梅毒

執筆者:Sheldon R. Morris, MD, MPH, University of California San Diego
Reviewed ByChristina A. Muzny, MD, MSPH, Division of Infectious Diseases, University of Alabama at Birmingham
レビュー/改訂 修正済み 2025年 8月
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やさしくわかる病気事典

梅毒は、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)という細菌によって引き起こされる性感染症です。梅毒の症状は、症状がない期間を挟んで3段階に分けられます。

  • 第1期では、まず感染箇所に痛みのないびらんが現れ、第2期では、発疹、発熱、疲労感、頭痛、食欲不振が引き起こされます。

  • 治療をしないでいると、梅毒の第3期では、大動脈、脳、脊髄や他の器官に損傷が生じます。

  • 医師は通常、患者が梅毒に感染していることを確認するために2種類の血液検査を行います。

  • 治療はペニシリンで行われ、感染を根治できます。

  • 性交中にコンドームを使用することは、梅毒やその他の性感染症が人から人に広がるのを防ぐのに役立ちます。

性感染症の概要も参照のこと。)

米国では、梅毒の症例数は増加を続けています。2023年には、米国では梅毒の症例が200,000例以上報告されました。比較のために、2000年の症例報告では約6,000例でした。第1期および第2期の梅毒は大半の症例が男性で発生し、男性症例の3分の1が男性と性行為をする男性で発生していました。また、梅毒に感染した状態で生まれてくる乳児(先天性梅毒)が増えています。

世界中で約7000万人が梅毒にかかっています。

梅毒の人は、しばしば他の性感染症を併発しています。

梅毒の伝播

梅毒の病態は以下の3段階に分けられます。

  • 第1期梅毒

  • 第2期梅毒

  • 第3期梅毒

各段階は長い無症状の期間によって隔てられています。この無症状の期間は潜伏期と呼ばれます。

第1期と第2期では感染力が高くなります。潜伏期の開始時にも伝染性を示すことがあります。

通常は性的接触により感染します。梅毒にかかっている人との性交渉を1回行うと、約33%の確率で感染が起こりますが、第1期の梅毒感染者であった場合は、この確率がより高くなります。細菌は、腟、口などの粘膜や皮膚を通じて体内に侵入します。数時間のうちに付近のリンパ節に達し、その後、血流に乗って全身に広がります。

梅毒には他の経路で感染することもあります。妊娠中には胎盤を通して胎児に感染し、先天異常などの障害が生じることがあります。

感染した皮膚のびらんに触れることで梅毒に感染することもあります。しかし、細菌は人の体外で長く生存することができないため、梅毒は感染者が触れた物(トイレの便座やドアのハンドルなど)に接触することにより感染することはありません。

多くのセックスパートナーがいる、またはコンドームを適切かつ常時使用しないなどの危険な性行為を行っている人では、梅毒に感染したり、感染を広げたりするリスクが高くなります。

HIVに感染している人は、梅毒になるリスクが高くなります。

梅毒の症状

症状の各段階(第1期、第2期、第3期)は病状が次第に悪化していきます。

梅毒は治療しないと、何年も症状が出ないまま潜伏を続けることがありますが、大動脈(体内で最も太い動脈)や脳を損傷し、死に至ることもあります。神経梅毒は脳と脊髄を損傷し、梅毒のどの段階でも発症する可能性があります。

早期に検査で感染が検出され、治療を受けた場合、梅毒は永続的な損傷が発生する前に完治させることができます。

第1期梅毒

下疳(げかん)と呼ばれる痛みのないびらんが感染部位に現れます。下疳が現れる典型的な部位には以下のものがあります。

  • 男性の場合:陰茎、肛門、および直腸

  • 女性の場合:外陰、子宮頸部、直腸、および会陰

  • 男女ともに:口唇および口内

しかし、下疳はどこにでも(舌、咽頭、指、体のその他の部位など)現れることがあります。下疳が発生するのは通常、1カ所のみですが、ときに複数発生することもあります。症状は通常、感染後3~4週間で現れますが、早ければ1週間、遅ければ13週間後に生じることがあります。

下疳は小さな赤い隆起として始まり、すぐに比較的痛みのない硬い皮膚が破れた潰瘍になります。下疳からの出血はなく、触れると硬く感じられます。また、時間の経過とともに黄色または灰色に変色することもあります。通常は、周辺のリンパ節が腫れますが、これも痛みはありません。

下疳には症状がほとんどないため、女性の約半数、男性では3人に1人はその存在に気づきません。直腸や口内の下疳は、通常男性に生じ、気づかれないことがよくあります。

第1期梅毒の画像
第1期梅毒:陰茎の下疳 (1)

梅毒の第1期では、下疳(げかん)と呼ばれる痛みのないびらんが口の周囲に現れることがあります。

梅毒の第1期では、下疳(げかん)と呼ばれる痛みのないびらんが口の周囲に現れることがあります。

Image courtesy of Drs. Gavin Hart and N. J. Flumara via the Public Health Image Library of the Centers for Disease Control and Prevention.

第1期梅毒:陰茎の下疳 (2)

梅毒の第1期では、下疳(げかん)と呼ばれる痛みのないびらんが口の周囲に現れることがあります。

梅毒の第1期では、下疳(げかん)と呼ばれる痛みのないびらんが口の周囲に現れることがあります。

Photo courtesy of Karen McKoy, MD.

だい1梅毒ばいどく口腔こうくう下疳げかん(げかん)

梅毒ばいどくだい1では、下疳げかん(げかん)とばれるいたみのないびらんがくち周囲しゅういあらわれることがあります。

梅毒ばいどくだい1では、下疳げかん(げかん)とばれるいたみのないびらんがくち周囲しゅういあらわれることがあります。

Image courtesy of the Public Health Image Library of the Centers for Disease Control and Prevention.

下疳は通常3~12週間で治ります。その後、完全に健康になったように見えます。

第2期梅毒

細菌は血流に乗って広がり、口や皮膚の広い範囲でびらん、リンパ節の腫れを起こし、またあまり多くありませんが他の器官にも症状を引き起こします。症状は通常、下疳が現れてから6~12週間後に生じます。感染した人の中には、この時点でも下疳が残っている人もいます。第2期梅毒では、発熱、疲労感、食欲不振、体重減少がよくみられます。

ほとんどの場合、体の表面のあらゆる部位にびらんや発疹が現れることがあります。治療をしなくても、びらんは数日から数週間で治まりますが、数カ月続くこともあれば、治癒後に再発することもあります。すべてのびらんは最終的に治癒し、通常は瘢痕(はんこん)は残りません。

梅毒性皮膚炎は、梅毒に感染することによって生じる発疹で、手のひらや足の裏によくみられます。個々のびらんは円形のうろこ状のもので、それらが融合して大きなびらんを形成することもありますが、通常はかゆみや痛みはありません。発疹が治った後は、患部が正常時より白くなったり褐色みを帯びたりすることがあります。頭皮に梅毒性皮膚炎が生じると、毛髪が円形状に抜け落ちることがあります(円形脱毛症)。

脇、乳房の下、肛門周囲など、皮膚の湿った部位に扁平コンジローマと呼ばれる上部が平らで滑らかな隆起ができることがあります。色は皮膚の色、体のどこに腫瘤が現れるか、周囲の皮膚にどの程度炎症が起こるかによって異なります。くすんだピンク色、白っぽい灰色、または褐色になることがあります。口やのど、陰茎、外陰部、または直腸に現れる扁平コンジローマは、通常円形に隆起しており、多くは灰色から白色で境界が赤い色をしています。これらの腫瘤には梅毒の原因菌が多く含まれており、非常に強い感染力があります。通常、部位によって生じる刺激感や不快感がある他に、痛みはありません。腫瘤は破れて、体液が漏れることがあります。

第2期梅毒の人の多くでは、全身のリンパ節が腫れます。一部の人では、他の器官に症状が現れることがあります。眼が炎症を起こしたり、骨や関節が痛んだりすることもあります。中には、肝臓に感染(肝炎)が広がり、腹部の痛みと黄疸(皮膚と白眼の部分が黄色になる)が生じて、尿の色が濃くなる人もいます。脳、内耳、眼に感染したために頭痛、または聴覚やバランス感覚、視覚の障害が生じる人もいます。

第2期梅毒の画像
だい2梅毒ばいどくからだあらわれた発疹ほっしん

梅毒ばいどくだい2には、広範こうはん発疹ほっしんあらわれることがあります。

梅毒ばいどくだい2には、広範こうはん発疹ほっしんあらわれることがあります。

Image courtesy of the Public Health Image Library of the Centers for Disease Control and Prevention.

第2期梅毒:背面の発疹

梅毒の第2期には、広範に発疹が現れることがあります。画像が示すとおり、発疹は、1つずつ離れて生じることもあれば、融合することもあります。

梅毒の第2期には、広範に発疹が現れることがあります。画像が示すとおり、発疹は、1つずつ離れて生じることもあれば、融合することもあります。

Image courtesy of the Public Health Image Library of the Centers for Disease Control and Prevention.

第2期梅毒:手のひらの発疹

梅毒の第2期には、梅毒性皮膚炎と呼ばれる発疹が現れることがあります。他の大半の感染症による発疹とは異なり、梅毒性皮膚炎は一般的に手掌と足底に出現します。

梅毒の第2期には、梅毒性皮膚炎と呼ばれる発疹が現れることがあります。他の大半の感染症による発疹とは異なり、梅毒性皮膚炎は一般的に手掌と足底に出現します。

Image courtesy of the Public Health Image Library of the Centers for Disease Control and Prevention.

第2期梅毒:足底の発疹

梅毒の第2期には、梅毒性皮膚炎と呼ばれる発疹が現れることがあります。他の大半の感染症による発疹とは異なり、梅毒性皮膚炎は一般的に手掌と足底に出現します。

梅毒の第2期には、梅毒性皮膚炎と呼ばれる発疹が現れることがあります。他の大半の感染症による発疹とは異なり、梅毒性皮膚炎は一般的に手掌と足底に出現します。

Image courtesy of Susan Lindsley via the Public Health Image Library of the Centers for Disease Control and Prevention.

潜伏梅毒

潜伏期には症状が現れず、感染が起こらない時期です。最初の感染から1年以内に潜伏期に至った場合は早期潜伏期、最初の感染から1年以上経過していた場合は後期潜伏期に分類されます。この潜伏期中も細菌は体内に存在しており、梅毒の検査を行えば陽性の結果が得られます。

潜伏期は数年間続くこともあれば、永久的なこともあります。潜伏期の間は感染力はありませんが、ときには潜伏期早期では皮膚や粘膜にびらんができることがあります。これらのびらんは伝染性があり、接触した人は感染する可能性があります。潜伏期の梅毒は、びらんの有無にかかわらず、胎盤を介して胎児に感染することもあります。

第3期(または晩期)梅毒

第3期梅毒は、治療を受けていない感染者の3分の1の人に、最初の感染から何年も経過した後、発現します。症状は軽いものから重篤なものまでさまざまです。

第3期梅毒には主に次の3つの病型があります。

  • 良性の第3期梅毒

  • 心血管梅毒

  • 神経梅毒

良性の第3期梅毒は通常、最初の感染から3~10年ほどたって現れます。ゴム腫と呼ばれる柔らかいゴムのような腫瘤(しゅりゅう)が皮膚、特に頭皮、顔、胴体の上部、脚にできます。肝臓や骨にもよく生じますが、ほぼどの器官にもできる可能性があります。皮膚にできると、ゴム腫が破れた潰瘍を形成することがあります。治療をしないと、周囲の組織を破壊してしまいます。骨では通常、深い、刺すような痛みが生じ、夜間に悪化することが多いです。ゴム腫の成長はゆっくりで、徐々に治り、後に瘢痕(はんこん)が残ります。

心血管梅毒は通常、最初の感染から10~25年ほどたって現れます。細菌が心臓につながる大動脈などの血管に感染します。その結果、以下のことが起こる可能性があります。

  • 大動脈の壁が弱くなり、ふくらみ(大動脈瘤)が形成される。この大動脈瘤が胸部にある気管などの他の構造を圧迫し、呼吸困難、せき、かすれ声が生じることがある

  • 心臓から大動脈につながる弁(大動脈弁)から血液が漏れることがある

  • 血液を心臓に運ぶ動脈(冠動脈)が狭くなることがある

このような問題により、胸痛や心不全が生じて死に至ることもあります。

神経梅毒は、脳と脊髄に梅毒の感染が及んだ状態で、治療を受けていない梅毒患者の一部に現れます。神経梅毒には以下の病型があります。

  • 無症候型: この病型は、脳と脊髄を覆う組織(髄膜)の軽い感染症で、軽度の髄膜炎を引き起こすことがあります。治療しないでいると、頭痛、項部硬直、集中力の低下などの症状がみられます。

  • 髄膜血管型: 脳や脊髄の動脈に炎症が起き、慢性の髄膜炎が発生します。症状は通常、最初の感染から5~10年後に現れます。最初に、頭痛と首のこわばりが出ることがあります。めまいがしたり、集中力や記憶力の低下が起こったり、不眠が生じることがあります。視野がかすむことがあります。腕、上背部、やがては脚の筋肉に脱力が生じたり、麻痺したりすることすらあります。排尿や排便のコントロールが困難になることもあります(失禁)。この病型は脳卒中も引き起こします。

  • 進行麻痺型(実質型): この病型は通常、最初に感染してから15~20年後に発現し、感染者が40代や50代になるまでは現れません。まず行動が徐々に変化するという症状が現れます。精神疾患または認知症に似た症状がみられることもあります。例えば、自分の衛生状態に無頓着になったり、頻繁に気分が変化したりします。イライラや錯乱が生じたり、集中力や記憶力が低下したりもします。自分を有名人や神、または神秘的な力をもつ存在と思い込む誇大妄想もみられます。口、舌、伸ばした両手や全身に振戦(ふるえ)が出ることがあります。

  • 脊髄癆(せきずいろう)型: この病型では、脊髄の病変が徐々に進行します。この型の梅毒は通常、最初の感染から20~30年後に現れます。症状は徐々に始まり、典型的には背中と脚に刺すような強い痛みが不規則に繰り返し起こります。また、胃や膀胱、直腸、のどに同様の痛みが生じることがあります。歩行が不安定になり、足の感覚が薄れたり異常を感じたりします。大半の患者に体重の減少がみられます。視力に問題が起きることもあります。勃起障害がよくみられます。最終的に、排尿をコントロールすることが困難になり(失禁)、麻痺が生じることがあります。

その他の症状

梅毒は、どの段階であっても眼や耳に影響を及ぼす可能性があります。

眼の症状には、涙目、かすみ目、眼痛、光への過敏、視力障害などがあります。梅毒が眼に感染すると、神経梅毒を発症するリスクが高まります。

耳に感染すると、耳の中から音が聞こえたり(耳鳴り)、聴力が低下したり、めまいや眼振(眼球が一方向にすばやく動いてから、それより遅い動きで元の位置に戻ることを繰り返す現象)がみられたりします。

関節が変性することもあります。関節は痛みませんが、腫れて、動きが制限されます。このような状態を、神経病性関節症(シャルコー関節)と呼びます。

梅毒による神経の損傷によって、外傷や圧迫による皮膚や関節の損傷に気づかなくなり、栄養性病変(皮膚にできる場合は栄養性潰瘍)と呼ばれる状態に至ります。

梅毒の診断

  • 血液や下疳から採取した体液、ときに髄液のサンプルを用いた検査

妊娠中の人は梅毒のスクリーニング検査を受けるべきです。また青少年または成人で妊娠しておらず、症状がみられなくても、梅毒の感染リスクが高い場合は梅毒のスクリーニング検査を受けるべきです。

典型的な下疳がみられる場合は、第1期梅毒が疑われます。手のひらや足の裏に特有の発疹がでていれば、第2期梅毒が疑われます。梅毒は様々な段階にわたり幅広い症状を引き起こしうるため、医師は、梅毒で起こりうる症状(視力の問題など)がある人を評価するときに梅毒の有無を確認をすることがあります。

診断の確定には臨床検査が必要です。2種類の血液検査を行います。

  • 通常はまず、VDRL(米国性病研究所)試験やRPR(迅速血漿レアギン)試験のようなスクリーニング検査が行われます。これらの検査は、梅毒(トレポネーマ)を引き起こす細菌またはその細菌に反応して作られる抗体を直接検出するものではないため、非トレポネーマ試験と呼ばれます。スクリーニング検査は安価で簡単に行えますが、最初の感染後3~6週間は、梅毒にかかっていても陰性の結果が出ることがあります。このような結果は偽陰性と呼ばれます。スクリーニング検査の結果が陰性であるものの、医師が第1期梅毒を疑っている場合は、6週間後に再検査を行うことがあります。別の病気のために、梅毒ではないのに検査の結果が陽性になる場合もあります(偽陽性)。

  • スクリーニング検査での陽性判定を確定させるために、通常は確定検査を行う必要があります。この血液検査では、梅毒の原因菌に対する特有の反応として作られる抗体を測定します(ときに、トレポネーマ試験と呼ばれます)。確定検査の結果も、最初に感染してから数週間は偽陰性になることがあるため、検査を繰り返さなければならない場合があります。

まずスクリーニング検査を行い、もし陽性であれば、その結果を確定(トレポネーマ)検査によって確認するという方針が従来から採られてきました。しかし、ときにトレポネーマ試験を最初に行うこともあります。その場合、結果が陽性であれば、続いて迅速血漿レアギン試験(スクリーニング検査)を行います。

その検査でも陽性と判定された場合、医師は患者に過去のセックスパートナー、過去の検査結果、過去の治療経験について質問し、その情報をもとにその人が現在梅毒にかかっているのか、過去にかかっていたことがあるのかを判断する場合があります。

治療が成功すれば、スクリーニング検査の結果は徐々に(数カ月から数年かけて)陰性に変わっていく可能性がありますが、確定検査の結果は生涯陽性のままであるのが通常です。

第1期または第2期の梅毒では、暗視野顕微鏡検査によっても診断が可能です。皮膚の下疳またはリンパ節から採取した体液を、特殊な機能を備えた光学顕微鏡で調べます。細菌が暗い背景の中で明るく見えるため、特定しやすくなります。

潜伏期の梅毒の診断にも、同じ血液検査(トレポネーマ試験と非トレポネーマ試験)が用いられます。医師はまた、徹底的な身体診察と過去の検査結果の確認を含めた評価に基づいて、早期潜伏梅毒と晩期潜伏梅毒のどちらであるかの判断を試みます。

第3期(後期)では、診断は症状と抗体検査の結果に基づいて下されます。症状に応じて、他の検査を行います。例えば、胸部X線検査や他の画像検査を行って大動脈瘤がないか調べます。

神経梅毒が疑われる場合は、腰椎穿刺を行って髄液を採取し、細菌に対する抗体の有無を調べる必要があります。

梅毒の人は、HIV感染症を含む他の性感染症に対する検査も受けるべきです。HIV感染症と梅毒がある人では、梅毒の進行がより早く、神経梅毒になる可能性が高くなります。

梅毒の治療

  • ペニシリンの注射

  • ペニシリンに対するアレルギーがある人には、他の抗菌薬

  • セックスパートナーへの同時治療

ペニシリンは、すべての段階にある梅毒に最もよく効く抗菌薬で、筋肉内に注射して投与します。

神経梅毒や眼や内耳の感染症には、ペニシリンを静脈注射(静脈内注射)または筋肉注射(筋肉内注射)を10~14日間継続することがあります(筋肉内注射の場合は、プロベネシドという体内に滞留するペニシリンの量を増加させる薬を併用する必要があります)。その後、別の種類のペニシリンを週1回、最長3週間にわたって筋肉に注射します。

ペニシリンアレルギーがある人には、ドキシサイクリン(経口で14日間か、ときに28日間投与)などの他の抗菌薬が投与されます。ドキシサイクリンを使用できない人には、アジスロマイシンを投与することがあります(経口で1回投与)。しかし、世界のいくつかの地域では、梅毒の原因菌がアジスロマイシンに対する耐性を獲得しつつあります。ペニシリンに対するアレルギーがある妊婦は、ペニシリンを投与できるよう、入院してペニシリンに対する過敏性を低下させる療法(減感作療法)を受けます。

セックスパートナーの治療

第1期や第2期はもちろん、早期潜伏梅毒の患者でさえ、他者に感染させる可能性があるため、本人とセックスパートナーの治療が終了するまでは、性的接触を避ける必要があります。

ある人が梅毒と診断された場合、その人のセックスパートナー全員に対して梅毒の検査を行います。次のような状況であればセックスパートナーの治療が行われます。

  • たとえ検査結果が陰性であっても、診断が行われる前の90日間に感染者と性的接触があった

  • 診断の90日以上前に感染者との性的接触があったが、その人の検査結果がすぐには分からず、その人が再受診するかどうか分からない。検査結果が陰性であれば、治療は必要ありません。検査結果が陽性であれば、治療が行われます。

ヤーリッシュ-ヘルクスハイマー反応

第1期または第2期梅毒の患者は、最初の治療から6~12時間後にある反応を起こすことがあります。この反応は、ヤーリッシュ-ヘルクスハイマー反応と呼ばれ、発熱、頭痛、発汗、悪寒戦慄、また梅毒による潰瘍の一時的悪化が生じます。この反応が薬に対するアレルギー反応と誤解される場合もあります。

この反応による症状は通常は24時間以内に治まり、永続的な障害を残すことはまれです。しかしまれに、神経梅毒の人ではけいれん発作や脳卒中が起こります。

治療後

治療後は、原因菌が検出されなくなるまで定期的に診察と血液検査を行います。

第1期、第2期、潜伏期の梅毒の場合、治療がうまくいけば大半の患者で症状が出なくなります。しかし第3期梅毒の場合、治療を行っても、脳や大動脈などの器官にすでに生じた障害を元に戻すことはできません。

梅毒患者は治癒しても、梅毒に対する免疫を獲得することはないため、再び感染する可能性があります。

梅毒の予防

梅毒やその他の性感染症のリスクを減らすには、以下の方法が役立ちます。

  • 口、肛門、または性器での性行為では必ずコンドームを使用するなど、安全な性行為の習慣

  • セックスパートナーの数を減らすか、リスクの高いセックスパートナー(多くのセックスパートナーがいる人、安全な性行為の習慣を実践しない人)をつくらないようにする

  • 互いにパートナーを1人だけにするか、性行為を控える

  • 一部の性感染症には予防接種

  • 性感染症の迅速な診断と治療(感染の拡大を防ぐため)

  • 感染者の性的接触を把握し、それらの接触に対するカウンセリングや治療を行う

知っていますか?

  • 梅毒にかかっている人との性交渉を1回行うと、約33%の確率で感染が起こりますが、第1期の梅毒感染者であった場合は、この確率がより高くなります。

さらなる情報

以下の英語の資料が役に立つかもしれません。こうした情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いかねることをご了承ください。

  1. Centers for Disease Control and Prevention (CDC): 梅毒について

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