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乳児と小児の甲状腺機能低下症

執筆者:

Andrew Calabria

, MD, Perelman School of Medicine at The University of Pennsylvania

最終査読/改訂年月 2017年 7月
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甲状腺機能低下症は甲状腺ホルモンの分泌量が低下した状態です。

  • 小児の甲状腺機能低下症は、通常、甲状腺の構造に問題があるか、甲状腺が炎症を起こしていることが原因です。

  • 症状は小児の年齢によりますが、成長と発達の遅延などがあります。

  • 診断は、新生児スクリーニング検査、血液検査、画像検査に基づきます。

  • 治療としては、甲状腺ホルモンの補充療法があります。

(成人については、甲状腺機能低下症も参照のこと。)

甲状腺は頸部にある内分泌腺です。内分泌腺は、血液中にホルモンを分泌します。ホルモンとは、体の他の部分の働きに影響を与える化学伝達物質のことです。

甲状腺の位置

甲状腺の位置

甲状腺は、甲状腺ホルモンを分泌します。甲状腺ホルモンは体の代謝速度を調節します。これには心拍の速さや体温の調節などが含まれます。甲状腺から十分な量の甲状腺ホルモンが分泌されない場合、これらの機能の働きが遅くなります。

乳児および小児の甲状腺機能低下症には2つのタイプがあります。

  • 先天性甲状腺機能低下症(出生時に認められます)

  • 後天性甲状腺機能低下症(出生後に起こります)

先天性甲状腺機能低下症

先天性甲状腺機能低下症は、出生前の甲状腺の発達や機能が正常でない場合に起こります(新生児の甲状腺機能低下症を参照)。このタイプの甲状腺機能低下症は、出生児の約2000~4000人に1人の割合で起こります。ほとんどの場合は自然に発生しますが、約10~20%は遺伝です。

先天性甲状腺機能低下症のほとんどのケース(約85%)は、甲状腺が欠損しているか、発達が不全であるか、異所での発達が原因で起こります。比較的まれですが、甲状腺が正常に発達したものの、甲状腺ホルモンが適切に分泌されないこともあります。

まれに、先天性甲状腺機能低下症は、妊娠中の母親の食事に十分な量のヨウ素が含まれていなかったことで引き起こされます(ヨウ素欠乏症)。ヨウ素欠乏症は米国ではまれですが、特定の発展途上国でよくみられます。他のまれな原因には中枢性甲状腺機能低下症があります。中枢性甲状腺機能低下症は、下垂体の発達過程で生じる構造的な問題が原因です。

ときに、甲状腺の病気を治療するために使用された薬剤や、食物中の物質が胎盤を通過し、これによって一時的に先天性甲状腺機能低下症が引き起こされることがあります。まれに、下垂体の形成異常により、甲状腺を刺激して甲状腺ホルモンを分泌させることができない場合があります(下垂体の概要を参照)。

後天性甲状腺機能低下症

後天性甲状腺機能低下症は出生後に起こります。小児期の後期および青年期に発生します。

このタイプの甲状腺機能低下症は、一般的に橋本甲状腺炎が原因です。橋本甲状腺炎では、体の免疫系が甲状腺の細胞を攻撃するため、慢性の炎症が引き起こされ、甲状腺ホルモンの分泌量が低下します。

症状

甲状腺機能低下症の症状は、小児の年齢によって異なります。

乳児と幼児

妊娠のごく早期にヨウ素が欠乏していた場合、乳児には重度の発育不良、顔貌の異常、知的障害、動作とコントロールが困難な筋肉の硬直(けい縮と呼ばれます)がみられる場合があります。

その他の場合、母親の甲状腺ホルモンの一部が胎盤を通過するため、初期には症状がほとんどないか、まったくみられません。母親から甲状腺ホルモンを受けられなくなると、症状が徐々に現れ始め、新生児スクリーニングを受けたときにようやく甲状腺機能低下症が検出されます。

甲状腺機能低下症が治療されない状態が続いた場合、脳の発達が遅延し、乳児には、筋緊張の低下、難聴、舌の肥大、十分にミルクを飲まない、泣き声がかすれるなどの症状がみられることがあります。重度の甲状腺機能低下症の治療が遅れると、知的障害低身長につながる可能性があります。

小児期後期と青年期

児童および青年にみられる症状のいくつかは、成人の甲状腺機能低下症の症状と似ています(体重増加、疲労、便秘、硬い乾いた毛、乾燥した厚いざらざらの皮膚など)。小児のみに現れる症状としては、成長の遅れ、骨格の発達の遅れ、思春期の遅れなどがあります。

診断

  • 新生児スクリーニング

  • 血液検査

  • ときに画像検査

出生時に甲状腺機能低下症にかかっている乳児は、しばしば異常な所見をまったく示さないことから、医師は全新生児を対象とした通常のスクリーニング検査を行います。スクリーニング検査の結果が陽性の場合、血液中の甲状腺ホルモンの濃度を測定する検査(甲状腺機能検査)を実施し、甲状腺機能低下症の診断を確定します。診断が確定されたら、発達の遅れを予防するため新生児を速やかに治療しなければなりません。

先天性甲状腺機能低下症が診断されたら、医師は核医学検査超音波検査などの画像検査を行い、甲状腺の大きさと位置を確認します。

甲状腺機能検査は、甲状腺機能低下症が疑われる児童および青年でも行われます。甲状腺腫が認められる場合には、超音波検査も行われることがあります。

中枢性甲状腺機能低下症の小児では、脳の問題を否定するため、脳および下垂体のMRI検査が行われます。

予後(経過の見通し)

治療を受けた乳児のほとんどでは、動作のコントロールも知的発達も正常です。

治療

  • 甲状腺ホルモン補充療法

先天性甲状腺機能低下症の小児には、通常、合成甲状腺ホルモンであるレボチロキシンを投与します。ほとんどの小児は、生涯にわたって甲状腺ホルモンの補充を受ける必要があります。小児に対する甲状腺ホルモンの補充は錠剤で行います。乳児では錠剤を砕いてペースト状にすることができます。大豆乳や鉄またはカルシウムのサプリメントは、甲状腺ホルモンの吸収量を減少させる可能性があるため、甲状腺ホルモンの錠剤をこれらの物質と一緒に服用してはいけません。

医師は、血液検査を小児の年齢に応じた間隔で定期的に実施し、継続的に小児をモニタリングします。生後の数年間は、より頻繁に小児をモニタリングします。

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