP[10],RECOVERY[11])のサブグループ解析の結果に基づいており,これらの臨床試験では,この水準の呼吸補助を必要とする患者において,これらの薬剤のいずれかを追加することで延命効果が示された。これらの薬剤は強力な免疫抑制薬であり,重篤細菌感染症や重篤真菌感染症の合併が疑われる患者や,免疫抑制をもたらす基礎疾患があるために日和見感染症のリスクが高い患者では,潜在的なベネフィットを追加される免疫抑制のリスクと比較して検討すべきである。
機械的人工換気またはECMOを必要とする患者には,全例でデキサメタゾンが推奨される。トシリズマブの追加は,集中治療室(ICU)入室から24時間以内の患者に対して考慮すべきである。
多くの治療法が検討されてきたが,それらは現在のところCOVID-19の治療または予防には推奨されていない:
ビロベリマブ(vilobelimab)は,成人の入院患者に対するCOVID-19治療薬として2023年4月にFDAのEUAを受けた抗補体(抗C5a)モノクローナル抗体であり,侵襲的な機械的人工換気または体外式膜型人工肺による治療を受けてから48時間以内に開始される。この薬剤に関するデータは限られており,単一のランダム化試験では,28日死亡率に対する有意な効果の有無が解析毎に異なっていた(12)。本剤の使用に関して臨床的な推奨は公表されていない。
回復期血漿はCOVID-19で入院した患者の治療には現在のところ推奨されていない。いくつかのランダム化臨床試験(13)と拡大アクセスプログラムに関連した大規模レジストリーから得られたデータでは,この集団において意義のあるベネフィットは示されず,機械的人工換気の必要性増大との潜在的な関連が示唆された。軽症から中等症の非入院患者で重症化のリスクが高い場合は,ほかに利用可能な治療選択肢がなければ,これを考慮してもよい。
非特異的免疫グロブリン製剤(IVIG)と間葉系幹細胞療法も推奨されない。
インターフェロン,キナーゼ阻害薬,インターロイキン阻害薬など,免疫調節療法が付加的に用いられているが,臨床試験外でのルーチンな使用を推奨できるだけの十分なデータは得られていない。
使用されている他の薬剤として,アジスロマイシンや抗レトロウイルス薬などがあるが,臨床試験以外でのこれらの薬剤の使用を支持するデータは不十分である。
HIV抗レトロウイルス薬であるロピナビル/リトナビルと抗マラリア薬であるクロロキンおよびヒドロキシクロロキンについては,複数の臨床試験により,これらの薬剤が有益でないことが示されている(14, 15)。クロロキンおよびヒドロキシクロロキンに関連したベネフィットの欠如と毒性から,COVID-19の治療にこれらを使用しないよう勧告が出された。
COVID-19の予防または治療に対する抗寄生虫薬イベルメクチンについても,その有用性を報告したランダム化臨床試験は存在しない(16)。最近実施された大規模なランダム化プラセボ対照試験では,イベルメクチンに効果は示されなかった(17)。FDAおよびその他の機関は,大型動物への使用を意図したイベルメクチン製剤の不適切な使用による毒性について警告を発している(FDA: Ivermectin and COVID-19を参照)。
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)であるフルボキサミンは,COVID-19の症状がみられる外来患者を対象とした2つのランダム化臨床試験で検討されているが,そのベネフィットは不明瞭であり,害を増大させる傾向があるため,臨床試験外での使用は推奨されない。
COVID-19の合併症は,発生した場合は治療すべきである。COVID-19の入院患者は,血栓塞栓症のリスクが高まっている可能性がある。いくつかの専門学界から,COVID-19に対する抗血栓療法に関するガイドラインが発行されている。一般に,酸素投与を必要とするが集中治療は必要としない妊娠していない入院患者において,Dダイマーが高値で,深刻な出血リスクがない場合には,治療的な抗凝固療法を考慮すべきである。重篤患者では,出血による有害事象のリスクが潜在的なベネフィットを上回る。それ以外の全ての入院患者には,禁忌がない限り,静脈血栓塞栓症に対する薬剤の予防的投与を考慮すべきである。
アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬やアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)などの薬剤は,併存症に対して必要であれば継続すべきであるが,COVID-19の治療として開始すべきではない。非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)の使用が予後の悪化につながると示したエビデンスはなく,COVID-19の治療中にはアセトアミノフェンまたはNSAIDのいずれかを使用できる。
COVID-19患者の呼吸管理では,挿管の有無にかかわらず,低酸素症への傾向を考慮に入れるべきである。頻回の体位変換や歩行などの薬剤によらない補助的な手段が役立つことがある。
治療に関する参考文献
1.Hammond J, Leister-Tebbe H, Gardner A, et al: Oral nirmatrelvir for high-risk, nonhospitalized adults with Covid-19.N Engl J Med 386(15):1397-1408, 2022.doi: 10.1056/NEJMoa2118542
2.Gottlieb RL, Vaca CE, Paredes R et al: Early remdesivir to prevent progression to severe covid-19 in outpatients.N Engl J Med 386(4):305-315, 2022.doi: 10.1056/NEJMoa2116846
3.Jayk Bernal A, Gomes da Silva MM, Musungaie DB, et al: Molnupiravir for oral treatment of Covid-19 in nonhospitalized Patients.N Engl J Med 386(6):509-520, 2022.doi: 10.1056/NEJMoa2116044
4.Beigel JH, Tomashek KM, Dodd LE, et al: Remdesivir for the treatment of Covid-19 - final report.N Engl J Med 383(19):1813-1826, 2020.doi: 10.1056/NEJMoa2007764
5.WHO Solidarity Trial Consortium: Remdesivir and three other drugs for hospitalised patients with COVID-19: final results of the WHO Solidarity randomised trial and updated meta-analyses.Lancet 399(10339):1941-1953, 2022.doi: 10.1016/S0140-6736(22)00519-0
6.Ader F, Bouscambert-Duchamp M, Hites M, et al: Remdesivir plus standard of care versus standard of care alone for the treatment of patients admitted to hospital with COVID-19 (DisCoVeRy): a phase 3, randomised, controlled, open-label trial.Lancet Infect Dis 22(2):209-221, 2022.doi: 10.1016/S1473-3099(21)00485-0
7.RECOVERY Collaborative Group, Horby P, Lim WS, Emberson JR, et al: Dexamethasone in hospitalized patients with Covid-19.N Engl J Med 384(8):693-704, 2021.doi: 10.1056/NEJMoa2021436
8.Marconi VC, Ramanan AV, de Bono S, et al: Efficacy and safety of baricitinib for the treatment of hospitalised adults with COVID-19 (COV-BARRIER): a randomised, double-blind, parallel-group, placebo-controlled phase 3 trial [published correction appears in Lancet Respir Med 2021 Oct;9(10):e102]. Lancet Respir Med 9(12):1407-1418, 2021.doi:10.1016/S2213-2600(21)00331-3
9.Kalil AC, Patterson TF, Mehta AK, et al: Baricitinib plus remdesivir for hospitalized adults with Covid-19. N Engl J Med 384(9):795-807, 2021.doi:10.1056/NEJMoa2031994
10.REMAP-CAP Investigators, Gordon AC, Mouncey PR, et al: Interleukin-6 receptor antagonists in critically ill patients with Covid-19. N Engl J Med 384(16):1491-1502, 2021.doi:10.1056/NEJMoa2100433
11.RECOVERY Collaborative Group, Horby P, Lim WS, et al: Dexamethasone in hospitalized patients with Covid-19. N Engl J Med 384(8):693-704, 2021.doi:10.1056/NEJMoa2021436
12.Vlaar APJ, Witzenrath M, van Paassen P, et al: Anti-C5a antibody (vilobelimab) therapy for critically ill, invasively mechanically ventilated patients with COVID-19 (PANAMO): a multicentre, double-blind, randomised, placebo-controlled, phase 3 trial. Lancet Respir Med 10(12):1137-1146, 2022.doi:10.1016/S2213-2600(22)00297-1
13. Janiaud P, Axfors C, Schmitt AM, et al: Association of convalescent plasma treatment with clinical outcomes in patients with COVID-19: A systematic review and meta-analysis.JAMA 325(12);1185-1195, 2021, doi: 10.1001/jama.2021.2747
14.Self WH, Semler MW, Leither LM, et al.Effect of hydroxychloroquine on clinical status at 14 days in hospitalized patients with COVID-19: a randomized clinical trial. JAMA 324(21):2165-2176, 2020.doi:10.1001/jama.2020.22240
15.RECOVERY Collaborative Group, Horby P, Mafham M, et al.Effect of hydroxychloroquine in hospitalized patients with Covid-19. N Engl J Med 383(21):2030-2040, 2020.doi:10.1056/NEJMoa2022926
16.Popp M, Stegemann M, Metzendorf MI, et al: Ivermectin for preventing and treating COVID-19.Cochrane Database Syst Rev.7(7):CD015017, 2021.doi: 10.1002/14651858.CD015017.pub2
17.Reis G,Silva EASM, Silva DCM, et al: Effect of early treatment with ivermectin among patients with COVID-19.N Engl J Med 386:1721-1731, 2022.doi: 10.1056/NEJMoa2115869
COVID-19感染後の病態
PCR法によるウイルス検査では,症状にかかわらず,3カ月以上にわたり陽性が続く可能性がある。しかしながら,たとえ症状が持続している患者であっても,発症後10日目の上気道検体からウイルスが培養できることはまれであるため,一般にそのような患者に感染性はないと考えられている。
コロナウイルスに感染すると,再感染に対してある程度の免疫が獲得される可能性があるが,COVID-19感染後に得られる免疫の持続期間や効力は依然として定量化が難しく,複数の宿主およびウイルス因子に依存して変動する。COVID-19感染後に長引く症状がみられる患者も含めて,COVID-19の既往がある患者にも,再感染のリスクを低減するため,適格な予防接種を全て受けることが推奨されている。臨床的に感染症から回復し,隔離期間が終了すれば,そうすることができるようになる。SARS-COV-2による感染症が終息した患者の大半で中和抗体が検出されるが,それらの抗体のレベルにはワクチン接種後の人と比べて大きなばらつきがある。それらにより,免疫能が正常な人の大半で臨床的に明らかな再感染が少なくとも3~6カ月間は予防される可能性が高いが,抗原的に大きく異なる新たな変異株が出現した場合には,この期間が短縮する可能性がある。再感染に伴う症状は,初感染での症状と同様か,それより軽度になる傾向がある。
COVID-19感染後の病態に関する参考文献
1.Zhong D, Xiao S, Debes AK, et al: Durability of antibody levels after vaccination with mRNA SARS-CoV-2 vaccine in individuals with or without prior infection. JAMA 326(24):2524-2526, 2021.doi:10.1001/jama.2021.19996
COVID-19の予防
COVID-19のワクチン接種
米国で承認されているワクチンに関する詳細な考察については,COVID-19ワクチンを参照のこと。
ワクチン接種は,デルタ株とオミクロン株を含むCOVID-19の重症化およびCOVID-19による死亡を予防する上で最も効果的な方法である。米国では2021年秋の時点で,ワクチン未接種者がCOVID-19により死亡する可能性がワクチン接種者(追加接種まで受けた場合)と比べてはるかに高かった(1)。
米国では,12歳以上の免疫能が正常な人を対象として,いずれかの製造業者(Moderna社またはPfizer-BioNTech社)による2023~2024年用SARS-CoV-2(COVID-19)mRNAワクチンを1回接種するか,Novavax社が製造する2023~2024年用SARS-CoV-2(COVID-19)組換えスパイクタンパク質ナノ粒子ワクチンを1回または2回(接種歴に応じて)接種することをCDCが推奨している(CDC: Interim Clinical Considerations for Use of COVID-19 Vaccines in the United Statesを参照)。生後6カ月から4歳までの小児には2023~2024年用のmRNAワクチンを1~3回(推奨される回数と製造業者はワクチン接種歴によって異なる)接種すべきであり,5~11歳の小児には2023~2024年用mRNAワクチンの接種歴にかかわらず1回接種すべきである。CDCはまた,65歳以上の成人は2023~2024年用のCOVID-19ワクチンを追加で接種するよう推奨している(CDC: Older Adults Now Able to Receive Additional Dose of Updated COVID-19 Vaccineを参照)。中等度または重度の易感染状態の患者に対するガイダンスもCDCのウェブサイトで確認することができる。2023~2024年用のワクチンは,オミクロン株XBB.1.5を標的としている。2023~2024年用のワクチンは,従来株のSARS-CoV-2を標的とした1価COVID-19ワクチンや,従来株とオミクロン株の亜型であるBA.4/BA.5の両方を標的とした2価ワクチンに代わるものである。
現在,複数のCOVID-19ワクチンが世界中で使用されている。世界的なワクチンの承認および臨床試験に関する詳細については,世界保健機関(World Health Organization:WHO)のCOVID-19 vaccine tracker and landscapeを参照のこと。
mRNAワクチンは,ウイルス抗原を含有せず,標的抗原(スパイクタンパク質)をコードするmRNAの小さな合成断片を送達する。ワクチンに含まれるmRNAは,免疫系の細胞に取り込まれ,そこでウイルス抗原を産生するように細胞を刺激した後,分解される。すると,抗原が放出されて意図する免疫応答が惹起され,その後に実際のウイルスに曝露した際,感染の重症化が予防される。
アデノウイルスベクターワクチンには,SARS-CoV-2の特徴的な「スパイク」タンパク質を産生するために,その遺伝物質(すなわちDNA)の一部が組み込まれており,それにより意図された免疫応答が誘導される:
タンパク質サブユニットアジュバント添加ワクチンは,組換えSARS-CoV-2スパイクタンパク質とともに,期待される免疫応答を誘発するアジュバントを含有している。これは米国では30年以上にわたり用いられている古典的なワクチンアプローチである。
米国では,2つのmRNAワクチン(Moderna製COVID-19ワクチンとPfizer-BioNTech製COVID-19ワクチンの2023~2024年用製品)と1つのタンパク質サブユニットアジュバント添加ワクチン(Novavax製COVID-19ワクチンの2023~2024年用アジュバント添加製品)が使用されている(CDC: COVID-19 Vaccination Clinical & Professional Resourcesを参照)。2023年5月6日現在,アデノウイルスベクターワクチン(Ad26.COV2.S)は,重篤な有害事象のリスクから,米国ではもはや入手できなくなっている。アデノウイルスベクターワクチンと,まれにみられる重篤な有害事象である血小板減少を伴う血栓症(ワクチン起因性血栓性血小板減少症候群[vaccine-induced thrombosis with thrombocytopenia syndrome:VITTS])との間には,妥当な因果関係が想定されている。
モノクローナル抗体
モノクローナル抗体のペミビバルト(pemivibart)は,12歳以上かつ体重40kg以上の人におけるCOVID-19の予防を適応として緊急使用許可(EUA)を受けている。対象となるのは,SARS-CoV-2に感染しておらず,SARS-CoV-2感染者への最近の曝露歴がなく,中等度から重度の易感染状態にあって,COVID-19ワクチン接種に対して十分な免疫応答が得られる可能性が低い個人である。患者はそれでもCOVID-19ワクチンの接種を受けるべきである。COVID-19ワクチンの接種から2週間以上空けた上で,追加の防御策としてペミビバルト(pemivibart)を投与することができる。
曝露予防
COVID-19ワクチンに関する最新情報を把握しておくことに加えて,頻回の手洗い,マスクの着用,ソーシャルディスタンスの維持,換気の悪い場所や人ごみの回避を始めとする米国疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)が推奨する対策を講じることにより,このウイルスへの曝露を回避することができる。感染者と接触した場合や症状がみられる場合には,COVID-19の検査も受けるべきである。有症状者は隔離に関する推奨に従うべきである。
疑い例からのSARS-CoV-2の伝播を予防するために,医療従事者は標準予防策,接触感染予防策,および眼の保護具を用いる空気感染予防策を講じるべきである(2)。空気感染予防策は,患者にエアロゾルが発生する処置を行う場合に特に重要である。
予防に関する参考文献
1. Johnson AG, Amin AB, Ali AR, et al: COVID-19 incidence and death rates among unvaccinated and fully vaccinated adults with and without booster doses during periods of delta and Omicron variant emergence — 25 U.S. Jurisdictions, April 4–December 25, 2021.MMWR Morb Mortal Wkly Rep 71:132–138.2022.doi: 10.15585/mmwr.mm7104e2
2.Lynch JB, Davitkov P, Anderson DJ, et al.Infectious Diseases Society of America Guidelines on Infection Prevention for Healthcare Personnel Caring for Patients with Suspected or Known COVID-19. Clin Infect Dis.Published online November 15, 2021.doi:10.1093/cid/ciab953
より詳細な情報
有用となりうる英語の資料を以下に示す。ただし,本マニュアルはこれらの資料の内容について責任を負わないことに留意されたい。




