常在菌叢

執筆者:Larry M. Bush, MD, FACP, Charles E. Schmidt College of Medicine, Florida Atlantic University;
Maria T. Vazquez-Pertejo, MD, FACP, Wellington Regional Medical Center
Reviewed ByBrenda L. Tesini, MD, University of Rochester School of Medicine and Dentistry
レビュー/改訂 修正済み 2024年 7月
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健康な人は、皮膚、鼻、口、のど、大腸、腟など、体の無菌でない部位に生息している(コロニーを形成している)微生物の大半とうまく共存しています。常に体内の決まった部位に集団で存在している微生物を「常在細菌叢(じょうざいきんそう)」と呼びます。常在菌叢にいる細菌の数は、人体を構成するすべての細胞の数の10倍に上ります。人体には数時間から数週間しかとどまらず、持続的に定着はしない微生物もおり、それらは一過性細菌叢と呼ばれます。

各部位の常在細菌叢は数種類の微生物から成り立っています。中には常に数百種類の微生物がコロニー(集落)を作っているような所もあります。食事、抗菌薬の使用、衛生状態、大気汚染、衛生習慣などの環境因子によって、各人がもつ常在菌叢を形成する微生物の種類は変わってきます。常在細菌叢は、たとえば洗浄や抗菌薬の投与によって変化しますが、通常はすぐにもとの状態に戻ります。

そして、常在細菌叢は病気を引き起こすどころか、病気の原因となる微生物から人間の体を守ってくれることも多いのです。しかし、特定の状況では、各人の常在菌叢の一部が病気を起こすこともあります。例として、次のような状況があります。

  • 抗菌薬の使用

  • けがまたは手術

  • 免疫機能の低下(HIV感染者やがんの患者、コルチコステロイドの投与や化学療法を受けている人などでみられる)

感染症の治療に使った抗菌薬によって、常在細菌叢中の特定の常在菌の大部分が死滅すると、それに代わって他の種類の常在細菌や真菌がはびこることがあります。例えば、女性が膀胱(ぼうこう)感染症の治療で抗菌薬を服用している場合に、その抗菌薬が常在菌叢の一部を死滅させてしまい、その結果、腟にいる真菌が増殖して、腟の真菌感染症になることがあります。

外傷、またときに手術により、細菌が生息するとは考えられない領域に常在菌叢が侵入し、感染症を引き起こすことがあります。例えば、皮膚に傷がつくと、皮膚の常在細菌叢が皮下に感染を起こすことがあります。大腸の手術により、腸内の常在菌叢が腹部の無菌部位に入り込み、非常に重篤な感染症を引き起こすことがあります。

(「感染症の概要」も参照のこと。)

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