特発性炎症性筋疾患

執筆者:Kinanah Yaseen, MD, Cleveland Clinic
Reviewed ByKaren McKoy, MD, MPH, Harvard Medical School
レビュー/改訂 2024年 11月 | 修正済み 2025年 2月
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特発性炎症性筋疾患(idiopathic inflammatory myopathy)は,筋肉(例,多発性筋炎,免疫介在性壊死性ミオパチー)または皮膚および筋肉(皮膚筋炎)の炎症性および変性変化を特徴とする。臨床像としては,対称性の筋力低下,ときに圧痛や筋肉痛,筋肉の線維組織への置換などのほか,ときに萎縮を伴うこともあり,主として肢帯の近位筋にみられる。診断は臨床所見,ならびに臨床検査,画像検査,および筋肉の検査(血清クレアチンキナーゼ,MRI,筋電図検査,筋生検など)における異常による。いくつかの病型の筋炎では肺および心臓の症状がみられ,筋炎は定義された他の全身性疾患(例,全身性強皮症,全身性エリテマトーデス)の一部である場合もある。治療はコルチコステロイドにより行い,他の免疫抑制薬および/または免疫グロブリン静注療法を併用する。

封入体筋炎を除き,他の大半の病型の特発性炎症性筋疾患は,男性より女性に多くみられる(1)。多発性筋炎および皮膚筋炎はどの年齢層にも発生しうるが,40~60歳または小児では5~15歳でみられることが最も多い。

総論の参考文献

  1. 1.Lilleker JB, Vencovsky J, Wang G, et al.The EuroMyositis registry: an international collaborative tool to facilitate myositis research. Ann Rheum Dis.2018;77(1):30-39.doi:10.1136/annrheumdis-2017-211868

特発性炎症性筋疾患の病因

特発性炎症性筋疾患の原因は,遺伝的感受性を有する個人における筋組織に対する自己免疫反応と考えられる。家族内集積がみられ,ヒト白血球抗原(HLA)サブタイプが筋炎に関連している。例えば,8.1祖先ハプロタイプ(HLA-DRB1*03-DQA1*05-DQB1*02)のアレルは,多発性筋炎,皮膚筋炎,および間質性肺疾患のリスクを高める。誘因となる事象としては,ウイルス感染,特定の薬剤,基礎にあるがんなどが考えられる。がんと皮膚筋炎および壊死性ミオパチーの合併がみられるが,これは,腫瘍が筋肉および腫瘍の共通抗原に対する自己免疫反応の結果として筋炎を誘発する可能性を示唆している(1)。免疫チェックポイント阻害薬(特定のがんの治療に使用される)は,重度の筋炎のほか,ときに心筋炎および重症筋無力症(triple M syndrome)を誘発することがある。

病因論に関する参考文献

  1. 1.De Vooght J, Vulsteke JB, De Haes P, Bossuyt X, Lories R, De Langhe E.Anti-TIF1-γ autoantibodies: warning lights of a tumour autoantigen. Rheumatology (Oxford).2020;59(3):469-477.doi:10.1093/rheumatology/kez572

特発性炎症性筋疾患の病態生理

病理学的変化としては,様々な程度の炎症を伴う細胞損傷および萎縮などある。手,足,および顔面の筋肉は,他の骨格筋より影響が少ない。咽頭および上部食道の筋肉のほか,ときに心臓の筋肉も侵されることで,それらの器官の機能が障害される可能性がある。関節および肺に炎症が生じることがあり,特に抗合成酵素抗体を有する患者で可能性が高い。

皮膚筋炎は,血管での免疫複合体の沈着を特徴とし,補体介在性の血管障害と考えられる。それに対し,多発性筋炎はT細胞による直接の筋損傷を特徴とし,免疫介在性壊死性ミオパチーはマクロファージ優位の浸潤および筋貪食(myophagocytosis)を特徴とする(1)。

病態生理に関する参考文献

  1. 1.Mammen A: Autoimmune muscle disease.Handb Clin Neurol.2016;133:467–484.doi:10.1016/B978-0-444-63432-0.00025-6

特発性炎症性筋疾患の分類

特発性炎症性筋疾患は,主に病理組織像と臨床像に基づいて,いくつかの亜型に分類できる(1):

  • 皮膚筋炎(無筋症性皮膚筋炎を含む)

  • 抗合成酵素症候群

  • 免疫介在性壊死性ミオパチー

  • 封入体筋炎

  • 多発性筋炎

  • オーバーラップ筋炎

皮膚筋炎は,ヘリオトロープ疹,ゴットロン丘疹,ショール徴候,V徴候など,他の炎症性ミオパチーにみられない独特の皮膚症候を特徴とする。異栄養性石灰化も皮膚筋炎の独特な特徴と考えられており,これは若年者に生じ,成人ではあまりみられない。

抗合成酵素症候群の主症状は,血清反応陰性の炎症性関節疾患(通常は非びらん性),発熱,間質性肺疾患,近位筋の筋力低下,手指橈側面の過角化(mechanic's hand),およびレイノー症候群など,様々な特徴の組合せである。

免疫介在性壊死性ミオパチーには,ほとんどの場合,抗SRP(signal recognition particle)抗体に関連する筋炎やスタチン系薬剤による筋炎が含まれている。この種のミオパチーでは通常は重度の症状がみられ,しばしば嚥下困難,呼吸筋障害,およびクレアチンキナーゼ(CK)値が著高となるが,間質性肺疾患や皮膚症状との関連はみられない。

封入体筋炎は下肢近位筋の筋力低下を引き起こし,しばしば遠位筋(例,手足の筋肉)を侵し,筋萎縮を伴うことが多い。これは高齢者に発生し,進行がより緩徐で,他の炎症性ミオパチーと比較して筋酵素の値が低く,一般に免疫抑制療法に反応しない。

多発性筋炎は炎症性ミオパチーのまれな病型であるため,この用語はあまり使用されない。多発性筋炎の患者は,皮膚病変を伴わずに筋炎を発症する。

炎症性ミオパチーは,全身性エリテマトーデス全身性強皮症など,他の全身性リウマチ性疾患とオーバーラップすることもある。オーバーラップ筋炎の患者では,筋炎に加えて他の疾患の症候がみられる。

分類に関する参考文献

  1. 1.Lundberg IE, Fujimoto M, Vencovsky J, et al.Idiopathic inflammatory myopathies. Nat Rev Dis Primers 7(1):86, 2021.doi:10.1038/s41572-021-00321-x

特発性炎症性筋疾患の症状と徴候

炎症性ミオパチーの発症は急性(特に小児)のこともあれば,潜行性(特に成人)のこともある。多発性関節痛,レイノー症候群嚥下困難,肺症状(例,咳嗽,呼吸困難),および全身の愁訴(特に発熱,疲労感,体重減少)も生じることがある。重症例は,嚥下困難,発声障害,および/または横隔膜筋力低下を特徴とする。

筋力低下が数週間から数カ月間にわたって進行することがある。腕を肩より上に挙げること(例,髪をとかすために)や,階段を上ること,座った姿勢から立ち上がることが困難になる場合がある。筋力低下に加えて,ときに筋肉の圧痛および萎縮がみられる。骨盤帯および肩甲帯の筋肉群の筋力低下のために,車椅子の使用が必要となり,または寝たきりになることがある。首の屈筋が重度に侵され,頭を枕からもち上げられなくなることがある。咽頭および食道上部の筋肉が侵されると,嚥下が障害されて,誤嚥の素因となることがある。末梢,特に手の患部が特徴的である封入体筋炎を除いて,手足,眼,および顔面の筋肉は侵されない。四肢拘縮がまれに発生する。

関節症状としては多発性関節痛または多関節炎などがあり,腫脹のほか,非変形性の関節炎のその他の特徴を伴う。Jo-1またはその他の抗合成酵素抗体を有する亜集団により多く生じる。

内臓障害(咽頭や上部食道の障害を除く)は,特発性炎症性筋疾患では一部の他の全身性リウマチ性疾患(例,全身性エリテマトーデス全身性強皮症)でみられるよりも少ない。ときに,特に抗合成酵素抗体を有する患者においては,間質性肺疾患および関連する肺高血圧症(呼吸困難および咳嗽として顕在化する)が最も著明な臨床像となる。心臓障害,特に心膜炎および心筋症が生じることがある。全身性強皮症とのオーバーラップ症候群の患者では,消化管症状がより多くみられる。若年性皮膚筋炎の患者では,消化管の血管炎が随伴することがあり,腹痛,吐血,黒色便,または虚血性の腸穿孔として発症する。

皮膚筋炎で生じる皮膚変化は,黒ずんだ紅色を呈する傾向があり,光線過敏症や皮膚潰瘍を合併している場合は重度となる。紫がかった外観の眼窩周囲の浮腫(ヘリオトロープ疹)が,皮膚筋炎に比較的特異的である。頭皮の発疹が乾癬状にみえ,強いかゆみを伴うことがある。他の部位では,発疹はわずかに膨隆し,滑らかであるかまたは鱗屑を伴う;額,頸部および肩のV字型の部位,胸部および背部,前腕および下腿,大腿外側,肘および膝,内果,ならびに近位指節間関節および中手指節関節の背側(ゴットロン丘疹―これは比較的特異的な所見である)に特徴的にみられることがある。爪上皮の延長がよくみられる。皮下および筋肉の石灰沈着が生じることがある(特に若年型の患者)。一次的な皮膚病変は完全に消えることが多いが,二次的変化(例,褐色の色素沈着,萎縮,持続性の血管新生,瘢痕)が後に続くことがある。

筋障害なしに特徴的な皮膚変化が生じることがある(無筋症性皮膚筋炎)。

皮膚筋炎における皮膚変化
ゴットロン丘疹
ゴットロン丘疹

ゴットロン丘疹は鱗状で紅斑性~紫色の丘疹であり,近位指節間関節および中手指節関節の伸側に生じる。

ゴットロン丘疹は鱗状で紅斑性~紫色の丘疹であり,近位指節間関節および中手指節関節の伸側に生じる。

© Springer Science+Business Media

皮膚筋炎(手の所見)
皮膚筋炎(手の所見)

この写真にはゴットロン丘疹(中手指節関節),皮下の石灰沈着(中手指節関節,近位指節間関節,遠位指節間関節)ならびに爪周囲の紅斑および肥厚が写っている。

この写真にはゴットロン丘疹(中手指節関節),皮下の石灰沈着(中手指節関節,近位指節間関節,遠位指節間関節)ならびに爪周囲の紅斑および肥厚が写っている。

© Springer Science+Business Media

皮膚筋炎(頸部)
皮膚筋炎(頸部)

この画像には,皮膚筋炎により生じた黒ずんだ紅斑性の皮膚変化が写っている。

この画像には,皮膚筋炎により生じた黒ずんだ紅斑性の皮膚変化が写っている。

Image courtesy of Karen McKoy, MD.

Mechanic's hand
Mechanic's hand

この写真には,抗合成酵素症候群の手指の過角化および亀裂が写っている。

この写真には,抗合成酵素症候群の手指の過角化および亀裂が写っている。

© Springer Science+Business Media

特発性炎症性筋疾患の診断

  • 病歴聴取および身体診察

  • 臨床検査,筋電図検査,およびMRIのほか,ときに生検

炎症性ミオパチーの診断には,詳細な病歴聴取と身体診察に加えて,臨床検査,筋電図検査,MRI,および可能であれば組織学的評価も必要である。

臨床検査

臨床検査により,炎症性ミオパチーの可能性を測り,臓器障害とその重症度を評価することができ,オーバーラップ症候群の同定にも役立つ。

クレアチンキナーゼ(CK),アルドラーゼ,アミノトランスフェラーゼなどの筋酵素値が上昇することがある。アルドラーゼとアミノトランスフェラーゼは肝細胞にも存在するため,CKが最も特異的な検査項目と考えられている。骨格筋からはトロポニンTも放出されることがある。ただし,トロポニンIの高値は心臓障害を示唆している可能性もある。

筋炎特異的自己抗体のほか,ときに筋炎関連自己抗体も検査すべきであり,その一部は検査パネルとして利用可能である。抗核抗体(ANA)は皮膚筋炎および多発性筋炎患者の最大80%で陽性となる。ANA検査で陽性と判定された場合,オーバーラップ症候群の疑いを強めるには,さらに特定の種類の抗体の検査を行うことが役立つ。しかしながら,ANA検査が陰性でも炎症性ミオパチーは除外されない。

臨床経過および臨床像には,筋炎特異的自己抗体および筋炎関連自己抗体の表に記載している特定の抗体が関連する。これらの自己抗体と疾患発生機序との関係は依然として不明であるが,Jo-1に対する抗体は肺線維症,関節炎,およびレイノー症候群の重要なマーカーである。

表&コラム
表&コラム

筋電図検査および画像検査

筋力低下がみられ筋酵素が高値の患者には,侵された筋肉(例,大腿筋)の筋電図検査(MRIを併用する場合もある)を考慮すべきである。その検査は筋力低下の神経学的原因を除外するのに役立つほか,生検部位の同定にも役立つ。

間質性肺疾患が疑われる場合または肺高血圧症を合併している場合は,胸部X線,CT,および心エコー検査が推奨される。ベースラインのスパイロメトリー,肺気量,肺拡散能,および呼吸筋の検査も,初期診断時と肺疾患が判明している患者のフォローアップに推奨される。

嚥下困難がある場合は,嚥下造影検査が必要である。

生検

生検の所見は一様でないが,慢性炎症に加えて筋変性と一定程度の筋再生を認めるのが典型的である。

生検結果の感度を上げるために,検体は以下の特徴のうち少なくとも1つに該当する筋肉から採取すべきである:

  • 身体診察で筋力低下が認められた

  • MRIで筋浮腫が同定された

  • 筋電図検査で異常が認められた筋の対側筋

多発性筋炎と皮膚筋炎は筋生検で鑑別できることが多い。多発性筋炎の組織像は通常,血管障害を認めず,CD8陽性T細胞の筋内膜への著明な浸潤を認めることを特徴とするのに対し,皮膚筋炎の組織像は血管周囲の炎症を認め,線維束周囲への著明なB細胞浸潤を認めることを特徴とする。酵素の欠損や異常によって引き起こされる筋疾患,壊死性筋炎,ウイルス感染後の横紋筋融解症といった他の筋疾患を除外するため,多発性筋炎の治療前に筋生検により確定診断を下すことが推奨される。

皮膚所見が皮膚筋炎に特徴的なものである場合,筋生検は通常不要である。生検において皮膚筋炎に特徴的な皮膚所見はないが,直接蛍光抗体法で陽性所見がみられないことが,皮膚所見を全身性エリテマトーデス患者の発疹と鑑別するのに役立つことがある。

封入体筋炎の組織学的所見としては筋内膜への浸潤,筋線維の変性,縁取り空胞などがあり,免疫介在性壊死性ミオパチーの組織学的所見としては顕著な筋線維の壊死と再生などがある。炎症性浸潤は少ないが,ある場合はマクロファージの浸潤である。

追加検査

評価の一環としてがんスクリーニングを考慮すべきである(1)。がんのリスク増大を示したエビデンスは,皮膚筋炎では比較的一貫しているが,多発性筋炎ではあまり明らかではない(2)。欧米人集団で最も合併頻度の高いがんとしては卵巣がん,子宮頸癌,肺癌,膀胱癌,前立腺癌などがあり,アジア人集団では上咽頭癌などがある(3)。

がんのスクリーニングには,少なくとも乳腺,骨盤,および直腸(便潜血検査を伴う)を含む身体診察,血算,生化学検査,マンモグラフィー,尿検査,胸部X線,および年齢に応じたその他のがんスクリーニングを含めるべきである(1)。

追加の検査は,病歴および身体所見に基づいて行うべきである。一部の専門家は,非常にリスクの高い患者(例,40歳以上で急性発症の皮膚筋炎があり,がんに関連する筋炎自己抗体が陽性の患者)に対して,頸部,胸部,腹部,および骨盤のCTのほか,卵巣超音波検査,大腸内視鏡検査,およびときに全身PETを推奨している(1)。

診断に関する参考文献

  1. 1.Oldroyd AGS, Callen JP, Chinoy H, et al.International Guideline for Idiopathic Inflammatory Myopathy-Associated Cancer Screening: an International Myositis Assessment and Clinical Studies Group (IMACS) initiative [published correction appears in Nat Rev Rheumatol. 2024 May;20(5):315. doi: 10.1038/s41584-024-01111-x]. Nat Rev Rheumatol.2023;19(12):805-817.doi:10.1038/s41584-023-01045-w

  2. 2.Yang Z, Lin F, Qin B, Liang Y, Zhong R.Polymyositis/dermatomyositis and malignancy risk: a metaanalysis study. J Rheumatol.2015;42(2):282-291.doi:10.3899/jrheum.140566

  3. 3.Irekeola AA, Shueb RH, E A R ENS, et al.Prevalence of Nasopharyngeal Carcinoma in Patients with Dermatomyositis: A Systematic Review and Meta-Analysis. Cancers (Basel).2021;13(8):1886.Published 2021 Apr 14.doi:10.3390/cancers13081886

特発性炎症性筋疾患の治療

  • コルチコステロイド

  • その他の免疫抑制薬(例,メトトレキサート,アザチオプリン,ミコフェノール酸モフェチル,リツキシマブ,タクロリムス)

  • 静注用免疫グロブリン製剤

疾患活動性が低下するまで患者の身体活動を適度に制限すべきである(1)。嚥下困難のある患者には言語療法が推奨される。

コルチコステロイドは,最初に選択すべき薬剤である(2)。全体的な目標は炎症を速やかに軽快させつつ,コルチコステロイドへの長期曝露を最小限に抑えることである。急性例では,成人の場合プレドニゾンを1日1回約1mg/kg(最大80mgまで)経口投与する。嚥下困難または呼吸筋の筋力低下がある重症例に対しては,通常,大量ステロイド静注療法(例,メチルプレドニゾロン,0.5~1g,静注,1日1回,3~5日間)で治療を開始するが,これが至適なアプローチであることを確認したランダム化試験のデータはない。コルチコステロイドの長期使用はミオパチーを誘発する可能性があり,それには通常,正常な筋酵素との関連が認められることから,フォローアップ中に定期的に筋力検査を行うことが重要である。

2つ目の薬剤(典型的にはメトトレキサート,タクロリムス,またはアザチオプリン)をコルチコステロイドと同時またはその直後に開始し,プレドニゾンを理想的には約6カ月以内に漸減できるようにする。免疫グロブリン静注療法は,嚥下困難および呼吸筋障害のある患者,コルチコステロイドに対する迅速な反応が得られない患者,高用量のコルチコステロイドまたはその他の免疫抑制薬で合併症を発症した患者,および化学療法も受けている患者に対する望ましい治療法である。重症例またはコルチコステロイドの毒性がみられる場合に3剤併用療法を用いる専門医もいる。間質性肺疾患の患者には,メトトレキサートよりもアザチオプリンタクロリムス,ミコフェノール酸モフェチル,またはリツキシマブの方が望ましい。

MDA-5に関連した急速進行性間質性肺疾患の患者には,シクロホスファミドの静注と血漿交換を考慮してもよい(3, 4)。

クレアチンキナーゼ(CK)の定期的な測定で治療の有効性について早期の指針が得られる。しかしながら,広範な筋萎縮症がみられる患者では,慢性かつ活動性の筋炎にもかかわらず,ときに検査値が正常となる。一般に,筋浮腫のMRI所見またはCK高値により,筋炎の再発をステロイドミオパチーと鑑別できる。他の筋酵素の値も手がかりとなりうる。アルドラーゼは,CKと比較して筋損傷に対する特異度が低いが,CKが正常値の筋炎患者でときに陽性となることがある。アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)およびアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の高値も筋損傷を反映している可能性がある。

CK値は通常,低下して治療中6~12週間で正常値に到達し,それに続いて筋力が改善する。筋力が正常化したら,コルチコステロイドを徐々に減量できる。筋酵素の値が再び上昇した場合は,コルチコステロイドを節減するための他の薬剤の効果が十分現れるまで通常はコルチコステロイドの用量を増やす。

ミコフェノール酸モフェチル,メトトレキサート,および静注用免疫グロブリン製剤は,皮膚筋炎の皮膚症状に対する第1選択薬である。JAK(ヤヌスキナーゼ)阻害薬は,皮膚筋炎の皮膚症状に対する代替治療選択肢として検討されている(5)。

高用量のコルチコステロイドによる治療を受けた患者において,最初に反応がみられた後に筋力低下がますます悪化してきた場合は,ステロイドミオパチーを考慮すべきである。このような患者では,筋力低下が悪化していてもCK値が正常なままである。

がんを伴う筋炎はコルチコステロイドに対してより強い治療抵抗性を示す。がんを伴う筋炎は,腫瘍の治療が成功すれば寛解することがあり,腫瘍が再発すれば再発することがある。

自己免疫疾患患者は動脈硬化のリスクがさらに高く,注意深くモニタリングすべきである。長期のコルチコステロイド療法を受けている患者には骨粗鬆症の予防を行うべきである。免疫抑制療法を併用する場合は,Pneumocystis jiroveciiなどの日和見感染症に対する予防措置(ニューモシスチス肺炎の予防を参照)を講じるとともに,一般的な感染症(例,レンサ球菌性肺炎インフルエンザCOVID-19)に対するワクチンを接種しておくべきである。

治療に関する参考文献

  1. 1.Dastmalchi M, Alexanderson H, Loell I, et al.Effect of physical training on the proportion of slow-twitch type I muscle fibers, a novel nonimmune-mediated mechanism for muscle impairment in polymyositis or dermatomyositis. Arthritis Rheum.2007;57(7):1303-1310.doi:10.1002/art.22996

  2. 2.Oldroyd AGS, Lilleker JB, Amin T, et al.British Society for Rheumatology guideline on management of paediatric, adolescent and adult patients with idiopathic inflammatory myopathy. Rheumatology (Oxford).2022;61(5):1760-1768.doi:10.1093/rheumatology/keac115

  3. 3.Tsuji H, Nakashima R, Hosono Y, et al.Multicenter Prospective Study of the Efficacy and Safety of Combined Immunosuppressive Therapy With High-Dose Glucocorticoid, Tacrolimus, and Cyclophosphamide in Interstitial Lung Diseases Accompanied by Anti-Melanoma Differentiation-Associated Gene 5-Positive Dermatomyositis. Arthritis Rheumatol.2020;72(3):488-498.doi:10.1002/art.41105

  4. 4.Shirakashi M, Nakashima R, Tsuji H, et al.Efficacy of plasma exchange in anti-MDA5-positive dermatomyositis with interstitial lung disease under combined immunosuppressive treatment. Rheumatology (Oxford).2020;59(11):3284-3292.doi:10.1093/rheumatology/keaa123

  5. 5.Paik JJ, Lubin G, Gromatzky A, Mudd PN Jr, Ponda MP, Christopher-Stine L.Use of Janus kinase inhibitors in dermatomyositis: a systematic literature review. Clin Exp Rheumatol.2023;41(2):348-358.doi:10.55563/clinexprheumatol/hxin6o

特発性炎症性筋疾患の予後

特発性炎症性筋疾患患者の予後は一般に良好であるが,高齢,特定の筋炎特異的自己抗体(例,抗TIF1-g,抗NXP-2,抗MDA-5抗体)の発現,および併存症の存在(例,重度の間質性肺疾患,がん,反復性感染症)に予後の悪化との関連が認められる(1, 2)。例えば,特発性炎症性筋疾患患者628人を対象とした大規模コホート研究では,1年,5年,10年時点での累積生存率がそれぞれ91.8%,82.8%,75.6%であった(2)。しかしながら,抗MDA-5抗体陽性であった患者では,1年生存率が79.5%,10年生存率が58.5%であった。

皮膚筋炎の小児では,腸管の血管炎の結果として死に至ることがある。

予後に関する参考文献

  1. 1.Guimarães F, Yildirim R, Isenberg DA.Long-term survival of patients with idiopathic inflammatory myopathies: anatomy of a single-centre cohort. Clin Exp Rheumatol.2023;41(2):322-329.doi:10.55563/clinexprheumatol/486yh4

  2. 2.Jiang W, Shi J, Yang H, et al.Long-Term Outcomes and Prognosis Factors in Patients With Idiopathic Inflammatory Myopathies Based on Myositis-Specific Autoantibodies: A Single Cohort Study. Arthritis Care Res (Hoboken).2023;75(5):1175-1182.doi:10.1002/acr.24993

要点

  • 筋炎を原因とする筋力低下は,ほとんどの場合,近位筋に生じる。

  • ヘリオトロープ疹およびゴットロン丘疹は皮膚筋炎に特異的である。

  • 診断を確定するために,特徴的な発疹,筋力低下,クレアチンキナーゼ高値,および筋電図検査またはMRIでの筋肉の変化がないかを調べる。

  • 特徴的な皮膚所見がみられない限り,筋生検を施行して診断を確定し,非炎症性ミオパチーを除外すること。

  • 40歳以上で皮膚筋炎を発症した患者では,がんのスクリーニングを考慮する。

  • コルチコステロイドとその他の免疫抑制薬により治療する。

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