尿に血液が混じる

執筆者:Geetha Maddukuri, MD, Saint Louis University
Reviewed ByLeonard G. Gomella, MD, Sidney Kimmel Medical College at Thomas Jefferson University
レビュー/改訂 2024年 9月 | 修正済み 2025年 7月
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尿に血液が混じると(血尿)、血液の量や血液が尿に混入してからの経過時間や尿の酸性度などに応じて、尿の色がピンク、赤色、茶色に変化することがあります。混入した血液の量が少なく尿が変色しない場合(顕微鏡的血尿)でも、化学的な検査や顕微鏡による検査では検出することが可能です。別の理由で尿検査を受けた際に顕微鏡的血尿が発見される場合もあります。(無症候性タンパク尿および血尿も参照のこと)。

血尿のある人は、血尿の原因に応じて、側腹部または背部の痛み、下腹部痛、尿意切迫感、排尿困難など、尿路疾患の他の症状もみられる場合があります。尿中に多くの量の血液が含まれていると、血液が固まって凝血塊になることがあります。凝血塊により尿の流れが完全に遮断され、突然の激しい痛みが生じ、排尿できなくなる可能性があります。このような凝血塊ができるほどの重度の出血は、通常は尿路のけがが原因です。

赤色の尿は常に赤血球によるものとは限りません。赤色または赤褐色の尿は、以下の理由によっても起こることがあります。

  • 赤血球の分解によりヘモグロビン(赤血球内の酸素を運ぶ物質)が尿中に存在する

  • 筋肉細胞の分解により筋肉由来のタンパク質(ミオグロビン)が尿中に存在する

  • ポルフィリン症(体内でのヘム[血液の赤い色の素になる鉄を含む化合物]の生成に関与している酵素の欠乏によって生じる病気)

  • 食品(例、ビーツ、ダイオウ、ときに食品着色料)

  • 薬剤(最も多いのはフェナゾピリジン[phenazopyridine]であるが、ときにカスカラ、フェニトイン、メチルドパ、リファンピシン、フェナセチン、フェノチアジン系薬剤、センナ)

血尿の原因

血尿は腎臓、尿管、膀胱、尿道までの尿路のどの部位の異常によっても発生する可能性があります。女性の場合、性器出血を血尿と間違える人もいます。

一般的な原因

最も一般的な原因は、年齢によっていくらか異なりますが、全体としては以下のものです。

あまり一般的でない原因

あまり一般的でない原因としては以下のものがあります。

がんや前立腺肥大症は血尿を引き起こすことがあります。これらは主に50歳以上の人で懸念される病気ですが、より若い人でも危険因子(喫煙、家族歴、化学物質への曝露)があれば、がんが発生する可能性はあります。

腎臓のごく小さな血管(糸球体)の病気は、年齢を問わず血尿の原因になる可能性があります。

腎臓のろ過障害(糸球体疾患)は、腎疾患の一部として起こる場合と、腎臓以外の部位に起きた病気の結果として生じる場合があります。尿にタンパク質、赤血球の塊(赤血球円柱)、または奇形赤血球がみられる場合は、それらの病気の可能性が高くなります。そのような病気の例として、各種感染症(心臓弁感染症など)、結合組織疾患(全身性エリテマトーデスなど)、血管炎、血液疾患(血清病など)、特定の慢性疾患(糖尿病など)などが挙げられます。また、ほぼすべての種類の腎損傷で、少量の血液が尿中に入る可能性があります。

転倒や自動車の衝突事故などによる重度のけがが、腎臓や膀胱を損傷して血尿を引き起こすことがあります。様々な処置や手術(例えば、カテーテルの挿入、前立腺または腎臓の生検)も出血の原因になる可能性があります。

ビルハルツ住血吸虫は人体に寄生するぜん虫で、アフリカでは住血吸虫症と呼ばれる病気を引き起こすことが知られており、またよりまれですがインドや中東の一部の地域でも発生します。この寄生虫が尿路に侵入すると、血尿が生じます。住血吸虫症は、寄生虫がみつかる地域に滞在していた場合にのみ検討されます。結核が血尿を引き起こすこともあります。

血尿のその他の原因としては、骨盤部の放射線療法による膀胱の炎症、特定の薬剤の使用、腎臓の血管疾患などがあります。

抗凝固薬(血液の凝固を防ぐ薬剤)を服用している人に血尿が生じた場合、必ずしもその薬剤が原因とは限らないため、医師は、他の可能性のある原因をすべて考慮して診断を行います。

血尿の評価

医師はまず、赤い尿の原因が出血によるものであるかを確認します。出血によるものであればその原因を調べ、尿路(時にはその他の器官)のどの部分で出血が生じているかを特定します。以下では、どのようなときに医師の診察を受けるべきか、また受けた場合に何が行われるかについて説明しています。

警戒すべき徴候

血尿がみられる場合、一部の症状や特徴には注意が必要です。具体的には以下のものがあります。

  • 尿中の大量の血液

  • 年齢が50歳を超えている

  • 足や下肢のむくみと高血圧

受診のタイミング

血尿に気づいたら、1日か2日以内には医師の診察を受けるべきです。もし大量の血液が尿に交じっていたり、排尿できなかったり、激しい痛みがある場合は、直ちに医師の診察を受けてください。

医師が行うこと

医師はまず、症状と病歴について質問し、次に身体診察を行います。多くの場合、病歴聴取と身体診察で得られる情報から、疑われる血尿の原因を特定し、どのような検査が必要になるかを判断できます(「」の表を参照)。

医師は血尿はいつごろから続いているか、過去に出血はあったかどうかを尋ねます。発熱や体重減少のほか、排尿開始困難や排尿後の残尿といった尿路の閉塞による症状について質問されます。痛みや不快感は重要な所見です。排尿時の灼熱感や下腹部の恥骨のすぐ上あたりの鈍痛は、膀胱の感染症を疑わせます。男性の場合、軽度から中等度の腰痛や恥骨部の痛みは、しばしば前立腺の感染症が原因です。極めて激しい痛みは、通常は結石または凝血塊が尿の流れを遮断していることが原因です。

次に身体診察を行います。通常、女性の場合は内診(骨盤内診察)が必要になります。腟内に出血がみられる場合は、カテーテルを膀胱に挿入して観察し、出血源が膀胱か腟かを特定します。男性では、通常は直腸指診を行って前立腺の状態を調べます。

検査

ときに症状と身体診察の結果から診断が可能になる場合があります。しかし、多くの病気で症状の重複がみられるため、血尿の原因(ときに血尿の有無)を特定するには通常は検査が必要になります。尿検査が最初の検査となります。尿検査では、血液を検出することができ(尿が赤い原因が血液であることを確定できます)、糸球体疾患の所見が認められる場合もあります。感染が疑われる場合は、通常は尿培養検査が行われます。

がんの危険因子がある人の場合、一般には膀胱鏡検査(柔軟な管状の観察用機器を用いて膀胱の内部を調べる検査)を行って、出血原因を特定します。

すべての年齢において、肉眼的な血尿の原因として感染症も糸球体疾患のいずれも認められない場合は、年齢にかかわらず、一般的には腹部および骨盤部のCT検査、超音波検査、MRI検査などの画像検査を行います。50歳未満で顕微鏡的血尿のみがみられ、身体診察、血液検査、尿検査で他の異常が認められなかった場合は、6カ月後または12カ月後に尿検査を繰り返すだけのことがあります。その時点で血尿が消失していない場合は、さらなる検査を行います。

腎臓のろ過障害(尿検査の結果に基づく)が疑われる場合、通常は血液検査を行って腎機能を評価するとともに、ときに腎生検を行います。鎌状赤血球症であることが確認されていないアフリカ系または地中海系の人には、この病気に対する血液検査が必要になる場合があります。

50歳以上の男性の場合、通常は前立腺特異抗原(PSA)の血中濃度を測定します。

血尿の治療

出血を引き起こしている原因を治療します。原因にかかわらず、血栓によって尿の流れが遮断されている場合は、柔軟なチューブを膀胱内まで挿入して(尿道カテーテル)血栓を洗い流す処置を行うことが多いです。

要点

  • 赤い尿は常に血液が原因とは限りません。

  • 血尿の多くの原因は深刻なものではありません。

  • 重篤な病気のリスクは、年齢および血尿が出ていた期間とともに増大します。

  • 通常、がんの検査は50歳以上の人と50歳未満でがんの危険因子がある人に対してのみ行われます。

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