麻疹

(九日ばしか)

執筆者:Brenda L. Tesini, MD, University of Rochester School of Medicine and Dentistry
Reviewed ByBrenda L. Tesini, MD, University of Rochester School of Medicine and Dentistry
レビュー/改訂 2025年 6月 | 修正済み 2025年 11月
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やさしくわかる病気事典

麻疹は非常に感染力の強いウイルス感染症で、かぜのような様々な症状と特徴的な発疹が現れます。重度の合併症を引き起こすことがあり、人によっては死に至ることもあります。予防接種が予防に効果的です。

  • 麻疹の原因はウイルスです。

  • 症状としては、発熱、鼻水、頻発する空せき、目の充血、赤い発疹などがみられます。

  • 診断は通常、特徴的な発疹またはのどの白いできものに基づいて下されます。

  • 症状が一貫している人や麻疹に曝露された可能性のある人では、麻疹の診断を確定するために臨床検査を行います。

  • 麻疹に対する抗ウイルス薬はないため、治療の目標は症状を緩和することです。

  • 麻疹の小児はビタミンAで治療できます。

  • 大半の小児が回復しますが、麻疹により死亡したり、脳に障害が残ったりすることもあります。

  • 定期予防接種により感染を予防できます。

大半の人が麻疹ワクチンの接種を受けている地域では、麻疹感染症はまれです。予防接種が普及するまでは、麻疹は2~3年毎に流行し、特に就学前の小児と学齢期の小児の間で流行していました。また、その他の年には局地的な小規模流行がみられました。

麻疹は一部の国では依然としてよくみられます。世界全体で、毎年約1000万人が麻疹に感染し、約10万人が死亡していて、その多くが小児です。

米国では、小児を対象とする定期予防接種により、麻疹はまれとなっています。2000年から2010年までに米国疾病予防管理センター(CDC)に報告された感染者数は、年間平均でわずか71人でした。

しかし、2019年には、1274例の麻疹症例がCDCに報告されました。これは1992年以来最多の報告例数でした。この2019年の増加の主な原因は、麻疹がよくある国で感染したワクチン未接種者が米国に旅行したことによるものでした。2020年の米国では、COVID-19の世界的パンデミックの最中、報告された麻疹症例は13例だけでした。2020年から2023年にかけて、米国で合計242例が報告され、2024年には285例が報告されました。

2025年には、総症例数も流行回数も大きく増加しました。米国では、2025年1月から5月22日までに1,046例と、3例の死亡例が報告されています。流行回数は14回であり、症例の92%がこれらの流行のために罹患しています。一方2024年には、通年で16回の流行が報告されています。

流行回数と麻疹全体の症例数が増加しているのは、予防接種率が低下しているためです。ワクチン忌避が、予防接種率の低下の原因としてより頻繁に挙げられています。ワクチン忌避とは、親が推奨される予防接種の一部またはすべてを子どもに受けさせることを遅延するか、同意しない場合のことです。例えば、米国の幼稚園での予防接種率は、学年度2019~2020年には95.2%であったのに対し、2023~2024年には92.7%に減少しました。

麻疹の伝播

麻疹の感染は、感染者のせきにより飛散した小さな飛沫(大量または少量)を含む空気を吸い込むことで起こります。飛沫の表面に触れることで感染することもありますが、この感染経路はあまり一般的ではありません。麻疹の予防接種を受けていない人の大半は、麻疹の感染者と接触すると、麻疹を発症します。

感染力があるのは発疹が現れる4日前から、発疹の出現から4日後までです。麻疹の患者は、感染していることや自分の感染力に気づいておらず、知らぬ間に他者に感染を広めることもあります。

麻疹の流行地域や流行が活発な地域への旅行は、麻疹の伝播の危険因子です。

麻疹になったことがあるか、予防接種を受けたことがある妊婦は、麻疹に対する免疫を抗体という形で新生児に与え、この免疫は出生後ほぼ6~12カ月持続します。しかし、それ以降は、予防接種を受けなければ、ウイルスに感染した場合麻疹にかかりやすくなります。

麻疹は一度かかれば免疫ができるため、一般的には再びかかることはありません。1957年以前に生まれた成人も麻疹にかかったことがあると推定され、そのため免疫があります。

麻疹の症状

麻疹は伝染性のウイルス感染症で、通常、典型的な時間枠で発症します(日数はおおよそで、患者によって異なります)。

  • 曝露:これは、人がウイルスに接触したときです。

  • 潜伏期間:感染後、症状が始まるまで通常約7~21日(平均11~12日)です。この間、ウイルスは体内に存在していますが、具合は悪くなりません。

  • 前駆症状:この段階は約3~7日間続きます。この時期に発熱、せき、鼻水、眼の充血などの症状が現れ、のどに小さな白い斑点が現れることがありますが、発疹はまだ現れません。

  • 発疹:麻疹の発疹は潜伏期後に現れ、約4~7日間続きます。通常は顔から始まり、全身に広がります。この期間を過ぎると、発疹はすぐに消失し始めます。合併症が起こらなければ、回復し始めます。

麻疹の症状は、ウイルスにさらされてから11~12日後に現れます。感染した人はまず、発熱、鼻水、空せき、目の充血が起きます。

発疹が現れる前に、コプリック斑が口の中に現れることがあります。コプリック斑は、中心が白または青白い、小さな明るい赤色の点です。中心部は砂粒に似ていることがあります。

コプリック斑の例
麻疹ましんにおけるコプリックはん(1)

コプリックはんは、中心ちゅうしんはくまたは青白あおじろい、あかるい赤色あかいろてんで、砂粒すなつぶていることがあります。麻疹ましん(はしか)のひとくちなか場所ばしょえらばずに発生はっせいします。

コプリックはんは、中心ちゅうしんはくまたは青白あおじろい、あかるい赤色あかいろてんで、砂粒すなつぶていることがあります。麻疹ましん(はしか)のひとくちなか場所ばしょえらばずに発生はっせいします。

Images courtesy of the Public Health Image Library of the Centers for Disease Control and Prevention.

麻疹におけるコプリック斑(2)

コプリック斑は、中心が白または青白い、明るい赤色の点で、砂粒に似ていることがあります。麻疹(はしか)の人の口の中で場所を選ばずに発生します。

コプリック斑は、中心が白または青白い、明るい赤色の点で、砂粒に似ていることがあります。麻疹(はしか)の人の口の中で場所を選ばずに発生します。

DR P.MARAZZI/SCIENCE PHOTO LIBRARY

麻疹におけるコプリック斑(3)

コプリック斑は、中心が白または青白い、明るい赤色の点で、砂粒に似ていることがあります。麻疹(はしか)の人の口の中で場所を選ばずに発生します。

コプリック斑は、中心が白または青白い、明るい赤色の点で、砂粒に似ていることがあります。麻疹(はしか)の人の口の中で場所を選ばずに発生します。

DR P.MARAZZI/SCIENCE PHOTO LIBRARY

症状が現れ始めて3~7日経つと、発疹が現れます。この発疹は顔の耳の前や下と首の側面から始まり、平らで不規則な形の領域のように見え、すぐ盛り上がってきます。この発疹は皮膚の色の薄い人では赤く、皮膚の色の濃い人では紫色、または周囲の部分より暗い色になります。そして、1~2日以内に、体幹、腕、手のひら、脚、足の裏に広がり、それに続いて顔の発疹は消え始めます。顔の発疹が消えると、皮膚が剥げることがあります。

麻疹の発疹の例
麻疹ましん発疹ほっしん (1)

この写真しゃしんには、麻疹ましん(はしか)による発疹ほっしんうつっています。

この写真しゃしんには、麻疹ましん(はしか)による発疹ほっしんうつっています。

Image courtesy of the Public Health Image Library of the Centers for Disease Control and Prevention.

Measles Rash (2)

この写真には、麻疹(はしか)による発疹が写っています。

この写真には、麻疹(はしか)による発疹が写っています。

SCIENCE PHOTO LIBRARY

Measles Rash

この写真には、麻疹(はしか)による発疹が写っています。

この写真には、麻疹(はしか)による発疹が写っています。

CDC/ Betty G. Partin

症状が一番ひどい時期には小児は非常に具合が悪くなり、目に炎症ができ(結膜炎)、発疹が広範囲に広がります。体温は40℃を超えることがありますが、

4~7日後に熱は下がり、状態も落ち着いてきて、残っていた発疹も急速に消えていきます。発疹は茶色がかった色になり、その後、皮膚が剥がれます。

感染者には、発疹が始まる4日前から4日後まで伝染力があります。

麻疹の合併症

乳幼児や、妊娠している人、栄養不良の人、免疫機能が低下している人では、麻疹による合併症を発症するリスクが高くなります。麻疹に感染すると、麻疹から回復してから数カ月から数年続く免疫抑制を引き起こし、他の感染症にかかりやすくなります。

麻疹に関連する細菌感染症は重複感染と呼ばれ、肺炎、気管支炎中耳炎(中耳感染)などがあります。

約6%の人では、麻疹ウイルスが肺に感染し、肺炎が起こります。乳児における麻疹の死亡例では、多くの場合、肺炎が死因になります。

感染中に一時的な肝臓の炎症(肝炎や下痢が発生することがあります。

麻疹になった小児の約1000人に1人で脳の感染症脳炎を参照)が発生します。脳炎が起きる場合は、発疹が現れて2日~2週間後に、まず、高熱、頭痛、けいれん発作、昏睡などが現れるのが一般的です。1週間程度の短期間で回復することもありますが、長引いて脳の損傷や死に至ることもあります。

麻疹が消失した後に、過度の出血が起こることがあり、これは患者の血液中の血小板が少なくなるために起こります(血小板減少症)。通常、皮膚のあざや軽度の出血が起こりますが、まれに出血が重度になる場合もあります。

亜急性硬化性全脳炎は、麻疹のまれで致死的な合併症です。脳の損傷を引き起こし、しばしば何年もかけて進行性に脳機能を悪化させます。これらの症状は麻疹の感染から7~10年後に発症する可能性があり、最初の感染が乳幼児のとき(5歳未満)であった場合に多くみられます。

麻疹の診断

  • 医師による評価

  • 臨床検査

麻疹の診断は、典型的なかぜのような症状、コプリック斑、および特徴的な発疹に基づいて下されます。

医師は血液、尿、鼻、のどの検体を採取し、検査することで診断を確定します。これらの検査は、症状があり、予防接種を受けていないか、予防接種歴が完全でない人、または最近麻疹ウイルスに曝露した人の診断に特に役立ちます。

麻疹の治療

  • 小児用ビタミンA

  • 解熱薬

  • 細菌感染が発生した場合、ときに抗菌薬

麻疹を治療する抗ウイルス薬はありません。

入院している感染者は特別な病室に収容して、病気の間はほかの人から隔離するべきです。入院していない感染者には、病気の間はほかの人との接触を厳しく制限するべきです。

麻疹になった小児は全員ビタミンAが投与されますが、これはビタミンA欠乏症がよくみられる国でビタミンAを投与したところ、麻疹による死亡者や重篤化する人の数が減少することが示されたためです。

発熱を軽減するためにアセトアミノフェンやイブプロフェンが投与されることもあります。

耳の感染症など、細菌による他の感染症を発症した場合は、抗菌薬を投与します。

麻疹の予後(経過の見通し)

米国では麻疹になった人の1000人中約1~3人が死亡しています。世界中では、麻疹になった人の約100人中1人が死亡しています。

乳児期に感染した人、医療を受けられない人、重度の栄養障害やビタミンA欠乏症の人、肺炎を発症した人で、麻疹による死亡率が高くなります。

麻疹の合併症も参照のこと。

麻疹の予防

  • MMRワクチン

曝露前の予防

麻疹に感染したことがある人は免疫があります。これには、1957年以前に生まれ、ウイルスに曝露した可能性が高いため麻疹に免疫があると推定されるすべての成人が含まれます。

麻疹ワクチンの2回接種は、麻疹の予防に96%効果的です。麻疹ワクチンは、麻疹とムンプス(流行性耳下腺炎)と風疹の生きたウイルスを弱毒化したものが混合された麻疹・ムンプス(流行性耳下腺炎)・風疹(MMR)ワクチンとして投与されます。MMRワクチンは小児期の定期予防接種に組み込まれていて、医療制度がしっかり整備されている国の大半で小児への接種が行われています。

MMRワクチンの2回接種スケジュールは1989年に導入されたため、1957~1989年に生まれた成人は1回のみの接種を受けている可能性があります。このグループの成人で、血液検査で免疫があることがはっきりせず、感染症のリスクが高い人(大学生、医療従事者、海外旅行者、免疫不全状態の人との接触者、HIV感染者など)には、1~2回の追加接種を行うことが推奨されています。

MMRワクチンは一般に持続的な免疫をもたらし、米国の麻疹症例数を99%減少させました。

一部の人ではワクチンによって軽度の発熱と発疹が起こりますが、他者に感染することはありません。

MMRワクチンは生ワクチンで、妊娠中には接種されません。また、免疫系がひどく弱っている人や、ワクチン成分またはワクチンの以前の接種に対して生命を脅かす重篤なアレルギー反応(アナフィラキシー反応など)を起こしたことがある人にも投与されません。

MMRワクチンの接種を受けるべき人と受けるべきでない人に関する詳細については、MMRワクチンの接種を参照してください。MMRワクチンの副作用も参照してください。

曝露後の予防的治療

麻疹の免疫がない小児や成人が麻疹ウイルスに曝露した場合は、3日以内にMMRワクチン接種を受ければ、発症を予防できる可能性があります。ワクチンを3日以内に接種できない場合や、曝露した人がワクチンの接種に適格でない場合は、免疫グロブリンをすぐに(6日以内)接種します。

筋肉内注射による免疫グロブリン投与を受けた人は6カ月後、静脈注射による免疫グロブリン投与を受けた人は8カ月後に、MMRワクチンを接種することができます。

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