サルコイドーシス

執筆者:Birendra P. Sah, MD, FCCP, Upstate Medical University
Reviewed ByRichard K. Albert, MD, Department of Medicine, University of Colorado Denver - Anschutz Medical
レビュー/改訂 修正済み 2025年 2月
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サルコイドーシスは単一または複数の臓器および組織に生じる非乾酪性肉芽腫を特徴とする炎症性疾患であり,病因は不明である。肺およびリンパ系が侵される頻度が最も高いが,サルコイドーシスはどの臓器にも生じうる。肺症状は,無症状から咳嗽,労作時呼吸困難,および,まれであるが肺または他臓器の機能不全に至るまで様々である。通常はまず胸部画像検査(X線またはCT)所見により本疾患が疑われ,生検,および肉芽腫性炎症を引き起こす他の原因を除外することにより,診断が確定される。サルコイドーシスの臨床経過は一様ではなく,予測不可能である。半数以上の患者は診断時に無症状であり,無治療で寛解に至る。治療は通常,症状のある患者に適応となる。第1選択の治療はコルチコステロイドである。予後は,病変が限局的である場合良好であるが,より進行した症例では不良である。

サルコイドーシスの疫学

サルコイドーシスは20~40歳に生じる頻度が最も高いが,ときに小児およびより高齢の成人にも生じる。サルコイドーシスは世界中でみられるが,有病率が最も高いのは,アフリカ系アメリカ人と北欧系の人々(特にスカンジナビア人)である。疾患の現れ方は人種および民族的背景によって大きく異なり,アフリカ系アメリカ人でより重度で高頻度の胸郭外病変がみられる(1)。サルコイドーシスは女性にやや多い。

疫学に関する参考文献

  1. 1.Baughman RP, Field S, Costabel U, et al.Sarcoidosis in America.Analysis Based on Health Care Use. Ann Am Thorac Soc 2016;13(8):1244-1252.doi:10.1513/AnnalsATS.201511-760OC

サルコイドーシスの病因

サルコイドーシスは,遺伝的に感受性の高い人において特定の抗原が誘因となって起こる過剰な炎症反応によるものと考えられている(1, 2)。誘因として考えられているのは以下の通りである:

  • 感染因子:Propionibacterium acnesおよび抗酸菌(結核菌[Mycobacterium tuberculosis]のカタラーゼ-ペルオキシダーゼ[mKatG]タンパク質による可能性がある)

  • 環境曝露:カビまたは白カビ,およびカビ臭のある職場に存在する未確認の物質(有機物および無機物)

  • 職業曝露:金属(ベリリウム)産業,農業および農薬使用産業の従事者, 船舶関係労働者,世界貿易センターへの攻撃に対応した消防士およびレスキュー隊員(3)

喫煙はサルコイドーシスの発症と逆相関する(2)。

遺伝的感受性を示唆するエビデンスには以下のものがある(4):

  • 二卵性双生児に比べ,一卵性双生児において疾患の一致率が高い

  • 第1度または第2度近親者に患者がいる場合,サルコイドーシスの有病率が高い

  • サルコイドーシスの患者の同胞では,サルコイドーシスを発症する相対リスクが著しく高い

  • サルコイドーシスのリスク,経過,および表現型に関連する可能性があるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子および非HLA遺伝子がいくつか同定されている

例えば,HLA-DRB1*03/DQB1*02ハプロタイプはLöfgren症候群と関連しており,非常に良好な予後が予測されるが,一方でHLA-DRB1*15/HLA DQB1*0602ハプロタイプでは疾患の持続が予測される。

病因論に関する参考文献

  1. 1.Chen ES, Moller DR.Etiologies of Sarcoidosis. Clin Rev Allergy Immunol 2015;49(1):6-18.doi:10.1007/s12016-015-8481-z

  2. 2.Newman LS, Rose CS, Bresnitz EA, et al.A case control etiologic study of sarcoidosis: environmental and occupational risk factors. Am J Respir Crit Care Med 2004;170(12):1324-1330.doi:10.1164/rccm.200402-249OC

  3. 3.Newman KL, Newman LS.Occupational causes of sarcoidosis. Curr Opin Allergy Clin Immunol 2012;12(2):145-150.doi:10.1097/ACI.0b013e3283515173

  4. 4.Iannuzzi MC.Advances in the genetics of sarcoidosis. Proc Am Thorac Soc 2007;4(5):457-460.doi:10.1513/pats.200606-136MS

サルコイドーシスの病態生理

未知の抗原により,T細胞およびマクロファージの集積,腫瘍壊死因子αを含むサイトカインおよびケモカインの放出,ならびに応答細胞による肉芽腫形成を特徴とする細胞性免疫応答が誘発される(1, 2)。家族および集団における疾患の集積は,遺伝的素因,共通の曝露,または可能性は低いがヒトからヒトへの伝播を示唆する。

炎症が進行し,サルコイドーシスの病理学的特徴である非乾酪性肉芽腫の形成に至る。肉芽腫は,類上皮細胞および多核巨細胞に分化する単核球およびマクロファージの集積であり,周囲をリンパ球,形質細胞,線維芽細胞,およびコラーゲンに囲まれている。肉芽腫は,肺およびリンパ節に起こる頻度が最も高いが,どの臓器にも起こる可能性があり,重大な機能不全を引き起こしうる。肺の肉芽腫はリンパ管に沿って分布し,大半が細気管支周囲,胸膜下,および小葉周囲領域に認められる。肉芽腫組織が蓄積することで,侵された臓器の構造に歪みが生じる。サルコイド肉芽腫は,持続,消失,または線維化に至ることがある。肉芽腫が線維化に直接つながるのか,平行して進行するのかは不明である。

マクロファージによりビタミンDの活性型(1,25ヒドロキシビタミンD)への変換が亢進するため,高カルシウム血症が生じることがある。血清カルシウムレベルが正常な患者でも,高カルシウム尿症がみられることがある。腎結石症および腎石灰化症が起こることがあり,ときに慢性腎臓病に至る。

病態生理に関する参考文献

  1. 1.Baughman RP, Culver DA, Judson MA.A concise review of pulmonary sarcoidosis. Am J Respir Crit Care Med 2011;183(5):573-581.doi:10.1164/rccm.201006-0865CI

  2. 2.Soler P, Basset F.Morphology and distribution of the cells of a sarcoid granuloma: ultrastructural study of serial sections. Ann N Y Acad Sci 1976;278:147-160.doi:10.1111/j.1749-6632.1976.tb47026.x

サルコイドーシスの症状と徴候

症状および徴候は,病変の部位およびその程度によって異なり,自然寛解するものから緩徐進行性の慢性経過をたどるものまで様々な経時変化がある。したがって,他の臓器が侵されたり,新たな症状が出現したりしていないかを頻繁に再評価する必要がある。大半の症例はおそらく無症状であるため発見されずにいる。肺疾患は,成人のサルコイドーシス患者の > 90%に起こる(1, 2)。

症状および徴候として,呼吸困難,咳嗽,胸部不快感,および断続性ラ音などがみられることがある(3)。疲労感,倦怠感,筋力低下,食欲不振,体重減少,および微熱もよくみられる症状である。サルコイドーシスが不明熱として現れることがある。

全身性の場合,様々な症状(の表を参照)を引き起こし,人種,性別および年齢によっても多様である。黒人では白人よりも,眼,肝,骨髄,末梢リンパ節,および皮膚(結節性紅斑は例外)の病変が生じる可能性が高い。女性では結節性紅斑,および眼または神経系が侵される可能性がより高い。男性および高齢者は,高カルシウム血症を発症する可能性がより高い。

表&コラム
表&コラム
サルコイドーシス(涙嚢炎)
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この画像には,サルコイドーシス患者の両側上眼瞼に,涙腺(眼瞼部)の炎症として発症した涙嚢炎が写っている。

© Springer Science+Business Media
皮膚サルコイドーシスの主な臨床像
皮膚サルコイドーシス(局面)

この写真には,サルコイドーシス患者の顔面に生じた紅斑姓局面が写っている。

この写真には,サルコイドーシス患者の顔面に生じた紅斑姓局面が写っている。

© Springer Science+Business Media

結節性紅斑

この写真には,結節性紅斑患者の脛部に生じた圧痛を伴う特徴的な紅色の皮下結節が写っている。

この写真には,結節性紅斑患者の脛部に生じた圧痛を伴う特徴的な紅色の皮下結節が写っている。

Photo provided by Thomas Habif, MD.

皮膚サルコイドーシス(凍瘡状狼瘡[びまん浸潤型皮膚サルコイドーシス])

この写真には,サルコイドーシス患者の鼻に生じた紫色の局面が写っている。

この写真には,サルコイドーシス患者の鼻に生じた紫色の局面が写っている。

© Springer Science+Business Media

皮膚サルコイドーシス(結節)

この写真には,サルコイドーシス患者に生じた皮膚結節が写っている。

この写真には,サルコイドーシス患者に生じた皮膚結節が写っている。

Image courtesy of Karen McKoy, MD.

皮膚サルコイドーシス(丘疹)

この写真には,サルコイドーシス患者の口唇に生じた多発性の丘疹が写っている。

この写真には,サルコイドーシス患者の口唇に生じた多発性の丘疹が写っている。

Image courtesy of Karen McKoy, MD.

皮膚サルコイドーシス(色素減少)

サルコイドーシス患者に生じた色素減少と皮下結節。

サルコイドーシス患者に生じた色素減少と皮下結節。

Image courtesy of Karen McKoy, MD.

Löfgren症候群

Löfgren症候群は,急性移動性多関節炎,結節性紅斑,および肺門リンパ節腫脹の三徴を伴って発生する(3)。発熱,倦怠感,ぶどう膜炎,および耳下腺炎もみられることがある。Löfgren症候群は欧州系の人々でより多くみられる。Löfgren症候群は自然に軽快する。通常,非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)のみで治療できる。再発率は低い。

Heerfordt症候群

Heerfordt 症候群(ぶどう膜耳下腺熱[uveoparotid fever])は,耳下腺腫脹(サルコイドの浸潤による),ぶどう膜炎,慢性の発熱のほか,より頻度は下がるが顔面神経麻痺として現れる。Heerfordt症候群は自然に軽快することがある。治療はサルコイドーシスに対するものと同様である。

Blau症候群

Blau症候群は,常染色体顕性(優性)の形式で遺伝するサルコイドーシス様疾患で,小児に発生する。Blau症候群が成人で診断されるサルコイドーシスと同じ機序で発生するものであるかどうかは不明である。Blau症候群では,4歳未満の小児で関節炎,発疹,およびぶどう膜炎が生じる。Blau症候群はしばしば自然に軽快する。症状は通常NSAIDで緩和される。

症状と徴候に関する参考文献

  1. 1.Baughman RP, Teirstein AS, Judson MA, et al.Clinical characteristics of patients in a case control study of sarcoidosis. Am J Respir Crit Care Med 2001;164(10 Pt 1):1885-1889.doi:10.1164/ajrccm.164.10.2104046

  2. 2.Iannuzzi MC, Fontana JR.Sarcoidosis: clinical presentation, immunopathogenesis, and therapeutics. JAMA 2011;305(4):391-399.doi:10.1001/jama.2011.10

  3. 3.Carmona EM, Kalra S, Ryu JH.Pulmonary Sarcoidosis: Diagnosis and Treatment. Mayo Clin Proc 2016;91(7):946-954.doi:10.1016/j.mayocp.2016.03.004

サルコイドーシスの診断

  • 胸部画像検査

  • 生検

  • その他の肉芽腫性疾患の除外

サルコイドーシスは,胸部X線で偶然肺門リンパ節腫脹(肺浸潤の有無は問わない)が発見された場合に疑われることが最も多い。両側肺門リンパ節腫脹は最もよくみられる異常である。

サルコイドーシスが疑われる場合,胸部X線検査が未実施であればまず最初にこれを行うべきである(1)。胸部X線所見(の表を参照)から,肺サルコイドーシスが自然寛解する可能性を大まかに予測できる傾向にある。しかしながら,胸部X線によるサルコイドーシスの病期分類は重症度の予測という点で誤りを招く可能性がある;例えば,心臓サルコイドーシスまたは神経サルコイドーシスなどの肺外サルコイドーシスは,肺病変の所見がなくても予後不良の徴候である。また,胸部X線所見は肺機能検査とあまり相関せず,ゆえに肺サルコイドーシスの重症度を正確に示していない可能性がある。

表&コラム
表&コラム

胸部X線所見が正常(0期)でもサルコイドーシスの診断を除外されず,特に心臓または神経病変が疑われる場合は注意が必要である。肺門および縦隔リンパ節腫脹ならびに実質病変の検出には,高分解能CTの方が感度が高い。肺実質の病変は主に上葉にみられるが,肺のどの部位にも発生しうる。胸部X線所見に基づく病期分類で,より進行した病期(II~IV期)におけるCT所見(の画像も参照)としては以下のものがある:

  • 気管支血管束および気管支壁の肥厚

  • 小葉間隔壁の数珠状変化

  • すりガラス陰影

  • 実質にみられる結節,嚢胞,または空洞

  • 牽引性気管支拡張

サルコイドーシスの画像
サルコイドーシス(I期)

I期サルコイドーシスにおける,両側肺門リンパ節腫脹。

I期サルコイドーシスにおける,両側肺門リンパ節腫脹。

By permission of the publisher.From Tanoue L, Elias J.In Bone's Atlas of Pulmonary and Critical Care Medicine.Edited by J Crapo.Philadelphia, Current Medicine, 2005.

サルコイドーシス(II期)

II期サルコイドーシスにおける,間質陰影を伴う両側肺門リンパ節腫脹。

II期サルコイドーシスにおける,間質陰影を伴う両側肺門リンパ節腫脹。

By permission of the publisher.From Tanoue L, Elias J.In Bone's Atlas of Pulmonary and Critical Care Medicine.Edited by J Crapo.Philadelphia, Current Medicine, 2005.

サルコイドーシス(III期)

III期サルコイドーシスにおける,肺門リンパ節腫脹を伴わないびまん性の間質陰影。

III期サルコイドーシスにおける,肺門リンパ節腫脹を伴わないびまん性の間質陰影。

By permission of the publisher.From Tanoue L, Elias J.In Bone's Atlas of Pulmonary and Critical Care Medicine.Edited by J Crapo.Philadelphia, Current Medicine, 2005.

サルコイドーシス(IV期)

IV期サルコイドーシスにおける,肺門リンパ節腫脹および上葉の嚢胞性変化を伴う,重症のびまん性線維化。

IV期サルコイドーシスにおける,肺門リンパ節腫脹および上葉の嚢胞性変化を伴う,重症のびまん性線維化。

By permission of the publisher.From: Tanoue L, Elias J.In Bone's Atlas of Pulmonary and Critical Care Medicine.Edited by J Crapo.Philadelphia, Current Medicine, 2005.

肺サルコイドーシスにおける胸部CT

この肺サルコイドーシス患者の胸部高分解能CT画像では,気管支血管束の肥厚と小葉間隔壁の数珠状変化が認められる。

この肺サルコイドーシス患者の胸部高分解能CT画像では,気管支血管束の肥厚と小葉間隔壁の数珠状変化が認められる。

Image courtesy of Birendra P.Sah, MD, FCCP.

画像からサルコイドーシスが示唆される場合,生検で非乾酪性肉芽腫を証明し,肉芽腫性疾患を引き起こすその他の原因を除外することで診断が確定する(の表を参照)。Löfgren症候群では,結核を示唆する危険因子がない限り,通常は生検による確定診断を必要としない。

診断的評価では,したがって,以下が必要となる:(1)

  • 生検部位を選択する

  • その他の肉芽腫性疾患を引き起こす原因を除外する

  • 疾患の重症度および広がりを評価し,治療適応となるかどうかを決定する

表&コラム
表&コラム

生検部位

適切な生検部位は,身体診察および初期評価から明らかな場合がある;末梢リンパ節,皮膚病変,および結膜は,全て容易にアクセスできる。超音波気管支鏡ガイド下針生検(EBUS-TBNA)を用いた縦隔または肺門リンパ節の生検は,約90%の診断率が報告されており,胸腔内病変のある患者で選択すべき診断手技である(2)。

肺サルコイドーシスが疑われ,EBUS-TBNAが診断の決め手とならない場合は,気管支肺胞洗浄(BAL)を伴う気管支鏡下の経気管支肺生検を施行できる。I期サルコイドーシスにおける経気管支肺生検の診断率は約50%であるため,肺実質浸潤のない患者でも施行可能である(3)。気管支鏡下の経気管支肺生検で診断がつかなければ,これを再度試行してもよい。

EBUS-TBNAおよび気管支鏡下の経気管支生検で診断がつかない場合,または患者が気管支鏡に耐えられない場合は,縦隔鏡により縦隔または肺門リンパ節を生検するか,もしくは胸腔鏡(VAT)下肺生検または開胸生検により肺組織を採取する。サルコイドーシスが強く疑われるものの,診察または画像所見から生検部位が明らかにならない場合,心臓,骨,筋肉,肝臓,または脾臓などに潜在している活動性の生検部位の同定に,PETが役に立つ可能性がある。

その他の診断の除外

他の多くの疾患や過程においても肉芽腫性炎症が生じうるため,特に症状およびX線所見が極めて少ない場合には,他の診断の除外が非常に重要である(の表を参照)。生検組織は真菌および抗酸菌の検査に供するべきである。職業性(例,シリカ,ベリリウム),環境性(例,カビの生えた干し草,鳥,およびその他過敏性肺炎の誘因となる抗原),および感染性(例,結核コクシジオイデス症ヒストプラズマ症)の抗原への曝露歴を調査すべきである。精製ツベルクリン(PPD)検査またはインターフェロンγ遊離試験は,評価の早い段階で施行すべきである。

疾患重症度の評価

重症度は臓器病変に応じて評価され,例えば肺病変のみの場合は以下の検査が行われる:

  • 肺機能検査

肺機能検査結果は,早期ではしばしば正常であるが,進行期では拘束性パターンおよび肺拡散能(DLCO)の低下がみられる。気流閉塞(airflow obstruction)もみられ,気管支粘膜の病変を示唆している可能性がある。6分間歩行を追加することで,肺機能検査の結果のみの場合よりも,機能障害の特徴を包括的に把握できる。広範な肺病変を有する患者では,安静時の酸素飽和度は正常であっても,労作時には酸素飽和度の低下が示されることがある。

肺外疾患のスクリーニングに推奨されているルーチン検査には以下のものが含まれる:

  • ベースラインの12誘導心電図,心エコー検査,およびホルター心電図検査(動悸または失神の症状がある場合のみ)

  • 細隙灯顕微鏡による眼検査

  • 腎機能および肝機能評価のためのルーチンの血液検査

  • 血清カルシウム値および24時間尿中カルシウム排泄量の測定

  • 血算と白血球分画

画像検査

画像検査が,肺外サルコイドーシスを検出するためにしばしば必要となる。

心症状のある患者には,心臓MRI(ときにガドリニウム造影剤を使用)の施行が適切な場合がある。

神経症状がみられる患者では,脳または脊椎のMRI(ときにガドリニウムを使用)が必要になることがある。

末梢神経障害の症状を有する患者では,筋電図検査が適切な場合がある。

骨およびその他の肺外サルコイドーシスの検出には,PETが最も感度が高いようであり,心病変のある患者ではMRIとともに用いられる。

腹部造影CTはルーチンには推奨されないが,肝または脾病変を示す所見(例,腫大,高吸収病変)を得られる可能性がある。

全身ガリウムシンチグラフィーは大部分がPETに取って代わられている。生検組織で確認できない場合には,もし施行が可能であれば,ガリウムシンチグラフィーで診断を支持する有用な所見が得られることがある。縦隔および肺門リンパ節(ラムダ徴候),ならびに涙腺,耳下腺,および唾液腺(パンダ徴候)への対称性の取り込みの増加はサルコイドーシスを強く示唆する。プレドニゾンを服用している患者では,陰性判定は信頼できない。

臨床検査

臨床検査は,診断および臓器病変の範囲の確定に補助的な役割を果たす。

血算と白血球分画では,貧血,好酸球増多,白血球減少,または血小板減少が示されることがある。高カルシウム血症を検出するため,血清カルシウム値を測定すべきである。

血中尿素窒素(BUN),クレアチニン,および肝機能の検査値は,腎および肝サルコイドーシスにおいて上昇することがある。総タンパク質は,高ガンマグロブリン血症のため上昇することがある。

赤血球沈降速度の亢進およびC反応性タンパク(CRP)値の上昇はよくみられるが非特異的である。腎結石の既往がある患者では,血清カルシウム値が正常な場合でも,高カルシウム尿症を除外するために,24時間蓄尿による尿検体中のカルシウム測定が推奨される。

血清アンジオテンシン変換酵素(ACE)値の上昇はサルコイドーシスを示唆しうるが,非特異的であり,他の病態(例,甲状腺機能亢進症糖尿病ゴーシェ病珪肺症,抗酸菌感染症,真菌感染症,過敏性肺炎リンパ腫)でも上昇する場合がある。アンジオテンシン変換酵素(ACE)値の測定は,もし上昇していれば,患者のコルチコステロイド治療遵守のモニタリングには有用となることがある。ACEの値は,使用しているコルチコステロイドが低用量であっても急降下する。

気管支肺胞洗浄

気管支肺胞洗浄は,感染症が疑われた場合,これを除外するため(例,画像検査などのより侵襲性の低い方法による所見がサルコイドーシスに典型的ではない場合),またサルコイドーシスの診断が疑わしい場合に他の形態の間質性肺疾患を除外するため,気管支鏡下生検とともに施行すべきである。気管支肺胞洗浄の所見はかなり多様であるが,適切な臨床状況下で,洗浄液細胞分画中のリンパ球増多(リンパ球 > 15%),CD4+/CD8+> 3.5,またはその両方がみられる場合はサルコイドーシスの診断が示唆される。しかしながら,これらの所見がみられないことはサルコイドーシスを除外するものではない。

診断に関する参考文献

  1. 1.Crouser ED, Maier LA, Wilson KC, et al.Diagnosis and Detection of Sarcoidosis.An Official American Thoracic Society Clinical Practice Guideline. Am J Respir Crit Care Med 2020;201(8):e26-e51.doi:10.1164/rccm.202002-0251ST

  2. 2.Tremblay A, Stather DR, MacEachern P, Khalil M, Field SK.A randomized controlled trial of standard vs endobronchial ultrasonography-guided transbronchial needle aspiration in patients with suspected sarcoidosis. Chest 2009;136(2):340-346.doi:10.1378/chest.08-2768

  3. 3.Akten HS, Kilic H, Celik B, et al.Diagnostic Yield of Transbronchial Biopsy in Comparison to High Resolution Computerized Tomography in Sarcoidosis Cases. Asian Pac J Cancer Prev 2018;19(4):1029-1033.doi:10.22034/APJCP.2018.19.4.1029

サルコイドーシスの治療

  • 非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)

  • コルチコステロイド

  • その他の免疫抑制薬

  • 腫瘍壊死因子抗体

サルコイドーシスはしばしば自然に消退するため,無症状の患者および症状が軽度の患者では治療を必要としないが,悪化徴候確認のためのモニタリングは続けるべきである。このような患者は,胸部X線検査の反復,肺機能検査(肺拡散能の検査を含む),および胸郭外病変を示唆する指標の確認(例,ルーチンの腎機能および肝機能検査,毎年の細隙灯顕微鏡による眼検査)によってフォローアップできる。フォローアップ検査を行う頻度は疾患の重症度によって決まる。

以下のある患者は,胸部X線による病期にかかわらず治療の必要がある:

  • 症状の悪化

  • 活動制限

  • 肺機能の著明な異常または悪化

  • X線上の懸念される変化(例,空洞,線維化,集塊性の腫瘤,肺高血圧の徴候)

  • 心,神経系,または眼病変

  • 腎不全または肝不全

  • 中等症から重症の高カルシウム血症

  • 外観を損なう皮膚病変(例,凍瘡状狼瘡[びまん浸潤型皮膚サルコイドーシス])または関節疾患

軽度の高カルシウム血症は,低カルシウム食,水分補給,および日光への曝露を最小限にすることで治療できる。

結節性紅斑および軽度の筋骨格不快感の治療にはNSAIDが用いられる。

コルチコステロイド

症状管理は通常コルチコステロイドにより開始する(1)。著明な症状または臓器機能の低下の証拠を伴わない胸部画像の異常は治療の適応とならない。

標準的プロトコルは,症状および所見の重症度に応じ,プレドニゾン20~40mg,1日1回経口投与である。隔日投与も行われる(例,プレドニゾン40mg,1日おきに1回経口投与)。40mg/日を超える用量の投与を要することはまれであるが,重度の神経および心疾患を伴う患者では,合併症を減少させるためより高用量の投与を要する場合がある。

治療への反応は通常6~12週以内にみられるため,症状,疾患の重症度を示す他のマーカー,および肺機能検査の結果を6~12週の間に再評価する。慢性かつ潜行性の症例では,治療への反応はより緩徐である。治療への反応の証拠が得られた後,コルチコステロイドは維持量(例,プレドニゾン10~15mg/日)まで漸減し,改善がみられれば最低6~9カ月間継続する。

至適治療期間は不明である。尚早な漸減は再発を招くことがある。治療に反応しない,または反応がはっきりしない場合,薬剤を漸減し中止する。大半の患者でコルチコステロイドは最終的に中止できるが,最大50%に再発がみられるため,通常3~6カ月毎にモニタリングを行うべきである。症状や徴候が再発した場合は,コルチコステロイドによる治療を再開すべきである。低用量のコルチコステロイドでもACE産生が抑制されるため,アンジオテンシン変換酵素(ACE)が高値の患者では,コルチコステロイド治療遵守を評価するための繰り返しの血清ACE測定が有用であることがある。

吸入コルチコステロイドは,気管支内病変のある患者の咳嗽を緩和しうる。閉塞性気道疾患の患者には,吸入気管支拡張薬を追加できる。

局所コルチコステロイドは,皮膚,副鼻腔,および眼疾患に有用なことがある。

プレドニゾン換算で1日20mgを超えるコルチコステロイドを1カ月以上服用しているか,免疫抑制薬を服用している患者では,Pneumocystis jirovecii肺炎の予防が推奨される。

アレンドロン酸または別のビスホスホネートは,リスクのある人(例,高齢者)におけるステロイド性骨粗鬆症の予防に対する第1選択治療となりうる。カルシウムまたはビタミンDのサプリメントは,サルコイド肉芽腫による活性型ビタミンD(1, 25ジヒドロキシビタミンD)の内因性産生を高め,高カルシウム血症をもたらすリスクがある。こうしたサプリメントを開始する前に,血清中および24時間尿中カルシウム測定値が正常でなければならない。

パール&ピットフォール

  • 著明な症状または臓器機能の低下の証拠を伴わない胸部画像の異常はコルチコステロイドによる治療の適応とならない。

その他の免疫抑制薬

以下の場合にその他の免疫抑制薬が用いられる:

  • 患者がプレドニゾンに耐えられない

  • サルコイドーシスが中等度から高用量のプレドニゾンに難治性である

  • 3カ月経過後もプレドニゾンの用量を10~15mg,1日1回未満に減量できない

他の免疫抑制薬を追加する前に,臨床的改善がみられない理由の可能性として,アドヒアランス不良,併存疾患(例,喘息,心不全,貧血),肺高血圧症,末期線維症などを検討すべきである。 

メトトレキサートは最もよく使用される免疫抑制薬である。メトトレキサート10~15mg/週の試験的投与を6カ月にわたり行うべきである。メトトレキサートを開始する前に,B型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルス感染の検査を行うべきである。

最初はメトトレキサートおよびコルチコステロイドを併用投与する;6~8週間かけてコルチコステロイドの用量を漸減でき,多くの場合は中止できる。しかしながらメトトレキサートに対する最大の反応を得るには,6~12カ月かかることがある。そのような場合は,プレドニゾンはより緩徐に漸減しなければならない。繰り返しの血算および肝酵素検査は,初期には2~4週毎,その後用量が安定すれば,6~12週毎に行う。メトトレキサートで治療中の患者には,有害作用のリスクを低減させるため,葉酸(1mg,1日1回経口投与)が推奨される。

生物学的製剤以外の他の免疫抑制薬として,アザチオプリン,ミコフェノール酸,シクロホスファミド,レフルノミド,およびヒドロキシクロロキンなどがある。ヒドロキシクロロキンは通常,高カルシウム血症,関節痛,皮膚サルコイドーシス,または不快なもしくは外観を損なう末梢リンパ節腫脹の治療に効果的である。ヒドロキシクロロキンによる眼毒性のモニタリングを行うため,投与開始前と,投与中は12カ月毎に眼科的評価を行うべきである。

免疫抑制薬中止後の再発はよくみられる。

腫瘍壊死因子阻害薬

インフリキシマブは通常,難治性サルコイドーシスの治療,およびコルチコステロイドにも前述の生物学的製剤以外の免疫抑制薬にも耐えられない患者の治療に使用される。治療開始前に,潜在性結核のスクリーニングのために精製ツベルクリン(PPD)検査またはインターフェロンγ遊離試験を行うべきである。インフリキシマブは静脈内に投与され,最大の反応を得るには3~6カ月かかる可能性がある。インフリキシマブは通常,インフリキシマブに対する抗体産生を防ぐために,低用量のメトトレキサートまたはアザチオプリンと併用される。

眼または皮膚サルコイドーシスの患者,およびインフリキシマブによる治療が奏効したが抗体または輸注反応が発現した患者には,アダリムマブを考慮することができる。

治療に関する他の留意事項

心病変による心ブロックまたは心室性不整脈を有する患者には,薬物療法に加えて,植込み型除細動器およびペースメーカーの植込みを行うべきである。

皮膚サルコイドーシスには,ドキシサイクリンやミノサイクリンなどのテトラサイクリン系抗菌薬を試すことができる(2)。

肺線維化を継続的に予防する薬剤はまだ存在しない。

サルコイドーシス関連の肺動脈高血圧症(SPAH)の治療は,利尿薬および酸素投与による支持療法である。SPAHの治療における肺血管拡張薬の役割は十分に確立されていない;効力はいくつかの小規模研究で示唆されているが,それを確認するにはより大規模な研究が必要である(3)。

臓器移植は,肺,心,または肝の末期病変に対する選択肢の1つであるが,移植臓器において疾患が再発することがある。

肺機能または心機能に中等度または重度の障害があり,免疫抑制薬による治療を受けているサルコイドーシス患者では,肺炎球菌性肺炎に加え,重度のウイルス感染症(例,インフルエンザ,RSウイルス[RSV],COVID-19)を発症するリスクが高い。これらの感染症に対するワクチンは,死亡率と重症度を低下させる可能性があるため,サルコイドーシス患者に強く推奨される。

治療に関する参考文献

  1. 1. Baughman RP, Valeyre D, Korsten P, et al: ERS clinical practice guidelines on treatment of sarcoidosis. Eur Respir J 58(6):2004079, 2021.doi:10.1183/13993003.04079-2020

  2. 2.Bachelez H, Senet P, Cadranel J, Kaoukhov A, Dubertret L: The use of tetracyclines for the treatment of sarcoidosis. Arch Dermatol 137(1):69-73, 2001.doi:10.1001/archderm.137.1.69

  3. 3.Humbert M, Kovacs G, Hoeper MM, et al: 2022 ESC/ERS Guidelines for the diagnosis and treatment of pulmonary hypertension. Eur Respir J 61(1): 1-144, 2023.doi:10.1183/13993003.00879-2022

サルコイドーシスの予後

自然寛解が一般的であるが,疾患の症状および重症度は非常に多様であり,多くの患者が疾患経過中のいずれかの時点で,症状の緩和および臓器の機能低下の進行を遅らせるためにコルチコステロイド投与を必要とする。したがって,再発がないかを確認するための繰り返しのモニタリングが必須である。サルコイドーシスの患者のほぼ3分の2が,最終的に後遺症をほとんど,または全く残さず寛解する(1)。自然寛解する患者の約50%は,診断後3年以内に寛解するこのうち10%未満の患者では,それから2年後の時点で再発がみられる。2~3年以内に寛解しない患者は,疾患が慢性化する可能性が高い。

サルコイドーシスは最大30%の患者において慢性化すると考えられており,また10~20%で永続的な後遺症が残る(1)。10%未満の患者で致死的となり,典型的には肺合併症に起因する呼吸不全と,それに続く重度の心臓病変が死因となる(2)。不整脈および心不全を引き起こす浸潤性心筋症が一般的な死因である。

肺外サルコイドーシスの患者および黒人の患者では予後がより悪い。

予後良好の徴候には以下のものが含まれる:

  • Löfgren症候群(急性多関節炎,結節性紅斑,および肺門リンパ節腫脹の三徴)

予後不良の徴候には以下のものが含まれる:

  • 慢性ぶどう膜炎

  • 凍瘡状狼瘡(びまん浸潤型皮膚サルコイドーシス)

  • 慢性高カルシウム血症

  • 神経サルコイドーシス

  • 心病変

  • 広範な肺病変および/または肺高血圧症の発症

治療を受ける患者と無治療の患者との間では長期転帰にはほとんど差異が認められておらず,また治療終了時の再発が一般的である。

予後に関する参考文献

  1. 1.Iannuzzi MC, Rybicki BA, Teirstein AS.Sarcoidosis. N Engl J Med 2007;357(21):2153-2165.doi:10.1056/NEJMra071714

  2. 2.Drent M, Crouser ED, Grunewald J.Challenges of Sarcoidosis and Its Management. N Engl J Med 2021;385(11):1018-1032.doi:10.1056/NEJMra2101555

要点

  • 全身性または肺外病変がサルコイドーシスでよくみられるが,成人患者では > 90%が肺病変を有する。

  • 胸部の画像検査を行うが,診断は生検によって確定し,通常,縦隔または肺門リンパ節の超音波気管支鏡ガイド下針生検を行う。

  • 肺機能検査および運動中のパルスオキシメトリーにより肺病変の重症度を評価する。

  • 肺外病変の検査として,心電図,細隙灯顕微鏡による眼検査,腎および肝機能検査,ならびに血清および尿中カルシウム濃度測定を行う。

  • 適応のある場合(例,症状が重症,高カルシウム血症,臓器機能低下の進行,心または神経病変)は,コルチコステロイドの全身投与により治療する。

  • 患者が中用量のコルチコステロイドに耐えられない場合,サルコイドーシスがコルチコステロイド耐性である場合,または長期間のコルチコステロイド投与が必要になる場合は,その他の免疫抑制薬により治療する。

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