緑内障

完全なレビュー: 2025年 3月 執筆者:Douglas J. Rhee, MD, University Hospitals/Case Western Reserve University | 査読者Sunir J. Garg, MD, FACS, Thomas Jefferson University
最終更新日: 2025年 4月
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やさしくわかる病気事典

緑内障とは、進行性の視神経損傷を特徴とする一群の眼疾患で(眼圧の上昇を伴うことが多いものの、常に伴うわけではありません)、不可逆的な視力障害につながることがあります。

  • 眼内の圧力が上昇すると視神経の損傷が生じることがあります。

  • 視力障害は徐々に生じていくので、長い間気づかないことがあります。

  • リスクのある人は眼圧の測定および周辺視野の検査を含む、詳細な眼の検査を行うべきです。

  • 多くの場合は点眼薬を使用して、ときには眼の手術を行って、生涯を通じて眼圧をコントロールする必要があります。

緑内障にかかっている人は、米国では約400万人、世界中では7000万人に上ります。緑内障は失明の原因として世界的には2番目、米国では2番目です。米国では、黒人とヒスパニック系の人々の間で失明の主な原因となっています。緑内障にかかっている人の半数のみが、そのことを知っています。緑内障はどの年齢でも発生する可能性がありますが、60歳以上の人では6倍多くみられます。

以下のいずれかがある人はリスクが最も高くなります:

  • 年齢40歳以上

  • 黒人

  • 家族に緑内障の人がいる(またはいた)

  • 開放隅角緑内障では近視、閉塞隅角緑内障では遠視

  • 糖尿病

  • 高血圧

  • コルチコステロイドの長期使用

  • 過去の眼外傷

緑内障は、眼の中の液体(房水)の産生量と排出量のバランスが崩れ、眼圧が異常なレベルにまで上昇すると起こります。眼に栄養を与えている房水は、通常は虹彩の裏側にある毛様体(後房内)でつくられ、瞳孔を通って眼の前方(前房)に流れていき、虹彩と角膜の間の排出管(隅角)から排出されます。正常に機能していれば、このシステムはちょうど水道の蛇口(毛様体)と排水口(隅角)のように働きます。房水の産生と排出のバランス、つまり開いた蛇口ときちんと排水できる排水口のバランスによって、房水が自由に流れ、眼圧の上昇が防止されています。

正常な房水の排出

房水は、虹彩の裏側(後房内)にある毛様体でつくられ、後房から眼球の前方(前房)へと流れ込み、そこから排出管やぶどう膜強膜流出路を通って外へと流れ出ていきます(黒矢印)。

緑内障では、房水を排出する管が詰まったり閉じたり、覆われたりします。後房で新しい房水が産生されても、眼から外に出ていくことができません。言い換えると、水道の蛇口が開いたままなのに、排水口は詰まった状態になるわけです。眼には液体が流れ込む場所がないため、眼圧が上昇します。視神経が耐えられるよりも高い圧力がかかると、視神経の損傷が生じます。この損傷は緑内障を引き起こします。

ときに、眼圧の上昇が正常範囲内にとどまっていても、視神経には耐えられないほど高い場合があります(低眼圧緑内障)。米国では、緑内障患者の約3分の1に低眼圧緑内障がみられます。低眼圧緑内障はアジア人に多くみられます。

ほとんどの人では、緑内障の原因は不明です。緑内障の原因が不明な場合は、原発性緑内障と呼ばれます。緑内障の原因が判明している場合は、続発性緑内障と呼ばれます。続発性緑内障の原因には、特定の薬、感染症、炎症、腫瘍、大きな白内障やその他の病気、白内障の手術などがあります。これらの原因により液体が自由に排出されなくなり、眼圧の上昇や視神経の損傷につながります。

緑内障の種類

成人および小児の緑内障には多くの種類があります。ほとんどの緑内障は2つのカテゴリーに分類されます。

  • 開放隅角緑内障

  • 閉塞隅角(狭隅角)緑内障

より一般的なのは開放隅角緑内障です。開放隅角緑内障では、眼の排出管が数カ月から数年かけて徐々に詰まっていきます。このタイプの緑内障は,排出管が視認できるほど閉塞していない(細隙灯顕微鏡で拡大して調べる)ため開放型であるが,それを通る排膿は依然として不十分である。房水は正常な速度で産生されているのに排出が少しずつしか行われないため、眼圧が徐々に上昇します。

より一般的なのは開放隅角緑内障です。閉塞隅角緑内障では、虹彩と角膜との間の隅角が狭すぎるために、眼の中の排出管が詰まるか、覆われてしまいます。このタイプの緑内障は、外耳道が視認できるほど閉塞しているため、閉塞しています。この閉塞は突然起こることもあれば(急性閉塞隅角緑内障)、ゆっくり起こることもあります(慢性閉塞隅角緑内障)。閉塞が突然起った場合は、眼内の圧力は急速に上昇します。閉塞が徐々に起った場合は、眼内の圧力は開放隅角緑内障と同様にゆっくりと上昇します。

緑内障の症状

開放隅角緑内障

開放隅角緑内障は痛みがなく、初期症状はありません。通常は両眼が侵されるが,典型的には等しくない。開放隅角緑内障の最も重大な症状は、数カ月から数年以上かけて視界の中に小さな視野欠損(ものが見えない部分)ができることです。視野欠損は徐々に大きくなり、やがて点同士が融合します。通常は最初に周辺部の視野が失われます。階段を見落としたり、読むときに単語の一部が欠けていたり、運転が困難になったりすることがあります。視力障害は徐々に進行するため、多くが失われるまで気づかないことがよくあります。中心部の視野が最後まで残ることが多いため、多くの人が真正面は問題なく見えるのにそれ以外の方向は見えない管状視を起こします。緑内障を治療せずに放置していると、最後には中心部の視野も失われて完全に失明します。

閉塞隅角緑内障

閉塞隅角緑内障で眼圧が急速に上昇した場合(急性閉塞隅角緑内障)、典型的には、激しい眼の痛みや頭痛、眼の充血、視界がぼやける、光の周囲に虹色のにじみ(ハロ)が見える、視力が急に低下するといった症状が突然現れ、本人が気づきます。眼圧の上昇により吐き気や嘔吐が生じることもあります。症状が現れてすぐに治療しないと2~3時間以内に視力が失われるおそれがあるため、急性閉塞隅角緑内障は、医学的な緊急事態とされています。

慢性閉塞隅角緑内障では、眼圧が徐々に上昇し、通常は開放隅角緑内障のように症状が始まります。眼が赤くなったり、不快感やかすみ目が生じたり、睡眠によって軽減する頭痛が生じる人もいます。眼圧は正常の場合もありますが、通常は患眼のほうが高くなります。

開放隅角緑内障または閉塞隅角緑内障が、片方の眼に発生した場合は、もう片方の眼も同じ病気にかかる傾向があります。

緑内障の診断

  • 医師による眼の診察

緑内障が疑われる場合(例えば、眼の定期検査の所見に基づいて)、医師は緑内障の有無を調べるために包括的な眼の診察を行います。緑内障に関する総合的な検査には、5種類あります。

  • 眼圧の測定

  • 視神経の評価

  • 視野検査

  • 隅角鏡検査

  • 角膜の測定

1つは、眼圧測定です。この測定は眼圧計と呼ばれる器具を用いて痛みを伴わない方法で行います。眼圧の正常範囲は11~21mmHgです。一般に眼圧が21mmHg以上ある場合は正常よりも高いとみなされます。

しかし、緑内障患者の3分の1以上では眼圧が平均的な範囲にあり、緑内障によらない高い眼圧を示す人もいるため、眼圧測定だけでは不十分です。そのため、検眼鏡光干渉断層計を使って視神経の変化を探し、緑内障による損傷がないかどうかを調べます。

さらに、視野検査(周辺視野検査)により、視野欠損の有無がわかります。視野検査は、視野内すべての小さい光の点が見えるかどうかを検査する機器を用いるのが最も一般的です。

最後に、特殊なレンズで排出管の状態を調べる隅角鏡検査(ゴニオスコピー)と呼ばれる検査を行うこともあります。隅角鏡によって、緑内障が開放隅角型か閉鎖隅角型かを判断することができます。

角膜の厚さも測定します。角膜が薄い場合は、緑内障になる可能性が高くなります。しかし、角膜が薄いからといって緑内障があるわけではありません。

知っていますか?

  • 抗コリン作用を起こす薬(アレルギー、風邪、抗ヒスタミン薬を含む睡眠薬など)は瞳孔を広げ、虹彩が隅角の排膿管を塞ぐ原因となります。したがって、高齢者がこれらの薬を服用する前に、閉塞隅角緑内障の発症の可能性がないか、眼をチェックする必要があります。

スクリーニング

最も多くみられるタイプの緑内障では、何年もかかって症状もなく徐々に視力が失われていくので、早期に発見することが非常に大切です。緑内障のリスクが高い人(リスク要因のリストを参照)は、1~2年毎に総合的な眼の検査を受けるべきです。

緑内障の治療

  • 薬物治療

  • ときに手術

緑内障で失われた視力は、二度と回復しません。しかし、早期に診断されて適切な治療を受ければ、それ以上視力が失われるのを防ぐことができます。緑内障治療の目的は、視力障害が始まるのを防ぐこと、あるいは視力障害の進行を止めることにあります。

緑内障の治療は生涯続きます。治療には、眼球からの房水排出量を増やすか、房水の産生量を減らして眼圧を下げることが含まれます。眼圧は高いものの視神経には損傷の徴候が出ておらず、緑内障の疑いにとどまる段階では、治療せずに慎重に経過を観察することができます。

緑内障の主な治療法は、薬、通常は点眼薬、手術です。緑内障の種類と重症度によって、適切な治療が決まります。

  • 大半の開放隅角緑内障は治療に使用される薬剤によく反応します。

  • 閉塞隅角緑内障にもそのような薬剤が使われますが、閉塞隅角緑内障の治療は、点眼薬ではなく、手術が中心となります。

薬物治療

緑内障治療の点眼薬としては、ベータ遮断薬(ベータ・ブロッカー)、プロスタグランジン製剤、アルファ作動薬、炭酸脱水酵素阻害薬、コリン作動薬などを含むものがよく用いられます。コリン作動薬(ピロカルピンなど)は過去に使用されていましたが、現在ではあまり使用されていません。

緑内障用の点眼薬はおおむね安全性が高いのですが、さまざまな副作用を引き起こすこともあります。緑内障患者はこれらの点眼薬を一生継続して使う必要があり、眼圧や視神経の状態、視野の状態を定期的に検査しなくてはなりません。通常は、最初は片眼のみ(片眼試験といいます)で使用します。1~4週間後に治療を受けた眼に改善がみられた場合は、両眼に治療を行います。

急性閉塞隅角緑内障は医学的な緊急事態であるため、医師は、眼圧を急速に低下させる、非常に強力で即効性の薬剤を併用することがあります。点眼薬(チモロール、ブリモニジン、ピロカルピンなど)から、複数の薬を一度に投与します。眼が高眼圧に耐えられないと考えられる場合は、グリセリン、アセタゾラミドの錠剤、またはマンニトールなどの静脈内点滴を用いることがあります。必要に応じ緊急手術も行います。健側眼も治療しなければ罹患する可能性が高いため,両眼の治療を行う。

手術

手術の対象となるのは、眼圧が極めて高い人、点眼薬でうまく眼圧をコントロールできない人、点眼薬を使用できない人、点眼薬の副作用に耐えられない人、または初診時にすでに重度の視野欠損がある人などです。急性閉塞隅角緑内障では、緊急手術がしばしば行われます。

レーザー手術は、開放隅角緑内障患者の排膿を増やす(レーザー線維柱帯形成術)、または急性または慢性閉塞隅角緑内障患者の虹彩に開口部を作る(レーザー末梢虹彩切開術)ために行われます。レーザー手術は、医師の診察室または病院や診療所で行われます。痛みを予防するために麻酔点眼薬を使用します。通常は手術当日に帰宅できます。開放隅角緑内障に対するレーザー手術による治療は,少なくとも薬物療法と同等の効果があることがエビデンスから示唆されている。新たに診断された患者に対しては、レーザー線維柱帯形成術による治療を開始することが許容され、多くの場合推奨される。

緑内障のレーザー手術で最もよくみられる合併症は、緑内障点眼薬で治療する一時的な眼圧上昇です。まれに、レーザー手術で使用するレーザーが角膜を熱傷することもありますが、これらの熱傷は通常すぐに治ります。

緑内障ろ過手術は、緑内障の治療に医師が用いる別の手術です。従来の緑内障ろ過手術では、医師は新しいドレナージシステム(線維柱帯切除またはチューブシャント)を手動で作成し、液体が閉塞したまたは閉塞した管をバイパスして眼からフィルターで除去できるようにします。

部分ろ過手術(ビスコカナロストミー、深部強膜切除術、シュレム管形成術)は代替のろ過手術で、流出路の一部だけを切除して房水の排出を高めるために用いられます。これらの手技は病院で行われることもあれば、外来の手術センターで行われることもあります。患者は通常、その日のうちに帰宅できます。

線維柱帯切除によるろ過術では、まれに眼に重度の感染症(眼内炎)が生じることがあります。緑内障ろ過手術では、白内障の増殖が加速したり、眼圧が低すぎる場合や、眼の奥が腫れたりすることがあります。

続発緑内障

他の病気によって起こった緑内障の治療は、原因によって異なります。

感染症や炎症による緑内障の治療には、適切な抗生物質、抗ウイルス薬、コルチコステロイド点眼薬で基礎疾患を治療することが緑内障の効果的な治療となる場合があります。

体液の排出を阻害する腫瘍は治療すべきであり、白内障が大きくなりすぎて眼圧が上昇する場合も同様です。このような白内障を取り除くことは、続発性緑内障の予防に役立ちますが、眼圧が上昇することもあります。白内障手術による高眼圧は、眼圧を下げる緑内障点眼薬で治療します。点眼薬が効かない場合は、緑内障ろ過手術を行います。

さらなる情報

以下の英語の資料が役に立つかもしれません。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いかねることをご了承ください。

  1. The Glaucoma Research Foundation 緑内障研究財団(The Glaucoma Research Foundation):緑内障の治療法を見つけるための革新的な研究に関する情報や、緑内障患者の介護や治療に関する基本的な情報にアクセスできます。

  2. American Council of the Blind (ACB) 米国視覚障害委員会(ACB)(American Council of the Blind (ACB)):視覚障害者の生活の質を高めるためのプログラムやサービス(点字フォーラム、出版物、ACBのラジオ番組、その他の関連メディアなど)が掲載されています。

  3. 米国盲人協会(American Foundation for the Blind(米国盲人協会):米国視覚障害協会(American Foundation for the Blind):視覚障害者の機会を拡大するための研究、教育、雇用の取り組みにアクセスできます。

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