妊娠中の血栓症

妊娠中の血栓塞栓症

執筆者:Jessian L. Muñoz, MD, PhD, MPH, Baylor College of Medicine
Reviewed ByOluwatosin Goje, MD, MSCR, Cleveland Clinic, Lerner College of Medicine of Case Western Reserve University
レビュー/改訂 修正済み 2024年 9月
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深部静脈血栓症(DVT)や肺塞栓症(PE)などの血栓(血栓塞栓性)疾患は、妊婦の死亡原因の中でよくみられるものの1つです。

血栓塞栓症では血管の中に血のかたまり(血栓)ができます。血栓が血流に乗って移動すると、動脈を詰まらせることがあります(塞栓)。

血栓塞栓症を発症するリスクは、妊娠していない人よりも妊娠している人で高く、出産後約6週間は発生リスクが高くなります。他の手術と同様に、帝王切開の方がリスクが高くなります。

症状は、妊婦以外の場合と同様です。血栓塞栓症は、無症状の場合、最小限の症状のみの場合、または有意な症状を伴う場合があります。

深部静脈血栓症では、ふくらはぎや太ももの腫れ、痛み、圧痛などの症状を引き起こします。通常、症状が現れるのは片足のみです。妊娠中は足と足首の腫れがよくみられますが、他の症状もある場合は、血栓であることがあります。

深部静脈血栓症では骨盤内に血栓が生じることもあります。この場合は症状が起こらないことがあります。脚や骨盤内の深部静脈から剥がれた血栓が肺に移行することがあります。血栓が肺に至ると、1つもしくは複数の動脈を詰まらせる可能性があります。これを肺塞栓症といい、生命を脅かすおそれがあります。

血栓はたいてい、脚の表在静脈(血栓性静脈炎)に生じ、皮膚や皮膚のすぐ下の組織の層に赤みや圧痛が生じることがあります。このような種類の血栓はリスクが低く、肺に移動することはありません。

妊娠中の血栓症の診断

  • ドプラ超音波検査を行い脚の血栓を調べる

  • CT検査を行い肺塞栓症を調べる

妊娠中に血栓症を疑わせるような症状がみられた場合は、ドプラ超音波検査(血流の検査)を行い、脚に血栓がないか調べます。

肺塞栓症が疑われる場合は、診断を確定するためにCT検査を行うことがあります。CT検査は、造影剤(X線画像に写る物質)を静脈に注射してから行います。すると造影剤が血管の中を流れて血管の輪郭が描き出されます。この検査はCT血管造影検査と呼ばれ、妊娠中に行っても比較的安全です。

それでも肺塞栓症の診断がつかない場合は、肺血管造影検査が必要になります。この検査では、医師は一般に鼠径部(ときに腕)を小さく切開します。続いて、柔軟性のある細いチューブ(カテーテル)を血管を通して肺の動脈まで挿入します。カテーテルが入ったら、そのカテーテルを通して造影剤を注入し、肺の血管の輪郭が描出されたX線画像を撮影します。

胎児の分娩後、骨盤部の血栓を調べるために造影剤を使用してCT検査を行うことがあります。

妊娠中の血栓症の治療

  • 妊娠中およびときに分娩後にヘパリン

  • 分娩後にワルファリン

血栓が発見されたら、早急にヘパリン(血液の凝固を阻害する抗凝固薬の一種)の投与を開始します。ヘパリンは静脈内または皮膚の下に注射されます。ヘパリンは胎盤を通過しないため胎児への害はありません。この治療は3~6カ月続けます。その後、新たな血栓ができるのを防ぐため、ヘパリンを低用量で分娩後6週間以上投与します。この期間は血栓のリスクは高いままです。

分娩後はヘパリンの代わりにワルファリンが投与されることもあります(特に6~8週間以上にわたり治療が必要な場合)。ワルファリンは内服が可能で、ヘパリンと比べて合併症のリスクが低く、授乳中でも服用できます。

過去の妊娠で血栓が生じたことがある場合や、妊娠する前に血栓塞栓症があった場合には、それぞれの妊娠中および分娩後の6週間にわたり、血栓の形成を予防するためにヘパリンが投与されることがあります。

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