妊娠中のセルフケア

完全なレビュー: 2024年 9月 執筆者:Jessian L. Muñoz, MD, PhD, MPH, Baylor College of Medicine | 査読者Oluwatosin Goje, MD, MSCR, Cleveland Clinic, Lerner College of Medicine of Case Western Reserve University
最終更新日: 2024年 10月
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やさしくわかる病気事典

妊娠中の女性は、例えば正常な妊娠の変化、感覚、胎児の動き、食事、体重増加、精神衛生、推奨される予防策、健康増進などの妊娠中に予想されることについて、医療従事者と話し合うべきです。

食事とサプリメント

胎児に栄養を与えるために、妊婦が摂取すべき追加カロリーの平均摂取量(妊娠したときに体格指数(BMI)が正常範囲内の妊婦の場合)は各トリメスターによって異なります。

  • 第1トリメスター【訳注:日本でいう妊娠初期にほぼ相当】(追加カロリーなし)

  • 第2トリメスター【訳注:日本でいう妊娠中期にほぼ相当】(1日約340kcal追加)

  • 第3トリメスター【訳注:日本でいう妊娠後期にほぼ相当】(1日約450kcal追加)

栄養のバランスに気を配り、新鮮な果物、穀物、野菜などの摂取を心がけます(妊娠中の健康的な食事:クイックヒントを参照)。食物繊維を多く含む食品を選ぶとよいでしょう。魚介類には胎児の成長と発達に重要な栄養素が含まれています。ただし、妊婦は水銀含有量の少ない魚介類を選ぶべきです。詳細については、魚介類中の水銀を参照してください。

医師は、食事からの栄養が十分な場合でも、鉄と葉酸を含んだ妊婦用の総合ビタミン剤を毎日摂取することを勧めます。

妊娠すると鉄分の必要量が2倍になります。ほとんどの妊婦用ビタミン剤には、妊娠中の鉄分の1日推奨摂取量が含まれています。もともと貧血がある場合や妊娠中に貧血になった場合は、貧血がない場合よりも多くの鉄分が必要となることがあります。鉄剤を服用すると軽い胃のむかつきが生じたり、便秘になったりすることがあります。

予防のために、妊婦や妊娠を計画している、または妊娠する可能性のある女性は毎日、400~800マイクログラムの葉酸含有のサプリメントを摂取すべきです。これぐらいの用量であれば、市販の総合ビタミン剤より摂取できます。葉酸が欠乏すると、胎児に二分脊椎などの脳や脊髄の先天異常(神経管閉鎖不全)が生じるリスクが高くなります。神経管閉鎖不全の胎児を妊娠したことがある場合は、受胎の3ヵ月前から通常の推奨量よりかなり高用量(4000マイクログラム)の葉酸を摂取し始め、妊娠12週まで続けるようにします。

妊婦は安全に食品を取り扱い、加熱調理が不十分な肉や魚類を避け、水銀濃度の高い特定の魚介類を避けるべきです。また、以下を含むリステリア菌による汚染のリスクが高い食品も避けるべきです。

  • 生またはまれな魚、甲殻類、肉、鶏肉、卵

  • 無殺菌のジュース、牛乳、チーズ

  • ランチョンミートやデリミート、魚介類、およびホットドッグ(高温で加熱した場合を除く)

  • ハムサラダ、チキンサラダ、またはツナサラダなどの調理済み肉または魚介類サラダ

  • アルファルファ、クローバー、ラディッシュ、リョクトウの芽胞を含む生の芽胞

体重が増える

妊娠中に増えるべき体重は妊娠前のBMI(ボディマスインデックス)により異なります。BMIは、体重(キログラム)を身長(メートル)の2乗で割った値で、身長に対して体重が正常かどうかを判断するのに用います。BMIが高い女性は、BMIが正常または低体重の人よりも、妊娠中に増えるべき体重が少なくなります。平均的な体格の米国人女性では、妊娠中の体重増加の目標値は約11.5~16キログラムです。

減量のためのダイエットは、妊娠中はたとえ妊婦が肥満であっても勧められません。これは胎児の正常な成長には、ある程度の体重増加が不可欠であるためです。ダイエットをすると胎児に供給される栄養が減ってしまいます。

身体活動

妊娠中の運動はリスクはほとんどなく、ほとんどの妊婦にとって、体力の維持または改善、妊娠中の体重増加の抑制、腰痛の軽減、妊娠糖尿病妊娠高血圧腎症の発症リスクの軽減など、メリットがあることが実証されています。多くの女性が妊娠期間を通じて普段と同様の活動や運動を続けることができます。妊婦に適した運動は水泳や速足のウォーキングといったあまり激しくない運動です。ランニングや乗馬などの活動量の多い運動も、特に腹部のけががないように気をつければ可能です。人とぶつかるスポーツは避けるべきです。

性交

性器出血、骨盤や膣の痛み、羊水の漏出、子宮収縮といった症状がなければ、妊娠期間のどの時期に性交を行っても問題ありません。こうした症状がみられる場合には性交を控えるべきです。

薬剤、物質使用、毒性曝露

一般に、妊娠中の薬剤の使用は避けるのがベストです。しかし場合によっては、薬剤を使用しなければならないことがあります。妊娠中はどんな薬剤でも、使用前に必ず医師に相談すべきです。アスピリンなどの市販薬や薬用ハーブなどのサプリメントも例外ではありません。特に妊娠後最初の3カ月間は十分に注意します。病気(糖尿病や高血圧など)に対する薬を服用している女性で、妊娠を計画している女性は、薬を継続して使用しても安全かどうか、または変更が必要かどうかについて医師に相談する必要があります。

妊婦は飲酒、喫煙(受動喫煙への曝露も避けるべきです)、大麻、または違法薬物を摂取すべきではありません。少量のカフェイン(コーヒー1日1杯など)の摂取は、胎児への影響はほとんどまたは全くないようです。物質使用症のある女性は、産科医、中毒専門医、および小児科医を含む集学的チームによる治療を受けるべきです。

妊婦は以下も避けるべきです。

  • ネコ用トイレを素手で処理すること(胎児の脳に損傷を及ぼしかねないトキソプラズマ症のリスクのため)

  • 長時間高温にさらされること(温水浴槽やサウナなど)

  • 風疹やその他の感染症にかかっている人との接触(先天異常を引き起こす可能性があります)

  • 水痘帯状疱疹のある人と接触すること。これらのウイルスは分娩時に胎児に感染し、重症化することがあります

  • 毒性化学物質や塗料の蒸気にさらされること

妊娠中に有毒な環境因子にさらされると、不妊、流産、早産、低出生体重、神経発達遅延、小児がんなどにつながる可能性があります。リスクの重症度は毒素と曝露の程度に依存します。妊婦は、鉛、殺虫剤、溶剤、およびフタル酸エステルなどの特定の物質への曝露を避けるか、最小限にすべきです。妊娠中に使用するトイレタリー製品は、フタル酸エステル、パラベン、オキシベンゾン、トリクロサン含有のものを避ける必要があります。「フレグランスフリー」と表示された化粧品やトイレタリー製品は、「無香料」と表示された製品よりも毒素を含んでいる可能性が低いです。

知っていますか?

  • 通常、運動および性交が妊娠に害をもたらすことはありません。

  • 移動の際に妊婦は必ずシートベルトを着用すべきです。シートベルトは腹部の横ではなく、腹部の下方に来るようにします。

授乳の準備

妊娠中に、母乳で子育てをしたいと考えている場合でも、母乳を与えたことがない女性は、授乳について読んだり、講習を受けたりして準備する必要があります。実際に母乳で子育てをした人に話を聞くことも、参考になったり励みになったりするでしょう。

妊娠中の旅行

旅行に役立つアドバイスや情報を得るため、医師に旅行の計画を相談するのも一案です(妊娠と旅行も参照)。

車、飛行機などの乗り物に乗るときには、妊婦は必ずシートベルトを着用するようにします。シートベルトは、腰ベルトを大きくなった腹部の下に、斜めにかけるベルトを左右の胸の間にすると、シートベルトを快適に装着することができます。シートベルトは体に合わせて装着しなければなりませんが、きつくて苦しくならないようにします。

どのような旅行であれ、妊婦は一定時間経ったら両脚と両足首のストレッチを行ったり、伸ばす運動を行ったりするようにします。可能であれば、時折立ち上がって歩き回るようにします。飛行機での移動は、ほとんどの航空会社が妊娠37週ごろまで許可しています。37週という制限を設ける主な理由は、慣れない環境での分娩や出産のリスクがあるためです。

妊婦における予防

出生前ケアは、妊娠を困難なものにする問題の認識と予防に重点を置いています。例えば、妊婦に対しては以下に挙げる多くの病気を調べるためのスクリーニング検査が行われます。

妊娠中の医療も参照のこと。)

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