ワクチンの接種によって多くの感染症から小児を守ることができます。ワクチンには、細菌やウイルスの感染力のない成分が入っているか、感染症を引き起こさないように弱毒化された細菌やウイルスそのものが入っています。ワクチンを(通常は注射で)接種すると、体の免疫系が刺激されて、対象の感染症に抵抗するようになります。
ワクチン接種は、免疫をつけて病気を予防することから、予防接種とも呼ばれます(予防接種の概要も参照)。
特定のワクチンに関する追加情報については、以下を参照してください。
小児期の予防接種スケジュール
米国では、小児期の予防接種は米国疾病予防管理センター(CDC)が推奨するスケジュールに従って行われていて、そのスケジュールは出生直後のB型肝炎ワクチンの接種から始まり、小児期を通して続きます。
親は子どもにスケジュールに従って予防接種を受けさせるよう努めるべきです。予防接種のタイミングがかなり遅れると、小児にワクチンで予防しえた深刻な病気にかかるリスクが生じます。もし予防接種を1回受け損ねた場合は、親はどのようにして遅れを取り戻すかについて主治医に相談するべきです。予防接種を1回受け損ねたからといって、すべての接種を最初からやり直す必要はありません。予防接種の遅れを取り戻すには、以下のスケジュールに従います。
小児に普通のかぜ(感冒)などの軽い感染症による微熱があっても、それを理由に予防接種を遅らせる必要はありません。
一部のワクチンは特別な状況でのみ接種が推奨されています。例えば、その小児がそのワクチンで予防できる病気にかかるリスクが高い場合などです。
1回の受診で複数のワクチンを接種することもあり、また、いくつかのワクチンを1回の注射にまとめることもあります。例えば百日ぜき、ジフテリア、破傷風、ポリオ、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)b型ワクチンを1つの注射に混合したワクチンなどです。混合ワクチンにより、必要とされる接種回数は減りますが、それによりワクチンの安全性や有効性が弱まるということはありません。(CDC:一度に複数のワクチンを接種する[CDC: Multiple Vaccines at Once]も参照のこと。)
ワクチンの有効性
ワクチン接種は重篤な病気の予防に効果があります。ワクチンを接種しないと、麻疹(はしか)や百日ぜきなどの病気で重篤な状態に陥るリスクや、死に至るリスクもあります。ワクチンの効果は非常に大きく、かつては極めて一般的にみられ、しばしば死に至っていた感染症が、現在では多くの医療専門職がほとんど遭遇することのない病気になっています。しかし、ワクチン未接種児の増加により、これらの病気が再びみられるようになっています。
ワクチンによって、天然痘が根絶されたほか、かつて小児における慢性的な健康上の問題や死亡の一般的な原因であったポリオ(小児麻痺)など、一部の感染症がほぼ根絶されつつあります。しかし、米国には、ワクチン接種によって予防できる病気が今でも数多くあり、これらの病気は世界の他の一部の地域でも一般的にみられるものです。これらの感染はワクチン接種を受けていない小児の間で急速に広がり、今日では旅行がしやすくなっていることから、ある病気が一般的にみられない地域に住んでいる場合ですら、その病気に感染するおそれがあります。したがって、小児には予防接種を続けていくことが重要です。
ワクチンの安全性(CDC: Vaccine Safety)
臨床での使用が承認されているワクチンは、一般に安全かつ効果的です。100%有効で、100%安全というワクチンは(そのような薬剤も)存在しません。予防接種を受けても免疫がつかない小児や、副作用が出る小児もわずかにいます。副作用は、注射部位の痛みや発赤、発疹、微熱など、軽いものがほとんどです。非常にまれですが、より重篤な問題が起こる場合もあります。
ワクチン有害事象報告システム(VAERS)
新しいワクチンは、ほかの医薬品と同じように、承認される前に臨床試験で検証がなされます。そのような試験では、新規のワクチンを、プラセボまたは同じ病気に対する従来のワクチンと比較して、新しいワクチンが効果的かどうかを評価し、一般的な副作用を特定します。しかし、一部の副作用は、あまりにもまれであるため、かなり大規模な臨床試験でも検出することができず、ワクチンが多くの人を対象に日常的に使用されるようになるまで明らかにならないことがあります。このため、ワクチン有害事象報告システム(VAERSを参照)と呼ばれる監視システムが設立され、一般大衆に使用されているワクチンの安全性をモニタリングしています。
VAERSは、米国食品医薬品局(FDA)と米国疾病予防管理センター(CDC)が共同で主催している安全プログラムです。ワクチン接種を最近受けた後に副作用が起きたと考えている人からの報告や、ワクチンの接種後に副作用の可能性がある特定の事象を確認した医療専門職からの報告を、たとえその影響がワクチンと関連しているかどうか確かでない場合にも、収集するために使用されます。したがって、VAERSの報告があること自体は、ワクチンが特定の副作用を引き起こしたことの証拠にはなりません。VAERSは単純に、副作用の可能性があるものについてデータを収集するためのシステムです。その後、FDAは、副作用の可能性がある事象について、予防接種を受けた人での発生頻度と予防接種を受けていない人での発生度を比較することで、その懸念をさらに評価することができます。米国政府は医師に対し、予防接種のリスクと便益を判断するための材料として、小児が予防接種を受けるたびに親にワクチン情報に関する説明書(Vaccine Information Statement)を渡すことを義務づけています。
親が予防接種のリスクと利益を考える際には、ほとんどの小児では予防接種による利益の方がリスクをはるかに上回るということを心に留めておくべきです。
ワクチンに忌避が公衆衛生に及ぼす影響
ワクチン忌避とは、ワクチンが利用可能であるにもかかわらず、親が推奨されているワクチンの一部またはすべてを子どもに受けさせるのを遅らせたり、受けさせなかったりすることです。ワクチン接種の遅れや拒否は公衆衛生に影響を及ぼします。予防接種を受ける人が少なくなると、病気に対して免疫をもっている人の割合(集団免疫とも呼ばれます)が低下します。その結果、その病気はより一般的となり、特にその病気にかかるリスクが高い人でよくみられるようになります。
リスクが高くなる理由としては以下のものが考えられます。
予防接種を受けたが、免疫ができなかった。
予防接種を受けたが、時間経過とともに免疫が弱まった(高齢になることで起こる可能性があります)。
免疫機能が病気や薬剤(がんの治療や移植の拒絶反応の予防に使用される薬剤など)によって低下していて、生ウイルスワクチン(MMRや水痘ワクチンなど)を使用することができない。
さらなる情報
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