腎臓がん

(腎腺がん、腎細胞がん)

執筆者:Thenappan Chandrasekar, MD, University of California, Davis
Reviewed ByLeonard G. Gomella, MD, Sidney Kimmel Medical College at Thomas Jefferson University
レビュー/改訂 修正済み 2025年 2月
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やさしくわかる病気事典

腎臓に発生する腫瘍のうち、充実性の腫瘍(内部が組織で詰まっているもの)の大半ががんであるのに対して、内部に液体だけが詰まった腫瘍(嚢胞)は多くが良性の腫瘍です 腎臓がんの大半は腎細胞がんと呼ばれるものです。ウィルムス腫瘍と呼ばれる別の種類の腎臓がんもあり、これは主に小児でみられます。

  • 腎臓がんでは、血尿やわき腹(側腹部)の痛み、発熱などがみられます。

  • 多くの腎臓がんは、別の理由で実施された画像検査により偶然発見されます。

  • 診断はCT検査またはMRI検査によって確定されます。

  • 腎臓の摘出は生存率を高める効果があり、がんが他の器官に転移していなければ根治も期待できます。

腎臓がんは成人のがんの約2~3%を占め、男性の発症件数は女性の約2倍です。毎年約81,610人が腎臓がんを新たに発症し、約14,390人が腎臓がんで死亡しています(2024年の推定)。

喫煙者は、喫煙していない人と比べて腎臓がんを発症する確率が約2倍高いです。その他の危険因子には、有毒化学物質(アスベスト、カドミウム、革なめし剤、石油製品等)への曝露や肥満などがあります。透析により嚢胞性腎を発症している人や、特定の遺伝性疾患(特にフォン・ヒッペル・リンドウ病(VHL)や結節性硬化症)にかかっている人も、腎臓がんのリスクが高くなります。腎臓がんの人は通常、65~74歳で診断を受けます。

腎臓がんの症状

がんが他の器官に転移するかもしくは非常に大きくなるまで、症状が現れないことがあります。最初に現れる症状としては血尿が最も一般的ですが、血液の量がごくわずかなために顕微鏡で調べないと発見できない場合もあります。一方で、肉眼で分かるほどに尿が赤くなる場合もあります。

血尿に次いで多くみられる症状は、側腹部(肋骨と腰の間)の痛み、発熱、体重減少です。まれに、医師が腹部の触診中に腫れや腫瘤に気づくことで、初めて腎臓がんが見つかることもあります。腎臓がんでみられる非特異的な症状として、疲労感、体重減少、早期満腹感(少し食べるだけでお腹が一杯になった感じがすること)などがあります。

赤血球の数が異常に増加して赤血球増多症になることがあります。これは、腫瘍のある腎臓や腫瘍そのものからエリスロポエチンと呼ばれるホルモンが分泌され、このホルモンの血中濃度が高まることで骨髄が刺激されて赤血球の生産量が増加するためです。赤血球増多になっても症状が現れない場合もありますが、場合によっては頭痛、疲労感、めまい、視覚障害などの症状がみられます。またこれとは逆に、腎臓がんの患者では、尿内への緩やかな出血が赤血球数の減少(貧血)を引き起こすことがあります。貧血は疲れやすさや浮動性めまいにつながります。

血液中のカルシウム濃度が上昇する場合もあり(高カルシウム血症)、脱力、疲労感、反応の鈍化、便秘などがみられることがあります。

血圧が上昇する場合もありますが、高血圧による症状は現れないこともあります。

腎臓がんの診断

  • CT(コンピュータ断層撮影)検査またはMRI(磁気共鳴画像)検査

  • ときに手術

多くの腎臓がんは、高血圧など別の症状を評価するためにCT検査や超音波検査などの画像検査を実施した際に偶然発見されます。症状から腎臓がんが疑われる場合は、CT検査もしくはMRI検査で診断を確定します。超音波検査静脈性尿路造影検査を最初に行う場合もありますが、診断の確定にはCT検査やMRI検査が必要になります。

腎臓がんと診断された場合は、他の画像検査(胸部X線検査、骨シンチグラフィー、胸部CT検査、等)や血液検査を行って、がんがほかの器官に転移しているかどうか、またどこに転移しているかを調べます。しかし、転移して間もないがんは検出できないことがあります。診断の確定のために手術が必要になることもあります。まれにですが、診断の確定のために、腎臓の腫瘤あるいは転移が疑われるその他の部位の生検を医師が勧めることがあります。

腎臓がんの治療

  • 手術

がんが腎臓の外に広がっていなければ、手術で腎臓を摘出することによって、ある程度の割合で治癒が見込まれます。あるいは、腫瘍組織とその周辺部の正常組織だけを切除して、腎臓の残りの部分を温存する手術法もあります。腎臓内の腫瘤が非常に小さい(3センチ(1.2インチ)未満)場合は、アブレーション治療(放射線により腫瘤を焼灼するか、もしくは腫瘤を凍結する手術)が選択肢の一つとなります。非常に小さな腫瘤に対しては、典型的には手術に耐えられないほど病状が悪い場合に、積極的サーベイランス(綿密なモニタリング)が選択肢の一つとなります。

がんが腎静脈や大静脈(心臓につながる太い静脈)などの周辺部位に広がっていても、リンパ節や腎臓から離れた部位に転移していない場合には、手術による治癒がある程度期待できます。ただし、腎臓がんは早い段階で転移する傾向があり、特に肺への転移が多く、症状が現れる前にすでに転移している場合もあります。離れた部位に転移した腎臓がんの病巣は転移してすぐの時点では発見できない場合もあるため、発見できた腎臓がんの病巣を手術ですべて取り除いた後に、転移が明らかになることもあります。

手術で治癒が望めない場合は、他の治療法を用いることもできますが、その場合に治癒が得られることはまれです。一部の種類のがんでは、免疫系の機能を高めてがんの破壊を促す治療法で病変を縮小し、生存期間を延ばすことができる場合があります(免疫療法を参照)。腎臓がんに対してときに使用される従来の免疫療法薬として、インターロイキン2やインターフェロンアルファ2bなどがあります。免疫チェックポイント阻害薬と呼ばれる新しい免疫療法薬は、がん細胞上のPD-L1と呼ばれる分子(「チェックポイント」)を阻害します。PD-L1の作用により、がんは体の免疫系による検出(およびそれに続く攻撃)を回避しています。免疫チェックポイント阻害薬を含めた複数の薬剤の併用が可能になっています。それらは転移のある患者や、外科的切除後にがんの再発リスクが中程度か高いと判断された患者にとって、選択すべき治療法とされることがよくあります。

腎臓がんの治療に使用されることがあるその他の薬剤には、スニチニブ、ソラフェニブ、カボザンチニブ、アキシチニブ、ベバシズマブ、パゾパニブ、レンバチニブ、テムシロリムス、エベロリムスなどがあります。これらの薬剤は、腫瘍に影響を及ぼす分子の機序を変える働きがあることから、分子標的療法と呼ばれています。

他のインターロイキンの様々な組合せ、サリドマイド、さらには腎臓がんの組織から分離した細胞を原料として作られるワクチンなどについても研究が行われています。これらの治療法は、転移がんの治療に役立つ場合もありますが、小さな効果しか得られないことが多いです。まれに(全症例の1%未満)、がんが発生した腎臓を摘出することで、体内の別の部位に転移した腫瘍も縮小することがあります。すでに転移を起こしている場合に、腫瘍の縮小がわずかに期待されるというだけでは腎臓の摘出手術を行う理由として十分ではありませんが、広がったがんに対する全体的治療計画の一環として、他の治療と併用して摘出手術を行うケースはあります。

腎臓がんの予後(経過の見通し)

予後(経過の見通し)は多くの要因により左右されますが、腎臓のみにとどまっている小さながんの場合、5年生存率は90%を超えます。がんが他の器官にも広がると予後ははるかに悪くなります。このような状況では、多くの場合、がんの広がりを抑えることと、痛みの緩和と快適さの向上が治療の主な目標になります(「致死的な病気で生じる症状」を参照)。その場合は、他のあらゆる終末期疾患と同様に、事前指示書の作成を含めた終末期問題への計画的対応が不可欠です(「法的または倫理的な課題」を参照)。

他の器官から腎臓に転移した腫瘍

ときにより、体の他の部位のがんが腎臓に転移することがあります。そのようながんの例としては、黒色腫肺がん乳がん胃がん女性生殖器のがん腸のがんすい臓がん白血病リンパ腫なとがあります。

通常、このような転移は症状を引き起こしません。転移は多くの場合、がんの原発巣がどの程度広がっているかの判定のために行う検査で見つかり診断されます。通常は、原発巣のがんに対する治療を行います。時により、原発巣のがんを治療しても腎臓の腫瘍の増殖が続く場合は、腎臓の腫瘍を切除することがあります。

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